26.1.2 同じことばを連続しないで使った例
(1) 青は藍より出でて藍より青し
「青」および「藍」の繰り返し。「弟子が師よりもぬきんでたり、教えた人より教えられた人のほうがまさってしまうこと」のたとえ。
(2) 上げ膳据え膳
「膳」の繰り返し。
(3) 明日は明日の風が吹く
「明日」の繰り返し。
(4) あとは野となれ山となれ
「なれ」の繰り返し。
(5) あの手この手
「手」の繰り返し。
(6) 雨が降ろうが槍が降ろうが
「降ろうが」の繰り返し。
(7) ある事ない事
「事」の繰り返し。
(8) 今の今まで
「今」の繰り返し。
(9) いやでも応でも
「でも」の繰り返し。
(10) 入れ替わり立ち替わり
「替わり」の繰り返し。
(11) 色気よりも食い気
「気」の繰り返し。
(12) 上には上がある
「上」の繰り返し。
(13) 魚心あれば水心
「心」の繰り返し。
(14) 牛は牛連れ、馬は馬連れ
「牛」、「馬」および「連れ」の繰り返し。「人はそれぞれ、自分に適した似合いの相手と事をするほうが、釣り合いが取れてよい」という意のことわざ。
(15) 鵜の目鷹の目
「目」の繰り返し。「鵜や鷹が獲物を鋭い目つきでねらうように、人が一生懸命に何かを探し見つけようとする目つきや態度」のたとえ。
(16) 生みの親より育ての親
「親」の繰り返し。
(17) 海のものとも山のものとも
「ものとも」の繰り返し。「どうなるか見当がつかない」の意。
(18) 裏には裏がある
「裏」の繰り返し。
(19) 裏の裏を行く
「裏」の繰り返し。
(20) 売り言葉に買い言葉
「言葉」の繰り返し。「相手の暴言に対して、暴言で言いかえすこと」をいう。
(21) 縁は異なもの味なもの
「もの」の繰り返し。「人と人との縁、特に夫婦の縁は不思議な、面白いものだ」の意。
(22) 屋上屋を架す
「屋」の繰り返し。「必要のないことをかさねてすること」のたとえ。
(23) 押し合いへし合い
「合い」の繰り返し。
(24) おどろ木桃の木山椒の木
「木」の繰り返し。
(25) 鬼が出るか蛇が出るか
「出るか」の繰り返し。「どうなるか予想がつかないこと」をいう。
(26) 親が親なら子も子
「親」および「子」の繰り返し。
(27) 親の光は七光
「光」の繰り返し。「親の七光」ともいう。
(28) 折も折
「折」の繰り返し。
(29) 蛙の子は蛙
「蛙」の繰り返し。
(30) かごに乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人
「人」の繰り返し。「境遇によって人の生き方はさまざまである。また、さまざまな境遇の人々の、いろいろなつながりによって、世の中は成り立っている」の意。
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