without a trace

ヤマザキ、フリーターを撃て!

仲間たちが希望をくれた インド・働く子どもたちの組合

2006-05-24 03:47:40 | ドキュメンタリーとかテレビ
 NHK-BSドキュメンタリー「仲間たちが希望をくれた インド・働く子どもたちの組合」を見た。インドのデリーでの働く子どもたちのドキュメンタリー。インドには学校に行けずに働かされる子供が3000万人もいる。番組の子たちは親元を離れて寺院の裏で集って暮らしてるんだ。多くの子が働いてる先で奴隷のように扱われて賃金もピンハネされている。そこで子供たちの組合がみんなで押し寄せて仲介する。

 主人公の子は14歳だけど幼い頃から両親の元を離れて様々な仕事を転々としてきた。今じゃ連絡もつかなくなり家族が元気なのかさえわからない。同じような境遇の子たちとストリートで暮らす。頑張って夜に一人勉強して小学校卒業の資格を取ろうとしてる。彼の夢は高校に行くことだ。雇い主になすがままにされてる子たちは決心して自分たちで店を開こうとするんだ。

 みんなで1万ルピー(二万五千円)貯めてチャイ(インドのお茶)の店を開こうとマーケットの地主に相談に行く。しかし保証のない彼らの足元を見る地主は5万ルピー持ってこいと冷酷に言い放つ。彼らの面倒を見てるNGOがいて1万五千ルピーを貸すんだ。それじゃマーケットでは商売できないけど寺院の裏で店を持つ。子供たちが作るチャイ屋だ。

 その大事な時に主人公の男の子は逃げ出してしまう。彼は戻ってくるも行方もわからない家族に会いたくて泣いてるんだ。ここには似たような境遇の子たちしかいない。生きていくために店を開いて現実と戦う。寺院の裏じゃ売れないのでマーケットに売りに行くんだ。大声で売るなんて恥かしいって言ってるネパール人の子もいる。しかし生きていくってのには仕方のないこと。

 そこにNGOの人が親類の世話になってた主人公の両親を見つけ出す。両親がデリーに会いに来るんだ。混雑したニューデリー駅を走りぬけていく両親と抱き合う男の子。母親は一緒に帰ろうと言うも子供が多くて楽な暮らしじゃない。帰りたくて仕方のない男の子。ここで他の仲間たちは嬉しいと同時に複雑な顔をしてる。彼らに家族は他にいないのだから。

 主人公の子は決心をする。両親を駅で送ってから店に帰るのだ。路上で暮らす仲間たちの元に帰るんだ。ニューデリー駅の希望の階段を走って上がっていく。

 以前にもやってたけど子供たちによっては逃げないように手足さえ切られてしまう。番組でもナイフで切られた痛々しい傷を見せる子もいる。そういった境遇を助けるためにも組合というのは機能してるんじゃないか。番組では雇用主は明らかにカメラを気にしていた。他者の視点こそが必要なんだ。

 以前放送していた「アジアに生きる子どもたち」シリーズのようだった。犯罪でも起こさない限り決して世の中から注目される事もない子供たち。これぞまさにドキュメンタリー。インドに行った時にも心に残ったのは子供だった。なつっこい笑顔が忘れられない。そして一方でもっと忘れられないのは笑えなくなった子供たちだ。信号で止まる車にマネーマネー言ってる4才くらいの乞食の女の子、顔の溶けてる乞食の子、もはや息もしてない子と様々だった。生まれながらにして可能性が開けてる子に開けてない子。後者は他者の視点であるドキュメンタリーでないとメディアでは見ることはできない。ドキュメンタリーって社会に対して何かを感じる良い機会だと思う。

コメントを投稿