10 外国語をカタカナで用いた日本語の慣用句やことわざ
英語その他の外国語をカタカナで用いた日本語の慣用句やことわざが散見される。カタカナはほとんどの場合名詞形で使われている。
(1) アキレス腱
「アキレス腱」は「致命的な欠陥」の意で、「アキレス(Achilles)がかかとを射られて死んだという神話」に基づく。すなわち、英語の「Achilles’ heel」に相当する。なお、単に身体の部位としての「アキレス腱」は英語で「Achilles’ tendon」という。
(2) アクセントを置く
英語の「accent」から。「全体の中で、特にその部分に重点をおく」の意。
(3) アドバルーンを揚げる
英語の「advertizing balloon」から。「ad-balloon」は和製英語と言われている。「世間の反響や相手の出方をうかがうために、一つの行動を起こしてみる」の意。
(4) イニシアチブを取る
「take the initiative」の和訳。「主導権を握る」の意。
(5) エンジンが掛かる[エンジンを掛ける]
英語の「engine」から。「物事が順調にいくようになる[する]」の意。
(6) オブラートに包む
ドイツ語の「oblate」から。「相手が気を悪くしたりしないように遠まわしにものを言う」の意。
(7) ガッツがある
英語の「guts」から。「根性がある」の意。
(8) キャスチングボートを握る
英語の「casting vote」から。「二つの勢力がほぼ均衡しているとき、少数派が大勢を左右する決定権を持つ」の意。
(9) コロンブスの卵
「コロンブス」は米大陸を発見したイタリアの航海者「Christopher Columbus」のことである。「何でもないことでも、最初に行ったり考えついたりするのは困難である」の意。アメリカ大陸の発見はだれにでもできるという批判に、コロンブスがテーブルの上でゆで卵を立ててみるように言い、誰もできないのを見て、卵の尻をつぶして立ててみせたという話から。
(10) コンマ以下
英語の「comma」から。「標準に達していないこと」の意。
(11) シャッポを脱ぐ
フランス語の「chapeau」から。「降参すること」の意。明治時代に「兜を脱ぐ」を言い換えたものである。
(12) すべての道はローマに通ず
「All roads lead to Rome.」の和訳。
(13) スポットライトを浴びる
英語の「spotlight」から。「世間から注目を受ける」の意。
(14) スポットを当てる
英語の「spot」から。「一つのことに注目が集まるようにする」の意。
(15) テープを切る
英語の「tape」から。「競争で、一着でゴールインする」の意。
(16) トップを切る
英語の「top」から。「先に立って物事を始める」の意。
(17) バトンを渡す
英語の「baton」から。「次の者に引き継ぐ」の意。
(18) バスに乗り遅れる
英語の「bus」から。「世の中の動きから取り残される」の意。一般の和英辞書には「miss the bus」、「miss the boat」いずれも載っており、じっさいに「バスに乗り遅れる」ならもちろん前者であるが、ふつう、会話で比喩的な意味で使われるのは、もっぱら「miss the boat」である。
(19) ヒスを起こす
「ヒス」は「ヒステリー」の略で、英語は「hysterics」。「抑えがきかず、泣いたり怒ったりする」の意。
(20) ピッチが上がる[を上げる]
英語の「pitch」から。「ピッチ」は、ボートのオールをこぐ一分間の回数。「作業のすすみ具合がはやくなる[を速くする]」の意。
(21) ピリオドを打つ
英語の「period」から。「物事に決着をつけて終わりにする」の意。
(22) ピンからキリまで
「ピン」はポルトガル語のpinta(点)で、カルタ・さいころの1の数。「最上のものから最下等のものまで、始めから終りまで」の意。
(23) ピンク映画
英語の「pink」から。「ポルノ」の意。
(24) ピントが外れる
オランダ語の「brandpunt」の略がなまったもの。「物事のとらえ方が対象から外れている」の意。
(25) プラスアルファー
「+α」のことで、和製英語。「基本となるものに少し加えること」の意。
(26) フル回転する
「フル」は英語の「full」から。「盛んに活動する、全力を出す」の意。
(27) ブレーキをかける[がかかる]
英語の「brake」から。「進行を抑える[が抑えられる]」の意。
(28) ベストを尽くす
英語の「best」から。「目標に向かって、最善、最大の努力をする」の意。
(29) ペンを折る
英語の「pen」から。「書き続けることをやめる」の意。「筆を折る」ともいう。
(30) ポイントを稼ぐ
英語の「point」から。「ほかから評価されたりして、有利な立場を得る」の意。
(31) メートルを上げる
英語の「meter」から。「酒に酔って、機嫌や威勢がよくなる」の意。
(32) メスを入れる
オランダ語の「mes」から。「禍根を断つために非常手段をとる」の意。
(33) モーションをかける
英語の「motion」から。元来「モーション」は英語で野球のモ-ションをさしていた。転じて「異性の気を引くように働きかける」の意。
(34) ラストスパートを掛ける
英語の「last spurt」から。「物ごとの最終間際に、全力を尽くしてことに当たる」の意。
(35) レールを敷く
英語の「rail」から。「物ごとが進む路線をあらかじめ準備する」の意。
(36) レッテルを貼る
オランダ語の「letter」から。「人や物事の値打ちをきめつける」の意。
(37) ロマンスグレイ
英語の「romance」と「gray」から。「romance gray」は和製英語である。「初老の男子の、しらがまじりの頭髪、またその魅力のあること」の意。
(38) ローマは一日にして成らず
「Rome was not built in a day.」の和訳。
(39) ワンクッション置く
英語の「one」と「cushion」から。「物事がうまく運ぶように、間に一段階おく」の意。
今後も2回/月のペースで続けて投稿する予定です。
