酔っ払いの戯言

塾長から使えば?などと、甘い言葉に
ついつい乗せられて。

産科医の現場離れ深刻(共同通信)

2006-11-05 23:15:31 | 医療
 都道府県の8割が直面する産科医不足。背景には24時間体制の過酷な勤務実態と、お産をめぐる訴訟や刑事責任に問われるケースの増加がある。勤務医たちはプレッシャーに押しつぶされるようにして、生命誕生の現場から離れている。

 ▽医療ミス

 大阪府の男性産婦人科医(38)は昨年12月、出産した母親の死亡事故をきっかけに、産科の診療所を辞め、お産を扱わない診療所を開いた。

 亡くなった母親は後で死亡率の高い羊水塞栓(そくせん)症だったことが分かったが、直後には医療ミスを疑われた。遺族から殴られ、警察では6時間も取り調べを受けた。

 「ただでさえ大切な患者さんを失って苦しい思いをしている時に、これでもかというほど打ちのめされた」。結局、限られた人数では、出産は扱えないと結論を出した。

 医師は「社会ではお産を軽く考える風潮があるが、実際は命にかかわることもある。医療の現実と患者の意識のずれが、一方的に医師にぶつけられている」と訴える。

 ▽走る動揺

 大阪府の公立病院勤務が長い産婦人科の女性医師(41)は、外資系の製薬会社への転職を決めた。緊急手術など臨床現場での経験は約15年。当直明けで翌日も仕事をする36時間勤務などもこなしてきた。

 転職を決めた理由は忙しさではない。「忙しくても収入が悪くてもやっていける。でも寝ずに働いて、患者から暴言を浴びせられたり、訴えられたりするプレッシャーの中では、何のためにやっているのか分からなくなる」

 医療訴訟は2004年まで増加を続け、05年は減少したものの1996年の1.7倍。医療事故をめぐる警察への届け出は、97年は21件だったが、03-05年は毎年、200件を超えた。立件数も97年の3件から毎年増加し、05年は91件。福島県立大野病院で起きた出産時の死亡事故では、医師が業務上過失致死容疑で今年2-3月に逮捕、起訴され医療関係者の間に動揺が走った。

 警察庁は「医療事故の捜査は病院や患者側からの通報が前提。過失の立証が難しく、警察側から積極的に掘り起こしをするわけではないが、通常の捜査と同様、過失が立証できれば立件する」とのスタンスだ。

 ▽患者救済

 勤務医を辞めていく実態などを著書「医療崩壊」にまとめた虎の門病院(東京)の小松秀樹(こまつ・ひでき)医師は「尋常じゃない働かせ方と訴訟など患者とのあつれきの中、産科だけでなく勤務医全体が病院から離れ始め、危機的な状況だ」と警告する。「医療は不確実で、過失がなくても重大な結果になることがある。警察が介入すべきではないし、現実を理解せずに報道するメディアの責任も大きい」

 一方で患者にとってみれば、医療ミスを問う手段は訴訟や刑事告訴などしかないのも事実だ。医療消費者ネットワークMECON代表世話人の清水とよ子(しみず・とよこ)さんは「警察に駆け込む人が増えているのは、病院が真実を隠し、国が患者救済の法律も制度もつくっていないため。それがない限り、患者側は警察に社会的制裁を与えてほしいと考えるのではないか」と話す。

 こうした実態を受け、厚生労働省は8月末に発表した「新医師確保総合対策」の中で、訴訟リスクを回避するため医師に責任がなくても患者に補償する「無過失補償制度」の創設を打ち出した。

 自民党もこの問題で検討会を設置し、年内に結論を出す方針。ただ、財源や対象者をどうするかなど課題は多く、実現までにはまだ紆余(うよ)曲折がありそうだ。

(共同通信、2006年10月31日)

****** 共同通信、2006年10月31日


各地の補習(読売)

2006-11-05 20:16:16 | 履修漏れ
 必修逃れの高校では、今回は特例措置として、弾力的な補習を行うことができるため、生徒の関心を呼ぶよう工夫を凝らしている。


酒蔵見学→「家庭科」 ビデオ視聴→「歴史」

 2科目が必修の「地理歴史」で「世界史」か「日本史」の1科目しか履修させていなかった石川県の私立北陸大谷高は、2日の補習で、世界史を受ける生徒も日本史の生徒も、幕末期を扱ったNHKのテレビ番組「その時 歴史が動いた」のビデオを見た。福井県の私立福井工大福井高も「生徒が学びやすい内容に」とこの番組の活用を検討しているという。

 「家庭科」などで履修漏れがあった神戸市の名門私立・灘高は、今後の補習で、同校の運営母体の酒造会社「菊正宗」の酒蔵を見学し、杜氏(とうじ)の説明を聞いて酒が出来るまでの工程を学ぶことも検討している。不動産広告の見方や出会い系サイトの危険性などを学べる講演会を補習に代える案も浮上。和田孫博教頭は「生徒の将来に役立つ内容を考えたい」と話す。

