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三菱i(アイ) プチインプレ・エクステリア

2015-11-02 17:35:14 | 三菱 i(アイ) インプレ

 ということで、三菱i(アイ)のエクステリアのプチインプレをやります。ほぼフルノーマルの2006年製のグレードM型で、走行距離は約61,000kmのもの。i(アイ)の生産・販売は、2006年から2013年にかけて7年行われており、こちらは初期型になります。


 もっとも特徴的なフロント。フロントにエンジンを持たないためデザインの自由度が高くなり、グリルなどを持たない独特のフェイスを持つ。兎やハムスター、蛙とかピカチュウなどに例えられることも。


 四角型のボディが多い軽自動車において、異例とも言える曲線で構成されたボディ。未来の車に例えられることもあるが、クラシカルな雰囲気も醸し出している。2006年度のグッドデザイン大賞を受賞(軽自動車としては初)をしており、カービュー・カー・オブ・ザ・イヤー2006〜2007を国産部門で受賞、2007 日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤーを受賞している。他には、2007年次 RJCカー・オブ・ザ・イヤー受賞、第27回日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞「Most Advanced Technology」受賞、第1回あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー大賞・K4オブ・ザ・イヤー同時受賞など、登場時には話題となった車だった。


 デザインの自由度を増すため、軽自動車としては異例な大きさのフロントガラスが新規に開発されている。原型となった2003年のフランクフルトモーターショーに出展されたコンセプトカーでは全面がガラスだったが、市販車では上端が樹脂製となり、ブラックアウトされて視覚上の効果をもたらしている。これだけの広いガラス面積を持つため、紫外線や太陽光への対策としてUV&ヒートプロテクトガラスを採用している。大型のフロントツインアーム・シングルワイパーも、この広い面積を拭取れるように新規に開発されたi(アイ)専用のもの。


 ウインカーなど一体となったフロントライト。低グレードのモデルでは、ハロゲンヘッドライト(ロービームは光軸調整付きプロジェクタータイプ)、ターボモデルの高グレードG、T、NAの高グレードLXでは、ディスチャージヘッドライトが標準装備となる。


 エンジンを床下に収納するなど、ワンボックスやキャブオーバー型の軽トラやミニバンにも似た構造ですが、ちゃんとボンネットの下にも空間がある。RRのポルシェなどでは、ここはラゲッジスペースとなっており荷物が積める。軽ミッドシップのホンダ・ビートではスペアタイア、S660では外した幌などを収納できるスペースがある。


 i(アイ)の場合だと、ラジエターやウインドウウォッシャー液、バッテリーなどが積まれており、物を入れておくスペースはない。ここは、衝突時にクラッシャブルゾーンとなり衝撃を吸収する。普通の軽と違って狭いと錯覚してしまうが、エンジンがないためクラッシャブルゾーンとなるスペースは広く、JNCAP衝突安全性能総合評価では星五つ★★★★★を獲得している。リアにエンジンがあることで、衝撃を前方に逃がせることから、国内の軽自動車では唯一後面オフセット衝突にも対応していて、後方からの衝突安全性も実は高い。


 伸びやかなワンモーションフォルム。デザインイメージは、繭、ウサギ、そら豆。こんなにも曲線、円を多用した軽自動車は、珍しいと思います。エンジンをリアに持って行き、タイヤをボディの目一杯に四隅まで追いやったことで、ホイールベースは軽自動車最長となる2550mmを得ている。これは、普通車である同社のコルト、同年式のフィット、ヴィッツなどよりも長い。これが、直進安定性やピッチングの少なさなど、この車の独特の乗り味にも貢献している。


 i(アイ)の車体形状は車検証では、ステーションワゴンとなっている。あくまでも使い勝手や実用性を重要視したモデルのため、フロントドアは結構大きく開く。エンジンがないため、フロントタイヤの横まで運転席のスペースが伸びていることがわかる。スペース効率優先の軽ワゴン車では、乗員をアップライトポジションで座らせることによって、車内スペースを稼ぐ方法を採っているが、i(アイ)のドライビングポジションは、ソファにもたれて足を前に投げ出したような姿勢になる。感覚としては、前席の足元が広い。


