26.2.2 同じことばを連続しないで使った例(続き-2)
(26) if (the) worst comes to (the) worst
「worst」の繰り返し。「最悪の場合に」の意。
(例文) “It’s a bad storm. What if the airport shuts down?” “If worst comes to worst I’ll take a train.”(「すごい嵐だな。空港が閉鎖したらどうする?」「いざとなれば電車で行くよ」)
(27) it takes one to know one
「one」の繰り返し。「他人の性格の特徴を知るのは、その人と同じ性格をもった人にのみ可能だ」の意。他人から非難を受けた場合、「それはあなたにも当てはまることだから、私に対してそういうことが言えるのでしょう」と、相手の矛先をかわす時などによく使われる。
(例文) Mary’s husband says that Jim is being unfaithful to his wife. Well, you knows what they say. It takes one to know one.(ジムが浮気しているってメアリーの亭主は言っていたけど、ほら、よく言うじゃないか。二人とも同じ穴のムジナだよ)
(28) Ill gotten, ill spent.
「ill」の繰り返し。「悪く得られたものは悪く消費される」の意。日本のことわざ「悪銭身につかず」が近い意をもつ。
(29) know (who’s who and) what’s what
「who」および「what」の繰り返し。「(誰が有力者か、そして)世の中「組織の仕組み」がどうなっているのか分かっている」の意。
(例文) To succeed in any business, you’ve got to know who’s who and what’ s what.(どんな仕事でも、成功するにはだれが有力者なのか、そしてその業界の動きはどうなっているのかが分かっている必要がある)
(30) Let bygones be bygones.
「bygones」の繰り返し。「過去のことはわすれるべきだ」という意のことわざ。
(31) Like father, like son.
「like」の繰り返し。「似たもの親子だ」の意。「like mother, like daughter」ともいう。
(32) Live and let live.
「live」の繰り返し。「この世の中を渡るには、お互いに助け合っていかねばならない」の意のことわざ。現代では「他人のことに干渉せずに『人は人、自分は自分』でやっていけ」の意で使われるのが普通のようである。
(33) Love me, love my dog
「love」の繰り返し。「私が好きなら、私にかかわるすべてを好きになって」の意。日本語の「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」は裏返しの表現であるが、発想は似ている。
(34) Love me little, love me long 「長く続く愛情の方が短く終わってしまう情熱的な愛情よりも望ましい」の意。
(35) Money begets money.
「money」の繰り返し。「金は金を産む」の意。
(36) Monkey see, monkey do.
「monkey」の繰り返し。「サルまねをする」というたとえ。何の独創性もないと言った軽蔑が含まれている。
(37) No news is good news.
「news」の繰り返し。「便りがないのはよい便り」と和訳されて、日本のことわざになっている。
(38) No pains, no gains.
「no」の繰り返し。「苦労をしなければ利益は得られない、苦は楽の種」の意。
(39) Nothing venture(d), nothing gain(ed).
「nothing」の繰り返し。「危険を冒さなければ欲しい物は手に入らない」の意。
(40) Out of sight, out of mind.
「out of」の繰り返し。「目の前に見えなくなると、そのことを考えることもなくなる」という意のことわざ。「去る者は日日に疎し」と和訳されて、日本のことわざになっている。
(41) Over shoes over boots.
「over」の繰り返し。直訳は「短い靴が没する水の中に入ったからには、長い靴が没する水の中まで入って行こう」で、日本のことわざ「毒を食らわば皿まで」がこれに近い意をもつ。
(42) Pretty is as pretty does.
「pretty」の繰り返し。 「好ましい人だと思われたいのなら、好ましいことをすべきだ」の意。
(43) set [it takes] a thief to catch a thief
「thief」の繰り返し。「悪者仲間の知恵と経験を使うなどして悪者を捕らえようとする」の意。日本語の「蛇の道は蛇」がこれに近い意をもつ。
(44) So many men, so many minds.
「so many」の繰り返し。日本のことわざ「十人十色」がこれに近い意をもつ。
(45) Soon ripe, soon rotten
「soon」の繰り返し。「将来を有望視されていた早熟な子供が成人して全く平凡な人間になってしまうこと」のたとえ。これに近い意を持つ日本語の表現として「十で神童、十五で才子、二十歳すぎては只の人」がある。
(46) That takes care of that.
「that」の繰り返し。「それは片づいた」の意。
(47) That’s that.
「that」の繰り返し。「これで終わりだ、もうそうするしかない」の意。
(例文1) Thank you, everyone. That’s that. The experiment is all set up. We’ll start tomorrow morning at 8:00 o’clock.(皆様、お疲れ様だした。これで終わりです。実験の準備は完了です。あしたは朝8時から開始します)
(例文2) No arguments. You are going, and that’s that.(つべこべ言うんじゃない。おまえは行くんだ。それしかない)
(48) What is done is done.
「done」の繰り返し。「済んでしまったことは仕方がない」の意。
(49) What is sauce for the goose is sauce for the gander.
「sauce」の繰り返し。「ある人にとって適当なものは、別の人にも適当である」という意のことわざ。
(50) When in Rome, do as the Romans do.
「do」の繰り返し。日本のことわざ「郷に入っては郷に従え」に相当。
(51) Where there’s a will, there’s a way.
「there’s」の繰り返し。「Where there’s a will, there’s a way.」は「意志ある所に道あり」と和訳されて、日本のことわざになっている。日本のことわざ「精神一到何事か成らざらん」も比較的近い意をもつ。
(52) You scratch my back and I’ll scratch yours.
「scratch」の繰り返し。「お互いに助け合おう、持ちつ持たれつだ」の意。日本のことわざ「魚心あれば水心」が比較的近い意を持つ。
「よく似た英語と日本語の慣用句集」(文芸館 : http://www.books.co.jp)ものぞいて見てください。