藤沢周平×山田洋次の3部作目、前作と同じく素晴らしい出来だと思います。
武士の一分、というタイトルがなんとも憎い!
原作は「盲目剣谺返し(こだまがえしでいいのかしら)」「隠し剣秋風抄」からという。
山田洋次監督の目の付けどころが違うのですね。
監督が高倉健以来の俳優、とほれこんだという、キムタクが美しい。
失明してからの眼が本当に吸い込まれそう、
哀しさと怒りを目で表す彼の俳優としての資質を感じます。
檀れいの美しさも、格別です。
運命に弄ばれる微妙な変化に伴って悲しみの中にも妖しさが加わって、びっくりするほどきれいです。それは髪のちょっとのほつれであったり、疲れた表情であったりなのですが…。
三津五郎いわく、当世一綺麗な女優。この映画が銀幕デビューとか。
その三津五郎は悪役の上司、イメージちと違いますが、まあ、昔見初めた彼女だし、潔く切った相手の名もいわずに切腹して果てたのだし、いいのではないでしょうか。
笹野高史は、平成中村座でも異色の唯一の新劇俳優として、いやなじいさんなどで大活躍していますが、
この映画では、重要な脇役じいやを演じています。いいです、ホントに。
それにしても毒味役、実際あった役職、
殿様はもう冷めきった食材の原型を残さないような、”まずい”ものを食していたのです。
海坂藩がいいんですね。架空であってそうでない、藤沢ワールドの舞台、
その海坂藩の日常の退屈な日々、仲のよい子のまだいない若い夫婦の会話、
お役所でのマンネリ化したお勤め、これは平和ボケした平成の世、
そしていったん一大事が起こると、非日常へ奈落の底へ、これもまた今日の世相、
なあなあで済ましていた食品管理から不祥事が起きて、天地がひっくりかえるような企業内部…、同じです。
映画はその異変、貝の中毒事件によって、非常事態が運命を変えていく。
そこで妻は絶望する夫を思って上司に身を任せる、
夫は妻がだまされていたと知って復讐を胸に、剣の師匠に教えを乞う。
なぜ剣の達人を相手に命をかけるのかと、問われて、
「武士の一分、です」と答えるのです。
そして、盲目の剣士が唯一勝てるとすれば、相手がめしいであるがゆえにあなどる一瞬の隙、ということを悟る。
剣道の心得があるというキムタク、剣さばきに迫力が!
余談ながら香港や韓国のCGを駆使した剣のアクション映画、迫力あるようで、
日本映画のそれに勝るようなものではない。
今もって七人の侍の黒澤映画を超えることができないのです。
それはともかく、山田時代劇、果たし合いの鋭さ、日本美を感じます。
3部作といわず、4作目5作目と日本映画のため、もっと残してほしい。
2007/01/22
武士の一分、というタイトルがなんとも憎い!
原作は「盲目剣谺返し(こだまがえしでいいのかしら)」「隠し剣秋風抄」からという。
山田洋次監督の目の付けどころが違うのですね。
監督が高倉健以来の俳優、とほれこんだという、キムタクが美しい。
失明してからの眼が本当に吸い込まれそう、
哀しさと怒りを目で表す彼の俳優としての資質を感じます。
檀れいの美しさも、格別です。
運命に弄ばれる微妙な変化に伴って悲しみの中にも妖しさが加わって、びっくりするほどきれいです。それは髪のちょっとのほつれであったり、疲れた表情であったりなのですが…。
三津五郎いわく、当世一綺麗な女優。この映画が銀幕デビューとか。
その三津五郎は悪役の上司、イメージちと違いますが、まあ、昔見初めた彼女だし、潔く切った相手の名もいわずに切腹して果てたのだし、いいのではないでしょうか。
笹野高史は、平成中村座でも異色の唯一の新劇俳優として、いやなじいさんなどで大活躍していますが、
この映画では、重要な脇役じいやを演じています。いいです、ホントに。
それにしても毒味役、実際あった役職、
殿様はもう冷めきった食材の原型を残さないような、”まずい”ものを食していたのです。
海坂藩がいいんですね。架空であってそうでない、藤沢ワールドの舞台、
その海坂藩の日常の退屈な日々、仲のよい子のまだいない若い夫婦の会話、
お役所でのマンネリ化したお勤め、これは平和ボケした平成の世、
そしていったん一大事が起こると、非日常へ奈落の底へ、これもまた今日の世相、
なあなあで済ましていた食品管理から不祥事が起きて、天地がひっくりかえるような企業内部…、同じです。
映画はその異変、貝の中毒事件によって、非常事態が運命を変えていく。
そこで妻は絶望する夫を思って上司に身を任せる、
夫は妻がだまされていたと知って復讐を胸に、剣の師匠に教えを乞う。
なぜ剣の達人を相手に命をかけるのかと、問われて、
「武士の一分、です」と答えるのです。
そして、盲目の剣士が唯一勝てるとすれば、相手がめしいであるがゆえにあなどる一瞬の隙、ということを悟る。
剣道の心得があるというキムタク、剣さばきに迫力が!
余談ながら香港や韓国のCGを駆使した剣のアクション映画、迫力あるようで、
日本映画のそれに勝るようなものではない。
今もって七人の侍の黒澤映画を超えることができないのです。
それはともかく、山田時代劇、果たし合いの鋭さ、日本美を感じます。
3部作といわず、4作目5作目と日本映画のため、もっと残してほしい。


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