 リアドアは独特な形状なため、開口部もそれなり。乗り降りのし易さもそれなり。それでも、このようなデザイン優先のドアでウィンドウが一番下まで降りることは立派。


 リアはフロントに比べると、腰高感のある平凡なデザイン。先行していたスバル・R2にもちょっと似ている。三菱のエンブレムと、そら豆のような形をしたi(アイ)専用のエンブレムが付く。リアドアの開口部も、ライバル他社に比べると狭め。


 i(アイ)のために新規開発された、直列3気筒DOHC12バルブの三菱3B2型エンジンを後輪車軸の前に置く。設計が新しいだけあってシリンダーブロックやオイルパン、ヘッドカバーなどはアルミ製で軽量であり、耐久性と静寂性に優れるタイミングチェーンを採用。三菱の可変バルブ機構であるMIVECが採用されている。ラジエターやバッテリーがフロントなど別に積まれているため、エンジンルームを開けなくてもある程度のメンテナンス性は確保されている。冷却に不利なリアに置かれているため、一定温度で作動する冷却ファンが設けられている。後輪車軸の前方に、シリンダーブロックが45度傾斜した状態で置かれるため、ミッドシップ(リア・ミッドシップ)と言われているが、i(アイ)は車体構造的にリアオーバーハングがほとんどないため、エンジンはほぼ車体最後部の位置であり、RR(リアエンジン・リアドライブ)といってもよいように見える。


 エンジンがリアに積まれているため、ちょっとだけデカ尻という雰囲気もある。軽にしてはグラマラスなボディと言えるかも。


 ノーマルでは、三菱エンブレムとi(アイ)専用エンブレムのみで寂しいため、この車では三菱純正のラリーアートのエンブレムと社外品のアルミのMIVECのエンブレムを足してある。


 純正マフラーは、しょぼい感じがするが触媒入りなため、買うと54,000円もする。社外品も数が少ない上に高価なため、排気管の出口にマフラーカッターでも付けるのが現実的でしょうか。エンジンがすぐ側にあるため、排気系の管が伸ばせないため、音色もそれなり。


 ミッドシップと並んでi(アイ)の機構の特徴的なポイントとして、フルアンダーフロアカバーがある。BMWやポルシェ、フェラーリならともかく、軽自動車でフルカバーしてある車種はほとんどないのでは。これは、フロア下の空気の流れを整流して安定性と燃費の向上、風切り音の低減のため、エンジンまで冷気を導くために設けられているらしい。エンジンルームの冷却ファンといい、ほとんどポルシェ並み。ここまでしてミッドシップを採用したかったのか、三菱の技術者の魂を感じる。見えないところにえらくコストがかかっている。


 i(アイ)は、誰にどのような使われ方をするかわからない軽自動車で、ミッドシップ、RRの挙動の不安定さを出さないため、前後のタイヤのサイズが異なっている。フロントは、145/65R15でほとんどスペアタイア並に細いものが付いている。この前後サイズが違うということから、ローテーションができずタイヤサイズも特殊なため高コストになる。またスペアタイアも積まれておらず、パンク修理キットで対応することになる。ほとんどの場合、JAFを呼ぶことになると思うので、それで何とかなると思う。


 リアは、175/55R15と普通車並みの大きなものが付いている。駆動輪がリアのため、こちらが減りやすいかとおもいきや、タイヤサイズが細いフロント側が減る傾向にある。ミッドエンジン、リアエンジンのメリットのひとつにトラクションが掛かりやすいことがあるため、この太いタイヤは視覚的にもそれを表現していて頼もしい感じ。ただ量販店などによく置いてある、4本で9,800円などの軽用の廉価なタイヤは使えない。


 サスペンションは、フロントがマクファーソンストラットの独立式、リアがトレーリングアーム付のド・ディオン式。エンジンがフロントにないメリットのひとつとして、フロントの自由度が増したことで、傾斜角をかなり寝かせてストロークを稼いでいる。ここも、ミッドシップレイアウトの恩恵のひとつであり、i(アイ)の特徴のひとつでもある。


 ホイールは、ターボの高グレードモデルG、T、NAの高グレードLXでは、i(アイ)専用の15インチアルミホイールが付く。それ以外のモデルでは、アルミはメーカーオプションとなり、i(アイ)専用の15インチフルホイールカバーが付く。このホイールカバーには、横から見たi(アイ)の意匠がデザインとして入れられている。


 リアエンジンのため後ろが重そうに見えるが、前45:後55の重量配分を得るため、関連特許を持つホンダからの技術供与により、運転席下に燃料タンクを置くセンタータンクレイアウトを採用している。スポーツカーでない、軽のステーションワゴンだとしたら、ここまでする必要があったのだろうか。シャーシも新規に開発されたi(アイ)専用で、EVを作る前提があったためかボディ剛性も軽自動車とは思えないほど高いそう。もちろん、これらの要素は走りにも良い影響を及ぼしている。


 燃料の給油口の位置に小さなエアインテーク(ファンの吸気口)が設置されている。ミッドシップスポーツのエアインテークは、視覚的にもミッドシップであることを見せるために大きな開口部が設けられていることが多いが、i(アイ)では言われなければ気付かないほど控えめ。i(アイ)がターゲットとした女性や一般の人には、大きなエアインテークは逆効果になっただろうから、デザインの一部として目立たなく溶け込ませているのでしょう。


