紫苑の部屋      

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11月の歌舞伎と舞踊

2009-12-09 00:33:41 | 観劇
11月の演舞場と歌舞伎座さよなら公演、そして国立小劇場での井上八千代「葵の上」、
観劇メモです。

演舞場と歌舞伎座は対照的でした。
若手の歌舞伎のいいところは、中堅をめざして精進している姿が見れること、
つい数年前までのかわゆ~い子役たちがすっかり美しい女形になって私たちの前に現れてくれること、
ホントに愉しみだわー!
演舞場の花形歌舞伎
一番は、鬼揃紅葉狩、これは鬼になってから良くなくちゃーダメなのね、
亀治郎の鬼女は抜群でした。
玉三郎の鬼女は更科姫の美しさが邪魔をして、グロテスクに見えてしまうのね。
亀治郎をはじめとする鬼揃、
松也くん,梅枝,巳之助,右近,隼人みんな若さをフル稼働、よく動き、よく飛び上がり、
ホントにキビキビと、気持ちいいですね。
もちろん吉弥さんもみんなを引っ張っていました。
驚きだったのは、あの美しい侍女はだれ?このメンバーのなかのだれ?と思ったら、
巳之助くんでした。
10代から二十歳になると、女の子はある日突然、一皮剥けるのよねー
びっくりするくらい綺麗になる、
同じことが女形にもあるのかしらねー。
巳之助さんは綺麗な女形になるわねー、声変わりが落ち着けば。

新しい三人吉三
お嬢吉三の菊之助、お坊の愛之助、和尚の松緑、評判よろしいようですが、
私はやっぱり玉&仁左さまと團十郎和尚の三人吉三が忘れられない!
刹那的に生きてきたお嬢お坊の(結局は)心中へ至る絶望感が要るのよねー、
和尚への義理立てだけではない、なにか虚無感のような…、黙阿弥ですからね。

愛之助、松緑は四変化の浅草祭が一番よかったですね。
松緑の踊りは定評がありますが、
愛之助は地唄舞楳茂都(うめもと)流の家元という重責、
試されています。でも、演舞場で見る限り、おおらかに楽しんで踊っていますね。
それがいいですね。

歌舞伎座の仮名手本忠臣蔵
何といっても7段目を愉しみにしてました。
もちろん仁左さまの由良之助がお目当て、でした。
でも、今回思ったのですが、7段目は勘平切腹後のお軽の運命、でもあった、のですよね。
とくに平右衛門は足軽身分の忠義、「小心者の哀しさ」と唄われるけれど、
この段の主役は本当は平右衛門ではないかと思ってしまいます。
まことに人間味ある役柄で、これだから忠臣蔵は庶民に愛されつづけたのですよね。
泣きの幸四郎にほろりと泣かされてしまいます。
酔ったふり、寝たふりの由良之助に夜着をそっと掛ける、この平右衛門が泣かせますよね。
というわけで、なんだか由良之助は脇に感じてしまったのは、
今回の仮名手本、夜の部の5段目から観たせいでしょうか??
それとも、この日の仁左さまのメークがわたし好みでなかったせい?
酔った風情を出すからでしょうか、どうしてタレ眉なの??

7段目のクライマックス、今回わたしは合い方に特別注視、じゃなく注聴してました。
邦楽夜話というラジオ番組で聞いたのですが、
7段目は耳で聞いてもすばらしいんですねー、メリヤスっていうらしいのですが、
お軽登場のときの合い方、浄瑠璃は謡います。
  父よ母よと泣く声聞けば、
  妻に鸚鵡のうつせし言の葉、
  エヽ何ぢやいなおかしやんせ
「間夫があるなら添はしてやろ」という身請け話に有頂天のお軽を横目に奥へ引込む由良之助、そして合い方がつづけます。
  世にも因果な者ならわしが身よ、
  可愛い男に幾瀬の思ひ、エヽ何ぢやいなおかしやんせ。
  忍び音に鳴く小夜千鳥
もうこの場面がたまらないですね…。
ひとつ気になったこと、
平右衛門がお軽に勘平の切腹を知らせるところ、
お軽がもしかして勘平によい女房さんでも…と問へば、
平右衛門「そんな陽気な事じゃねえわい」と打ち明けるのですが、
幸四郎は、そんな浮いた話…というんですね、
いま分かるセリフとしては、正しいのです、
でも、これは古典どおり、“陽気なこと”を残していってほしいですね。
よく、橋之助や菊五郎が“素敵に”という今の言葉とちょっとニュアンスの異なる意味でセリフに残していますよね。役者の選択なのでしょうか?
幸四郎の言葉選びだとしたら…、違う!!とわたしは思います。

最後に、座敷舞というのを初めて観ました。
井上八千代さんの葵の上、がどうしても観たくて
急に思い立って行ったのです。
期待どおりの八千代さんの舞でした。
地唄舞、なんというか、わたし自分の波長に合うんですね。
不思議なのですが、胸に染みてくるのです。

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