私は昔
野球が好きだったと思います
小学生の時、となると
ほんの45年ほど前になりますが
少年チャンピオンで連載されていた水島新司先生の
「ドカベン」は
1巻から40巻くらいまでは全巻持っていて
描き写したり、セリフを空で言えるようになったりして
その奇想天外な野球の世界を楽しみました
確か40巻前後は
スポーツマンシップも度外視の闘犬のような選手で構成された高知県代表土佐丸高校と明訓高校が、選手生命を投げ打つレベルのヒリヒリした決勝を戦っていて
後頭部に剛球の直撃を喰らって大ピンチのアンダースロー
里中智投手の
そのボロボロ具合にときめきを覚えた小学生女児は
自分の中に潜む
何か、清らかでないものの気配に違和感を覚え
( ̄▽ ̄)←なんの話や
息子にはじっくりスポーツに関わる機会を与えてやればよかったと
今でも思います
そうはならなかったのは
冬場の週末の早起きが無理だったのと(私が)
少年野球チームのママたちの強烈な献身ぶりを見て
同じようには出来ないとビビってしまったのが原因でした
彼女らの、子供達と監督への尽くしっぷりは
本当に尊かった
週5日サラリーマンとして働き、
休日の早朝から毎週毎週
地域の子供達に野球を教えようとしてくれる人に対しては
深い感謝を持って接するべきだと私も理解はしていました
しかし、
毎週毎週当番制で
四、五人のママがお茶やお絞りを用意し
頃合いを見て監督に給仕するその様子にはドン引きで
「もう私たちって、キャバ嬢?って感じよね(笑)」
と笑うのをみて
ああ、その自覚あるんだ・・と思ったことを思い出します
ママたちは練習試合の相手や練習出来るグラウンドの手配も全て請け負っていて
特にキャプテンたっちゃんママのマコさんは
保護者会長として
監督と副監督を縫い合わせるように立ち回り
言いたい放題のどちらかが
機嫌を損ねれば全て一からやり直し
なんて理不尽にも真正面から立ち向かってた
全ては
息子のため
息子の野球のため
息子のポジションにも影響しかねない立ち居振る舞いに
注意深く気をつけながら
ドラフト会議の様子がテレビで放映される特別番組には
「お母さんありがとう」と銘打たれていました
全くもって限定的なこのタイトルってどうなの?
と思ったり
あのママたちを思い出すと
確かになあ・・と思ったり
もちろん少年野球が全てそうだと言うつもりは全くなくて
一番身近だったチームが
たまたまそうだったと言う
ふた昔前の
話です
そんな少年野球を遠目に見ていた私が
本格的に野球から遠ざかる事となる事件がありました
かの<自称キャバ嬢>マコさんが、隣の市の強豪チームに根気よくオファーを続け
ついに胸を借りるまでに漕ぎ着けたと喜んでいたので
見に行くことにした試合で
起こりました
恐らく多くの地域少年野球チームがそうであるように
マコさんたちのチームも
子供たちよ!
楽しく野球やろうぜ!
と言うスタンスでした
しかしマコさんは
高学年のメンバーが中学に進んだ時
それまでの野球経験が部活動で全く通用しない事にショックを受けないよう
より高いレベルの少年野球に直に触れる機会を作りたいと考えていて
試合はその思いが実現する良い機会になるはずでした
噂の強豪チームは小学生ながら洗練されたユニフォームに身を包み
統率の行き届いた無駄のない動きで颯爽と登場
卒のない礼儀正しさで試合を始めたかと思うと
楽々と得点を重ね
素人目にも
よく相手を引き受けてくれたなあ・・と思うまでの点差を広げて行きました
マコさんなんか
ホームランの球を拾いに外野全員がいなくなる事で中断する度に
ああ、申し訳ない
有り難い
と強豪チームベンチに手を合わせてた
事件が起きたのは
5回コールドでいいですかねと向こうの関係者が確認してきた直後の
我がチーム最後の攻撃
1点でも取り返したいたっちゃんの長打が
ランニングホームランになるかと思われた
クロスプレイでのこと
アウトかセーフか?!
審判の声より先に私達が目撃したのは
命の危機を思わせる子供の絶叫
右手を庇いながら
絶命寸前の魚のように悶え転げるたっちゃんの姿
後から聞いた話によると
たっちゃんの中指は本塁を守るキャッチャーミットに弾かれて
手の平の反対側に捻れ折れ
ほとんど手の甲にくっついていたそう
一斉に駆け寄るむ我らがチームの関係者
応急処置に走るママ
携帯電話で医療機関を探すママ
救急車を呼ぼうとして止められてるママ
車を出そうと立候補の声を上げるママ
たっちゃんは泣き声を押し殺し遠目にも顔面蒼白
一方強豪チームといえば、
監督が様子を覗き込んで
二言三言こちらの監督に声をかけたかと思うと
帽子を取って深々と一礼をするこちらの監督に
目礼をして去ってゆき
それを合図に
試合を見に来た保護者を含め全員が
無言で引き上げの準備をし始めたのです
選手たちは飼われた羊よのうに集まると
円陣を組んで、いかにもルーティンな短いミーティングをしたかと思うと
何事も無かったように無言で引き上げて行きました
この非常事態に
保護者同士がなにか話すわけでもなく
選手同士が言葉を交わすわけでもなく
あっさりとただ帰ってゆくのを見て
私は空いた口が塞がりません
(ちょっと待て!)
(大怪我したんやで?)
(一言もなし?!)
「試合中の事故だからね」
「怪我でイチイチ大騒ぎしてたら、スポーツで強くはなれないし」
「これくらいのことでは動揺しないように教えてるのよ
それが強いチームの常識」
たっちゃんは中指の完全骨折と取り巻く筋肉の損傷で全治1ヶ月
マコさんは
「これも経験よ」
「強さに必要なのは強い精神なのよ」と
残念そうに笑っていましたが
私はとても納得できませんでした
子供のスポーツに於いて
そこまで割り切る必要などあるのか
強さとは、相手にも押し付けることなのか
強くあることより先に
育むべき大切な物を削ぎ落としてはいないか
本当の強さの上には
優しさや思いやりが育まれるはずではないのか
私はとても傷つきました
眼の前で大怪我をした子供に
お見舞いの言葉一つ掛けない大人たちがいたことにも
心に沸いたであろう謝罪の気持ちを
伝える機会すら与えられない子供達がいたことにも
釈然としなかった
こんなことは許されるべきではない
私は根性なしのへなちょこで
スポーツの精神のなんたるかをよく知らない
けれど
強さを極めるためにそんな面の皮の厚さが必要なら
そんなスポーツの強さなど
ク○喰らえじゃ!
と心に決めたのです
この度のWBCの日本チームの連戦連勝で
テレビニュースもそればっかりなのは
例によってちょっと辟易するのですが
私の密かな推しの佐々木朗希投手が先日
死球をぶつけたチェコの選手が投宿していたホテルまで
両手一杯のお菓子を持って出向いた話を聞き
かつての私が救われた想いがしました
ほら!やっぱり!( ̄ー ̄')
強くある事と
謝罪の気持ちを持つことの間に相反するものはない!
両方あっていいものなのだと
教えて貰えた気がしたから
そして再び
野球が好きになれるような気がしたのでした
いやあ(” ̄▽ ̄)
息子より年下の男性に心動かされることなど無いように
日頃から心がけているのですが
佐々木朗希投手は
サムライの中のサムライではなかろうかと
うっとりを禁じ得ない
今日この頃でございます
↑( ̄ー ̄)今日の要点ココ
今日はそんな話です
〜( ̄▽ ̄)ノシ
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