「善き人のためのソナタ」
こんなに感銘を受けた映画を近年お目にかかっていません。
本当にすばらしい映画でした。
涙を流すような場面展開ではないのに、
最後のシーンで、深い感動で涙が自然にでてきてしまい、
すぐに立つことができませんでした。
会場全体がそういう雰囲気でした。
東ドイツ国家公安省の精鋭大尉の、国家犯罪者を吐かせるテクニックを講義する場面から、
物語ははじまります。
舞台作家とその恋人の女優をターゲット、
作家のアパートを盗聴してその報告書を作成する任務についている冷徹な大尉、
その大尉が少しずつ変わりはじめる。
自殺した演出家の残した、「善き人のためのソナタ」を弾くシーン、
盗聴のイヤホーンで聴く大尉、内から感動が溢れ出る、
そして「この曲を本気で聴いた者は悪人になれな」くなってしまう。
大尉が作家のアパートから失敬してきたブレヒトの詩集、
引き裂かれた切ない恋のうた
作家と女優の無惨に引き裂かれる愛と重なる。
そしてベルリンの壁の崩壊後、いったい東独の人びとはどういう生活をしていたのだろうか、
若い監督は綿密な取材と資料収集に4年がかり、
たくさんの人の証言、解放後17年の歳月を経てようやく初めて語られる真実、
それらをこころの奥底に沈殿していくものだけを表現しようとした深さ、
この監督の感受性の豊かさなのです。
郵便配達夫となった元大尉、壁崩壊後も淡々と同じ仕事をつづける。
この俳優は東独での同じような体験をもつ、舞台俳優だった。
ドイツ映画はこういう作品をつくれる、
かつてのヨーロッパ映画の全盛時代を彷彿とさせる、名画、
もっとつくってほしいな。
4,5日前ドリームガールズを見たばかりなので、アメリカ映画のワンパターン、
質の違いがいまさらながら、思われました。
07/3/8 渋谷シネマライズ
こんなに感銘を受けた映画を近年お目にかかっていません。
本当にすばらしい映画でした。
涙を流すような場面展開ではないのに、
最後のシーンで、深い感動で涙が自然にでてきてしまい、
すぐに立つことができませんでした。
会場全体がそういう雰囲気でした。
東ドイツ国家公安省の精鋭大尉の、国家犯罪者を吐かせるテクニックを講義する場面から、
物語ははじまります。
舞台作家とその恋人の女優をターゲット、
作家のアパートを盗聴してその報告書を作成する任務についている冷徹な大尉、
その大尉が少しずつ変わりはじめる。
自殺した演出家の残した、「善き人のためのソナタ」を弾くシーン、
盗聴のイヤホーンで聴く大尉、内から感動が溢れ出る、
そして「この曲を本気で聴いた者は悪人になれな」くなってしまう。
大尉が作家のアパートから失敬してきたブレヒトの詩集、
引き裂かれた切ない恋のうた
作家と女優の無惨に引き裂かれる愛と重なる。
そしてベルリンの壁の崩壊後、いったい東独の人びとはどういう生活をしていたのだろうか、
若い監督は綿密な取材と資料収集に4年がかり、
たくさんの人の証言、解放後17年の歳月を経てようやく初めて語られる真実、
それらをこころの奥底に沈殿していくものだけを表現しようとした深さ、
この監督の感受性の豊かさなのです。
郵便配達夫となった元大尉、壁崩壊後も淡々と同じ仕事をつづける。
この俳優は東独での同じような体験をもつ、舞台俳優だった。
ドイツ映画はこういう作品をつくれる、
かつてのヨーロッパ映画の全盛時代を彷彿とさせる、名画、
もっとつくってほしいな。
4,5日前ドリームガールズを見たばかりなので、アメリカ映画のワンパターン、
質の違いがいまさらながら、思われました。

あの元大尉が、壁崩壊後、郵便配達をしてじみに生計を立てている。。その最後のシーンがずっと胸の奥に残っています。
東独のあの頃の様子はまだまだ明らかにされていないことは多いのでしょうね、これからいろんな形で表れていくものなのでしょうか。
当時の資料が、今、自由に閲覧できる、そういう時代になっているのだということも含めて、これからまたあの時代の東独の閉ざされていたその様子を知ることも多くなるのかもしれませんね。
ベルリンの壁崩壊は歴史の激変を目の当たりしたというふうに、ふつうの生活をしている私たちにも画期的な出来事として、ずーと記憶されていると思うのですが、これも日本ではある年齢層以上のことなのですね。こういう映画を見る層もそうですよね。
当時の極秘文書を閲覧できるということも、そこからこういう映画も生まれる、ってことも、ドイツ人の歴史観とか、教育とか、文化の厚みというか、それにも感動しますね。