olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『やさしい本泥棒』ユダヤ人の定義に悩む

2018-03-24 | 本とか
図書館でDVDが借りられることに
初めて気付いた息子。
早速借りてきたのがこれでした。


やさしい本泥棒
『やさしい本泥棒』2014.12.17先行レンタル配信/2015.1.7ブルーレイ&DVDリリース


二人でボロボロ泣きながら見ました。
これ、映画館では絶対見られない!
(日本では劇場公開していないらしいけど)


戦争の映画は、つらい。

特に、子どもが死んだり、
つらい思いをするのを見るのは。

でも、とても良い映画でした。


直接的な暴力シーンはごく一部のみです。
ユダヤ人を家から追い出し、
道路で侮辱的に扱うシーンが少しあるくらい。

でも、ちらっとでも見たら忘れられない。
なぜこんなひどい扱いを受けないといけないんだろう。
胸に刺さります。


焚書のシーンもね・・・
直接的な暴力ではないけれど、
焼かれる「非ナチ的な本」がユダヤ人と重なり、
ものすごく暴力的に感じたり。

(実際、文化に対する暴力なんですが)


救いは、「当時のドイツ人=悪」という
短絡的な描き方をしていないこと。

大声で反対を唱えることはできなくても、
良心を失わず、密かに抵抗し、
ユダヤ人の知人をかくまう人もいた。
大変な思いをしながら。




息子は、この映画に登場するあれこれが、
後に、他で知った何かに結びつき、
少し世界が広がったりもしたようです。


例えば、準主人公的存在の、
快活で優しい、魅力的なプラチナブロンドの男の子、ルディが憧れた、
ベルリン・オリンピック、世界最速の黒人選手。
映画ではTV画面でチラッとしか登場しないけれど、
オリンピックの本を借りてきたときに
彼が「ジェシー・オーエンス」だということを知ります。



そして検索し、彼の映画があることも知る。

『栄光のランナー/1936ベルリン』


次はコレを見よう!


そして、「焚書」というキーワードでは、
秦の始皇帝と、アレクサンドリアを征服し、
大図書館を破壊したアラビア人のウマルと結びついたもよう。

「本を焼いて文化を破壊するヤツなんて
 ロクでもない!大っ嫌い!」
と叫んでいました。



新たな疑問もでてきたようです。
たとえば、

「まぜこぜになって生活しているのに、
 どうしてユダヤ人って分かるの?

とか。


実はそれ、私もずっと疑問でした。
なんとなくやり過ごしていたけれど、
実は何も分かっていない。


ユダヤ人は昔から
世界中に散らばっているのだから、
外見的にはかなり違う人たちが多数存在するはず。

だからきっと、ルーツというよりは
ユダヤ人=ユダヤ教信者なんだろうな、
宗教と宗教に関わる習慣の問題なんだろうなー、
くらいに思っていたんですが・・・

外国のドラマや本の中には
「???」なことも多くて。



『sex and the city』ではシャーロットが
ユダヤ人と結婚するためにユダヤ教に改宗していました。
シャーロットはたしか、
イギリス系アメリカ人でキリスト教信者という設定。

・・・改宗したら、彼女はユダヤ人になるの?
それとも、ユダヤ教信者だとしても
ユダヤ人とは見做されないの??

子どもは・・・?

しかも彼女ら夫婦は、不妊のため、
アジア系の子を養子にしていました。
その後、実子も出来るのですが。
この場合、実子はユダヤ人として問題ないとして
(ん?問題あるのかな?)、
見た目からして明らかに人種の違う養子は
どういう扱いになるんだろう?

アジア系でもアフリカ系でも、
ユダヤ教信者でシナゴーグに通っていれば
ユダヤ人になるのかな???


この疑問は今も疑問のままです。



そして、「いのちは贈りもの ホロコーストを生きのびて」という、
強制収容所から生還したフランスのユダヤ人少女の
自伝を読んだら、ますます疑問が深まって。

(この本も、とても良い本です。
 高学年なら、十分一人で読めると思います。
 息子は怖がって読まなかったけど・・・
 いつか読んでほしいな、と思う本。)


彼女の一家はユダヤ人なのだけど、
ユダヤ教は信じていないのです。
キリスト教でもない。無宗教です。
ヘブライ語も話せない。

強制収容所で、オランダあたりから来たユダヤ人に
ユダヤの習慣や言葉を
一から教えてもらっているくらい。

でも、「これは私の宗教じゃない」
「私たちはユダヤ人だけど、何よりまずフランス人
と言っている。

こういうこともあり得るのね。
それでもユダヤ人として連行されるのね。



そういえば、メンデルスゾーンの本には
差別を避けるために親の代から
キリスト教に改宗し、割礼も受けず、
ユダヤ人だと分からない姓(バルトルディ)に変えた
と書いてあった。
(メンデルスゾーンは使いたがらなかったらしいけど)

でも、それは差別を避けるのに
役に立たなかったという。

子どもの頃、
滞在先の道ばたで、地元の子に
ユダヤ人を理由に投石された
というエピソードもある。

なんで分かったんだろ??
見た目?
それとも、噂?

疑問は膨らみます。



そういえば、何かのドラマで
ユダヤ人役をしていた人が、
メンデルスゾーンの肖像画にそっくりで、
ビックリしました。

彼は、「典型的」と見做される顔立ちなのかな・・・???




他の本も読んでみたけど、ユダヤ人のことって、
すごーーーくややこしい。

理解が追いつかない。

そのうち、ぼちぼち・・・かな・・・。

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