明治のトンネルは、安倍郡弥勒村の村長だった宮崎総五が呼びかけ人となり、1876年に日本初の有料トンネルとして宇津ノ谷峠に開通しました。完成当時はかなりお粗末な代物だったようで、静岡側、岡部側双方の出入り口の工法が違っていたり、中央付近でちょうど「くの字」に曲がっていて入口から出口が見えなかったそうです。そのため50以上のカンテラがトンネル内に吊るされていましたが、それでも中央付近に行くと顔を伺うことができないほど暗かったそうです。1896年にこのカンテラが原因で火災により焼失しますが、1904年に入口出口が一直線になり、また内壁が赤煉瓦で覆われた美しいトンネルに変貌しました。
今回は静岡側から岡部側へ向かって歩きました。ちょうどお昼頃、暑い盛りでしたが、トンネルの中はひんやりとして涼しかったです。平日ということもあり昼間なのに人っ子一人おらず、ちょっと不気味でした。そういえばこのトンネルは幽霊が出るという噂もあります。さすがに夜中は怖くてここには来れないなあ…。この先は国道1号線の岡部側の歩道橋に接続する「明治の道」になります。残念なことに先日の台風で木々が倒れており、歩くことがままならずこの道を通ることは出来ませんでした。ちなみに宇津ノ谷峠には、「大正のトンネル」「昭和のトンネル」「平成のトンネル」もあります。
トンネル内部