子供がトンボを追う。どこまでも追ってゆくのだが、あれは何か、と考える。売っていくらという利益になるわけでもなく、またトンボが食えるわけでもない。トンボがもし食えるものなら、子供は追わないにちがいない。
by 司馬遼太郎。
あぁ、お腹が減ったなぁ。トンボって食えるのかな?美味しいかな?食ってみようかな?よし、食ってみよう!
でもなぁ。トンボを捕まえるのに労力を使って、さらにお腹が減っちゃうかもなぁ。やっぱやーめた。
by しんぐ。
とにかく、畑のベンチに寝転がっている場合ではない。と僕は思うのである。
寝転がっていれば、少しは状況がよくなるのではないかと、浅薄な脳ミソで考えたのだが、寝転がってすぐに気づいた。
「こりゃあ、寝転がっていてどうなるもんじゃない。しかも、こんなところで」
しかし、動けないのである。
動けないからじっとしている。
すると、カラスの鳴き声がたくさん聞こえるのである。カラスが何度も頭上を飛んで行くのである。
「まさか・・・死ぬのを待っているのではあるまいな」
枝豆の種を蒔いていただけなのに・・・なぜ、なぜ、こんな目に遭わねばならないんだ・・・。不幸すぎる。
枝豆の種、まだ蒔き終わっていない。がしかし、それはあきらめよう。もう無理だ。
種を蒔いた畝に水をあげなければならない。がしかし、それもあきらめよう。水を入れたジョウロを運ぶのは無理だ。
ただ一つ、帰る前にやらねばならぬことがある。そもそも、帰れるかどうか分からぬが、やらねばならぬことがある。
このままでは、カラスに蒔いた豆を食われてしまう。
そんなわけで、僕は最期の力を振り絞るがごとく、動き出した。
動き出した、と言っても、非常にゆっくりである。
カラスよけに、畝に不織布を被せた。非常に大変だった。でも、これで安心。
しばらく畑に来られなかったとしても、雨が降れば枝豆の芽は出ることだろう。
もう帰る。帰りたい。帰らせて欲しい。ほんとに。
でも、なかなか歩が進まない。痛いなんてもんじゃない。
そばにあったクワを杖にしてみた。
足が痛いわけではない。腰が痛い時に杖は役に立たないと、僕は知った。
しかし、腰が伸びない。腰が伸びないとどうなるか。。。
長老ゴリラみたいな歩き方になるんだよ。
おれ、初めて知った。
長老ゴリラ、しばらく安静が必要な気がするのです。
つづく。
by 司馬遼太郎。
あぁ、お腹が減ったなぁ。トンボって食えるのかな?美味しいかな?食ってみようかな?よし、食ってみよう!
でもなぁ。トンボを捕まえるのに労力を使って、さらにお腹が減っちゃうかもなぁ。やっぱやーめた。
by しんぐ。
とにかく、畑のベンチに寝転がっている場合ではない。と僕は思うのである。
寝転がっていれば、少しは状況がよくなるのではないかと、浅薄な脳ミソで考えたのだが、寝転がってすぐに気づいた。
「こりゃあ、寝転がっていてどうなるもんじゃない。しかも、こんなところで」
しかし、動けないのである。
動けないからじっとしている。
すると、カラスの鳴き声がたくさん聞こえるのである。カラスが何度も頭上を飛んで行くのである。
「まさか・・・死ぬのを待っているのではあるまいな」
枝豆の種を蒔いていただけなのに・・・なぜ、なぜ、こんな目に遭わねばならないんだ・・・。不幸すぎる。
枝豆の種、まだ蒔き終わっていない。がしかし、それはあきらめよう。もう無理だ。
種を蒔いた畝に水をあげなければならない。がしかし、それもあきらめよう。水を入れたジョウロを運ぶのは無理だ。
ただ一つ、帰る前にやらねばならぬことがある。そもそも、帰れるかどうか分からぬが、やらねばならぬことがある。
このままでは、カラスに蒔いた豆を食われてしまう。
そんなわけで、僕は最期の力を振り絞るがごとく、動き出した。
動き出した、と言っても、非常にゆっくりである。
カラスよけに、畝に不織布を被せた。非常に大変だった。でも、これで安心。
しばらく畑に来られなかったとしても、雨が降れば枝豆の芽は出ることだろう。
もう帰る。帰りたい。帰らせて欲しい。ほんとに。
でも、なかなか歩が進まない。痛いなんてもんじゃない。
そばにあったクワを杖にしてみた。
足が痛いわけではない。腰が痛い時に杖は役に立たないと、僕は知った。
しかし、腰が伸びない。腰が伸びないとどうなるか。。。
長老ゴリラみたいな歩き方になるんだよ。
おれ、初めて知った。
長老ゴリラ、しばらく安静が必要な気がするのです。
つづく。