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三菱i(アイ)プチインプレ・長距離走行編

2015-12-22 16:50:48 | 三菱 i(アイ) インプレ

 ということで、三菱i(アイ)のプチインプレ長距離走行編です。一般に軽自動車のインプレを見ると、高速道路などのハイスピードでの巡航や長距離が苦手とされることが多い。そうはいっても、今時の軽自動車であればターボなど過給機が付いていれば、そこまで普通車と差がつくということもないでしょう。ただ長時間乗った場合の疲れ具合いなどでは、普通車と軽自動車、ツアラーとシティコミューターとでは、大きな差になってくると思われます。i(アイ)の場合だと、直進安定性に不安があるミッドシップという構造や、硬い足回り、ハイトワゴンの軽自動車より狭い車内という点が気になるところ。ということで、i(アイ)で長距離を走った際の感想などを書いてみたいと思います。


 11月の初旬ごろ、i(アイ)を購入後20日ほどといったところで、一日で600~700キロほど走る機会がありました。この距離を日帰りでという強行軍なので、距離が距離ということもあって早朝まだ暗い時刻から出発。市街地を抜け山越えといったコースで、山間部の入り口から少し入った付近。この時点でも、まだ7時とかそんな時間。早朝の人気のないワインディングは、かなり気持ちいい。


 通常だとこんな朝っぱらから山道にいるということはありえないので、なかなか非日常感があります。ピクニック気分というか、バイクでのツーリングのような気分。少し休んで再スタート。


 i(アイ)の紹介動画で、自動車評論家の岡崎五郎氏も語ってますが、このようなワインディングはミッドシップレイアウトが俄然光を放つところ。後ろから聞こえてくるエンジン音も相俟って実に気持ちよく走れます。


 山中の鉄橋。特に名のある橋でもなく、山の中にいくつも存在する実用のための橋。


 朝が早いため、対向車もほとんど見られない。


 いくつものワインディングを抜けていきます。スーパーチャージャー仕様のプレオに乗っているときには、カーブでのアンダーや車体の大きなロールが気になっていたのですが、i(アイ)ではそれはほとんど感じない。車体高が高いためロールはしているのでしょうが、固めの足回りが、それをあまり感じさせないセッティングになっているのでしょう。車体高はワゴンRやムーブなどと同等の1,600mmほどあるため、限界はそれほど高くはないでしょうが、ハイトワゴン系の軽自動車の中では、このようなワインディングを抜けるのに向いている車種のひとつだと思います。ちなみにCGTVの軽自動車特集では、松任谷さんは腰高感を感じるとコメントされていました。


 ふたたび鉄橋。こちらは、日が挿してきたこともあってか、視界が開けて開放感があってなかなか綺麗。


 橋を抜けたところで小休止。この時点で4時間くらいは走っていると思います。夏と違って冬は日差しが弱いのであまり鮮明な写真は撮りにくいのですが、この日は快晴であったため午前中の穏やかな日差しがなかなか綺麗。


 i(アイ)は、繭をモチーフとしているところから、包まれ感というのをコンセプトのひとつにしていた。そのため軽のワゴン車では車内を広く使うためにパネルシフトを使っていることが多い中、あえて(なのか?)オーソドックスなフロアシフトを採用している。スポーツカーほどタイトではないが、ほどよく包まれ感がある室内というのが売りのひとつだった。車体高はワゴンRやムーブなどと同等の1,600mmあるため、頭の上の空間もそこそこあって、セダン型の軽にありがちな窮屈な感じというのもない。心地よいフィット感があるというか、安心して乗っていられるという車内空間を持っている点は、長距離を走る際に疲労感の軽減に繋がってくると思う。


 段々標高が高くなってきて、眺めも良くなってくる。


 11月なので緑が生い茂るという感じではないが、夏にバイクで走ったら木々の生命力を感じて気持ち良さそう。


 山越えは終わり、ワインディングも終わりに近づいてくる。


 ということで、道の駅で小休止。結構山道で時間を食ってしまい、この時点で11時頃とお昼近く。行程の片道の半分くらいしか進んでない。道の駅はみやげ物も食事も高いので、トイレ休憩のみの利用。昔は、民間のドライブインがこの役割を果たしていましたが、今ではすっかり第三セクターが多い道の駅に変わってしまいました。うどんややそばの自販機でもあれば気分が出るが、今時はそんなもの置いてない。でも、道の駅のこのどこか懐かしい感じというのは結構好きですね。道の駅巡りとかしてみたい。


 市街地に入ります。i(アイ)は、どちらかというとシテイコミューターというジャンルに入る車だと思うので、このような市街地では楽々。


 フロントにエンジンがないため、ハンドルの切れ角を大きく取れて、最小回転半径もかなり小さい。また、車体も小さくハンドルも軽いため、街中を走るということに関してはかなり優秀な部類に入ると思う。


 市街地の中心部に入る。長距離を走る場合に気になるもうひとつの点として燃費がある。i(アイ)は、47~8キロで4速に入るため、その速度に達するまではふかさないようにスピードを乗せていく、最大トルクを発生する3000回転を超えないような感じで走ると、エコな運転ができる。2200回転位で60キロ巡航ができるので、街中で法定速度を守って走る分には、回転を極力抑えた走りが可能です。特にストップ&ゴーの多い街中では、ふかさないようにスピードを乗せていく運転をすると燃費が稼げます。軽のターボ車は燃費が悪いという思い込みがあったが、トルクが低速より出るためエンジンをそれほど回さないで走れる。


 市街地を抜けてバイパス路へ入る。わりと直線が続く単調なコースとなりますが、このようなシチュエーションでは、リア駆動のi(アイ)には直進安定性の問題が顔を出してくる。軽自動車最長のロングホイールベースを実現しているため、直進安定性自体には直接の問題はないのだが、やはり無意識のうちに行うハンドルの微妙な微調整というものは多いような気がする。このようなものは、意識しないうちに行うため表面には現れないが、長距離を走る場合だと少しずつ積もって疲労へとつながることもあるかもしれない。


