役員 (会社)
英国の会社では、私会社 (private company) の場合、少なくとも1人の取締役 (director) を置かなければならない。なお、会社の通常定款 (articles of association) の定めにより、必要な取締役の最少の員数を増やすことができる。会社は他の会社の役員 (officer) になることが出来るが、少なくとも1人の取締役 (director) は個人であり16歳以上でなければならない。 公開会社 (public company) の場合、最少2人の取締役 (director) を置かなければならない。取締役 (director) のうちの1人は個人であり16歳以上でなければならない。
米国の法人の取締役 director は、一般に取締役会 (board of directors) の構成員として法人の経営方針を決定し業務執行を指揮・監督する。ただし、州によっては1人でもよいとされる。 米国の会社の director には2種類の用法があり、取締役会の構成員、つまり取締役という意味と、日本で言う事業部長や統括部長に近い役割のバイス・プレジデント (vice-president) の下で manager を指揮する役割の、和訳でいう部長や課長という意味合いがあるので、単に director と言う場合には混同することがある。取締役であることを明確にするために member of the board of directors と表記する場合もある。日本の会社においては取締役の英訳としてそのまま使用される場合が多い(もちろん日本でも部長、課長級の英訳として director を使用する場合が多いが、主題である「役員」の議論に限定すれば取締役の訳と解釈される)。
シャドウ・ディレクター [編集]
シャドウ・ディレクター(英語: shadow director)。実質的に会社を経営する影の取締役。 英国の会社法 (Companies Act) の第251条では、会社法における「影の取締役」(“shadow director”) は、会社について、習慣的に会社の取締役 (director) に指示又は命令する者をいう。なお、取締役に対して専門的な立場から助言しただけでは影の取締役 (shadow director) とは見なされない。また、取締役 (director) の一般的な職務、社員 (member) の承認が必要な議事録、又は唯一の社員 (sole member) 兼取締役 (director) との契約のために、習慣的に子会社 (subsidiary companies) の取締役 (director) に指示又は命令しただけでは、法人団体 (body corporate) は影の取締役 (shadow director) とは見なされない。 英連邦諸国の会社法や香港の会社条例にも同様に影の取締役(英語:shadow director、中国語:影子董事)の定めがある。 この規定により、社員その他の実質的な会社の経営者が、名目的な役員 (officer) を使って責任を逃れるのを防ぐ。
マネージャー [編集]
マネージャー(英語: manager)。和訳は支配人。日本の現行の会社法では支配人は会社の役員に含まないが、日本に株式会社制度が導入されはじめた頃の国立銀行条例においては「支配人会計役書記役其他ノ役員ヲ定メ」との記載があり、かつては日本でも支配人は会社の役員とされていた。 英国の会社の「支配人」 (“manager”) は、英国の会社法 (Companies Act) の第1173(1)条で、法人団体 (body corporate) の役員 (officer) に含むと定めている。英連邦諸国の会社法や香港の会社条例における支配人(英語:manager、中国語:經理)も同様の定めがある。 英国の会社法において条文によっては、業務執行役員 (managing officer) とも表記される。米国の会社の役員 (officer) に相当する。日本の会社の支配人とは異なり、会社の役員としての責任を負い、その職務や権限の範囲は定款や契約によって定めるので、その職務や権限の範囲により会社の執行役、支配人、又は執行役員に相当する。
チェアマン [編集]
チェアマン(英語: chairman、chairperson または chair)。一般に、法人の理事会の議長を意味する。法人が会社の場合は、取締役会 (board of directors) の会長または議長を意味する。理事会/取締役会で理事/取締役 (director) から選定される。社員総会/株主総会でも議長を務めることが多い。カリフォルニア州の会社法では、定款に別段の定めがない限り、社長 (president) を置かない場合は取締役会長 (chairman of the board of directors) が法人の総支配人 (general manager) および最高経営責任者 (chief executive officer) となると定めている。