開幕戦からいろーんな見応えのあるゲームがあり、
やっぱりJリーグは面白いなーと思う中、
この試合はおそらく、
開幕戦の中では一番見応えある試合だったと思う。
4連覇を逃しながらACL出場権を獲得し、
改めて総合力の高さを見せつけた元王者・鹿島と、
毎年残留争いに巻き込まれながらも、
今季は効果的な補強を成功させ、下馬評が高い大宮。
それだけでどう組み合うのか非常に楽しみなカードだったが、
まさにその通りの内容となった一戦だった。
まず、大宮は本当に良いチームになったと思う。
いくら補強が成功したと言っても、
相手が鹿島となれば、十分に敗戦も覚悟しなきゃいけない試合。
補強選手が上手く噛み合うかもまだ分からないし、
試合巧者ぶりも完全に相手が上。
そんな状況下で、常に試合を有利に進めたのは大宮だった。
鹿島が攻勢に出る中で、キーパーの北野が安定感を見せ、
粘り強い守備を随所で見せていく。
確かに、鹿島自体の決定力不足に助けられた部分もあったが、
大宮の気迫は十二分に感じられた。
そして、先制点を奪ったのも大宮。
前半の11分、前線へ入ったフィードにイ・チョンスが反応し、
なんなく右足を振りぬいてゴール
これ、ただ合わせただけと言えばそれまでなんだが、
配給されたボールのバウンドを見て、ピンポイントで蹴りこむ技術とか、
前線に正確にフィードを通す技術とか、
派手さはないものの、実に綺麗なファインゴールだった。
ただ、そこは鹿島も譲ることなく、
まさに意地とも言えるプレーで同点に追いつく。
後半に入ってからエンジンが掛かってきたものの、
なかなかゴールを奪えない鹿島。
この日、興梠は結構決定機を外していて、
北野の牙城を崩せずにいた。
だが、後半開始早々のコーナーキック。
こぼれ球を、
伊野波が強引に押し込みゴール―――!!
もうこれは、ただ振りぬいただけのシュートみたいだったが、
クロスバーの下に当たりながらもボールは押し込まれ、
実にすかっとする一発だった。
まさに意地。そんなゴールで鹿島が同点に追いつく。
しかし、
この日の大宮は本当に強かった
その中心にいた人物こそ、
上田康太、この人
正直、磐田を退団してしまったことは非常に残念だったんだが、
この試合を見る限り、大宮に移籍してよかったなーと。
プレーもイキイキしているように感じたし、
中心選手の風格すらもわりと漂っていた。
もともとポテンシャルは高い選手なので、
もう少しやれた感じは本人もしていると思うんだけど、
もう一皮剥けられなかった磐田の時より、
覚悟もあってか、チームにフィットしてるんじゃないかと。
そして、それが印象的だったのは、
あのフリーキック。
伊野波に押し込まれ、同点に追いつかれた直後。
フリーキックのチャンスを得た大宮は、
このチャンスにキッカー・上田を選択。
するとボールは、きれーにゴールマウスへ
ジュビロの時は決めそうで決めれなかった上田に生まれた、
芸術的な直接フリーキック。
これはもうさすがとしか言いようがない。
で、この後もゲームは点の取り合いの様相を呈し、
一気にヒートアップしたまま進んでいった。
鹿島の岩政が押し込んで再び追いつけば、
大宮もイ・チョンスのスーパーゴールでまたも勝ち越す。
選手個々のパフォーマンスではどっちも明暗があったが、
どちらの選手にも好調な選手がいたのは、この試合が面白かった要因だろう。
特に大宮のイ・チョンスは、昨季よりも格段に怖さがあった印象。
1点目のゴールはまぁ想定通りとはいえ、
2点目のゴール。あれはヤバイ。
ミドルレンジから振りぬく思い切りの良さから、
それを入れるという決定力。
これにこの日はあまり目立てなかったラファエルが好調になってきたら、
大宮の前線は相当怖いなと。
実際この試合も、ラファエルのヒールパスをイ・チョンスが受け取り、
そこから2人で崩しにかかるシーンもあった。
まだベンチには石原もいるわけで、
大分から移籍した東もフォワードとして起用できる。
バリエーションも豊富だし、
これに藤本や上田が上手く噛み合えば、攻撃力は相当なもんだ。
一方の鹿島は、岩政や伊野波がゴールを決めるなど、
1人1人のポテンシャルは見せたが、
まだマルキーニョス不在の穴を完全に埋め切れてない印象。
特に興梠は、スーパーカップでもそうだったが、
まだあんまり好調時のキレがない感じ。
上手さは非常に感じるんだけど、
今のままじゃ代表復帰は遠いかな。
ただ、田代は途中出場ながら決定機に絡んでいたし、
カルロンもまだ未知数なので、
これからどう変わっていくのかも見もの。
この試合も、ロスタイムに追いつく底力を見せてくれたし。
最終的には3-3と痛み分けになったが、
それぞれ重い勝ち点1になったんじゃないだろうか。