 この市街地からバイパス路を通って郊外へ~次の市街地までの距離が結構長くて、この時点で昼を回って14時とか15時頃。間をかなり端折ってあります。だんだん乗車時間が長くなってくると、ミッドシップのエンジン音とか操縦性とか、どうでもよくなってきて、FMラジオを聴き始める。


 都市高速の下道。今回、高速は使わずすべて下道。


 この時点でもう4時過ぎ。だんだんと日が落ちてきました。


 高速を利用していたら、風の影響などまた違った側面が見えてくるかもしれない。横風に弱いという評価もありますし。


 ということで、やっとのことで市街地に到着。


 街中は、車体の小さな軽ということで、走るのは楽ちん。シティコミューターの面目約如。やっぱり、お買い物車なんですな。ATなので渋滞も気にならないし、苦にならない。


 夕方なので帰宅ラッシュの時間帯でしょうか。


 とりあえず、あちらこちらの店に寄り道をしながら移動します。


 5時近く。街行く車も尾灯を付け始めました。


 そのまま市街地を抜けて住宅街へ。いかにも生活の匂いが漂うといった感じの生活の町。


 一時期は暮らしたこともある、思い出の場所でもあります。


 バイクや自転車の数が多いのは、学生街でもあるから。


 とりあえず、用事を済ませつつ周辺をうろうろ散策する。


 本格的に暗くなってきたため、そろそろ帰路を目指します。


 こういう寂れた感じの商店街は好きです。いろんな人の生活が見えるから。


 町に明かりが灯り始めます。


 後は、来た道を深夜の国道を通って帰宅しました。結局ずっとFMラジオをかけっぱなし。これまで車でラジオを聞く習慣がなかった(おっさん臭い感じがするし)のですが、深夜のラジオは若者のものなんですね。昔、学生の頃オールナイトニッポンとか聞いていましたが、今でもそんなに変わっていない。車載DVDとか取り付けてないし、ワンセグを見れる環境もないためですが、これはこれで味がある。帰路の感想は、座布団が合ってなかったのかシートが小さいためなのか尻が痛くなった。軽自動車で長距離を走る際の最大のウィークポイントが、ここだと思います。特にi(アイ)では、シートの座面が小さいという評価もあり、あまり長距離を走ることに向いたシートではないような気もする。燃費のほうは、600キロほど走って約4~5千円ほどと、NAのSOHCのR2とあまり変わらなかった。リッターに換算すると17~19キロ程度。i(アイ)は重量がある上にCVTでもないため、燃費が悪いというインプレをあちこちで見ていたので、これもちょっと意外な感じがしました。

三菱i(アイ)プチインプレ・室内装備

2015-11-02 18:07:11 | 三菱 i(アイ) インプレ

 ということで、三菱i(アイ)のプチインプレ、インテリア編です。インテリアで一番目に付くのは、赤い装飾を施されたインパネとレッド地のシートでしょう。個人的には、スポーティで良いと思いますが、好き嫌いが分かれると思います。これは新車時にはグレー地と選択できました。またメーカーオプションで、ブラックインテリアを選択することも可能で、それらだと印象はまたかなり異なります。


 基調となっているのは、濃いグレーとグレーで、ドアの内側など広い面積がグレーで構成されていることから、グレーの印象が強いでしょうか。最近の軽だと柔らかい感じや高品質感を表現するためにベージュが多用される傾向にありますが、あまり女性受けするような柔らかい感じやファンシーな感じはしない。


 一応、車体高が1600㎜あるステーションワゴンなので、リア席は広くはないが狭くもない。室内長 x 室内幅 x 室内高は、 1,790 x 1,270 x 1,250なので今どきのハイトワゴンと比べると狭いと感じるだろうが、ミッドシップやRRの車だと、後席はあってもエマージェンシーシートというのが普通なので、そう考えれば十分な広さは確保されている。ただリアエンジンの上に乗っかっている関係で、シート位置が高かったりする。


 それでは、i(アイ)に乗り込みます。フロントガラスの面積が広いため、かなり開放感はあって窮屈な感じはしない。特にフロントにエンジンがない関係で前席は足元が広くなっているので、ドライバーの視点からだと広いと感じると思います。


 インパネの質感は、プラスチッキーであまり高いとはいえない。カラーの問題もありますが、この2006年頃という年式を考えれば、軽自動車の内装の質感は今ほどには求められていなかった。今時の、N-BOXカスタムとかデイズルークスなどのように、内装に普通車並みの質感を持った車から比べると、いかにも軽自動車というような質感。後付のナビとかモニター類を付ければ、多少はましになるのでしょうが。ただこれは普及グレードMの内装なので、高グレードG、Tだと本革ハンドルや本革のシフトノブが付くため質感が上がる。


 この車では、スパルコのレザーのハンドルカバーとカシムラの本革シフトノブ、社外品の革製のハンドブレーキカバーを装着している。


 メーターは、全グレードアナログのタコメーターにデジタルのスピードメーターを重ねたコンビネーションメーター。このようなタイプは、S660とかCR-Zアバルト500など、スポーティなモデルで最近良く使われている。まだ液晶モニターとかが軽自動車に使われる時代でもなかったため、こちらも質感はいまいち。100均のデジタル時計みたいだと評したインプレもあった。ただ、写真で見るよりは実際は立体的で、スポーティな感じはある。


 スイッチを入れると徐々に明るくなり、遅れてデジタル表示が浮かび上がる演出がなされている。液晶モニターで装飾された今時のものと比べるとシンプルすぎるけど、夜間見るとそれなりに綺麗。水温計は省略されており、燃費計もない。定期点検の時期を知らせてくれるという機能はついているけれど。シンプルなシングルメーターは、夜間だとレーシングカーみたいですな。