英国の会社では、執行と監督を分離するために、業務執行取締役 (managing director) 等のチーフ・エクゼクティブ (chief executive) が取締役会長を兼任することが規制されている。香港の会社の取締役会長(英語:chairman of the board of directors、中国語:董事局主席)の英語表記でもある。 米国法律協会 (American Law Institute, ALI)による「企業統治の原則:分析と勧告」(Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations) において、法人 (corporation) の取締役会長 (the chairman of the board of directors) は上級執行役員 (Senior Executive) に分類されている。
ガバナー [編集]
ガバナー(英語: governor)。和訳は総裁。イングランド銀行やハドソン湾会社のような勅許会社・特殊会社・特殊法人等における代表者である。国際通貨基金などの国際機関の場合は総務と和訳される加盟各国の代表者であり総務会の構成員である。
プレジデント [編集]
プレジデント(英語: president)。一般に、法人を代表する役員である。法人 (corporation) が非営利法人の場合は会長と和訳され、営利法人(株式会社)の場合は社長と和訳される。米国の法人の会長/社長 (president) は、伝統的に書記役 (secretary) や会計役 (treasurer) 等とともに法人の役員 (officer) とされる。州法に規定がある場合、理事会/取締役会 (board of directors) は1人の会長/社長 (president) を選任しなければならないとされる。定款に別段の定めがない限り理事/取締役 (director) でなくともよい。一般的には書記役 (secretary)、会計役 (treasurer)、その他の役員 (officer) を兼任することができるが、州によっては会長/社長 (president) と書記役 (secretary) の兼任を禁止していることがある。 米国の多くの州では、会長/社長 (president) の役割や権限について州法で明確に規定していないので、法人が付属定款 (by-laws) でその権限の概略を規定する。一般に、法人の業務執行を統轄し、法人の法律文書 (instruments) および株券 (stock certificates) や契約書に署名する権限を有する。判例法では会長/社長 (president) に明示的に権限が付与されていない場合でも、通常の業務に関するあらゆる取引において第三者に対して法人を拘束する行為を行う権限を有するとされる。 カリフォルニア州の会社法では、定款に別段の定めがない限り、社長 (president) が総支配人 (general manager) および最高経営責任者 (chief executive officer) となると定めている。 最高経営責任者(CEO)や最高執行責任者(COO)を置く法人ではどちらかを兼任することが多いが、州によっては役員 (officer) の名称を規定しないため、社長 (president) を置かないでCEOやCOOを置く場合もある。また、社内カンパニー制など独立性のある内部組織の長を指す場合もある。 米国法律協会 (American Law Institute, ALI)による「企業統治の原則:分析と勧告」(Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations) において、法人の社長 (president) は上級執行役員 (Senior Executive) に分類されている。 米国の法人で使用されるが、英連邦諸国をはじめとするヨーロッパ、西アジア、南アジア、東南アジアの国々の会社ではマネージング・ディレクター (MD) が取締役社長に相当するので、社長の意味としてはあまり使われない。また、フランス法の影響が強い国や地域ではフランスのプレジダン (président) やメキシコのプレシデンテ (presidente) のように取締役会長を意味することがある。
バイス・プレジデント [編集]
バイス・プレジデント(英語: vice-president、略語:VP)。一般に、法人を代表するプレジデント (president) を補佐又は代理する役員である。
詳細はバイス・プレジデントを参照。
セクレタリ [編集]
セクレタリ(英語: secretary)。一般に、法人の書記の職務を行う役員である。定訳は無いので権限や法人の種類、組織の規模等に応じて、書記、書記役、秘書、秘書役、幹事、幹事役、総務、総務役、セクレタリなど様々に和訳される。なお、日本の現行の会社法では会社の書記役に関する定めは無いが、日本に株式会社制度が導入されはじめた頃の国立銀行条例においては「支配人会計役書記役其他ノ役員ヲ定メ」との記載があり、かつては日本でも「書記役」が会社の役員とされていた。
