先日、下関に出掛ける機会があったので、海峡ゆめタワーにのぼってみた。
このタワーは日本経済新聞の何でもランキング「眺めが素晴らしいタワー展望台」で第四位に輝いた実績を持つ。
が、はっきり言って高いところは大嫌い。
それなのにのぼろうというのはあきらかに無謀な挑戦なのだが…。
「ち、ち、チケットおとないー、ひち枚」と恐怖のあまりに声がうわずる。
チケット売り場のおねーさんは余裕の笑顔で「一枚ですね?」と再確認。
そりゃ、どう見たってひとりしかいないんだから、七枚じゃあないんだよっ!!、と逆ギレするわけにもいかず、こちらも余裕のフリして「一枚お願いします」と人差し指を立てながらにっこり微笑み返し。
まず、緊張をほぐすためエレベーターに乗る前にトイレ、トイレっと。
そして、すっきりしたあとは、今にもがくがく震えそうな膝頭を軽く叩き、気合いを入れたところで乗り場に向かう。
案内の女性が清々しい顔で「いってらしゃい」とドアを閉めた途端、早くも後悔の念が。
緊張のあまりにエレベーターの中の温度が3度は上昇したような気がする。
そして、とどめを刺すかのように、エレベータの高度表示はぐんぐん上昇して行く。
思わず目をそらし、足元に目を移すと、今度は地上が視界に飛び込んできた。
すぅぅぅぅーっと、頭の中から血の気が引いて行くのが自分でわかる。
乗り合わせていたカップルも異変を感じたのか、彼女と横並びでいた男性がわざわざオレと彼女の間に入るようなポジションを取る。
そーかい、そーかい、そーきたかい、オレは変質者か、こらーっ!!、と怒鳴りたいところだが、それよりも本当はしゃがみたい気分だったので、その憤りもさらっと右から左へ受け流す。
まあ、他人が見たらちびまる子ちゃん(顔に縦線がたくさん入った)状態に違いないだろうから、まあ引くよな...。
実際はほんの1、2分だったと思う。
が、自分には10分にも感じるほどとても長い時間に感じられた。
そして、展望台へ。
ここは動いていない分、少しは平常心。
しかし、なんだか空気が薄い、苦しい...。
まるで高山病にかかったかのようだ(かかったことないからよくわかんないけど)。
なんだか気分も優れない。
こりゃあ、即刻退散だー。
そんなわけで、展望台にいたのはほんの数分。
とっとと舞い戻ってきたオレの後ろ姿に「またお越し下さい」とチケット売り場のおねーさんの優しい声、いや、笑い声だったか…。
絶対バカにしてるだろ。
「ふふふ、やっぱりソッコーで戻ってきたわ」、なんて思っているに違いない。
まあよい、言いたいヤツには言わせておけ。
だいたい、バカなヤツほど高いところに登りたがると言うではないか。
あれ、言わなかったっけ?
ってことは、完全に敗者じゃん、完敗じゃん。
まあ、そんなわけでろくに写真撮ってません。
酸素薄いし、暑いし、カップルばかりやし、なんやねんっ。
男ひとりで登ったら気色悪いんかいっ!
だいたい展望台オタク?、って言うな、オタクって!! (幻聴?)
恐怖のあまりにちょっと、いや、かなり取り乱してはいたけれど、海峡ゆめタワーは評判どおりの眺望デス。
ただし、怖いので薄目で見た感想ですが…(笑)
きっと、夜景だったらもっと印象が強かっただろうなー。
(ユーキ)