 L、LX、M、G、Tのグレードには、キーレスオペレーションシステムが装備されている。この時期くらいから、軽自動車にも一般的になってきました。


 ワイパー、ウォッシャースイッチは、短めのものが付いている。ワイパーには、速度に反応して間欠時間を自動で調節してくれる、間欠モードが備わっている。


 ウインカー、ライトのスイッチも短め。グレードによっては、ヘッドライトの消し忘れを自動で消してくれるヘッドライトオートカットの機能が備わっている。


 電動ミラーのスイッチと、ヘッドライトの光軸調整用のダイヤル。i(アイ)には、車を降りてからキーレスのUNLOCKスイッチを3回押すと自動でミラーが格納される機能が付いている。またパワーウインドウも車の外からキーレスで操作可能。ミラーを収納したまま走り出しても、自動で展開する機能も付いている。小技というか小ネタというか、説明書がないと気付かない裏技のような機能が色々付いている。


 ハンドルの右下辺りに給油口を開くレバー、その下にボンネットを開けるレバーがある。その上にカード入れが備わる。駐車券とか、高速の半券とか入れるためのものでしょうか。


 センターコンソールと一体型の標準装備のCDプレイヤー。Sグレードだとオプションになる。デザインはよいとしても、シルバー塗装がプラスチックっぽくて質感はいまひとつ。一般的な1DINと2DINの規格ではないため、社外品に代えたりナビなどをつける場合には、オプションのセンターパネルに付け替える必要がある。メーカ独自デザインのカーオーディオは、こういった場合に不便。


 ダッシュボード上に3.5㎝ツイーター。


 前席ドアに16cmスピーカーが付いている。音は、純正品なりのもので特に良くもなく悪くもなく。ツイーター+スピーカーという組み合わせなので、スピーカーのみのものと比べると良いか。オプションで8つのスピーカーとアンプ、ドアのデッドニングを含めたハイグレードサウンドシステムが選べた。


 エアコンのスイッチ類。全グレードフルオートエアコン付き。スイッチの感触は、なかなか質感が高い。ミッドシップレイアウトの関係で冷却水が多いため水温が上がりにくく、温風は時間がかかるらしい。


 エアコンの吹き出し口は丸型。このタイプは、閉じることも出来るし構造がシンプルなのでよい。


 エアコンスイッチの下に、カップホルダーとユースフルトレイ+アクセサリーボックスなるものが付いている。これ使い道が分からなかったのだが、カタログを見るとペットボトルのキャップを置いたりできるとある。アクセサリーボックスは、小物などが入れられる。深さがそれほどないので、キーレス用の予備電池を買いだめして入れている。


 助手席側にもカップホルダーが備わる。これは、デザイン的にちょっと可愛い。ちなみに後席にはカップホルダーが装備されておらず、オプション扱いとなる。


 グローブボックスとグローブボックスアッパートレイ。アッパートレイの中にインパネシークレットボックスというもうひとつのボックスが隠れており、ティッシュの箱を逆さにして入れると、グローブボックスアッパートレイからティッシュを引き出せるという機能が付いている。インパネにティッシュの箱を収納して外から引き出せるというアイデアは、他社でもあったと思う。


 ゲート式の4AT。i(アイ)には、マニュアルやCVTは存在せず、全車この4ATになる。Gグレードでは、シフトノブが本革製になる。オプションでMOMOのシフトノブも選べた。


 マニュアルがないのは残念ですが、このシフトノブが超ショートストロークで、ちょうど座席に座って手を伸ばした位置に配置されていて、意味もなくシフトノブを操作したくなるほど、カチカチと節度よく決まる。4ATも変速ショックがある昔の3ATのイメージからすると、かなり洗練されている。


 最近ではインパネシフトが多いですが、オーソドックスなフロアシフトが採用されていて、スポーツカーのシフトを操作しているような気分になる。収納ボックスなどもついておらず、ステーションワゴンっぽくない簡素さでよい。


 パーキングブレーキも軽自動車に多いフットブレーキではなく、オーソドックスなサイドブレーキ。質感は、そのままプラスチックそのもの。ここもオプションでMOMOのサイドブレーキレバーが選べた。


 前にエンジンがないため、FF車と比べると足元の空間が広い。他の一般的なワゴン車と比べて後席は狭めだが、運転席は広めでゆったりとしている。そのため足を前に投げ出すようなポジションが取れる。


 足元に謎のスペースがある。カタログを見るとフック付きのフロアコンソールということで、買い物した袋などをここに置けということみたい。またシフトレバーの前にもカップホルダーが備わっている。


 ドアは、円をモチーフとしたデザインがされていて、ドアトリムには物入れが備わっている。ドアハンドルも同じように円をモチーフとしている。プラスチック丸出しで質感もいまひとつだが、デザイン上で上手く処理して安っぽさを感じさせないという方向性みたい。


 運転席のシートには、シート高を調整できるアジャスター(リフター)が付いている。運転席の下に燃料タンクがあるため、シート下にスペースはあまりない。


 後部座席は、特に狭いというほどではないが、今どきのスペース効率を優先したワゴン車に比べるといまひとつ簡素で、特に工夫したと感じさせる部分は見当たらない。物を収納したり、置いておくスペースもない。エンジンが後ろにあるため、座席を下げることが出来ない。


 ドリンクホルダーも付いていないし、それほど重要視はしていないようにも見える。ごくシンプルで清潔感があるのは、好感が持てるけれど。


 ミラーは、まったく飾り気のないかなり簡素なもの。ミニカやekワゴンから流用しているかもしれない。 今のekワゴンには、アラウンドビューモニターやバックカメラモニターなんかが付いていますから、ここはものすごい進化を遂げている。