英米では、いわゆる秘書の意味もあるが、法人(会社)の書記役 (secretary) は、法人の役員 (officer) とされ、社員総会/株主総会および理事会/取締役会の手続きを議事録に記録する責任を負い、法令等で法人に保管が義務付けられてる文書や書類その他の記録の作成、維持管理および認証 (certification) を行う。英国では法律上の会社の書記役 (secretary) を実務上、会社の書記役(secretary of the company、又は company’s secretary)、会社書記役 (company secretary) 等という。なお、米国では同じ意味で法人書記役 (corporate secretary) というが、英国では法人書記役 (corporate secretary) は、会社の書記役 (secretary) の職務を受任する法人を意味する。最高総務責任者(CAO)や最高財務責任者(CFO)を兼任することが多いが、国や州によっては役員 (officer) の名称を規定しないため、書記役 (secretary) を置かないで最高総務責任者 (CAO) を置く場合もある。 米国法律協会 (American Law Institute, ALI)による「企業統治の原則:分析と勧告」(Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations) において、法人 (corporation) の書記役 (secretary) は上級執行役員 (Senior Executive) に分類されている。
英国の会社のセクレタリ [編集]
英国の会社の「書記役」(“secretary”) は、英国の会社法 (Companies Act) の第1173(1)条で、法人団体 (body corporate) の役員 (officer) に含むと定めている。英連邦諸国の会社法や香港の会社条例にも同様に書記役(英語:secretary、中国語:秘書)の定めがある。 英国の会社では、私会社 (private company) の場合、会社の通常定款 (articles of association) に別段の定めがある場合を除き、書記役 (secretary) を置かなくてもよい。 公開会社 (public company) の場合、最少1人の書記役 (secretary) を置かなければならない。
公開会社の書記役 (secretary) は次の何れかの資格を要する。
過去5年間に3年以上、公開会社の書記役 (secretary) の職を務めていた、又は
英国(連合王国に属する何れかの地域)における法廷弁護士(barrister 又は advocate)又は事務弁護士(solicitor)である若しくはこれらの資格を認定されている、又は
過去の実績又は他の団体の会員資格により書記役 (secretary) の職務を行う能力を有するように取締役 (directors) には見える、又は
次の何れかの団体の会員である。
イングランド及びウェールズ勅許会計士協会 (the Institute of Chartered Accountants in England and Wales)、
スコットランド勅許会計士協会 (the Institute of Chartered Accountants of Scotland)、
アイルランド勅許会計士協会 (the Institute of Chartered Accountants in Ireland)、
勅許書記士管理士協会 (the Institute of Chartered Secretaries and Administrators)、
勅許公認会計士協会 (the Association of Chartered Certified Accountants)、
勅許管理会計士協会 (the Chartered Institute of Management Accountants)、又は
勅許財政会計協会 (the Chartered Institute of Public Finance and Accountancy)
会社の書記役 (secretary) は個人でも団体でも法人でもよいので、個人である書記役 (secretary) 、2人以上による共同書記役 (joint secretaries) 又は法人書記役 (corporate secretary) を選任することができる。
法律上、会社の書記役 (secretary) は下記の職務を行う。
法で定められた登記 (statutory registers) の維持管理、
会社が法で定められた情報を速やかに提出することの保証、
社員 (member) 及び取締役 (director) に対する会議 (meetings) の招集の通知、
