
朝のブログで、行きたいのに行けない場所もある。と書いた。
朝の時点ではあきらめていた。
こーかたにーさんに教えてもらった、硫黄山にある隠し温泉。つまり、秘湯である。
台風の被害を考えると、まずムリだと思われる。
クマの危険を考えると、ちょっと難しいと思われる。
ほぼほぼあきらめていた。
ヴィーノくんとコタン温泉からくりーむ童話へ向かう途中、硫黄山を通った。煙がもくもくと上がり、すさまじい景色である。いつもと同じ景色である、
うーん・・・硫黄山に被害の形跡はないなぁ。これは・・・行けるかも。もしかしたら、行けるかも。
ジェラートを食べながら、ヴィーノくんが言う。
「さっきの硫黄山、すごかったですね!帰りがけにもう一度寄ってから行きます!」
なるほどなるほど。。。
なるほど。なるほど。
僕は神妙な顔つきで話し始める。
「あのね、おれがこれから行こうとしているのはね、あの、硫黄山の裏側でね。そこには、この世界で一番、いや、宇宙で一番の絶景があってね。そしてなんと、そこには湯船があって、その絶景を見ながらお風呂に入れるんだよ。どう?特別に連れて行ってあげてもいいけど。どう?一緒に行くかい?」
ちなみに、3点の不安点も正直に伝えた。
1、たどり着けるかわからないということ。
2、お湯が入れる温度であるという保証はないということ。
3、ヒグマに襲われて死ぬかもしれないということ。
ヴィーノくん、大学三年生。大学院に行くことも決まっていて、将来は自動車メーカーから引く手数多のエリートくんである、
そんな彼を、ヒグマに襲われる危険がある場所に連れて行ってもいいんですか?
いーんです。仕方ないんです。
一人でも行くけど、二人の方が安全なんです。
そーです。道連れなんです!
もちろん、ヴィーノくんは断ってくると思っていた。
だって、スケジュールはきつきつだし。クマ、怖がりそうだし。山登りしなきゃいけないし。
そしたら、ヴィーノくん。「めっちゃ楽しそうじゃなきですかぁ!」とちょー乗り気。
よし、ヴィーノくん!死ぬときは二人一緒だ!