 バニティミラーは運転席のみ。Gグレードにはマップランプも付く。ここもすごく簡素な作り。オプションのブラックインテリアを選ぶと助手席にも付く。


 アシストグリップは、助手席のみ。軽自動車だとこんなものだと思いますが、今どきのハイトワゴン系だともっと立派な、ちゃんとしたものが付いているのかも。


 天井のランプはオーソドックスな作り。こちらもミニカやekワゴンから流用しているのかも。天井は消臭天井になっていて、匂いの元を吸着、分解してくれるという素材が使われている。そのためかはわからないが、何気に室内の匂いは良い。


 1600mmの車高があるため、天井はそれなりに高い。ただ、ボディ形状がラウンドしているため、後ろに行くほど窮屈になってくる。材質は明るい素材で、なかなか質感のよいものが使われている。この辺は、質感を売りにした高品質軽というだけある。


 ガラス面積が広いため、光が差し込み車内は明るく開放感がある。


 ただし、ボディ形状の関係で後方の視界はそれほど良いとは言えない。リアウインドウもリアドアも小さめ。


 エンジンがリアにある関係で荷室には深さがない。FF車だとこの下に、収納ボックスがあったり、スペアタイヤや工具などを収納しているが、i(アイ)では、そのようなスペースもない。一応、横にすればベビーカーが収納できるとカタログには謳われている。


 シートは倒すと水平な面が作れるようになっている。倒せば自転車くらいなら積めるか。一応リアシートには16段階のリクライニングが付いているが、この辺りが弱かったことが、デザインでは好評だったi(アイ)の販売台数が伸び悩んだ原因のひとつでしょう。その辺りを徹底的に分析したから、今のekワゴンとデイズの好調があるのでしょうが。


 防音、断熱を兼ねたシート。運転手とエンジンが同一のキャビン内に同居する構造のため、これはどうしても必要。スポンジ状で隙間を設けることで、表面積を稼いでいるそうで、メーカーとしても開発には力を入れたらしい。荷室に乗せた荷物にエンジンからの熱が伝わらないようになっているらしい。


 防音、断熱材の下には鉄板の蓋がしてあり、道具を使わず手で簡単に外せるよう、蝶ネジで4箇所を留めてある。しかし、今時むき出しの蝶ネジというのもどうなんでしょう。ここは蝶番を付けてボンネットのように開くようにして欲しかったところ。


 鉄板の蓋を開けると三菱・3B2型エンジンがのぞく。このエンジンは、燃費などを改善する改良を施されてekワゴン・デイズに引き継がれている。i-MiEVだとここにモーターが搭載される。ミッドシップとはいっても、床下収納のそれはほとんどワンボックスかキャブオーバーのバンか軽トラのよう。 せっかくの高性能エンジンなのに、もう少し見せる演出が欲しかったところ。普段は、ほとんど開ける機会がないと思います。女性だと開けたこともないという使われ方をするのかもしれません。そういった意味では、この床下に収納されたエンジンは、縁の下の力持ちというか黒子に徹している。騒音は、防音財のおかげかかなり抑えられているし、運転席とエンジンの距離が離れているというリアエンジン車の物理的な構造からも、振動、音ともに有利。またそもそもリアエンジン車は、走り出すと音を後方に置いていく(音から遠ざかる)という構造なため、高速時もかなり静か。むしろ信号待ちやアイドリング時のほうが、3気筒エンジン独特の音や振動は伝わってくる。


 荷室の右側にジャッキが収納されている。前オーナーは女性であったため、全く使用していなかったのか埃がたまっていた。スペアタイアもないので、あまり使うこともないでしょう。


 パンク修理キットは、リアシートの下に収納されている。こちらもまったく使った形跡がなかった。前オーナーが女性だったためか、こういうところを開けると色んなところから買い物のレシートが出てくる。おまけにパンク修理キットをどうやって取り出せばよいかわからず、これでは緊急時には役に立たないような気がする。


 ということで、この車の評価は、このリアエンジン、リアドライブに価値を見出せるか否かで、全く変わってくるように思います。エンジンやシャーシなど見えない部分にコストを掛けすぎたためか、内装は割をくった感じで質感はあまり高くありません。乗り心地も2000ccクラスの車に乗った後にこの車に乗ると、静寂性、走りの安定性、エンジン音や振動の滑らかさの全てに及ばないことを実感する。ピッチングは抑えられているとしても、横方向にぴょこぴょこ動く。ただ、エンジンを掛けたときに後方から聞こえてくるエンジン音というのは、走り出す前からわくわくさせられます。後は元気でやんちゃな走りもできるスモールと捉えるかどうか、この後ろから聞こえてくるエンジン音をやかましいと感じるのか、わくわくするかどうかで決まってくるんじゃないでしょうか。


 ということで、三菱i(アイ)のプチインプレ・インテリア編でした。

参考:wiki 三菱i(アイ)、三菱・3B2型エンジンの項、三菱i(アイ) CBA-HA1W/DBA-HA1W型 2008年7月版 カタログ

三菱i(アイ) プチインプレ・エクステリア

2015-11-02 17:35:14 | 三菱 i(アイ) インプレ

 ということで、三菱i(アイ)のエクステリアのプチインプレをやります。ほぼフルノーマルの2006年製のグレードM型で、走行距離は約61,000kmのもの。i(アイ)の生産・販売は、2006年から2013年にかけて7年行われており、こちらは初期型になります。


 もっとも特徴的なフロント。フロントにエンジンを持たないためデザインの自由度が高くなり、グリルなどを持たない独特のフェイスを持つ。兎やハムスター、蛙とかピカチュウなどに例えられることも。


 四角型のボディが多い軽自動車において、異例とも言える曲線で構成されたボディ。未来の車に例えられることもあるが、クラシカルな雰囲気も醸し出している。2006年度のグッドデザイン大賞を受賞(軽自動車としては初)をしており、カービュー・カー・オブ・ザ・イヤー2006〜2007を国産部門で受賞、2007 日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤーを受賞している。他には、2007年次 RJCカー・オブ・ザ・イヤー受賞、第27回日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞「Most Advanced Technology」受賞、第1回あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー大賞・K4オブ・ザ・イヤー同時受賞など、登場時には話題となった車だった。