社員 (member) への書面による提案の交付、及び監査人 (auditor) への決議の交付、
決議及び合意の謄本の登記所 (Companies House) への送付、
会社のすべての社員 (member)、すべての社債権者 (debenture holder) 及び社員総会/株主総会 (general meeting) の招集の通知を受け取るべきすべての者に対する計算書類の謄本の交付、
すべての社員 (member) の(過去の社員総会/株主総会 (general meeting) での)決議の謄本、及びすべての手続き及び社員総会/株主総会 (general meeting) の議事録の保管または、保管のための整理、
会社の記録を監査する権利を有する者がそれを監査できることの保証、
会社印 (company seal) がある場合はその保管及び使用、
会社による正式な文書の作成ための連署人 (co-signator) となること、および
登記所 (Companies House) への提出する書類を認証 (authenticate) すること(会社の年次計算書類を会社書記役 (company secretary) が認証することはできない)。
書記役 (secretary) は会社の役員 (officer) であり、会社の法令違反に対する刑事責任を負うことがある。 会社の書記役 (secretary) が有する権利は、会社と書記役 (secretary) の契約による。
米国の法人のセクレタリ [編集]
米国における法人 (corporation) の書記役 (secretary) は、非営利法人でも営利法人(株式会社)でも、伝統的に会長/社長 (president) や会計役 (treasurer) 等とともに法人の役員 (officer) とされる。州法に規定がある場合、理事会/取締役会 (board of directors) は1人の書記役 (secretary) を選任しなければならないとされる。定款に別段の定めがない限り理事/取締役 (director) でなくともよい。一般的には会長/社長 (president)、会計役 (treasurer)、その他の役員 (officer) を兼任することができるが、州によっては会長/社長 (president) と書記役 (secretary) の兼任を禁止していることがある。米国では、役員 (officer)の名称について規定しない州を含む多くの州で、何からの規定により社員総会/株主総会および理事会/取締役会の手続きを議事録に記録する責任を負う役員を選任しなければならないと定めている。一般的には議事録作成の他に、法令等で法人に保管が義務付けられている文書や書類その他の記録の維持管理および認証 (certification) を行い、法人の印 (seal) がある場合はそれを保管し、法人の法律文書 (instruments) および株券 (stock certificates) への副署を行う。銀行との取引の際に、法人の代表者の署名と書記役 (secretary) の副署を要するため、法人の会計役 (treasurer) を兼任して、書記会計役 (secretary-treasurer) とする場合がある。
米国の法人と州政府の関係において、法人の書記役 (corporate secretary) に対応する州政府の官職、いわゆるカウンターパート (counterpart) は州務長官 (Secretary of state) で、法人の書記役 (secretary) が株主名簿の管理や株主総会の運営、法人の文書の認証、法人の印 (seal) の保管を行うのに対して、州務長官 (Secretary of state) は選挙人名簿の管理や選挙事務、州の公文書の認証、州の印璽 (Great Seal) の保管を行う。また、法人が州政府に届出や申請を行う際は州務長官が主な提出先となる。
トレジャラ [編集]
トレジャラ(英語: treasurer)。一般に、法人 (corporation) の会計管理、資金の出納や財務の責任者の職務を行う役員である。定訳は無いので権限や法人の種類、組織の規模等に応じて、会計、会計役、出納役、財務、財務役、トレジャラなど様々に和訳される。また、法人が米国の地方政府などの自治体 (municipal corporation) の場合は、収入役、出納長、財務官など、米国の州政府の場合は州財務官と呼ばれる。なお、日本の現行の会社法では会社の会計役に関する定めは無いが、日本に株式会社制度が導入されはじめた頃の国立銀行条例においては「支配人会計役書記役其他ノ役員ヲ定メ」との記載があり、かつては日本でも「会計役」が会社の役員とされていた。
