「義経」を観ていた。
鞍馬の山中で修行を積んだタッキーは、美輪明宏さまに、その成果を認められる。
去りゆく美輪さまが呟く言葉…
「慚愧懺悔六根罪障…慚愧懺悔六根罪障…」
…以前に知った、お経の文句を思い出した。
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密厳院発露懺悔文(みつごんいんほつろさんげのもん)
我等懺悔す
無始よりこのかた妄想に惑わされて衆罪をつくる。
身口意(しんくい)の業(ごう)つねに顛倒(てんどう)して誤まって無量不善の業を犯す。
珍財を慳悋(けんりん)して施を行ぜず。
心にまかせて放逸にして戒を持せず。
しばしば忿恚(ふんぬ)をおこして忍辱(にんにく)ならず。
多く懈怠を生じて精進ならず。
心意(しんに)散乱して坐禅せず。
実相に違背して慧(え)を修せず。
恒にかくの如くの六度の行を退して還って流転三途の業をつくる。
名を比丘にかって伽藍を汚し。
形を沙門に比して信施を受く。
受くる所の戒品(かいほん)は忘れて持せず。
学すべき律儀(りつぎ)は廃して好むことなし。
諸仏の厭悪(えんの)したまう所を慙(は)じず。
菩薩の苦悩する所を畏れず。
遊戯笑語して徒に年を送り。
諂誑(てんのう、へつらいたぶらかす)詐偽(そぎ)して空しく日を過ぐ。
善友に随わずして痴人に親しみ。
善根を勤めずして悪行を営む。
利養を得んと欲しては自徳を讃じ。
名聞を求めんと欲して他罪を毀(そし)る。
勝徳の者を見ては嫉妬をいだき。
卑賤の人を見ては憍慢(きょうまん、おごりやまんしん)の生ず。
富饒(ふにょう)の所を聞いては希望を起し。
貧乏の類を聞いては常に厭離(おんり)す。
故(ことさら)に殺し誤って殺す有情の命(めい)。
顕(あらわ)に取り密かに取る他人の財。
触れても触れずしても非梵行を犯す。
口四意三互に相続し。
仏を観念する時は攀縁(はんえん)を発(おこ)し。
経を読誦する時は文句を錯(あやま)る。
若し善根を作(な)せば有相に住し。
還って輪廻生死の因と成る。
行住坐臥知ると知らざると犯す所の是の如くの無量の罪。
今三宝に対して皆発露し上(たてまつ)る。
慈悲哀愍(あいみん、かなしみあわれむ)して消除せしめたまい。
乃至法界(ほっかい)の諸々の衆生。
三業所作の是の如くの罪。
我皆相代って尽(ことごと)く懺悔す。
更に亦その報いを受けしめざれ。
南無慚愧懺悔無量所犯罪(なむざんぎざんげむりょうしょぼんざい)
参考記事:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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ひたすらに、自らの罪業をぶちまけ続けるこのお経。
自分で読みながらも、心が痛み、つらくなるよう。
「諂誑(てんのう、へつらいたぶらかす)詐偽(そぎ)して空しく日を過ぐ。」
「故(ことさら)に殺し誤って殺す有情の命(めい)。」
「顕(あらわ)に取り密かに取る他人の財。」
「触れても触れずしても非梵行を犯す。」
だなんて、もう、いたたまれない。
でも。
読み進めるうちに、なんだかキモチよくなってくるのはナゼ?
なんだか、ホカホカしてくるのは、どうしてだろう?
「行住坐臥知ると知らざると犯す所の是の如くの無量の罪。」
「経を読誦する時は文句を錯(あやま)る」
なんてところは、思わず苦笑いだ。
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どうでしょう?
これは、いわば、「カミング・アウト大全」!!!
“偉そうなことばかり言う”ものと思い込んでいた「お経」・「仏典」。
中には、こんなヒューマンな、ユーモラスなのもあるんだ。
BLUESみたい。
イケてない自分 苛立ち 不安
心に秘めた悩み 鬱々としたキモチ
理想と現実のギャップ
…そんなモノ思いを、全部、ブチまけたら?
…イイもワルイも、全てをお日様に晒してみたら?
そしたら、なんだか、ココロもカラダも軽くなるような。
そしたら、軽くなった身に、もう一度、希望を持てるような。
本当の願いが、もう一度、輝くような。
そんな気が、湧いてくるような。
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「寒修行」の季節に、駄文をひとつ、献上。
あ、そうそう。
今日、考えていた部屋の掃除、サボりました。
…慚愧懺悔六根罪障…慚愧懺悔無量所犯罪…
(画像:放行。竜安寺で求めた『雲水日記』より)
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