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フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Lecon 122 注釈と試訳

2007年09月17日 | Weblog
 [注釈]
* s'il faut en croire une philosophie... : en croire...「…を信じる」
* sans pour cela connai^tre la nature de chacune d'elles. : elles = deux choses
* quelle situation elles occupent... : 自分に対して人々がどういう状況を占めているか(occuper) 
 [試訳]
  魂と身体

 この講演のタイトルは「魂と身体」です。つまり、物質と精神、また、存在するあらゆるものと、このあとお話しすることになる哲学に従うなら、存在しないなにか、と言うことも出来るでしょう。でもご安心ください。ここでの狙いは、物質の本性を究めることでもなければ、精神のそれを究めることでもありません。わたしたちは、物質と精神それぞれの本性を知ることが出来なくとも、その二つのものを区別することが出来、またある程度まで、その関係を見定めることも出来ます。今わたしには、目の前にいる皆さんと知り合いになることは出来ませんが、それでも皆さんと自分を区別していますし、皆さんがわたしに対してどういう立場にいらっしゃるのかも理解できます。身体と魂に関しても同じことです。それぞれの本質を定義することは、遥かな企てとなることでしょう。ですが、何が二つのものを結びつけ、何が分け隔てるのかを知ることは難しくはありません。それというのも、魂と身体が結びつき、また分け隔てられること、それは経験にもとづく事実だからです。
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 今回は、まだほんの出だしにすぎませんが、ウィルさんのおっしゃるように易しかったですね。みなさんの訳文にも読み違いはほとんどありませんでした。ベルクソンの文章を心地よいと感じられた方は、是非がんばって「魂と身体」読み通してみてください。この教室では4回に分けて、導入部のみ扱うことにします。
 次回はp.22, l.14 のles etoiles までとしましょう。訳文は9/25(火)締め切りとします。
 ベルクソンについては、以前一度ご紹介しましたが、金森修『ベルクソン』(NHK出版)が良質な入門書としてお薦めです。また、最近の訳業としては、『物質と記憶』(ちくま学芸文庫)があります。訳者の合田正人先生の、少し難しいかもしれませんが、ベルクソンのこの代表作の思想的な鉱脈の広がりを捉えた優れた解説も一読の価値があります。
 それにしても、大阪は暦がひと月戻ったのではないかと思えるほどの酷暑の日々がまだ続いています。リンさんのパリでの生活がうらやましいばかりです。