月読命

すももが好きなアニメで貴腐人的な妄想話&日々の出来事等

春探し

2009年03月15日 21時59分45秒 | チビ15 SS
□月★日 晴れ

冬は寒くて室内で遊ぶ事が多かった一護さん。
昨日までは寒かったが今日は陽射しが暖かいので、そわそわしながら外を
覗いている。

「お天気もいいようですし、お散歩にでも行きますか?」
私の一言で、蕾だった花が咲くかのように一護さんが微笑み、『うん!』と
大きく頷く。そんな一護さんを見ると私まで顔が綻んでしまう。





私の前をテケテケッと小走りで歩く一護さんに『こけなきゃいいなぁ』と
思っていたら、案の定ポテンッと尻餅をついた。

「怪我はありませんか、一護さん?」
いつもならサッと起き上がるのに尻餅をついたままの状態でいる事に心配し、
近寄ると身を屈め一護さんを除き込む。しかし一護さんはそんな私に気付かず、
道の端をジッと見ていた。
私も一護さんが見ている方に視線を合わせると…ピョンと跳びはねる小さな物体。

「蛙っスか。今日の陽気に誘われて冬眠から覚めたみたいっスね」
「きゃえる…とーみん?」
「蛙は冬の間、土の中でずっと眠っいて、暖かくなると眠りから覚めて地上に
 出て来るっスよ」
一護さんを起こしながら冬眠の説明した。

「怪我はないようですね」
「きゃえる、いちごのあち、ぴょーん。ちょちたら、ぽてんちた」
一護さんの言い分だと、『歩いていた一護さんの足元に蛙が跳びはねて来て、
びっくりして尻餅をついた』らしい。

「蛙は一護さんに春を告げに来たのかも知れませんね」
「はりゅぅ?」
「お散歩しながら春探しでもしてみますか?」
「ちゅる!いちご、はりゅみちゅけりゅ!!」





「きしゅけ~、こりぇは?」
「土筆を見つけましたかぁ。土筆は暖かくなると芽を出す植物っス。それ佃煮
 にすると美味しいんですよ。摘んで帰って、テッサイに作って貰いますかぁ」
「うん!」
土筆を摘みながら、他にも春を探す一護さん。

「もうじき、タンポポの花が咲きそうっスね」
蕾の先が黄色くなっているタンポポ。
「ちゃんぽぽ?」
「一護さんの髪程オレンジではないですが、黄色い花が咲くんっスよ。もっと
 暖かくなった頃、お弁当を持ってまた来ましょうか、この一帯蓮華草みたいで
 すし、花が咲いたらキレイっスよ」
「うん!」
一護さんは両手イッパイに土筆を持ち、元気に頷いた。
「日が傾いてきましたし、そろそろ帰りましょうか」



こんな小さな子一人で、ココロが暖かくなるなんて……永い時を生きてみるもんっ
スねぇ。




「一護さん、走るとこけ……あっ、またこけた」





終わり



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 久々にチビ15を妄想してみました。