 「音楽」が履修不足の京都府の私立高は、コンサート鑑賞も補習の一部にすることを検討。兵庫県の私立関西学院高は、クレジットカードに関する講習会を、家庭科の補習の出席日数に含める考えだ。

 一方、豪州への修学旅行を世界史の授業に換算していた埼玉県の私立西武文理高は、大教室に3クラス約100人を集め、世界史の補習をスタートしている。

(2006年11月5日 読売新聞)


滋賀県の履修漏れの補習(京都新聞)

2006-11-05 20:15:20 | 履修漏れ
 履修していない必履修科目の補習をどう進めるか-。大学受験を控えた3年生の生徒を抱える滋賀県内の高校では、対応に追われている。

 世界史Aを日本史の授業と合わせ、日本史の内容を教えていた草津東高(草津市)は、「日本史はすでに卒業単位を満たしている」として、今後は本来の世界史の授業に切り替える。受験に日本史が必要な生徒には、早朝か放課後に日本史の授業時間を設けることにしている。

 67時間の履修時間不足が指摘された玉川高(同)は、3年生が自宅学習となる来年2月以降の補習を検討中。筈井美邦校長は「3月1日の卒業式には間に合わせたい」と話す。

 大津高(大津市)は、午後の授業がなくなる来月初旬の期末テスト後や、1月のセンター試験後の時間割を見直すなどして補習時間を設ける予定。早朝と放課後に補習時間を設けることを検討している膳所高(同)は「教員の人数が足りないが、県教委と相談し、できるだけ早く始めたい」としている。

情報科を他教科にすりかえ(朝日)

2006-11-05 15:40:58 | 履修漏れ
高校生の必修科目の履修漏れ問題で、地理歴史と並んで、受験対策の授業の「隠れ蓑(みの)」として各地の高校で使われたのが「情報」だ。03年度に必修となったばかりの歴史が浅い教科である点や、大学入試での重要度が低いという点が背景にあるようだ。今回の事態が発覚する前に学術団体が行ったアンケートでも、「夏休み前までは情報だったが、その後は数学になった」などの「告白」が卒業生から相次いだ。
  


 今回の履修漏れ問題では、情報の時間が数学などの授業に振り替えられたり、必要な単位分の授業が行われなかったりしたケースが目立った。

 長崎県諫早市の鎮西学院は、国公立進学クラスで、週2回の授業を物理や生物、英語に振り替えていた。「現役合格のためには時間が足りなかった」と話す。北海道では、札幌東や函館中部など複数の道立高で、2単位分が必要なのに1単位で扱い、残り1単位分を世界史や数学に充てていた。

 茨城県立伊奈は1年生と2年生に現代社会などの授業をし、校長は「授業内容は数学と似ている部分があり、数学を履修していればいいという理解があった」と釈明した。一方、新潟県教委は「情報で数学など他の教科・科目との連携を大幅に取り入れていた学校が20校あった」と発表したものの、「『未履修』とは異なる」との考えを示した。

 なぜ、情報が犠牲になったのか。関係者は、新しい教科である点や入試に採用する大学が少ない点を挙げる。

 情報を教える先生たちの集まりである東京都高等学校情報教育研究会。その幹事を務める糸井和宏・都立駒場高教諭は「進学校には『情報なんてやらなくてもいい』と公言していた校長もいる。新しい教科であるため、担当していない教師の間には大切な科目であるという認識が浸透していない」と指摘する。

 近畿地方のある研究会の会長は「入試に出るか出ないかで左右される。携帯電話を利用した犯罪も相次ぐ中、情報リテラシー(情報を読み解いて活用する力)は高校生にも絶対必要。指導要領通りしっかりやってほしいのだが」と話す。

 こうした実態を裏付けるようなアンケート結果もある。

 情報教育に携わる先生たちでつくる「コンピュータ利用教育協議会」(CIEC)は、情報教科が高校でどのように扱われているかを調べるため、今年4月に全国45大学・短大の新入生8698人を対象にアンケートをした。高校何年生で履修したかを聞いたところ、「履修せず」という答えが約4分の1だった。これは、情報という教科がなかった浪人生も含む数字だが、「履修した」と回答した中でも、「通年ではなく一時期しか履修しなかった」が22%、「他の内容を学んだ」が7%に上った。

 自由記述では「(通常70コマのところ)夏休み中に6時間ほど授業」「途中で現代社会に変わった」「2時間ぐらいやって残りは様々な教科の小テストなどをやった」など、情報の授業が骨抜きになっていたことがうかがえる回答が続出した。

 CIECの武沢護理事は「ばたばたと導入が決まる中、現職教員に講習をして担当者を『促成栽培』した点にも問題がある。重要性をしっかりと認識していない教員も教えている状態になっており、教員養成の在り方から考え直すことが必要だ」と話す。