米国における法人の会計役 (treasurer) は、非営利法人でも営利法人(株式会社)でも、伝統的に会長/社長 (president) や書記役 (secretary) 等とともに法人の役員 (officer) とされる。州法に規定がある場合、理事会/取締役会 (board of directors) は1人の会計役 (treasurer) を選任しなければならないとされる。定款に別段の定めがない限り理事/取締役 (director) でなくともよい。一般的には会長/社長 (president) 、書記役 (secretary)、その他の役員 (officer) を兼任することができる。米国の多くの州では、会計役 (treasurer) の役割や権限について州法で明確に規定していないので、法人が付属定款 (by-laws) でその権限の概略を規定する。一般に、法人名義の資金の受領および支出を正式に担当する。判例法では会計役 (treasurer) に明示的に権限が付与されていない場合、通常は法人を拘束する契約を締結したり、財産を処分することはできないが、金銭の受け取り、保管および支出については権限を有するとされる。 銀行との取引の際に、法人の代表者の署名と書記役 (secretary) の副署を要するため、法人の書記役 (secretary) を兼任して、書記会計役 (secretary-treasurer) とする場合がある。 最高財務責任者 (CFO) を兼任する場合が多く、カリフォルニア州のように、基本定款 (articles) または付属定款 (bylaws) に別段の定めがない限り、最高財務責任者 (chief financial officer) を置かない場合は、会計役 (treasurer) が最高財務責任者 (chief financial officer) となると定める州もある。一方、州によっては役員 (officer) の名称を規定しないため、会計役 (treasurer) を置かないでCFOを置く場合もある。また、CFOの統括の下に会計役 (treasurer) と経理部長(controller 又は comptroller)を置き、会計役 (treasurer) が財務部の職務を統括する場合もある。 米国法律協会 (American Law Institute, ALI)による「企業統治の原則:分析と勧告」(Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations) において、法人の会計役 (treasurer) は上級執行役員 (Senior Executive) に分類されている。
その他の英米の会社の内部的職制 [編集]
マネージング・ディレクター [編集]
マネージング・ディレクター(英語: managing director、略語:MD)。直訳は業務執行取締役。英連邦諸国の会社では取締役会で取締役 (director) から選定される会社の業務執行を統括する責任者とされる。日本の取締役社長や米国会社の最高経営責任者 (CEO) 又は社長 (president) に相当する。英国の会社では、執行と監督を分離するために、取締役会長 (chairman of the board of directors)を兼任することが規制されている。米国会社においてはあまり使われない。香港では董事総経理(英語:managing director、中国語:董事總經理)の英語表記である。日本の会社においては、常務の英訳として使用される場合が多いが、世界銀行や国際通貨基金などの国際機関の場合は専務理事と和訳される。仏訳はディレクトゥー・ジェネラル (Directeur général (DG)) であることが多い。
デピュティ・マネージング・ディレクター [編集]
デピュティ・マネージング・ディレクター(英語: deputy managing director、略語:DMD)。英連邦諸国の会社で、マネージング・ディレクター (MD) を補佐して業務を執行する。一般的には1人または2人以上のデピュティ・マネージング・ディレクター (DMD) を置くが、置かない場合もある。日本の専務取締役または常務取締役に相当する。米国の会社においてはあまり使われない。国際通貨基金などの国際機関の場合は副専務理事と和訳される。仏訳はディレクトゥー・ジェネラル・アジョワン (Directeur général adjoint (DGA)) である。
ファースト・デピュティ・マネージング・ディレクター [編集]
ファースト・デピュティ・マネージング・ディレクター(英語: first deputy managing director、または 1st deputy managing director、略語:1st DMD)。英連邦諸国の会社で、マネージング・ディレクター (MD) を補佐して業務を執行する。2人以上のデピュティ・マネージング・ディレクター (DMD) を置く会社で、最も上席のデピュティ・マネージング・ディレクター (DMD) を定めた場合の名称とされる。置かない場合もある。日本の取締役副社長または専務取締役に相当する。米国の会社においてはあまり使われない。国際通貨基金などの国際機関の場合は筆頭副専務理事と和訳される。仏訳はプルミエ・ディレクトゥー・ジェネラル・アジョワン(Premier directeur général adjoint、または 1er directeur général adjoint)である。
