フランソワーズ・サガンのテキストの続き 2009年07月16日 | Weblog フランス語読解教室では、ひき続きサガンが自身の読書経験を語ったエッセを読んでゆきます。テキストをご希望の方は、 smarcel@mail.goo.ne.jp までご一報下さい。添付ファイルにてテキストをご送付します。 smarcel #学習 « フランソワーズ・サガン(2) | トップ | フランソワーズ・サガン(3) »
5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定) コメント日が 古い順 | 新しい順 フランソワーズ・サガン 3 (明子) 2009-07-19 17:25:53 こんにちは。3連休真っ盛り。 先回の先生が「文章を何度も書き写して」習得なさるとコメントされてらっしゃいましたが、やはりそうした地道な努力が王道なのでしょう。私はフランス語の学力が伸びないのでとても考えあぐねていましたがやはり努力が足りないのだと戒められました。************************************************* 以来、私はプルーストを読めなかった人がたくさんいるのを知った。なぜ読めなかったかというと読破できなかったからで、有名な「スワンの恋」を手に取ってみても、スワンは読者を困惑させ、退屈させてしまったからだ。そして、私自身、もしオデットの恋と話者の子供時代の件から読み始めたとしたら、この長々と続く物語の世界に浸るのは難しかっただろう。「消え去ったアルベルティーヌ」で、私は一気に悲劇のなかに入った。プルーストの全作品の中で唯一の急展開から読み始めたのである。これは唯一の事件、一大事、事故であり、たった一度、プルーストが成り行きに乗じて、電報の形をとって姿を表す。「友よ。私たちの愛するアルベルティーヌはもういない。こんな恐ろしいことを言う私を許してほしい。彼女をあんなに愛している君に。彼女は散歩の途中、木にぶつかり落馬してしまった」私はまずこの文章を読み、悲しみと絶望のなかに足を揃えて飛び込んでしまった。その絶望は話者によって狂わんばかりに引き延ばされ、容赦なく反芻され、解説され、さいなまれていた。このやり方を示すことによってスワンに失望したたくさんの友人はプルーストを好きになってくれた。彼らは私のように「消え去ったアルベルティーヌ」の虜となったのである。 返信する sagan 3 (misayo) 2009-07-20 14:33:22 こんにちは、みさよです。あわてて訳したので、読み間違えがいろいろあると思います。 私は、その後プルーストを読み通すことが出来なかった多くの人を知っている。というのは、彼らはうまく行かなかったからで、なぜならスワン、かの有名なスワンを手に取るように言われて、挫折し、退屈したからだ。私自身もしもオデットの恋や話者の子供時代から始めていたとしたら、この際限のない分野に入り込むのにずいぶん苦労しただろうと信じる。「消えたアルベルチーヌ」で、私はそのドラマにすぐに入り込んだ。プルーストの全作品の中で唯一筋が展開し、唯一の出来事があり、唯一事故のあるものから私は取り組んだ。ただ一度だけプルーストは偶然に声をあげた。それは電報の形で示される。「友よ、私たちの大事なアルベルチーヌはもういません。あなたにこの恐ろしいことをお伝えすることをお許し下さい。あなたがどんなにか彼女を愛していたか。彼女は散歩中に木にぶつかって馬から振り落とされたのです。」私はこの文章から始めて、その後狂気にまで引きずられる悲しみと絶望にくるぶしまで落ちいった。その悲しみと絶望は、話者によって、抗いがたくくどくどと繰り返され、批判され、責めさいなまれる。そしてこの道筋で私は、スワンによって落胆させられた多くの友達をしてプルーストを愛するように仕向けた。彼らは私のように「消えたアルベルチーヌ」に意のままに従わされた。 返信する Leçon193 (雅代) 2009-07-20 16:03:09 先生、みなさま、こんにちは。雅代です。この文脈で足を揃えて落ちることの意味がよくわかりませんでした。~~~~~~~プルーストを読み進めなくなった人がいることを知っています。その理由は「そこに到達しなかったから」、なぜならスワン、あの有名な『スワンの恋』が、彼らが手に取りながら、彼らを面食らわせ、退屈にさせたから、ということも知っています。私自身も、もしもオデットの恋愛と話者の幼年時代から始めていたら、この際限のない領域を終えることは困難だったでしょう。