面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ

日本語と英語の慣用句やことわざには、表現や発想がよく似たものがある。
たとえの面白さをいろいろな角度からながめる。

面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ(73)

2009年10月23日 | 日本語のことわざ、英語のことわざ
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24.2 互いに逆の意味・発想をもつ英語の例

 互いに逆の意味や発想をもつ英語の慣用句やことわざを集めてみた。

24.2.1 肯定形と否定形を使った例

 (1) 「hold one's head up」(堂々としている) ⇔ 「can't hold one's head up」(堂々と人に接することができない)

 (2) 「enter someone's head 」((考え・望み・計画などが)人の頭に浮かぶ) ⇔ 「never enter someone's head」((考え・計画・方法などが)人の頭に浮かびもしない)

 (3) 「with strings (attached)」(ひも付きである) ⇔ 「with no strings (attached)」(ひも付きでない)

24.2.2 逆の意味をもつ動詞、形容詞、副詞を使った例

 (1) 「broad-minded」(心の広い) ⇔ 「narrow-minded」(心の狭い)

 (2) 「cold-hearted」(冷淡な) ⇔ 「warm-hearted」(思いやりのある)

 (3) 「come away empty-handed」(何も持たずに戻る) ⇔ 「go away empty-handed」 (何も持たずに去る)

 (4) 「come down in the world」(落ちぶれる) ⇔ 「come up in the world」(出世する)

 (5) get time to catch one's breath(一息つく) ⇔ hardly have time to breathe(息つくひまもない)

 (6) 「give someone the green light」(許可を与える) ⇔ 「get the green light」(許可を得る)

 (7) 「hold one's head high」(胸を張る) ⇔ 「hang one's head」(恥ずかしさに顔を伏せる)

 (8) 「in the black」(黒字で) ⇔ 「in the red」(赤字で)

 (9) 「keep one's temper」(怒り・感情を抑える) ⇔ 「lose one's temper」(怒りを爆発させる)

(10) 「light-footed」(敏速な) ⇔ 「heavy-footed」(のろのろした)

(11) 「like a fish out of water」(場違いに感じる、居心地が悪い) ⇔ 「like a fish back in [getting] water」(水を得た魚のよう)

(12) 「loosen the purse strings」(支出の管理をゆるくする) ⇔ 「tighten the purse strings」(支出を厳しく管理する)

(13) 「lose face」(面目を失う) ⇔ 「save face」(面目を保つ)

(14) 「on the hook」(困難に巻き込まれて、厄介なことになって) ⇔ 「off the hook」(面倒・困難から抜け出して)

(15) 「on the right track」(答え・やり方などが正しい方向にあって) ⇔ 「on the wrong track」(答え・やり方などが間違った方向にあって)

(16) 「over the long haul」(長期的には) ⇔ 「over the short haul」(短期的には)

(17) 「quick on the uptake」(理解するのが早い) ⇔ 「slow on the uptake」(理解するのが遅い」

(18) 「someone's stock goes up」(~の評価が上がる) ⇔ 「someone's stock goes down」(~の評価が下がる)

(19) 「thick-skinned」(容易に動じない、攻撃に対して鈍感な) ⇔ 「thin-skinned」(うろたえやすく傷つき安い、敏感な)

(20) 「be wet behind the ears」(未熟な) ⇔ 「be dry behind the ears」(一人前で)

面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ(72)

2009年10月13日 | 日本語の慣用句、英語の慣用句
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 このブログの投稿を初めて2年が経過しました。ご愛読ありがとうございます。できるだけ長く続けたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

24.1.3 異なった表現を使った例(逆の意を持つ言葉を使った例を除く)

 (1) 「足を洗う」 ⇔ 「手を汚す」
 (2) 「値千金」 ⇔ 「三文の値打もない」
 (3) 「後の後悔先に立たず」 ⇔ 「備えあれば憂いなし」
 (4) 「あばたもえくぼ」 ⇔ 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」
 (5) 「アブハチ取らず」 ⇔ 「一石二鳥」
 (6) 「油を絞る」 ⇔ 「大目玉を食う」
 (7) 「牛の歩み」 ⇔ 「脱兎のごとく」
 (8) 「ウリのつるにナスビはならぬ」 ⇔ 「鳶が鷹を生む」
 (9) 「瓜二つ」 ⇔ 「月とスッポン」
(10) 「大男総身に知恵が回りかね」 ⇔ 「山椒は小粒でもピリリと辛い」
(11) 「陸に上がったカッパ」 ⇔ 「水を得た魚」
(12) 「親が親なら子も子」 ⇔ 「この父あってここにこの子あり」
(13) 「恩をあだで返す」 ⇔ 「飼い犬に手をかまれる」
(14) 「かかあ天下」 ⇔ 「亭主関白」
(15) 「顔が立つ」 ⇔ 「顔がつぶれる」
(16) 「額面どおりに受けとる」 ⇔ 「割引いて聞く」
(17) 「合点がいく」 ≒ 「腑に落ちない」
(18) 「堪忍袋の緒が切れる」 ⇔ 「ならぬ堪忍するが堪忍」
(19) 「気に入る」 ≒ 「気に食わない」
(20) 「肝が小さい」 ⇔ 「肝が太い」
(21) 「口が堅い」⇔ 「口が軽い」(「口が重い」は別の意をもつ)
(22) 「首を突っ込む」 ⇔ 「手を引く」
(23) 「君子危うきに近寄らず」 ⇔ 「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
(24) 「弘法筆を択ばず」 ⇔ 「下手の道具調べ」
(25) 「転ばぬ先の杖」 ⇔ 「泥棒を捕らえて縄をなう」
(26) 「衣ばかりで和尚はできぬ」 ⇔ 「馬子にも衣装」
(27) 「触らぬ神にたたりなし」 ⇔ 「寝た子を起こす」
(28) 「三人寄れば文殊の知恵」 ⇔ 「船頭多くして船山に上る」
(29) 「自画自賛」 ⇔ 「能ある鷹は爪を隠す」
(30) 「時間を稼ぐ」 ⇔ 「ひまを潰す」
(31) 「図星をさす」 ⇔ 「的をはずす」
(32) 「背を向ける」 ⇔ 「面と向かう」
(33) 「善は急げ」 ⇔ 「急いては事を仕損じる」
(34) 「単刀直入」 ⇔ 「持って回る」
(35) 「手を組む」 ⇔ 「たもとを分かつ」
(36) 「トラの威を借る狐」 ⇔ 「猫をかぶる」
(37) 「猫に小判」 ⇔ 「猫にまたたび」
(38) 「熱が冷める」 ⇔ 「熱が入る」
(39) 「薄氷を踏む」 ⇔ 「大船に乗ったよう」
(40) 「金がうなるほどある」 ⇔ 「文なし」
(41) 「人を見たら泥棒と思え」 ⇔ 「渡る世間に鬼はない」


