olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『サイコパス・インサイド』 小さい頃ほど影響は大きい

2018-02-26 | 読書メモ
よく耳にすることなんですが、
子どもの記憶が残らないくらい小さい頃
(0歳~2、3歳くらいかな?)に
子どもにとってショックなことがあった、
きちんと世話をしなかった…等の話が出た時に
「小さいうちで良かったね」
「覚えてないから影響ないよ。大丈夫よ」
と言う人がいます。
大抵は慰めの言葉なので、
それも方便なんだろうと思いながらも
違和感を持ち続けていました。

もっと積極的に
「どうせ忘れるんだから、
この時期に何してあげても無駄」的なことを
言う人も。
「可愛がるのはただの大人の自己満足。
本当は、大人になっても記憶が残る
年長とか小学生からちゃんとしてやれば
それで十分」と。


・・・私はそうは思わないな。
記憶が残らないくらい小さい頃の方が
より大切にしてやらなくちゃいけないのに。

と思いながらも、その理由を
きちんと説明する自信がなくて
口を閉ざしてしまうのでした。

もし相手がシュタイナー教育などを
多少なりともかじっている人なら
何となくでも共感してもらえると思うんだけど
(そういう人はそもそもそんなことは言わないから
説明の必要もないんだけど)、
そうでない人に、どう説明していいのか・・・。

そもそも私が人に説明できるほど
ちゃんと理解していないからいけないんですが。
確信めいたものはあるんだけど、
ただ「私はそう信じてる」だけじゃねぇ。


というモヤモヤを随分以前から
感じていたのですが、
ひょんな本に、それに関する
科学的な理由となり得ることが書いてあったので
記録しておきます。



『サイコパス・インサイド』

環境のストレッサーはエピゲノム
(メチルやアセチルと呼ばれるDNAの紐にしがみついている原子の小さな塊)
を遺伝子に付加あるいは除去することも可能である。
特に人生早期にヒストンと呼ばれるタンパク質のスプールの周りに
DNAの糸を巻く時に生じる。

その変更が遺伝子に読み取られ、
ある機能の能力を停止したり、遅くしたり、早くしたりする。
遺伝子の活動を変化させると、脳回路の神経伝達物質のバランスが変更され、
嗜好や感情、行動の変化を生み出している。
これらの変更は重要で、遺伝子と環境との相互作用の重要な焦点の一つであり、
「氏と育ち」を理解する鍵である。

これらアセチルとメチル基を加える主要な環境刺激の一つがストレスである。

環境刺激には虐待や、妊娠期の妊婦の不安や薬物、一部の食物でさえそうなりうる。
アルコールや違法ドラッグ、精神作動薬を妊婦が服用する場合、
子宮内へのストレス刺激は最大の有害な影響を及ぼしうる

精神的、身体的虐待のようなストレス刺激は、
 受けるのが遅ければ遅いだけ、その影響は小さくなる。
1ないし2歳での精神的、身体的虐待やネグレクトは、
6歳とか10歳とかで受けるよりも、
その子の発達や、十代、成人になってからの行動に対し、はるかに強い害をもたらす

出生後の数ヶ月は「妊娠第Ⅳ三半期」とも呼ばれ、
この時期はヒトの脳の発達において
環境からの衝撃に対して最も脆弱な時期と言われる。
ストレス刺激を避けねばならず、
育児が極めて重大な局面を迎えるのがこの時期である。
出生後間もない時期であればあるほど、
 情愛の重要性がそれだけ増してくる。


脳への障害も、それがいつ起こるかに応じて、
異なった形での精神病理が形成される。

もし2歳の時に、眼窩皮質(がんかひしつ:倫理性や道徳性に関与)に損傷が起こると、
善悪の感覚が発達しないままになる可能性があり、重篤なサイコパスとなりうる。

もしも眼窩皮質の障害が8歳の時に起こると、
脳の他の部位が善悪の理解を手助けすることは可能であるが、
眼窩皮質は抑制にも関与しているので、悪行は続く。

この損傷が十代や成人後に起こると、当人は善悪の識別はするし、
抑制に関与する他の脳領野が十分に発達していて、
眼窩皮質が働かなくとも衝動制御を手助けしてくれる。
しかしストレスが負荷される状況下では、容易に激昂してしまう。





~自分のための用語集~


【非コード遺伝子調整因子によるエピジェネティック(後生的)・マーキング】

非遺伝子構造(非コード遺伝子調整因子)(junk DNA)は
統合失調症やうつ病、嗜癖や癌、免疫疾患の多くの種類を含む障害の一部の根本的原因。


非遺伝子構造
・転移因子(transposable elements):ある種のウィルスなど、ゲノム中、ゲノム間を移動できるDNAの単位
・非コードDNA
・RNAの小片(retorotransposons)

これらはスープの中の米粒のように動き回ることができ、
異なる染色体上にある遠く離れた遺伝子さえも結合させる働きをもち、
細胞の機能を変化させることが出来る。
DNA型が紡ぎ出す文章を再編し、人間の行動を微妙に変化させ、
一卵性双生児の行動の違いのみならず、精神的な病を説明することもできる。

ゲノムとは生まれた時に受け継いだ本であり、
エピゲノムはこの本を読む読み方である。

非コード遺伝子調整因子の存在意義は、
サイコパシーのコード遺伝子の組み合わせが明確になったとしても、
考慮すべき非コード性の中核配列をもった遺伝子の組み合わせが
百万存在しているという点にある。
(つまり、コード遺伝子の存在だけでサイコパシーを決定づけることはできない)


【エピゲノム】
細胞の中にあるゲノムDNAや、DNAが巻き付いているヒストン蛋白質にくっつく
さまざまな化学修飾(メチル化やアセチル化)が、エピゲノムの正体です。
これらの化学修飾は、ゲノム上の遺伝子のはたらきをコントロールします。
エピゲノムは、細胞が分裂しても次の新しい細胞へほぼ正確に受け継がれます。

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