『消えたアルベルティーヌ』を読んで、直ちに物語の中に没頭しました。プルースト作品の中で唯一予期せぬ事によってはじめたのです。唯一の出来事、唯一の事故、ただ1回のこと、すなわちプルーストは偶然声を発したのです。その偶然は電報の形をとって表れています。それは「私の可愛そうな友よ、私の愛するアルベルティーヌはもはやいない、この恐ろしいことをあなたに語ることをどうかお許しください、アルベルティーヌを心から愛するあなたに。アルベルティーヌは、散歩中に樹にぶつかり馬の背から投げ落とされました』という電報です。私はこのフレーズから読み始め、苦痛と絶望の中に両足を揃えて落ちました。その絶望はやがて「話者」によって狂気にまで伸ばされ、批判され罵倒され過酷にも繰り返されました。私が、スワンによって挫折した多くの友人たちをしてプルースト好きにさせ、また、私のように『消えたアルベルティーヌ』によって意のままにさせられたのは、この読み方です。 返信する Unknown (ウィル) 2009-07-20 21:53:38 ウィルです。先日受けた独検の2級に合格しました。フランス語のほうは、10年以上前に2級に合格して以来、受験していません。自分では一番出来る外国語のつもりなので不合格になるのがいやなんです(笑)今回の課題では、 je commençais par la seule péripétie ...と半過去とJe commençai [p.212]...単純過去が同じ場面で書いてありますが、このニュアンスの違いは訳文にかいたような感じでいいのでしょうか。そのうち、原文で「失われた時を求めて」を読んでみたいと思うのですが、さすがに全体は無理でしょうね・・・。***********************私はそれから、うまくいかないからプルーストを読めなかったという人にたくさん出会った。スワン、あの有名な「スワンの恋」を手に取ると、戸惑い、うんざりしてしまうからというのだ。私自身、オデットの恋や語り手の少年時代から始めていたら、この果てしない領域に踏み込んでいくのにもっとずっと苦労しただろうと思う。「消えたアルベルチーヌ」から始めて、私は一気にドラマの中に入り込んでいった。私は、このプルーストの作品の唯一の山場から始めていたのだ。それは、プルーストが偶然にゆだね、偶然は電報の形で「かわいそうな友よ、私たちの愛しいアルベルチーヌはもういない。こんな恐ろしいことをあなたに、彼女をあんなにも愛していたあなたに告げることを許してほしい。彼女は、散歩の途中で、馬から投げ出され、木に激突した。」と表された唯一の出来事、唯一の事故、たった一度のことだった。私は、このフレーズから始め、そのあと、悲しみと絶望に落とし込まれた。その絶望は、語り手が狂気まで引き伸ばし、何度となく思い浮かべ、説明し、強く印象付けたものだ。スワンで挫折した友人の多くにプルーストを好きにさせたのはこの道を通じてだった。彼らに、私のように、「消えたアルベルチーヌ」から始めさせたのだ。 返信する RE:Lecon193 (Moze) 2009-07-20 23:41:37 ウィルさん合格おめでとうございます!さて、今回のテキストは読んだ記憶があるものの、また同じ所でつまずいているような気がします。進歩のないことです・・・。******* 私は、その後プルーストを読むことができなかった多くの人を知った。というのも、その人たちは、「読み通せなかった」からであり、手にとったスワンが、あのスワンの恋が、人々を挫折させ、退屈させてしまったからだ。そして私自身も、もしオデットの恋や語り手の子ども時代から読み始めていたなら、これらの延々と続く世界に入っていくのは、いっそう困難だったろうと思う。私の場合は、消え去ったアルベヌチーヌからだったので、すぐに悲劇の中に入っていくことができた。私は、プルーストの作品全体の中の唯一の波瀾、唯一の事件、唯一の事故、唯一プルーストが偶然にものを言わせるところ、そこでは偶然が電報の形をとってもたらされるところから読み始めたのだった。「かわいそうな友よ、アルベルチーヌはもういません。こんなおぞましいことを、あなたに、彼女をとても愛していたあなたにお伝えすることをお許しください。アルベルチーヌは、散歩中に、木にぶつかって落馬したのです。」私はこの文章から読み始めたので、語り手によって、狂おしいまでに引き伸ばされ、容赦なく繰り返され、注釈され、鞭打たれた悲しみと絶望の中に一気に落ちたのだった。