英語その他の外国語をカタカナで用いた日本語の慣用句やことわざが散見される。カタカナはほとんどの場合名詞形で使われている。
(1) アキレス腱
「アキレス腱」は「致命的な欠陥」の意で、「アキレス(Achilles)がかかとを射られて死んだという神話」に基づく。すなわち、英語の「Achilles’ heel」に相当する。なお、単に身体の部位としての「アキレス腱」は英語で「Achilles’ tendon」という。
(2) アクセントを置く
英語の「accent」から。「全体の中で、特にその部分に重点をおく」の意。
(3) アドバルーンを揚げる
英語の「advertizing balloon」から。「ad-balloon」は和製英語と言われている。「世間の反響や相手の出方をうかがうために、一つの行動を起こしてみる」の意。
(4) イニシアチブを取る
「take the initiative」の和訳。「主導権を握る」の意。
(5) エンジンが掛かる[エンジンを掛ける]
英語の「engine」から。「物事が順調にいくようになる[する]」の意。
(6) オブラートに包む
ドイツ語の「oblate」から。「相手が気を悪くしたりしないように遠まわしにものを言う」の意。
(7) ガッツがある
英語の「guts」から。「根性がある」の意。
(8) キャスチングボートを握る
英語の「casting vote」から。「二つの勢力がほぼ均衡しているとき、少数派が大勢を左右する決定権を持つ」の意。
(9) コロンブスの卵
「コロンブス」は米大陸を発見したイタリアの航海者「Christopher Columbus」のことである。「何でもないことでも、最初に行ったり考えついたりするのは困難である」の意。アメリカ大陸の発見はだれにでもできるという批判に、コロンブスがテーブルの上でゆで卵を立ててみるように言い、誰もできないのを見て、卵の尻をつぶして立ててみせたという話から。
(10) コンマ以下
英語の「comma」から。「標準に達していないこと」の意。
(11) シャッポを脱ぐ
フランス語の「chapeau」から。「降参すること」の意。明治時代に「兜を脱ぐ」を言い換えたものである。
(12) すべての道はローマに通ず
「All roads lead to Rome.」の和訳。
(13) スポットライトを浴びる
英語の「spotlight」から。「世間から注目を受ける」の意。
(14) スポットを当てる
英語の「spot」から。「一つのことに注目が集まるようにする」の意。
(15) テープを切る
英語の「tape」から。「競争で、一着でゴールインする」の意。
(16) トップを切る
英語の「top」から。「先に立って物事を始める」の意。
(17) バトンを渡す
英語の「baton」から。「次の者に引き継ぐ」の意。
(18) バスに乗り遅れる
英語の「bus」から。「世の中の動きから取り残される」の意。一般の和英辞書には「miss the bus」、「miss the boat」いずれも載っており、じっさいに「バスに乗り遅れる」ならもちろん前者であるが、ふつう、会話で比喩的な意味で使われるのは、もっぱら「miss the boat」である。
(19) ヒスを起こす
「ヒス」は「ヒステリー」の略で、英語は「hysterics」。「抑えがきかず、泣いたり怒ったりする」の意。
(20) ピッチが上がる[を上げる]
英語の「pitch」から。「ピッチ」は、ボートのオールをこぐ一分間の回数。「作業のすすみ具合がはやくなる[を速くする]」の意。
(21) ピリオドを打つ
英語の「period」から。「物事に決着をつけて終わりにする」の意。
(22) ピンからキリまで
「ピン」はポルトガル語のpinta(点)で、カルタ・さいころの1の数。「最上のものから最下等のものまで、始めから終りまで」の意。
(23) ピンク映画
英語の「pink」から。「ポルノ」の意。
(24) ピントが外れる
オランダ語の「brandpunt」の略がなまったもの。「物事のとらえ方が対象から外れている」の意。
(25) プラスアルファー
「+α」のことで、和製英語。「基本となるものに少し加えること」の意。
(26) フル回転する
「フル」は英語の「full」から。「盛んに活動する、全力を出す」の意。
(27) ブレーキをかける[がかかる]
英語の「brake」から。「進行を抑える[が抑えられる]」の意。
(28) ベストを尽くす
英語の「best」から。「目標に向かって、最善、最大の努力をする」の意。
(29) ペンを折る
英語の「pen」から。「書き続けることをやめる」の意。「筆を折る」ともいう。
(30) ポイントを稼ぐ
英語の「point」から。「ほかから評価されたりして、有利な立場を得る」の意。
(31) メートルを上げる
英語の「meter」から。「酒に酔って、機嫌や威勢がよくなる」の意。
(32) メスを入れる
オランダ語の「mes」から。「禍根を断つために非常手段をとる」の意。
(33) モーションをかける
英語の「motion」から。元来「モーション」は英語で野球のモ-ションをさしていた。転じて「異性の気を引くように働きかける」の意。
(34) ラストスパートを掛ける
英語の「last spurt」から。「物ごとの最終間際に、全力を尽くしてことに当たる」の意。
(35) レールを敷く
英語の「rail」から。「物ごとが進む路線をあらかじめ準備する」の意。
(36) レッテルを貼る
オランダ語の「letter」から。「人や物事の値打ちをきめつける」の意。
(37) ロマンスグレイ
英語の「romance」と「gray」から。「romance gray」は和製英語である。「初老の男子の、しらがまじりの頭髪、またその魅力のあること」の意。
(38) ローマは一日にして成らず
「Rome was not built in a day.」の和訳。
(39) ワンクッション置く
英語の「one」と「cushion」から。「物事がうまく運ぶように、間に一段階おく」の意。
今後も2回/月のペースで続けて投稿する予定です。
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