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世界最速のインディアン・株式会社ハピネット

2014-03-05 03:23:56 | 書籍&映像&音楽

 これは、2005年(日本では2007年)に公開されたニュージーランド・アメリカ合作の映画、世界最速のインディアン


 1967年に1000㏄以下のオートバイ陸上速度記録を樹立した実在のライダー、バート・マンロー(Burt Munro)をモデルにした伝記映画。監督は、13デイズ(Thirteen Days)のロジャー・ドナルドソン、80年代にはトム・クルーズ主演のカクテル(Cocktail)や、ケビン・コスナー主演の追いつめられて(No Way Out)を撮ってた方。主演は、羊たちの沈黙のレクター博士ことアカデミー賞俳優のアントニー・ホプキンズ。


 物語は、ニュージーランドの片田舎で1920年製の古いオートバイ“インディアン”を改造していた主人公が、63歳の時アメリカに渡り、ボンヌヴィル塩平原(ソルト・フラッツ)で行われている最高速度を競うスピード競技に出場するというもの。大作映画ではありませんが、アマゾンをはじめとした各レビューで限りなく★★★★★に近い高い評価を得ている作品。


 実在の人物をモデルにはしているが、ノンフィクションではなく、ハリウッド映画らしい脚色が施されているとのこと。(お金が無いので)家を抵当に入れてお金を借り、ニュージーランドより船のコックのアルバイトをしながらアメリカに渡り、250ドルで車を手に入れてそれでバイクを運びながら、レースの行われているボンヌヴィル塩平原を目指すというロードムービー。レースの規則を知らずにいきなり出場しようとしたり、ブレーキやタイヤが古すぎたり、パラシュート、レーシングスーツなどの安全装備すらないバイクで呆れられたりと、滅茶苦茶な主人公が周りの人に助けられながら挑戦を果たす。


 最初に見た印象では、娯楽作品として成立させるために脚色が施されているのか随分ご都合主義的だと感じた。しかしバート・マンローという人について調べてみると、意外に実際のエピソードに忠実に作られていた。63歳から70歳すぎまで9回も繰り返し挑戦を行っており、映画はこれらの様々なエピソードを一回目の挑戦に詰め込んでいる。このマンローという人、若い頃はモーターサイクルのセールスや親の跡を継いで農場の経営をしながら、地元の草レースなどに挑戦していた。子供が巣立った後で愛想を付かした奥さんがでて行き、農場を売り払った後で、残りの人生をスピードと改造に捧げたらしい。


 マンローと彼のバイク。彼のバイクは1920年製のインディアンという古いメーカーのバイクで、記録を樹立した時点でも40年以上たったもの。もともとは最高速度80キロ程度のバイクで、これを自分の手で300キロ超のバイクに改造している。映画でも冒頭に少しだけその様子が出てきますが、改造部品やチューニングメーカーなどには頼らず、自分の手で金属を溶かしてエンジン自体を作ってしまう程の改造を施していた。SUZUKI隼など現在の最先端のバイクなら300キロ超出せると思いますが、彼のインディアンは空冷のサイドバルブ型という古い形式。映画が荒唐無稽に思えるほど、実在の人物が突き抜けていた。


 もうひとつは、63歳で挑戦を始め70歳過ぎまで続けたという高齢者の夢(生きがい)の側面。主人公は、年相応に狭心症や前立腺肥大に悩まされますが、劇中では恋愛も描かれていて普通に青春映画になっています。夢を見ることに、年齢は関係ないというメッセージを伝えてくる。ボンヌヴィル塩平原でスピードに挑むものは大勢いるわけで、マンローさんも彼らと志を同じくするものの1人に変わりはない。60歳を超えていようが、夢を見る気持ちは若い人となんら変わりがないということだろう。


 また、映画ではボンヌヴィル塩平原へ向かう過程がメインのロードムービーになっていて、その過程で様々な人と出会う。老いたガールフレンドだったり、暴走族だったり、船員たちやゲイ、ネイティブアメリカン、中古車屋、老未亡人、ベトナム帰還兵など。それら(日の当たらない場所にいる)人たちに価値を認め、結果皆が主人公に支援をしてくれる。実際のマンローさんにも多くの支援者、協力者がいたはずで、それを表現しているのかもしれない。
 

 バイクに興味のない人にまで訴えるものがある映画かどうかは良くわからない。高齢化社会にふさわしい、お年寄りの夢(生きがい)を描いた映画としてみるならば、実に現代的で時代に即したテーマなのかも。


 日本のバイカーの平均年齢は、47歳だか48歳という統計が出ていました。バイクが高価になりすぎたということもあるのだろうけれど、若い人が入ってこずバイクブーム時から乗っている人がそのまま年をとっているという印象がある。マンローさんのように突き抜けた生き方を出来る人は、あまりいないと思われるが、夢や生きがいをもった生き方という意味では、示唆にとんだ映画なのかもしれません。


 ということで、世界最速のインディアンでした。ちなみに、彼が1967年に出した295キロ(非公式では320キロ)という記録は現在まで破られてない。



参考:Wiki 最速のインディアン、バート・マンロー、ロジャー・ドナルドソン、アントニー・ホプキンズ、スピードの神に恋した男の書評をしてある各サイト


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