年齢60代、女性。
自骨による股関節RAO手術を20年前、左股関節に実施。(神奈川県の某病院にて)
<患者様の現在の訴え>
2年前くらいより、歩いたり、立ったり座ったりする時に左のお尻の横のあたりに痛みを感じるようになった。
それまでは、非常に調子の良い状態が続いていた。
無理をすると、左のお尻の横だけではなく、左太ももの外側や左下腿の外側あたりにも痛みを感じる。時には、右側の腰にも痛みを感じることがあった。
痛みをどうにかしたかったので、群馬県内の病院を受診した。
レントゲン上、20年経ったとは思えないほど股関節がきれいに保たれていると言われた。しかし、痛みに関しては特に何も言われることがなく、湿布と痛み止めで様子を見るようにと言われた。
もし、それでも痛みがひかないようなら、人工関節置換術を考えたほうが良いと言われた。(この患者様が、受診された病院は県内でも有名な股関節を得意とする病院だ。リハビリ科もあり、セラピストも勤務している)
<動作、および、歩行の観察>
歩行は、左の脚に体重を載せると、左のお尻の横あたりに強い痛みが出る。そのため、左脚にしっかりと体重を載せることができず、かなり重度のびっこをひいている。
(いわゆる、跛行の状態)
そのために、特有の、骨盤の横揺れが大きく見られる。
片脚立ちの検査では、左脚でかろうじて立てるものの、お尻の横あたりの痛みが強く出てしまい10秒ほどしか立てず、ふらふらしている。
靴下を履いたり、脚の爪を切ることがしづらい。階段上り下りの時に痛みが出る。
<関節の可動域>
右の股関節は問題なし。左の股関節の屈曲(曲げる)100°にて痛みあり。外転(広げる)20°にて痛みあり。開排は、右に比べると不十分。
<脚長差>
肉眼では、仰臥位にて、左の方が1cm程度長く見える。???と思い、メジャーで測ったところ、右74cm、左73cmであった。
何かおかしいと思い、骨盤の腸骨稜の高さを比べたところ、右の方が高くなっている。いわゆる、肋骨と腸骨稜の距離が短くなっている。
<筋肉の触診>
左のお尻の外側である、中殿筋、小殿筋、および大腿筋膜張筋を触診したところ、硬さがあり、そして、軽い圧にて強い痛みを訴える。さらに、右の腰方形筋を触診したところ、硬さ、および圧痛が見られた。
<検査的治療の実施>
まず、圧痛および、硬さが一番著明であった、
左中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋を検査的治療にて、表層をぼぐすことを始めてみた。
10分ほどすると表層の痛みが緩和し、深層の筋肉にアプローチができるようになってきた。
中殿筋の深層、および小殿筋に刺激が入れられるようになってくると、
患者様の訴えていた、太もも外側~下腿外側への関連痛が再現された。
ほぐし続けると、関連痛がひいていく感じがすると患者様から声が聞こえた。
その後、大腿筋膜張筋を含めて、痛みが初めの半分ほどになるまで(患者様の感覚で)ほぐし続けた。時間にして30分程度だった。
歩行に影響するかどうか確かめるために、身体起こして、何回か深呼吸をしてから、歩いていただいた。
<検査的治療の結果>
施術前は、本当に重度のびっこ(跛行)であったのが、
「全然、痛くないよ~(笑)」と笑顔でスタスタと、ほとんどびっこをひくことなく歩き出した。骨盤帯の横揺れも大幅に改善された。
片脚立ちも、うまく荷重ができている。痛みも、ほとんど感じていないようだ。
また、結果的に、左の太ももの外側および下腿の外側に感じていた痛みも消失した。
この部分には、検査的治療では実際に触れることはしていない。
同様のことが、右腰部にも起きていた。痛みがかなり軽減した。
その後、仰臥位で、脚長差を再度検査すると、今度は視診にてほぼ同じ長さに整っていた。
その痛み、一緒に乗り越えましょう♪