 リアランプは、凝ったデザインをしているが、今どきのものと比べると地味で控えめ。車体上部に付いているので、視認性は良いと思われる。


 ハイマウントストップランプ付きのルーフスポイラーが、デザインの一部として標準装備されている。メーカー純正の大型ルーフスポイラーが、オプションとして準備されていた。


 i(アイ)は、車体価格が128万円~162万円と高価だったことから、2006年度の発売当初の目標販売台数も、同社の主力であるeKワゴンの半分ほどの月間5000台とされた。最初こそ話題となり販売目標台数の倍以上の受注があったようだが、徐々に伸び悩み梃入れとして同年の10月24日に要望の多かったNAエンジンが追加されている。大きなモデルチェンジ等もなかったことから、2006年が37,330台(月平均3111台)、2007年が18,926台(月平均1577台)、2008年が11,308台(月平均942台)と徐々に下がり続け、最終年度の2013年には1,038台と月販100台以下にまで下がってしまっている。これは、補助金を使用しても200万円ほどかかるi-MiEVよりも少ない。発売当初のデザインの目新しさも薄れ、中古市場ではどちらかというと不人気車の部類に入る。


 軽自動車の開発には、コストを押さえることが強く求められるため、シャーシやエンジンは既存のものを使って、上物だけを変えて車種を増やすという方法が一般的とされていますが、ここまで見てきたようにシャーシやエンジンまで新規開発、専用設計として、新しいものを作り上げようとした開発者の情熱は熱いものを感じます。コストを掛ける場合でも、普通はフロントグリルにメッキを入れたり、内装をゴージャスにしたりという見栄えを良くすることに費やされますが、見えないところにえらくコストを掛けているという、非常に贅沢な作り方をしています。


 何よりも4人乗りの軽のステーションワゴンで4ATなため、車遊びの障害とされるほぼすべての要素を易々とクリアできてしまうことが、素晴らしい。経済的な面でも、家庭的な面でも、仕事に通勤で使っても、冠婚葬祭に使っても、ご近所からの目も何ら問題ない。そのくせ、ここまで見てきたように見えないところにコストを掛けられたインタークーラーターボ付き4輪駆動も選べるミッドシップ車ということで、足としても趣味車としても使えてしまう。ここが、この車の最大のメリットであり、特徴だと思います。車体価格が200万以上というS660が話題となっていますが、あれは余裕のある大人のセカンドカーでなければ、価格も含めてなかなか現実味はありません。中古車も豊富でかなり選びやすいというメリットも含めて、おもちゃ車としてもなかなか良い選択肢のひとつかと思います。


 ということで、三菱i(アイ)のプチインプレ・エクステリア編でした。インテリア編に続きます。

参考:wiki 三菱i(アイ)、三菱・3B2型エンジン、ミッドシップの項、三菱i(アイ) CBA-HA1W/DBA-HA1W型 2008年7月版 カタログ、RX-7とか、プレマシーとか、マツダとか


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (NAカシミヤ)
2015-11-03 09:09:07
お久しぶりです、
i に乗り換えられのですね、私もR2の同じ青のタイプSを2台目に乗り換えています。
黄色も元気です。

iやR2のような軽カーは今後出てくることのない車なので楽しんで乗っていきたいですね。
145-65-15なんてi専用サイズみたいですがR2にも流用できるので先日このサイズのスタッドレス4本買いました。
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お久しぶりです (spo-abarth)
2015-11-03 15:32:06
三菱車は、一番縁が遠い車メーカーだったのですが、初めての三菱車となりました。

R2と比べると、新規開発とはいえ3気筒のエンジンの音や回転の振動、滑らかさは、クローバーエンジンのシルキーさには及びません。

でもミッドシップやRRの操縦感覚が楽しい車で、車好きには一度は試乗してもらいたい車です。
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初めまして (まばたき)
2015-11-15 20:32:25
初めまして。近いうちにiの購入を…と考えていて、いろんなインプレを見ているうちに、こちらにたどり着きました。2015年現在の生のインプレはとても参考になります。なかなか試乗もできないので…。今後もブログを拝見させていただきます。
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初めまして (spo-abarth)
2015-11-15 23:20:23
新車の頃と違って、中古車では試乗は難しいですね。

私が車購入した際には、運転席に座ってエンジンをかけさせてもらいました。足元が広くワゴン車というより、スポーツカーみたいなポジションの車だなと感じ、後ろから聞こえてくるエンジン音に期待が高まりました。

ショップで気に入った個体があれば、ぜひ運転席に座って、エンジンだけでもかけて見られたらよいと思います。それだけで購入の際のモチベーションが高まるよう思います。
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