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2016年3月9日~「ガラ公演 ジョン・ノイマイヤーの世界」
リリオム感想パート2を書く前に、とりあえず、昨日の興奮状態を収めるために、ガラの感想を先にあげちゃいます。
なんていうか、頭の中が、戸川純とノックレベルグとバッハとシュニトケとバーンスタインでいっぱいです。(なんやそれ)
2016年3月9日(水) 東京文化会館 18:30
ジョン・ノイマイヤー「京都賞」受賞記念
ハンブルク・バレエ団2016年日本公演
ガラ公演〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉
振付・演出・ナレーション:ジョン・ノイマイヤー
※『作品100-モーリスのために』以外すべて抜粋上演。
ジョン・ノイマイヤーご本人によるナレーション(字幕付き)で、ジョンも時々舞台に現れたり。
で、ジョン本人を投影しているような役割で、観客を舞台にオーガナイズするのがロイド・リギンスという、もう、ロイドファンにはたまらない、まさに、ロイド・オン・ステージでして。
このところ、演じる部分や先生的な役割が多くなってきたロイドなのですが、このガラでは、その演技も大きく占めてるものの、「はじけて踊ってます」という生きのいいロイドもたくさん観られて、嬉しかったです。
第一部
『キャンディード序曲』
(『バーンスタイン・ダンス』より)
音楽:レナード・バーンスタイン
ロイド・リギンズ レスリー・ヘイルマン
有井舞耀 コンスタンティン・ツェリコフ
菅井円加 カーステン・ユング ほか
てっきり、録音音源のジョンのナレーションなのかな、なんて思っていましたら、マイクを持ったジョンが出てきてびっくり。
そして素敵なお声と、わかりやすいナレーションでスタート。
『アイ・ガット・リズム』
(『シャル・ウィ・ダンス?』より)
音楽:レナード・バーンスタイン
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ ほか
バーンスタインの2曲はとてもおしゃれで華やかでしたねー。
『くるみ割り人形』
音楽:ピョートル・イリーチ・チャイコフスキー
フロレンシア・チネラト ロイド・リギンズ
アンナ・ラウデール アレクサンドル・トルーシュ
ジョンのくるみは、マリー役はバレエ学校の生徒、お姉さんのルイーズがスターで金平糖を踊る設定。
このガラではチネラトとトルーシュが、オーソドックスなバージョンでクララとくるみ割り人形がおとぎの国へ旅立つ前の部分の曲で踊る場面、それからラウデールとロイドがあの美しいチャイコフスキーの間奏曲(眠りのパノラマのあとの間奏曲!!!!)で踊ります。(これは、、、生のヴァイオリンで聴きたかったなあ)
うっとりでした。
『ヴェニスに死す』
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ リヒャルト・ワーグナー
ロイド・リギンズ カロリーナ・アグエロ
アレクサンドル・リアブコ
頭ではわかっていても、映画の印象が強すぎて「あれ?マーラーの曲じゃない」という戸惑いもありましたが、これはこれで、アッシェンバッハの苦悩が伝わるような雰囲気が素敵な作品でした。
『ペール・ギュント』
音楽:アルフレッド・シュニトケ
アリーナ・コジョカル カーステン・ユング
ノイマイヤーの作品は一度見ただけでは理解できないものも多いです。でもそれを「難解」の一言ですますのも嫌というか、悔しい、そこに込められた意図や揶揄、人間を深く描いているところを少しでも理解したい、とても魅力的な作品を作る振付家だと思います。
この「ペール・ギュント」はアンナ・ラウデールとエドウィン・レヴァツォフの組み合わせで昨年の世界バレエフェスティバルで観ました。
場面は違うような気はします。
音楽もペール・ギュントと言ったらグリーグの劇付随音楽、みたいにワンセットでインプット、もう子供のころから刷り込まれているのではないのですが、個人的には好きなシュニトケの音楽であることと、バレエフェスでちょっとでも作品の一部に触れていたせいか、「はい、ペール・ギュントですね、了解」みたいな心の準備があって、けっこう、すとんと。
こう、心にすとん、ときました。
まあ、私の受け取り方があっているかどうかはともかく、今回のガラで観た部分は、さんざん好き勝手してきたペールがソルヴェイグの元へ戻ってきて、見守られて最後を迎える場面、、、のような感じに観えました。
じゃあ夏はなんだったのかというと、ラウデールとレヴァツォフの時も、ペールがソルヴェイグのところに戻ってきたところなのかな?なんて思ったので、やはりちゃんと何回も見ないと分らないのか、こちらの力不足、いや理解力不足なのか。
とりあえず、ユングとレヴァツォフ、衣装の色は違ってたような?。
何はともあれ、カーステン・ユングのペール役は、彼のワイルドな感じが、放蕩の旅なり、「一発当ててやるぜ」と田舎を飛び出していくやんちゃな無謀さがすごく似合っているし、健気&可憐に耐える姿がはまるコジョカルなのですが、なんていうか、今回は「母性」のような雰囲気がまさにソルヴェイグという感じで、いいなと思いました。
耳ではシュニトケ、目ではコジョカルとユング、なのに脳内はアイナル・ステーン・ノックレベルグの演奏するペール・ギュントな感じでした。
『マタイ受難曲』
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
ロイド・リギンズ ダリオ・フランコーニ ほか
これはノイマイヤーにしては(にしては、ですよ)歌詞に忠実というか素直というか、モダンでありながらも割とクラシカルな要素も多く、わかりやすいですね。映像でよく見ているせいもあるし、バッハの音楽の力も大きいかな。
『クリスマス・オラトリオⅠ-ⅤⅠ』