 デザインの自由度を増すため、軽自動車としては異例な大きさのフロントガラスが新規に開発されている。原型となった2003年のフランクフルトモーターショーに出展されたコンセプトカーでは全面がガラスだったが、市販車では上端が樹脂製となり、ブラックアウトされて視覚上の効果をもたらしている。これだけの広いガラス面積を持つため、紫外線や太陽光への対策としてUV&ヒートプロテクトガラスを採用している。大型のフロントツインアーム・シングルワイパーも、この広い面積を拭取れるように新規に開発されたi(アイ)専用のもの。


 ウインカーなど一体となったフロントライト。低グレードのモデルでは、ハロゲンヘッドライト(ロービームは光軸調整付きプロジェクタータイプ)、ターボモデルの高グレードG、T、NAの高グレードLXでは、ディスチャージヘッドライトが標準装備となる。


 エンジンを床下に収納するなど、ワンボックスやキャブオーバー型の軽トラやミニバンにも似た構造ですが、ちゃんとボンネットの下にも空間がある。RRのポルシェなどでは、ここはラゲッジスペースとなっており荷物が積める。軽ミッドシップのホンダ・ビートではスペアタイア、S660では外した幌などを収納できるスペースがある。


 i(アイ)の場合だと、ラジエターやウインドウウォッシャー液、バッテリーなどが積まれており、物を入れておくスペースはない。ここは、衝突時にクラッシャブルゾーンとなり衝撃を吸収する。普通の軽と違って狭いと錯覚してしまうが、エンジンがないためクラッシャブルゾーンとなるスペースは広く、JNCAP衝突安全性能総合評価では星五つ★★★★★を獲得している。リアにエンジンがあることで、衝撃を前方に逃がせることから、国内の軽自動車では唯一後面オフセット衝突にも対応していて、後方からの衝突安全性も実は高い。


 伸びやかなワンモーションフォルム。デザインイメージは、繭、ウサギ、そら豆。こんなにも曲線、円を多用した軽自動車は、珍しいと思います。エンジンをリアに持って行き、タイヤをボディの目一杯に四隅まで追いやったことで、ホイールベースは軽自動車最長となる2550mmを得ている。これは、普通車である同社のコルト、同年式のフィット、ヴィッツなどよりも長い。これが、直進安定性やピッチングの少なさなど、この車の独特の乗り味にも貢献している。


 i(アイ)の車体形状は車検証では、ステーションワゴンとなっている。あくまでも使い勝手や実用性を重要視したモデルのため、フロントドアは結構大きく開く。エンジンがないため、フロントタイヤの横まで運転席のスペースが伸びていることがわかる。スペース効率優先の軽ワゴン車では、乗員をアップライトポジションで座らせることによって、車内スペースを稼ぐ方法を採っているが、i(アイ)のドライビングポジションは、ソファにもたれて足を前に投げ出したような姿勢になる。感覚としては、前席の足元が広い。


 リアドアは独特な形状なため、開口部もそれなり。乗り降りのし易さもそれなり。それでも、このようなデザイン優先のドアでウィンドウが一番下まで降りることは立派。


 リアはフロントに比べると、腰高感のある平凡なデザイン。先行していたスバル・R2にもちょっと似ている。三菱のエンブレムと、そら豆のような形をしたi(アイ)専用のエンブレムが付く。リアドアの開口部も、ライバル他社に比べると狭め。


 i(アイ)のために新規開発された、直列3気筒DOHC12バルブの三菱3B2型エンジンを後輪車軸の前に置く。設計が新しいだけあってシリンダーブロックやオイルパン、ヘッドカバーなどはアルミ製で軽量であり、耐久性と静寂性に優れるタイミングチェーンを採用。三菱の可変バルブ機構であるMIVECが採用されている。ラジエターやバッテリーがフロントなど別に積まれているため、エンジンルームを開けなくてもある程度のメンテナンス性は確保されている。冷却に不利なリアに置かれているため、一定温度で作動する冷却ファンが設けられている。後輪車軸の前方に、シリンダーブロックが45度傾斜した状態で置かれるため、ミッドシップ(リア・ミッドシップ)と言われているが、i(アイ)は車体構造的にリアオーバーハングがほとんどないため、エンジンはほぼ車体最後部の位置であり、RR(リアエンジン・リアドライブ)といってもよいように見える。


 エンジンがリアに積まれているため、ちょっとだけデカ尻という雰囲気もある。軽にしてはグラマラスなボディと言えるかも。


 ノーマルでは、三菱エンブレムとi(アイ)専用エンブレムのみで寂しいため、この車では三菱純正のラリーアートのエンブレムと社外品のアルミのMIVECのエンブレムを足してある。


 純正マフラーは、しょぼい感じがするが触媒入りなため、買うと54,000円もする。社外品も数が少ない上に高価なため、排気管の出口にマフラーカッターでも付けるのが現実的でしょうか。エンジンがすぐ側にあるため、排気系の管が伸ばせないため、音色もそれなり。


 ミッドシップと並んでi(アイ)の機構の特徴的なポイントとして、フルアンダーフロアカバーがある。BMWやポルシェ、フェラーリならともかく、軽自動車でフルカバーしてある車種はほとんどないのでは。これは、フロア下の空気の流れを整流して安定性と燃費の向上、風切り音の低減のため、エンジンまで冷気を導くために設けられているらしい。エンジンルームの冷却ファンといい、ほとんどポルシェ並み。ここまでしてミッドシップを採用したかったのか、三菱の技術者の魂を感じる。見えないところにえらくコストがかかっている。


 i(アイ)は、誰にどのような使われ方をするかわからない軽自動車で、ミッドシップ、RRの挙動の不安定さを出さないため、前後のタイヤのサイズが異なっている。フロントは、145/65R15でほとんどスペアタイア並に細いものが付いている。この前後サイズが違うということから、ローテーションができずタイヤサイズも特殊なため高コストになる。またスペアタイアも積まれておらず、パンク修理キットで対応することになる。ほとんどの場合、JAFを呼ぶことになると思うので、それで何とかなると思う。


