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紫苑の部屋      

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歌舞伎座さよなら特別公演-松風&汐汲

2009-10-27 00:47:17 | 観劇
私の数少ない観能経験のなかで、
こんなにわかりやすく、堪能できたお能はありませんでした。
シテ松風の観世清和がよく透る謡だったこと、声の質がとても聞きよいのですね。
それはもしかして、
歌舞伎座という劇場がよーくできている、からではないかとふと思いました。
よく言われているのは、1500以上もある座席なのにどこからでも見えてよーく聞き取れる、
音響効果がとてもすぐれている、そうですね。

それに番組がとってもいいですよね、能と歌舞伎の同じ演目を並べる、
日本芸能の極地を体感出来るのですから、すごいことです。
単に比較する楽しみに終わらないですね。
同じ言葉、同じ詩がふたつの表現力を得て、
もうひとつ別次元の世界が大きくふくらんでいくような、
そんな心地にしてくれました。

玉&福助の村松風二人汐汲
つい最近見たように思っていたのですが、自分のブログ内で検索したら、
2年前の9月なんですね。
今回の出端は舞台中央のセリ、これはお能と合わせたということもあるでしょうが、
やはりどこからでも見える、という玉さまのスタンスね。
オーソドックスな舞踊の汐汲とさすがに違えて、
今日のためにアレンジが施されていましたね。
クドキのところは狩衣を着た玉さまの舞、
(これは能のクドキに当たる中ノ舞、破ノ舞の衣装に合わせてある)
傘づくしの三蓋傘もお能との流れからか、余計な小道具は外す、なっとくね。
歌詞は同じかもしれませんが、補曲とあるので、このためのオリジナル曲もある、
とってもよく考えられてあって、素敵でした。
ホントにうっとりの玉&福助の村松風でした。

ところで、お能のしぐさのしきたり、お能用語?興味深いですね。
シテツレ登場の橋懸かりでの対面唱和(一セイ、というらしい)、
これはどうも古い型の名残りで、松風だけにあるようです。
三響會などで聞き慣れている、笛の力強い最初の一声、
あれが私はたまらないく好きなのですが、
今日はかなりお年を召しているようにお見受けします、
ほそーくやさしい音色(演目がそうなのかな?)
でも大鼓は力強く、矍鑠(かくしゃく)たるかけ声、と思ったら、三響會の3兄弟のお父上!
それに、お能って面白いですね、
後に控える後見、地謡に重鎮が控えているのです。
えらい人の目前で舞う、コワイでしょうね。
お能言葉、分からないのがありますねー
見留、って演出、のことらしい、です。
最後のシテツレの引っ込み、僧のワキひとりが舞台に残りますね、それをいうらしい。
旅僧がゆめを見ていて、最後に足をトンと踏む(脇留、という)=夢から覚める、
うまくできてます。
松風村雨の微妙な違い、も不思議ですね。
桶をもってでる妹村雨(中啓だけの松風)、
行平=松と思い狂ってくる姉を止めに入る、
幽霊なんですけど、なぜか現実をきちんと見れる妹、ですよね。

「能と歌舞伎」番組
 2009/10/26 観劇

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