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
ロイド・リギンズ パトリシア・フリッツァ
レスリー・ヘイルマン クリストファー・エヴァンス 菅井円加 レナート・ラドケ ほか
こちらもバッハの重厚で崇高でそして荘厳さと華やかさあふれる音楽とダンスが一体になった素敵な世界でした。
なのですが、マタイ受難曲の時は脳内はなんとなく「宮島、厳島神社」な雰囲気だったんだけども、こちらではなんていうか、、、、、ベルばら?いや違うな。
なんだろうな、原ちえこのフォスティーヌ的というか、、、こう、コマの淵が全てバラとレースとフリルっていうか、極上のおリボン。
天使がラッパを無邪気にパラッパーと吹きまくってるような。
聖性の中にサイケな部分もあるような。こう、「楽器の歴史」(12000円するけど、復刻してください!)のリリー・ストゥンズィの撮影した美しい写真の中に戸川純がサブリミナル的に混ざっている、そんな印象でした。
【第二部】
『ニジンスキー』
音楽:フレデリック・ショパン ロベルト・シューマン ニコライ・リムスキー=コルサコフ ドミトリ・ショスタコーヴィチ
アレクサンドル・リアブコ エレーヌ・ブシェ アレッシュ・マルティネス
パトリシア・フリッツァ ロイド・リギンズ ほか
すでに第一部でおなかいっぱい、もうチケット代以上のものをいただきました、ありがとう的な気分だったのですが。
このニジンスキー、すごかったですね。
カンパニーの底力を堪能できました。
そして、アレシュはほんとにほんとに素晴らしいんだけども、やっぱり、まだ発展途上というか、いやまさに、今だからこういう踊りなんだろうけど、若くて蒼いというか。熱いというか。(ローザンヌからだいぶ経つけども)
彼がこの今の段階から飛びぬけて次の次のどーんと次のステージに到達すると、サーシャみたいになるんですかねぇ。
サーシャがいてこその、このニジンスキーなのでしょうし、(もちろん、ロイドもいいんだけども、それはそれでおいといて)
サーシャはジェントルな雰囲気の役を演じても素敵だと思うのですが、「狂気」だったり、こう、ぬらり、っていう感じがもう、天下一品だと思うんですよね。あんなにやさしそうというか性格よさげなお顔なのに。
これは抜粋ではなく、全部観たいなあ。次持ってきてくださいよ。もちろんサーシャ主演で。
『ハムレット』
音楽:マイケル・ティペット
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ
やっぱりガラっていうのは難しいなあというか、こう、レヴァツォフも「リリオム」で地獄の番人で観たときは「ええやん、レヴァツォフ、ええわー、惚れるわ。。。。」ってなったのは、手下メンバーの地獄軍団がちょっとひょろいというか、彼よりも若い(たぶん)感じの子が多かったからのようで、ロイド、ユング、そしてサーシャがすごい!!!!!っていうのを改めて実感するこういうガラの中でだと、レヴァツォフ、大変だなあと。
もちろん彼は素晴らしい才能を持っているのでしょうが、ポンと出てきて、さあハムレットの世界に引きずり込むというのは、まだちょっと足りないような気がする。
なんていうか、素材で勝負な。華麗なる大根というか。
あれですよ、華やかな演出と、これでもかとフルーツてんこ盛りの、キル・フェ・ボンのタルトのような。
あれはあれでいい売り方だとは思うし、それなりにグレードの高いタルトの上部分なんだけども、アタシはも少し、タルト本来の土台部分もきちっと作ったタルトが好きなのよねー、っていう。
ラウデールが好演なだけに、そこがちょっともったいなかったかな。
たぶん全幕で観たら印象も変わるのかもしれませんし、レヴァツォフ、嫌いではないので、アレシュのように次世代ダンサーとして応援したい人です。
『椿姫』
第2幕のパ・ド・ドゥ
音楽:フレデリック・ショパン
アリーナ・コジョカル アレクサンドル・トルーシュ
コジョカルが初めてちゃんとマルグリットに観えましたよ!ノイマイヤー振付言語に慣れた、踊りこんだ、ということなのでしょうし、コジョカル、もうこれ以上伸びないくらいの高みに達していたと思うのですが、まだまだいろんな面を見せてくれそうです。ロイヤルを去ってしまったのは淋しいですが、世界中でいろいろな作品を踊ってほしいダンサーです。
アレクサンドル・トルーシュも素晴らしいですね。
シュツットガルトに比べると、ハンブルクは世代交代がうまく行っている感じがいたします。
『作品100-モーリスのために』
音楽:サイモン&ガーファンクル
アレクサンドル・リアブコ イヴァン・ウルヴァン
サイモン&ガーファンクルの「オールド・フレンド」と「明日にかける橋」を使った作品で、モーリス・ベジャールの70歳誕生日のガラのために振付けられました。
私はイヴァン・ウルヴァンがけがをしてからは、ほとんど彼を観ていなかったし、彼もだんだんロイド・リギンスのように、ポスト・ジョン的な立ち位置なのかな、ってさみしく感じていたのですが。
んが!
まだまだ行けるよね!ってか、がんがん、とは言わずとも、少しでも長く、真ん中はってほしいわ。
サーシャとウルヴァンという極上の組合わせを堪能いたしましたが、やー、もう、あまりにも優しいというかあたたかな作品で、泣いてしまいました。
『マーラー交響曲第3番』
音楽:グルタフ・マーラー
シルヴィア・アッツォーニ
カーステン・ユング ほか
ここまできて、ユングにしろロイドにしろ、サーシャにしろ、ほんと素晴らしかったんですが。
女ってつえーと。ツェー、ですよ、はい。
もうシルヴィアすごすぎる。
全部持ってかれました、わたし。
【上演時間】
第1部 18:30~19:45
【休憩 25分】
第2部 20:10~21:20
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