エグゼクティブ [編集]
エグゼクティブ(英語: executive)。直訳は執行者。実務上は取締役会の構成員を指す場合が多い。なお、米国の会社において "top executive" と言う場合は通常 "president", "chairman", "CEO", "COO" といった会社経営の責任者を指す。
プリンシパル・シニア・エグゼクティブ [編集]
プリンシパル・シニア・エグゼクティブ(英語: principal senior executives)。主要上級執行役員などと和訳される。 米国法律協会 (American Law Institute, ALI)による「企業統治の原則:分析と勧告」(Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations) において、法人 (corporation) の最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)、最高財務責任者(CFO)、最高法務責任者(CLO)、又は最高会計責任者(CAO)をいう。「企業統治の原則:分析と勧告」では、公開会社の事業経営は主要上級執行役員により、又は主要上級執行役員の監督の下で取締役会若しくは主要上級執行役員が執行権を委譲した他の役員 (officer) その他の被用者 (employee) によって行われるべきと提言している。
シニア・エグゼクティブ [編集]
シニア・エグゼクティブ(英語: senior executives)。上級執行役員などと和訳される。 米国法律協会 (American Law Institute, ALI)による「企業統治の原則:分析と勧告」(Principles of Corporate Governance: Analysis and Recommendations) において、法人 (corporation) の主要上級執行役員 (Principal Senior Executives) 又は取締役会長 (the chairman of the board of directors)(ただし、取締役会長が取締役 (director) として以外に経営方針を決定する職務を行わず、取締役としての報酬以外に多額の報酬を受領していない場合を除く)、社長 (president) 、会計役 (treasurer) および書記役 (secretary) 、並びに主な事業部 (business unit)、部門 (division) 若しくは職務 (function)(販売、総務、財務など)を担当し、または法人の重要な経営方針を決定する職務を行う副社長 (vice-president) (SVP、EVP、Senior EVP 等を含む)若しくは副会長 (vice-chairman) をいう。「企業統治の原則:分析と勧告」では、上級執行役員は役員としての忠実義務を負うべきと提言している。
シニア・バイス・プレジデント(SVP) [編集]
シニア・バイス・プレジデント(英語: senior vice-president、略語:SVP)。米国等の法人 (corporation) において、プレジデント (president) を補佐する役員 (officer) であるバイス・プレジデント(VP)のうち、上席のバイス・プレジデント (VP) の名称である。
詳細はシニア・バイス・プレジデントを参照。
エグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP) [編集]
エグゼクティブ・バイス・プレジデント(英語: executive vice-president、略語:EVP)。直訳は、法人 (corporation) が非営利法人ならば執行副会長、営利法人(株式会社)ならば執行副社長である。米国等の法人で会長/社長 (president) を補佐する役員 (officer) であるバイス・プレジデント(VP)のうち、シニア・バイス・プレジデント(SVP)よりも上席のバイス・プレジデント (VP) の名称である。株式会社の場合は、上級副社長と訳されることが多いが、SVP の訳語として用いられることの多い上席副社長と訳される場合もあるので、SVPと混同しやすい。日本の会社においては、専務または副社長の英訳として使用される場合が多い。
シニア・エグゼクティブ・バイス・プレジデント [編集]
