僕はずっと人を探している。
僕の旅は人探しの旅だ。
これはよくいう出会いを求めてという話ではない。
本当に実在の人を探しているのだ。
その人物の名は、「スガコウイチロウ」という。
7年ほど前に帯広で出会った。
スガコウイチロウはこう言った。
「ちょっと二風谷にいるアイヌの知り合いに会いに行く」
キーワードは二風谷とアイヌ。
僕は、それ以来アイヌに興味を持つようになった。
アイヌに関する本を何冊か読んだ。
そして、翌年、二風谷を訪れることになる。
アイヌ文化博物館とアイヌ資料館を見て歩いた。萱野茂の本「アイヌの碑」も買った。
その年、スガコウイチロウには会えなかった。
前の日、二風谷のキャンプ場にいる時、一人のおじさまと出会った。おじさまは第一声、こう言った。
「ゆうべ、クマ出なかったか?」
ん?クマ?そんなの出ませんよぉ。と僕が答えると、「クマのウンチを見せるから乗れ!」と車に乗せてくれた。キャンプ場の背後にグルッと回ったところ、ホヤホヤのクマのウンチを見せながら、「すげーだろ?襲われなくて良かったな」と、おじさまは言っていた。
橋の上で車を止めて、二風谷の小さな川を上る鮭の姿も見せてくれた。
「チセにいるから、気が向いたらおいで!」と言って、おじさまは去っていった。
ん?
チセ?
「博物館があるところだよ!」
ん?
チセ?
このおじさまが、高野さんである。
高野さんとの出会いである。
もう、出会ってから6年が経つ。