私がスワンによって挫折した多くの友人にプルーストを好きにさせたのは、この道を通ってだった。彼らは、私のように消え去ったアルベルチーヌによって喉元をつかまれたのだった。 返信する 規約違反等の連絡 コメントを投稿 サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。 goo blogにログインしてコメントを投稿すると、コメントに対する返信があった場合に通知が届きます。 ※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます 名前 タイトル URL ※名前とURLを記憶する コメント ※絵文字はJavaScriptが有効な環境でのみご利用いただけます。 ▼ 絵文字を表示 携帯絵文字 リスト1 リスト2 リスト3 リスト4 リスト5 ユーザー作品 ▲ 閉じる コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。 コメント利用規約に同意する 数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。 コメントを投稿する
こんにちは。3連休真っ盛り。
先回の先生が「文章を何度も書き写して」習得なさるとコメントされてらっしゃいましたが、やはりそうした地道な努力が王道なのでしょう。私はフランス語の学力が伸びないのでとても考えあぐねていましたがやはり努力が足りないのだと戒められました。
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以来、私はプルーストを読めなかった人がたくさんいるのを知った。なぜ読めなかったかというと読破できなかったからで、有名な「スワンの恋」を手に取ってみても、スワンは読者を困惑させ、退屈させてしまったからだ。そして、私自身、もしオデットの恋と話者の子供時代の件から読み始めたとしたら、この長々と続く物語の世界に浸るのは難しかっただろう。「消え去ったアルベルティーヌ」で、私は一気に悲劇のなかに入った。プルーストの全作品の中で唯一の急展開から読み始めたのである。これは唯一の事件、一大事、事故であり、たった一度、プルーストが成り行きに乗じて、電報の形をとって姿を表す。「友よ。私たちの愛するアルベルティーヌはもういない。こんな恐ろしいことを言う私を許してほしい。彼女をあんなに愛している君に。彼女は散歩の途中、木にぶつかり落馬してしまった」私はまずこの文章を読み、悲しみと絶望のなかに足を揃えて飛び込んでしまった。その絶望は話者によって狂わんばかりに引き延ばされ、容赦なく反芻され、解説され、さいなまれていた。このやり方を示すことによってスワンに失望したたくさんの友人はプルーストを好きになってくれた。彼らは私のように「消え去ったアルベルティーヌ」の虜となったのである。
私は、その後プルーストを読み通すことが出来なかった多くの人を知っている。というのは、彼らはうまく行かなかったからで、なぜならスワン、かの有名なスワンを手に取るように言われて、挫折し、退屈したからだ。私自身もしもオデットの恋や話者の子供時代から始めていたとしたら、この際限のない分野に入り込むのにずいぶん苦労しただろうと信じる。「消えたアルベルチーヌ」で、私はそのドラマにすぐに入り込んだ。プルーストの全作品の中で唯一筋が展開し、唯一の出来事があり、唯一事故のあるものから私は取り組んだ。ただ一度だけプルーストは偶然に声をあげた。それは電報の形で示される。「友よ、私たちの大事なアルベルチーヌはもういません。あなたにこの恐ろしいことをお伝えすることをお許し下さい。あなたがどんなにか彼女を愛していたか。彼女は散歩中に木にぶつかって馬から振り落とされたのです。」私はこの文章から始めて、その後狂気にまで引きずられる悲しみと絶望にくるぶしまで落ちいった。その悲しみと絶望は、話者によって、抗いがたくくどくどと繰り返され、批判され、責めさいなまれる。そしてこの道筋で私は、スワンによって落胆させられた多くの友達をしてプルーストを愛するように仕向けた。彼らは私のように「消えたアルベルチーヌ」に意のままに従わされた。