 リアは、175/55R15と普通車並みの大きなものが付いている。駆動輪がリアのため、こちらが減りやすいかとおもいきや、タイヤサイズが細いフロント側が減る傾向にある。ミッドエンジン、リアエンジンのメリットのひとつにトラクションが掛かりやすいことがあるため、この太いタイヤは視覚的にもそれを表現していて頼もしい感じ。ただ量販店などによく置いてある、4本で9,800円などの軽用の廉価なタイヤは使えない。


 サスペンションは、フロントがマクファーソンストラットの独立式、リアがトレーリングアーム付のド・ディオン式。エンジンがフロントにないメリットのひとつとして、フロントの自由度が増したことで、傾斜角をかなり寝かせてストロークを稼いでいる。ここも、ミッドシップレイアウトの恩恵のひとつであり、i(アイ)の特徴のひとつでもある。


 ホイールは、ターボの高グレードモデルG、T、NAの高グレードLXでは、i(アイ)専用の15インチアルミホイールが付く。それ以外のモデルでは、アルミはメーカーオプションとなり、i(アイ)専用の15インチフルホイールカバーが付く。このホイールカバーには、横から見たi(アイ)の意匠がデザインとして入れられている。


 リアエンジンのため後ろが重そうに見えるが、前45:後55の重量配分を得るため、関連特許を持つホンダからの技術供与により、運転席下に燃料タンクを置くセンタータンクレイアウトを採用している。スポーツカーでない、軽のステーションワゴンだとしたら、ここまでする必要があったのだろうか。シャーシも新規に開発されたi(アイ)専用で、EVを作る前提があったためかボディ剛性も軽自動車とは思えないほど高いそう。もちろん、これらの要素は走りにも良い影響を及ぼしている。


 燃料の給油口の位置に小さなエアインテーク(ファンの吸気口)が設置されている。ミッドシップスポーツのエアインテークは、視覚的にもミッドシップであることを見せるために大きな開口部が設けられていることが多いが、i(アイ)では言われなければ気付かないほど控えめ。i(アイ)がターゲットとした女性や一般の人には、大きなエアインテークは逆効果になっただろうから、デザインの一部として目立たなく溶け込ませているのでしょう。


 リアランプは、凝ったデザインをしているが、今どきのものと比べると地味で控えめ。車体上部に付いているので、視認性は良いと思われる。


 ハイマウントストップランプ付きのルーフスポイラーが、デザインの一部として標準装備されている。メーカー純正の大型ルーフスポイラーが、オプションとして準備されていた。


 i(アイ)は、車体価格が128万円~162万円と高価だったことから、2006年度の発売当初の目標販売台数も、同社の主力であるeKワゴンの半分ほどの月間5000台とされた。最初こそ話題となり販売目標台数の倍以上の受注があったようだが、徐々に伸び悩み梃入れとして同年の10月24日に要望の多かったNAエンジンが追加されている。大きなモデルチェンジ等もなかったことから、2006年が37,330台(月平均3111台)、2007年が18,926台(月平均1577台)、2008年が11,308台(月平均942台)と徐々に下がり続け、最終年度の2013年には1,038台と月販100台以下にまで下がってしまっている。これは、補助金を使用しても200万円ほどかかるi-MiEVよりも少ない。発売当初のデザインの目新しさも薄れ、中古市場ではどちらかというと不人気車の部類に入る。


 軽自動車の開発には、コストを押さえることが強く求められるため、シャーシやエンジンは既存のものを使って、上物だけを変えて車種を増やすという方法が一般的とされていますが、ここまで見てきたようにシャーシやエンジンまで新規開発、専用設計として、新しいものを作り上げようとした開発者の情熱は熱いものを感じます。コストを掛ける場合でも、普通はフロントグリルにメッキを入れたり、内装をゴージャスにしたりという見栄えを良くすることに費やされますが、見えないところにえらくコストを掛けているという、非常に贅沢な作り方をしています。


 何よりも4人乗りの軽のステーションワゴンで4ATなため、車遊びの障害とされるほぼすべての要素を易々とクリアできてしまうことが、素晴らしい。経済的な面でも、家庭的な面でも、仕事に通勤で使っても、冠婚葬祭に使っても、ご近所からの目も何ら問題ない。そのくせ、ここまで見てきたように見えないところにコストを掛けられたインタークーラーターボ付き4輪駆動も選べるミッドシップ車ということで、足としても趣味車としても使えてしまう。ここが、この車の最大のメリットであり、特徴だと思います。車体価格が200万以上というS660が話題となっていますが、あれは余裕のある大人のセカンドカーでなければ、価格も含めてなかなか現実味はありません。中古車も豊富でかなり選びやすいというメリットも含めて、おもちゃ車としてもなかなか良い選択肢のひとつかと思います。


 ということで、三菱i(アイ)のプチインプレ・エクステリア編でした。インテリア編に続きます。

参考:wiki 三菱i(アイ)、三菱・3B2型エンジン、ミッドシップの項、三菱i(アイ) CBA-HA1W/DBA-HA1W型 2008年7月版 カタログ、RX-7とか、プレマシーとか、マツダとか

三菱i(アイ) 早朝ワインディング・プチインプレ

2015-10-25 16:44:15 | 三菱 i(アイ) インプレ

 ということで、インプレというほど大げさなものではないですが、三菱i(アイ)を早朝のワインディングに連れ出してみました。


 この車が発売された2006年当時のカーサイトの記事をネットなどで見てみると、奇抜なデザインとともに自動車評論家の方たちには、走りが高く評価されていたということがわかります。結局、4ATのみでマニュアルミッションも用意されなかったし、メーカーとしてはスポーティな車としては売っていない。この車最大の特徴であるミドシップレイアウトも、ホイールベースを伸ばし室内空間を確保するため、デザインの自由度を高めるため、クラッシャブルゾーンなど安全性の確保が目的となって採用されている。


