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辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

「ヘンリ・ライクロフトの私記」の愉快な読み方

2009年06月30日 | 言葉
先週、スポンジボブの放送が最終回だった。

この番組を見てしばしば思ったのは、同番組の登場人物の一人、
イカルドはイギリス人なのではないかということである。

(1)クラリネットが好き
(2)お宅訪問なんて番組を熱心に見ている
(3)「公共放送を見る」なんていっている
(4)一人でいるのが好き
(5)スポンジボブがうるさいと思っている
(6)変な物をコレクションしている(たとえば卵型の飾り物)

ところで、今日、ギッシングの「ヘンリ・ライクロフトの私記」を読んだ。
ライクロフト氏は、まさにイギリス人なわけだが、
なんだかこれはイカルドが書いているのではないかという気になってきたのである。

そう思いはじめると、なんだか可笑しくてしかたがない。
おそるべしスポンジボブ。

指輪物語LITE(tm)

2009年06月23日 | 言葉
fortune といえば、ジョークや格言を表示してくれるお馴染み?のプログラム。

$ fortune -m "LITE(tm)"

とかやると、いろんな話の LITE 版を探すことができる。たとえば、

Lord of the Rings LITE(tm)
-- by J. R. R. Tolkien

Some guys take a long vacation to throw a ring into a volcano.

(指輪物語 LITE(tm)
-- J. R. R. トールキン作
    何人かの男たちが指輪を火山に捨てるために長い休暇をとる。)

てな具合。

で、ちょっと気になったのは、tm のこと。

トレードマークってことなわけで、もちろんここでは Lite と組み合わせた冗談なんだが、
法律上は問題がないのか、と疑問になった。
登録してないのに登録商標とか書くと怒られるよなあ。

で、調べてみると、米国では、どうもこの tm ってやつは、登録とかせんでもつけてよいらしい。

したがって、fortune の LITE(tm) シリーズは、この点では問題がないわけだね。

参考 http://www.uspto.gov/go/tac/doc/basic/register.htm

単語1万語ってなんだ?

2009年04月09日 | 言葉
TOEFL を受けるという人が単語を憶えないとならんと言ってたので、
いったい何単語くらい知っていればいいのだと尋ねてみた。1万単語との答え。
どのくらいの点を狙っているのかは知らないが、ともかく数値目標があるわけだね。

で、考えた。

ここに理想的な単語リストがあったとしよう。
リストの上位1万語から任意に出題して意味がわかることを1万語を習得したと言うのか、
はたまた全リストの中から知っている単語を1万語抜き出すことができることを1万語習得したというのか。

もちろん、前者のほうが後者よりもはるかに厳しい基準となる。
人はあまり使わない変な単語を意外とたくさん知っているものだからね。

いったい世間では、どういうふうに「1万語」を知っていることを求めているのか不思議である。
もしかすると、1万というのは「いっぱい」の同義語なのかもしれないなあ。

そういえば、「ペーパーバックを○○冊読む」というやつも謎の目標だなあ。
どうしてそこで装丁が問題になるのか、たいへん疑問である。

サミュエル・ジョンソン伝

2009年03月12日 | 言葉
辞書が好きだと公言する以上、やはりサミュエル・ジョンソンを避けては通れない。
サミュエル・ジョンソンを知るには、ジェームズ・ボズウェルが書いた伝記を避けては通れない。
長いこと、なんか宿題みたいに頭の中に引っかかっていた。
先日 Amazon で安かったので、やっと、The Life of Samuel Johnson をペンギン版で買った。

ものすごく厚い。
どのくらい厚いかというと、「コロコロコミック」が薄く見えるほどに厚い。
もちろん、コロコロより薄い印刷用紙を使っていて、これだ。
「ちゃお」の増刊だって、この厚さには勝てまい。

めげかけたが、数ページを読んでみた。そしてまた、めげた。

名作ということになっているが、ぜんぜん名文ではないのだ。
外国人のわしがそう言いきれるほど、のろのろとした、そして抑制のない文体だ。
名作=名文というほど、単純ではなかった。おそるべし。

はじめからして先行する伝記への非難と、自分の書いたスタイルの宣伝とが延々と続く。
読み終わってから自慢してやろうと思っていのだが、
自分の読解力を考慮に入れると、どうもこりゃあ全然読み終える自信がない。

まあ、本題に入ったらおもしろきことが書いてあるに違いないのだと自分に言い聞かせる次第だ。

モンティ・ホール問題

2008年12月22日 | 言葉
モンティ・ホール問題と聞いて Python のセキュリティー・ホールのことかと思ったら、全然違った。(Python はモンティ・パイソンが語源だそうだ)

三つの閉じたドアあり。いずれか一つの裏に景品あり。残る二つのドアには下らぬものあり。賭ける者その一つを選ぶ。胴元、ドアの一つを開き、下らぬものを示して後に、賭ける者に尋ねる。賭けるドアを変えるやと。さて、賭ける者ドアを変えるべきや? と、まあこんな問題であった。

さまざまに言い尽されているようで、私としては言うことは特にありません。

ちなみにモンティ・ホールというのは、アメリカで名のある司会者だそうだ。

値段/直段

2008年12月01日 | 言葉
大言海新版で「ねだん」の項を見たら、「直段」という漢字が書いてあった。「ね」の項目にも、「直」とある。

悲しいかな漢和辞典は小さなのしか持っていないが、見たところ「直」にも「あたい」という読みがある。「値」の項目にももちろん「あたい」とあるが、こちらは唐以後の用法とわざわざ注記してあった(漢辞海初版)。

そういえば、詩にある「春宵一刻あたい千金」はどうだろうと思って調べてみると、「春宵一刻直千金」となっているものがある。(蘇軾がどう書いたのか調べていない)

(余談ながら、言海で「ね」を引くと「直」で、音(ね)には高い低いがあるから、直の意味に通じるのだなどという妙な説が紹介されている。)

「値段」か「直段」かを他の辞書で見るに、

広辞苑第五版は「値段、直段」
岩波国語辞典第二版「値段」
新潮現代国語辞典第二版は「値段」
http://en.wiktionary.org は「直段」または「値段」
広辞林第六版は「値段」
Yahoo 提供ののオンライン大辞泉は「値段/▽直段」

まあ、どちらでもいが、「値段」が優勢ということみたいだ。
へそ曲がりの人は是非「直段」と書いてください。