シニア・エグゼクティブ・バイス・プレジデント(英語: senior executive vice-president、略語:Senior EVP)。直訳は、法人 (corporation) が非営利法人ならば上級執行副会長、営利法人(株式会社)ならば上級執行副社長である。米国等の法人で会長/社長 (president) を補佐する役員 (officer) であるバイス・プレジデント(VP)のうち、シニア・バイス・プレジデント(SVP)やエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)よりも上席のバイス・プレジデント (VP) の名称である。フランスの会社においては、ディレクトゥー・ジェネラル・デレゲ (Directeur général délégué (DGD)) の英訳として使用される場合が多い。日本の会社においては、副社長の英訳として使用される場合が多い。
ファウンダー [編集]
ファウンダー(英語: founder)。創業者の意味。創業者に付ける名誉的な肩書き。日本の会社でもこの肩書きが使われることがあり、かつて、ソニーの井深大と盛田昭夫、ダイエーの中内功がその職名を用いていた。現在はホリプロの堀威夫らがその職名を用いている。
大陸ヨーロッパにおける会社の役員制度 [編集]
大陸ヨーロッパにおける会社の役員制度概説 [編集]
大陸法を採用する大陸ヨーロッパ諸国は、英米法を採用するイギリスやアメリカ等とは法系が異なるため、会社の役員制度についても違いがある。例として、特徴的な二層型取締役会を有するドイツの会社と、民法分野で国際的な影響力があるフランス法に基づく会社の役員制度を説明する。
ドイツ [編集]
株式会社 (AG) の役員 [編集]
ドイツの株式会社 (AG)では、取締役会 (Verwaltungsrat) の役割を監査役会 (Aufsichtsrat) と執行役会 (Vorstand) の二つの機関に分かち、人的にも監査役会構成員 (Aufsichtsratsmitglied) と執行役会構成員 (Vorstandsmitglied) の兼任を禁じて、前者が後者を監督するという二層型取締役会が採用されている。
監査役会の役割は会社の業務執行を監査し、執行役会に対して一般的業務について助言し、執行役会構成員を選任・解任することである。 監査役会構成員は株主総会により選任される。ただし、一般に従業員数が500人を超える会社では3分の1、従業員数が2,000人を超える会社では半数が、従業員の直接選挙によって選任される。 監査役会は、監査役会構成員の中から監査役会会長(ドイツ語: Aufsichtsratsvorsitzender)1人及び1人以上の副会長(ドイツ語: Stellvertretender Vorsitzender)を選定しなければならない。会長は株主代表の監査役会構成員から選定される、大きな会社では副会長は従業員代表の監査役会構成員から選定することが多い。 別段の定めがない限り、決議には投票数の過半数が必要である。可否同数の場合は再度の投票を行うことができるが、この場合も可否同数であれば監査役会会長が決定権を有する。監査役会副会長には、かかる決定権はない(共同決定法第29条)。
執行役会は自己の責任において業務を執行し、裁判上及び裁判外において会社を代表する。 執行役会構成員は、監査役会により選任される。 執行役会が数人から成る場合、別段の定めがない限り、全執行役会構成員が共同してのみ会社を代表する(日本の旧共同代表取締役制度に近い)。 執行役会構成員は、監査役会により選任されるが、監査役会構成員は執行役会構成員を兼任することができない。 執行役会の会長(ドイツ語: Vorsitzender des Vorstandes、銀行の場合は Sprecher des Vorstandes)、すなわち執行役会長(ドイツ語: Vorstandsvorsitzender、銀行の場合は Vorstandssprecher)は監査役会により選定・解職される。執行役会長は執行役会を代表し、会議の招集と議長としての議事運営や議題の準備と提案、株主総会での業績報告等の権限を有する他、監査役会会長との接触を通じて、監査役会と執行役会の意思疎通や情報交換を行う。
詳細はドイツの取締役会を参照。
株式合資会社 (KGaA) の役員 [編集]
ドイツの株式合資会社 (KGaA) は無限責任社員(ドイツ語: Komplementär)と株主(ドイツ語: Aktionär)とで構成される株式会社 (AG) の特殊形態とされており、無限責任社員については合資会社 (KG) に関する規定が準用される。 無限責任社員が代表権及び業務執行権を有し、取締役会や執行役会は設置しない。 その他の事項については原則として株式会社 (AG)に関する規定が準用され、株式会社 (AG) と同様の監査役会 (Aufsichtsrat) を設置する。監査役会構成員 (Aufsichtsratsmitglied) に従業員代表を含める制度も株式会社 (AG) と同じである。
有限会社 (GmbH) の役員 [編集]