 車体の高さが、トールワゴンと同等の1600mmもあって、重量も2WDで900㎏もあるため、元よりサーキットを走ったりジムカーナなどに参加する車ではないですが、ミッドシップ、RR車の挙動が街乗りの法定速度内でも体感できるということから、評価が高かったみたい。今は、本格的なスポーツカーS660が発売されていますから、そちらで体感できますが、このi(アイ)現役当時はワゴン車全盛期で、そこからエコカーの時代になったため、スポーティな走りが期待できる車種も限られていた。


 ネット上でi(アイ)オーナーが書かれた感想を読んでみると、若いときには280馬力のスーパースポーツに乗っていたとか、経済的、家庭的な事情で軽に乗り換えたという方が結構多いよう。90年代~2000年代の初頭くらいまでは、ロードスターなどのオープンカー、RX-7などロータリーエンジン、MR2やMR-Sなどのミッドシップ、三菱もスバルもラリーに参戦しておりそれらのイメージをまとった4輪駆動車を販売していて、そのため安い中古車も選り取りでたくさんありました。そういうスポーツカーに乗っていた方の評価も意外に良かったりする。


 実は、街乗りでも普通の軽ワゴン車との違いは、はっきりと体感できる。加速やスピード感的には似たり寄ったりだと思いますが、ブレーキを踏んだときにフロントが沈まず、車全体がじんわりと沈んだり、ハンドルが軽く鼻先も軽かったり。車体の重量配分がフロント45、リア55くらいで、ブレーキを踏んだときにはそれが50:50になるよう作られているからだとか。それではカーブ主体のワインディングを走った時には、回頭性やハンドリングはどうなのか、軽快感はどうなのか。この車を買う前から、気になる点でした。


 ということで、ワインディングロードを走った感じの感想を書いてみたいと思います。


 4ATの軽ワゴン車なのに、なんだかスポーツカーちっくなポジションが取れるシートに収まります。もちろんバケットでもセミバケットでもない軽自動車の標準的なシートのため、あくまでも気分の問題。速度的には、40キロ+αくらいでワインディングを流して、軽快な走りができるかどうかを見ます。


 i(アイ)のタイヤは、フロント145/65R15、リア175/55R15という太さの異なるものを履いている。リアには、普通車並みの大きなタイヤが付いているし、対してフロントはスペアタイヤかと思うような細さのものが付いている。これは、どんな人が乗り、どんな使われ方をするかわからない軽自動車で、リアを流さないため。ミドシップ車やRR車の挙動のネガを出さないためにこうなっているそうです。同じくミドシップ軽自動車のホンダビートでは、フロント155/65R13、リア165/60R14と、タイヤのリム径(インチ数)まで異なっていた。 S660だと、フロント165/55R15、リヤ195/45R16と、やはり前後でインチ数が異なっている。市販のミドシップやRRを出す際の、ある意味お約束みたいなもの。このため前後のローテーションができないことと、タイヤサイズが特殊なことから維持費が高く付く。


 ということで、徹底した安定志向に振られていますので、法定速度内で通常の走りをする分には、オンザレール感覚でハンドルを切った角度そのままにツーっと曲がっていく。この時、リアにエンジンがある後輪駆動のため、後ろから押される感覚でカーブを曲がっていくことが気持ちが良い。


 同じ軽ミドシップであるビートにも似ているというインプレも見つけたのですが、ビートの場合だと車体の地上高が低い2座のツーシーターであり、トルクの小さなNAエンジンを高回転まで回して走る車なので、よりスポーツカーに近いと思います。アクセルのレスポンスもダイレクトで、ターボとはいえ車高も重量もあるi(アイ)では、あのようなダイレクトなレスポンスは望めない。4ATらしくもっさりと加速します。でも後ろから押されるようにカーブを曲がっていく感覚や、後方から聞こえてくる3気筒エンジンの音は、どこかしら似ているように感じます。加速的には、ターボエンジンのi(アイ)の方が良いと思いますので、ビートのような走りをi(アイ)ですると横転しそうで怖いかも。


 またi(アイ)のターボは今どきのターボなため、どっかんターボどころかどこからターボが効いているのかさえわからない。軽スポーツのカプチーノでは、ターボが効き始めるとターボマークが点灯し、軽自動車としては怖いぐらいの加速を始めた。ビートやカプチーノのようにレッドゾーン直前で最大トルクや最高出力を出すのではなく、今時の車らしく3000回転で最大トルクを発生するようになっている。昔だと馬力やトルク、加速感で高性能かどうかを図っていたし、高回転まで回るエンジンが高性能だという風潮もあった。今では、街乗りで使いやすい回転域で最大トルクを発生するようになっているんですね。


 i(アイ)は、燃費が悪いとか言われていますが、おそらく車重も似通っているスーパーチャージャー仕様のプレオRSと同等程度。CVTでない分、i(アイ)の方が悪いくらいかも。ターボだと低速トルクがあるため、3000回転以下に抑えて走れば燃費は稼げる。タイヤがローテーションできないため維持費が高く付く、燃費が悪い、リアにエンジンがあるため整備性が悪い、工賃が高くつくなど、このようなことを気にしないマニア向けで、実はあんまり女性向けの車ではないような気もします。


 ワインデイングで攻める走りをする目的には向いた車ではないため、飛ばしてもあんまり意味はない気はする。ただ、単なる移動のための時間であったものが、軽快な走りを楽しむ時間へと変わるという意味はある。とばさなくても、ドリフトできなくても、自分を中心に車が回頭し、リアから押し出されるような、ミドシップの独特の運転感覚は味わえる。重量が900㎏もある軽ワゴン車とは思えないほど、ハンドリングの軽快感がある。これでマニュアルがあれば、とも思いますが、どちらにしても中古の軽自動車でマニュアル車を探すのは至難の業なのでそこは仕方がない。4ATは、D、3、2HOLDという構成になっており、2HOLDを主体に使えばそれなりに自分でコントロールできる部分はある。