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プルーストを読み進めなくなった人がいることを知っています。その理由は「そこに到達しなかったから」、なぜならスワン、あの有名な『スワンの恋』が、彼らが手に取りながら、彼らを面食らわせ、退屈にさせたから、ということも知っています。私自身も、もしもオデットの恋愛と話者の幼年時代から始めていたら、この際限のない領域を終えることは困難だったでしょう。『消えたアルベルティーヌ』を読んで、直ちに物語の中に没頭しました。プルースト作品の中で唯一予期せぬ事によってはじめたのです。唯一の出来事、唯一の事故、ただ1回のこと、すなわちプルーストは偶然声を発したのです。その偶然は電報の形をとって表れています。それは「私の可愛そうな友よ、私の愛するアルベルティーヌはもはやいない、この恐ろしいことをあなたに語ることをどうかお許しください、アルベルティーヌを心から愛するあなたに。アルベルティーヌは、散歩中に樹にぶつかり馬の背から投げ落とされました』という電報です。私はこのフレーズから読み始め、苦痛と絶望の中に両足を揃えて落ちました。その絶望はやがて「話者」によって狂気にまで伸ばされ、批判され罵倒され過酷にも繰り返されました。私が、スワンによって挫折した多くの友人たちをしてプルースト好きにさせ、また、私のように『消えたアルベルティーヌ』によって意のままにさせられたのは、この読み方です。
今回の課題では、 je commençais par la seule péripétie ...と半過去とJe commençai [p.212]...単純過去が同じ場面で書いてありますが、このニュアンスの違いは訳文にかいたような感じでいいのでしょうか。
そのうち、原文で「失われた時を求めて」を読んでみたいと思うのですが、さすがに全体は無理でしょうね・・・。
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私はそれから、うまくいかないからプルーストを読めなかったという人にたくさん出会った。スワン、あの有名な「スワンの恋」を手に取ると、戸惑い、うんざりしてしまうからというのだ。私自身、オデットの恋や語り手の少年時代から始めていたら、この果てしない領域に踏み込んでいくのにもっとずっと苦労しただろうと思う。「消えたアルベルチーヌ」から始めて、私は一気にドラマの中に入り込んでいった。私は、このプルーストの作品の唯一の山場から始めていたのだ。それは、プルーストが偶然にゆだね、偶然は電報の形で「かわいそうな友よ、私たちの愛しいアルベルチーヌはもういない。こんな恐ろしいことをあなたに、彼女をあんなにも愛していたあなたに告げることを許してほしい。彼女は、散歩の途中で、馬から投げ出され、木に激突した。」と表された唯一の出来事、唯一の事故、たった一度のことだった。私は、このフレーズから始め、そのあと、悲しみと絶望に落とし込まれた。その絶望は、語り手が狂気まで引き伸ばし、何度となく思い浮かべ、説明し、強く印象付けたものだ。スワンで挫折した友人の多くにプルーストを好きにさせたのはこの道を通じてだった。彼らに、私のように、「消えたアルベルチーヌ」から始めさせたのだ。
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私は、その後プルーストを読むことができなかった多くの人を知った。というのも、その人たちは、「読み通せなかった」からであり、手にとったスワンが、あのスワンの恋が、人々を挫折させ、退屈させてしまったからだ。そして私自身も、もしオデットの恋や語り手の子ども時代から読み始めていたなら、これらの延々と続く世界に入っていくのは、いっそう困難だったろうと思う。私の場合は、消え去ったアルベヌチーヌからだったので、すぐに悲劇の中に入っていくことができた。私は、プルーストの作品全体の中の唯一の波瀾、唯一の事件、唯一の事故、唯一プルーストが偶然にものを言わせるところ、そこでは偶然が電報の形をとってもたらされるところから読み始めたのだった。「かわいそうな友よ、アルベルチーヌはもういません。こんなおぞましいことを、あなたに、彼女をとても愛していたあなたにお伝えすることをお許しください。アルベルチーヌは、散歩中に、木にぶつかって落馬したのです。」私はこの文章から読み始めたので、語り手によって、狂おしいまでに引き伸ばされ、容赦なく繰り返され、注釈され、鞭打たれた悲しみと絶望の中に一気に落ちたのだった。私がスワンによって挫折した多くの友人にプルーストを好きにさせたのは、この道を通ってだった。彼らは、私のように消え去ったアルベルチーヌによって喉元をつかまれたのだった。