面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ(71)

2009年10月03日 | 日本語のことわざ、英語のことわざ
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24 互いに逆の意味・発想をもつ慣用句やことわざ

 拙著「よく似た英語と日本語の慣用句集」(文芸館)には、近い意味を持ち、かつ表現や発想が類似した英語と日本語の慣用句やことわざ335組を収録した。これに対し、23章では、視点を少し変え、日本語同士あるは英語同士で近い意味・発想を持つ慣用句やことわざを示した。
 ここでは日本語同士あるは英語同士で互いに逆の意味・発想をもつ慣用句やことわざを集めてみた。互いに逆の意味・発想をもつ日本語と英語の慣用句やことわざは互いに近い意味や発想をもつものに比べるとそれほど多くない。多少意味にずれのあるものも含まれる。

24.1 互いに逆の意味・発想をもつ日本語の例

24.1.1 肯定形と否定形を使った例

 互いに逆の意味・発想をもつ日本語の慣用句として、肯定形と否定形で表現した例がある。肯定系の慣用句が主であるが、否定形で使われる例が多いものも含めた。

 (1) 「足が地に着く」 ⇔ 「足が地に着かない」
 (2) 「ウマが合う」 ⇔ 「ウマが合わない」
 (3) 「息が合う」 ⇔ 「息が合わない」
 (4) 「肩身が広い」 ⇔ 「肩身が狭い」
 (5) 「看板に偽りあり」 ⇔ 「看板に偽りなし」
 (6) 「口に合う」 ⇔ 「口に合わない」
 (7) 「舌が回る」 ⇔ 「舌が回らない」
 (8) 「世間に顔向けができる」 ⇔ 「世間に顔向けができない
 (9) 「手が届く」 ⇔ 「手が届かない」
(10) 「身に覚えがある」 ⇔ 「身に覚えがない」
(11) 「耳を貸す」 ⇔ 「耳を貸さない」
(12) 「脈がある」  ⇔ 「脈がない」
(13) 「割に合う」 ⇔ 「割に合わない」

24.1.2 逆の意味をもつ動詞、形容詞、副詞などを使った例

 (1) 「頭が固い」 ⇔ 「頭が柔らかい」
 (2) 「意志が強い」 ⇔ 「意志が弱い」
 (3) 「株が上がる」 ⇔ 「株が下がる」
 (4) 「肩身が狭い」 ⇔ 「肩身が広い」
 (5) 「気が長い」 ⇔ 「気が短い」
 (6) 「口数が多い」 ⇔ 「口数が少ない」
 (7) 「口を開く」 ⇔ 「口を閉ざす」
 (8) 「首を横に振る」 ⇔ 「首を縦に振る」
 (9) 「喧嘩を売る」 ⇔ 「喧嘩を買う」
(10) 「心が[の]広い」 ⇔ 「心が[の]狭い」
(11) 「腰が強い」 ⇔ 「腰が弱い」
(12) 「腰が低い」 ⇔ 「腰が高い」
(13) 「財布のひもを締める」 ⇔ 「財布のひもを緩める」
(14) 「世間が広い」 ⇔ 「世間が狭い」
(15) 「線が細い」 ⇔ 「線が太い」
(16) 「手綱を締める」 ⇔ 「手綱を緩める」
(17) 「手を貸す」 ⇔ 「手を借りる」
(18) 「手を切る」 ⇔ 「手をつなぐ」
(19) 「荷が重い」 ⇔ 「荷が軽い」
(20) 「暇を出す」 ⇔ 「暇を取る」
(21) 「太く短く」 ⇔ 「細く長く」
(22) 「懐が暖かい」 ⇔ 「懐が寒い」
(23) 「山が当たる」 ⇔ 「山が外れる」
(24) 「草鞋を履く」 ⇔ 「草鞋を脱ぐ」