 こういった点が自動車評論家に受けが良かったり、昔ハイパワーのスポーツカーに乗っていた人にも好評価されている点なのでしょう。ちなみに、かの徳大寺有恒氏が軽自動車で唯一所有した車だったり、エランやシトロエン、アルファなどを乗り継ぎ、マニアックさを売りにしていた某自動車漫画家の方もi(アイ)に乗っていたという話がある。


 軽のポルシェという評価もあったが、ポルシェは乗ったことないので、そこはどうかわかりません。ちなみに乗り味が軽トラに似ているという評価もあった。ホンダのアクティ/バモスはミドシップだし、スバル製の旧サンバーはRRだった。このあたりも乗ったことないので、比較は出来ない。ただ、運転席の後ろやトランク部分にエンジンを収納するのではなく、床下に搭載するという手法は、これらのワンボックスやキャブオーバーの軽トラック、バンの搭載方法を連想させる部分ではあります。


 ということで、ちょっと広くなったところで折り返し。走って楽しいかどうかは置いておいて、この車はあんまりワインディングには似合わない。未来形スモールというキャッチフレーズで登場し、今では電気自動車になっているし、バック・ツゥ・ザ・フューチャーに出てきそうな車というか、どこか玩具的で浮世離れしたデザインなので。ちなみにこの日は日曜だったこともあり、バイクが数台、RX-7が一台走っていた。途中のコンビニの駐車場では、ケータハムスーパーセブンの集団も。皆さん、飛ばさずに流して走っているようでした。


 この車、ガラスの面積が広く、ドアの開口部も広いため、視覚からの情報として乗っていてあまり剛性が高そうには思えない。内装のプラスチックがペラペラな質感なのがそれに拍車を掛けている。調べてみると、リアミッドシップを実現するため新規に開発されたシャーシーは、ストレートのフレームの上にシートが載っているという構造になっており、剛性的にもかなり高いそう。ゆくゆくはモーターを載せて電気自動車を開発することを視野に入れて作られているため、見えないところに金が掛けられている。車体の下は、プラスチック製のフルフロアアンダーカバーで覆われており、これはリアにエンジンがあるため、フロア下を流れる空気を効率的にエンジンまで送り冷却するためなのだとか。フェラーリかポルシェのような高級車かよ、突っ込みたくなります。


 この車が出た頃は、リコール問題とそれによるダイムラー・クライスラーからの資本提携打ち切りで三菱自動車が大変なときでしたから、下手なものは出せないと気合が入っていたのでしょう。ちなみにi(アイ)は、現時点で4件のリコールが出されています。AT関係が2点、冷却系が1点、助手席側のエアバックが1点です。購入時に中古車屋に頼んで、リコールに該当しているかどうか、リコール修理されているかどうかを調べてもらい、販売前に対応してもらいました。中古で買われる方は、この確認をやっておいた方がよいと思います。今は、日産と提携して売れ線のワゴン車を出すようになりましたから、どちらにしてもこのような見えないところにコストの掛けられた車はもう二度と作られないと思います。


 一世を風靡したランエボも終わっちゃいましたし、90年代にはGTOとかFTO、ミラージュのようなヒット車もあったがなくなった。北米からの乗用車撤退というニュースもあります。いすゞも昔は乗用車を作っていたり、マツダも以前は自社製で軽自動車を作っていたりしましたが、だんだん車業界も縮小していっているようにも感じます。スバルも軽自動車の製造を止めてしまいましたし、三菱がまだ軽作りを続けているのも貴重なことなのかも。


 個人的には、三菱の車を見ると、ジャッキーチェンを連想する。映画キャノンボール2では、ジャッキーの運転(日本人という設定)で三菱スタリオンが登場。コンピュータ制御で水中も走れたり、車内でパックマンも遊べるハイテク車として登場した。この頃は北米でも三菱車は人気があったし、90年代からはパジェロやラリーでの活躍で欧州でも人気があった。映画TAXY2では、忍者の乗ったブラックのランエボが登場。その高性能さを十分に披露していた。三菱車は、今はアジア市場では好調なようですが。


 ということで、今来た道を引き返して戻ります。


 途中眠くてしかたなくなり、やっとのことで自宅に戻ってきました。この車、街中を流して走ったり、四つ角を曲がるだけでも、十分に運転することが楽しい。そもそも対応するパーツ自体が少ないため、金を掛けて弄る気はないけれど、アルミとタワーバーくらいは入れたいかな。


 G、T、LX(NAの高グレード)では、アルミホイルが標準装備されているので、できればそちらを買っておくほうが良い。ヘッドライトもディスチャージライトが付く。この車を買うときには、同価格でこのMグレードとイエローのLXの2台があった。ターボ付きが欲しかったことと、LXの方が売れてしまったということで、結局このMグレードにした。このテッチンホイルについているホイルカバーは、穴の形がi(アイ)を横から見た意匠になっている。ダッシュボードも上から見ると、このうさぎやそら豆のようなi(アイ)の意匠が隠されている。i(アイ)専用のリアのエンブレムもそう。デザイン性の強い車なので、そのようなデザイナーの遊びが入れられているんですね。


 陽光がオレンジがかっていますが、この時点でもまだ9時過ぎ。7時半頃に現場に到着し、1時間ほど流してみた程度なのです。


 金のかかるような弄り方はしないけれど、ぼちぼち内装やアクセサリー類などを買って、少しずつ手を入れていきます。とりあえず考えているのが、シフトノブを皮製のものに交換、ハンドルカバー、シート用の座布団など。後は、ステッカー類やエンブレム、トミカのミニカーなど。


 ということで、三菱i(アイ)のワインディング・プチインプレッションでした。