面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ

日本語と英語の慣用句やことわざには、表現や発想がよく似たものがある。
たとえの面白さをいろいろな角度からながめる。

面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ(18)

2008年04月20日 | 日本語の慣用句、英語の慣用句
21.4 日本語と英語で、使われている数が同じである例

ほぼ同じ意をもつ日本語と英語の慣用句であって、両者で使われている数が同じである例を示す。

 (1) ウリ二つ  (as) like as two peas in a pod

 よく似たもののたとえとして、日本語は「二つに割ったウリ」を、英語は「さやの中の二つの豆」を使っている。当然のことであるが、どちらも「二」を選んでいる。

 (2) 女三人寄れば姦しい  Three women (and a goose) make a market.

 「女性が集まるとうるさいこと」を描写するのに、両者とも女性を「三人」とした点が一致していて興味深い。

 (3) 三角関係  a love triangle

 「三角関係」は、男一人と女二人または男二人と女一人のもつれた恋愛関係を示す。三人が関係する状態であるので、どちらも「三」を使ったのは当然である。

 (4) 三度目の正直  third time lucky

 「2度失敗したら3度言目は成功する確率が高いこと」を意味する。ほとんどおなじ表現である。日本のことわざ「三度目の正直」は和訳であるという説もある。

 (5) 大海の一滴  a drop in the ocean

 少ないことを表すのにいずれも「一」を使っており、表現もまったく一致している。

 (6) 第六感  a sixth sense

 肉体的な5つの感覚(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)以外でものを感じる能力を「第六感」という。同じ表現が創出されても不思議ではないと思われる。

 (7) 二足のわらじをはく  wear two hats

 「わらじ」と「帽子」の違いはあるが、表現も意味(二つの役職を兼務する、一人二役を演じる)もよく似ている。ただし、由来は異なる。前者は、昔ばくち打ちが十手を預かって捕吏を兼ねることを言ったことから。後者は、警官・軍人などのように帽子は職業を示すことから。どちらも「二」を使っている。
 
 (8) 一言多い  say one word too many

 両者とも「一言」と少しだけ余分だったことを「一」を使って表現している。

 (9) 一言でいえば  in a word

 少ないことを強調するのに「一言」とどちらも「一」を使っている。

(10) 無一文  not have a penny to one's name

 貨幣単位こそ日本語が「文」、英語が「penny」と異なるが、所持金の少ないことを表すのにいずれも「一」を使っている。

(11) 諸刃の剣  two-edged sword

 両者とも「利点と同時に欠点もあること」を意味する。「諸刃」は刀剣などの両方のふちに刃がついているもののことで、「諸」はとりもなおさず「二」を示す。

(12) 四つんばい  on all four

 体を二つの手と二つの足で支えている姿である。手足を合わせると「四」になる。日本語も英語も「四」としているが、両者が一致して「手」も「足」も使わない表現にしている点が面白い。


 

面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ(17)

2008年04月11日 | 日本語の慣用句、英語の慣用句
21.3 日本語と英語で、使われている言葉の順序が逆になっている例

 ほぼ同じ意をもつ日本語と英語の慣用句であって、両者で使われている言葉の順序が逆になっている例を示す。

 (1) 金のなる木はない  Money doesn't grow on trees.

 「日本語は「金のなる木はない」、英語は「金は木にならない」となっており、語順が異なる。

 (2) 白黒  black and white

 日本語では「白黒をつける」、「白黒映画」のように「白黒」というが、英語では「黒白」と逆になっている。

 (3) 腹を抱えて笑う  hold one's sides with laughter

 日本語は「腹を抱えて笑う」、英語は「笑いながら両方の脇腹を抱える」となっており、日本語と英語で「腹を抱える」と「笑う」の位置が逆転している。

 (4) 昼も夜も  night and day
    
 「昼」と「夜」の位置が日本語と英語で逆転している。21.2-(4) では「day and night」を示し、順が一致しているとした。実は英語では「night and day」と「day and night」のどちらも使うのである。日本語では「昼も夜も」といい、通常「夜も昼も」とはいわない。

 (5) 古きよき時代  the good old days

 日本語が「古きよき時代」となっているのに対し、英語は「よき古き時代」と「古き」と「良き」の位置が逆になっている。

 (6) 骨と皮  skin and born

 どちらも「がりがりに瘠せているさま」をたとえたもの。日本語と英語で「骨」と「皮」の位置が逆転している。

 (7) 真っ赤になって怒る  red with anger

 日本語は「真っ赤になって怒る」、英語は「怒りで赤くなる」と「怒る」と「赤くなる」の位置が逆転している。

 (8) 水と油  like oil and water (doesn't mix)

 両者とも「互いに性質が合わず、調和しないこと」意味する。日本語と英語で「水」と「油」の位置が逆転している。

 (9) 読み、書き、算盤  three Rs [R’s]

 「three Rs [R’s]」(三つのR)とは、 reading、(w)riting、rithmetic (arithmetic) のことである。無学だったロンドン市長が宴席で乾杯の際、“I will give you the three R’s-riting, reading, and rithmetic.”と言ったことから。日本語が「読み書きそろばん」に対し英語は「riting, reading, and rithmetic」となっており、「読む」と「書く」の位置が逆になっている。


面白い日本語と英語の慣用句(イディオム)とことわざ(16)

2008年04月01日 | 日本語の慣用句、英語の慣用句
21.2 日本語と英語で、使われている言葉の順序が同じである例

 ほぼ同じ意をもつ日本語と英語の慣用句であって、両者で使われている言葉の順序が同じである例を示す。

 (1) 頭のてっぺんからつま先まで  from head to toe

 「頭」と「つま先」の順序が一致している。

 (2) たとえ火の中水の中  go through fire and water

 ほとんど同じ表現である。「火」と「水」の順序が一致している。

 (3) ニワトリが先か、卵が先か  Which comes first, the chicken or the egg?

 「ニワトリ」と「卵」の順序が一致している。

 (4) 昼も夜も  day and night

 「昼」と「夜」の順序が一致している。

 (5) 見ざる聞かざる言わざる  See no evil, hear no evil, speak no evil.

 「見る」、「聞く」および「言う」の順序が一致している。

 (6) 昔は昔、今は今  That was then, this is now.

 「昔」と「今」の順序が一致している。