traveling

気象予報士 檜山靖洋のブログ ひとり旅の記録

流氷

2006-05-25 18:06:05 | Weblog
流氷とは、文字通り流れてくる氷。
単に海が凍るわけではない。
流氷の海の海水温は0度前後。
塩分濃度の濃い海水は、この温度では凍らない。
流氷は川で生まれる。淡水の川の水だからこそ、凍っている。

遠くロシアのアムール川が流氷の出身地。
流氷にロマンを感じるのは、1000キロ以上も旅をしてくるから。
アムール川からオホーツク海に流れ出て、
いったん北上し、サハリンの北を回ってから南下してくる。
そして、北海道のオホーツク海沿岸に流れ着く。



流氷は、大きな塊になると、人の背丈以上の物もある。
ただ、この年の氷は、小さめ。
年々、流氷が少なく、小さくなっているような気がする。
実際、地球温暖化の影響もあるようだ。



氷に閉ざされた海は、風の音しか聞こえない。
これこそが流氷ウォークの醍醐味。
そして、よーく耳を済ませると、「ぐぅ~~」っという音。
これは流氷鳴き。
流氷同士がこすれあって、音が鳴る。おなかが空いた時に鳴る音に似ている。
地球が生きていることを実感できる音だ。
なぜ、アイスブルーの色なのか。




流氷の海に浸かる「流氷温泉」
ドライスーツを着ているので、浮力があり、沈むことはない。
冷たい水が入ってくることもない。
それでも、ひんやりとした冷たさが体に少し伝わってくる。


流氷の上から海の中をのぞいてみると、
運がよければ、クリオネを見つけられる。
去年は、見つかったけど、今年は見つけられなかった・・・

でも、アイスダイビングをしていたグループが
「もういいっ!ってくらいクリオネ見たよ~」って言って去っていった・・

流氷ウォーク

2006-05-14 16:01:01 | Weblog
2005年2月22日 午後1時 ウトロ港

今回の旅のメインイベント「流氷ウォーク」
今回は、写真を撮りたいので、ダイビング用の
    デジカメ水中ケースを持っていった。

今回お世話になるガイドは、MEPSさん。
普段は漁業を営んでいるが、
流氷に閉ざされる冬の間は、流氷ウォークのガイドをしている。
早速、ドライスーツを着込む。
流氷の写真を撮りたいというリクエストにこたえてくれて、
車で5分ほどの流氷スポットまで移動。
海岸から海へ入る。
でも、どこかが海岸で、どこからが海なのかは、さっぱり分からない。
すべて氷の世界だ。

ドライスーツを着ていれば、浮き輪代わりになり、沈むことはない。
    たまに、普通の服のまま、流氷の上を歩こうとする人がいるが、
    これは、ものすごく危険!!絶対にやらないように。
    落とし穴のように、氷のゆるいところがあり、氷の海に転落する。
    ちなみに、毎年のように、春先に海から遺体が上がるとか・・・



カシワの生き方

2006-05-03 01:59:25 | Weblog
フレペの滝がある、断崖絶壁の海からは、猛烈な季節風が吹きぬける。
その風の通り道には、きれいに木が生えていない。
そんな中、ぽつぽつと生えているのが、カシワの木だ。

木が密集した森の中では、日光の恵みを受けるのに、
分け前が減ってしまう。
風が強いという厳しい条件を我慢してでも、
日光をひとりじめしたいと考える。それがカシワの生き方。



よーく見ると、枯れ葉が木に残っている。
となりには、暴風で根こそぎ倒れた木もあるにもかかわらず。
それほどに、カシワは粘り強い。

男の子の節句の柏餅。
「強い」という象徴のカシワの葉でくるむのは、
強い男の子になってほしいという願いからか。

乙女の涙

2006-05-02 02:00:52 | Weblog
2005年2月22日 午前10時30分 フレペの滝



森の中を奥まで歩いてゆくと、断崖絶壁が迫る。
知床八景にも選ばれている「フレペの滝」に到達する。

フレペ とは、赤い水という意味。
鉄分を多く含んだ水なため、やや赤みがかった水が流れ落ちるという。

知床連山に降った雪や雨が地下に浸透。
その地下水が、がけの割れ目から染み出して流れ落ちる滝。
「赤い水」のはずだが、凍りついた滝はアイスブルーだ。


流れ落ちる様が、ホロホロと涙のように見えることから、
「乙女の涙」と呼ばれる、とても美しい滝だ。

シカでした~

2006-05-01 01:43:56 | Weblog
2005年2月22日 午前10時 知床自然センターから森へ入る



森の散策コースに入る。誰もいない。
一面の銀世界と、静かな森を独り占めできる。
このために、ここまで来たんだ。


ところで、↓の写真。
よーく見ると、木の下のほうの皮がはげているのが見られる。
木の皮をはいでしまった犯人は誰でしょう???

thinking time
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正解は、シカでした~


エゾシカは、ここ最近急増していることが問題になっている。
天敵のオオカミがいなくなってしまったため、
どんどん増えてしまったらしい。
その影響で、大地が雪に覆われてしまう冬には、
餌が足りなくなる。
エゾシカたちは、なんとか生き延びるために、
雪を掘って、草を探したり、数少ない木の実などを食べたり。
それでも、足りず、木の皮をも食べて命をつなぎとめる。

さらに、このことが森林破壊につながってしまうという。
木の皮を食べられると、その木が枯れてしまうのだ。
知床の森で起こっている、深刻な問題だ。