そんなわけで、帰って来た。
いざ帰って来ると、本棚を作るなんて・・・面倒臭いなぁ・・・と想うから不思議だ。
しかし、そんなことは言ってられない。
そもそも、ここに引越してくる一年も前のこと。初めてこの家を見た時、閉まった窓越しにこの部屋を覗き見た時、ここに引っ越せたらいいなぁ・・・ここに住めたら、あの壁全部を本棚にしてしまいたいなぁ・・・そう想ったのである。
つまり、それは・・・これは、この家との約束と言っても過言ではないのである。
木材を大量に買い込む。予算が乏しいので、大量と言っても、絞りに絞った材料だ。
それをコツコツと切ったり貼ったり打ち付けたり。
途中で金具が足りなくなって翌日に延期。20キロも離れたホームセンターへ金具を買いに行ったり。
設計図無し、イメージあんまり無し、ぶっつけ本番、ええいままよ!と言う作戦で作業は進む。
京都に素敵なカフェがある。名前は・・・忘れた。
とにかく壁全部が本棚になっている。・・・そんなイメージ。だって・・・ここは「はちみつカフェ」だから。
測っては休み、切ってはお茶を飲み、打っては眠り・・・のんびり少しずつ・・・そして遂に完成。
要らないモノ達との烙印を押され掛かった、我が愛着のモノ達。それを収めて、こんな風になった。
ずいぶんと素敵に出来たものだ・・・と、我ながら感心。
これがね、僕が帰りたかった「理由」ってやつなんだよ。
えっ?ライブ?ん?・・・あっ、そう、それ。そうだった、そうだった。ライブのために帰って来たんだった。本棚のためだなんて、嘘に決まってるじゃん。ねぇ?
おしまい。