ドイツの有限会社 (GmbH)(有限責任事業者会社(UG (haftungsbeschränkt) を含む))は間接有限責任を負う社員(ドイツ語: Gesellschafter)で構成される会社であり、社員総会(ドイツ語: Gesellschafterversammlung)が会社の意思決定を行い、取締役(ドイツ語: Geschäftsführer)を選任・解任し、取締役の業務執行を監督する。 取締役は社員の指示にしたがって会社の業務を執行し、第三者に対して会社を代表する。取締役の員数は1人以上である。 取締役会や執行役会は設置しない。 監査役会 (Aufsichtsrat) は必置の機関ではないが、定款の定めにより監査役会を設置することができる。ただし、500人超の従業員を有する有限会社 (GmbH) では、株式会社 (AG)と同様に監査役会構成員 (Aufsichtsratsmitglied) に従業員代表を含める制度が適用されるので、監査役会を設置しなければならない。
合名会社 (OHG) の役員 [編集]
ドイツの合名会社 (OHG) は無限責任を有する社員(ドイツ語: Gesellschafter)で構成される会社であり、社員がそれぞれ代表権及び業務執行権を有する。 取締役その他の機関は設置しない。
合資会社 (KG) の役員 [編集]
ドイツの合資会社 (KG) は無限責任社員(ドイツ語: persönlich haftender Gesellschafter(法文)、Komplementär(日常語))と有限責任社員(ドイツ語: Kommanditist)とで構成される合名会社の一変形とされており、無限責任社員だけが会社の代表権及び業務執行権を有する。 取締役その他の機関は設置しない。
フランス [編集]
株式会社 (SA) の役員 [編集]
フランスの株式会社 (SA) では、株主総会で三分の二以上の決議により伝統的な単層型取締役会とドイツ式の二層型取締役会とのどちらかを選択できる。
詳細はフランスの取締役会を参照
取締役会を設置する会社 [編集]
伝統的な取締役会 (Conseil d'administration (CA)) を設置する会社の場合、会社を経営する機関として取締役会 (CA)、取締役会長 (PCA)、および執行役(社長、DG)等を置く。また会計監査および業務監査を実施する機関として、会計監査役 (CAC) を置く。
取締役会 (CA) は取締役 (Administrateur) で構成される。 取締役会 (CA) は会社の業務の方向性を定めその実施を管理する。 会社の目的の範囲内で、かつ法律により明示的に株主総会に付与された権限に従い、取締役会 (CA) は会社の経営に影響を及ぼす一切の事柄を扱い、協議の上これを決定する。 取締役会 (CA) の決議は、出席した取締役または委任状により代理された取締役の多数決により決せられる。可否同数の場合は定款に別段の定めがない限り取締役会長 (PCA) が決定権を有する。 取締役会 (CA) は取締役会長 (PCA) の選定・解職、執行役 (DG) の選任・解任、会社の代表権を取締役会長 (PCA) または執行役 (DG) のいずれに付与するかの決定等の権限を有する。 また、取締役会 (CA) は、副会長 (Vice-président) や執行役代理(副社長、DGD)等の役員を置くことができる。
詳細はフランスの伝統的な取締役会を参照。
監査役会と執行役会を設置する会社 [編集]
1966年のフランス商法改正により導入された、ドイツ式の二層型取締役会を設置する会社の場合、会社の経営を監督する機関として監査役会 (Conseil de surveillance) 、会社を経営する機関として執行役会 (Directoire) を置く。また会計監査および業務監査を実施する機関として、会計監査役 (CAC) を置く。監査役会構成員 (Membre du Conseil de surveillance) と執行役会構成員 (Membre du Directoire) を兼任することはできない。なお、監査役会構成員と会計監査役 (CAC) は別の役員である。
監査役会は監査役会構成員から構成され、株主総会により選任・解任される。 監査役会に関係する規定の大部分は、取締役会 (CA) に適用されるものと同様であるが、監査役会は執行役会を単に監督するのに対して取締役会 (CA) は経営機能を有する点が異なる。
執行役会は執行役会構成員からなり、監査役会により選任される。 執行役会の権限は広汎で、会社の目的および株主総会および監査役会に法律上留保された決定による制約を受けるのみである。 執行役会は合議制の経営機関である。 監査役会は、第三者に対して会社を代表する者として、執行役会の構成員1人を選定しなければならない。 このように選定された者は執行役会長 (Président du directoire) の肩書を有する。執行役会長は、監査役会によって指定される執行役(Directeurs Généraux:複数形)により補佐される。 執行役会の構成員は、通常株主総会および定款で定められている場合において監査役会により解任される。
詳細はフランスの監査役会と執行役会を参照。
株式合資会社 (SCA) の役員 [編集]
フランスの株式合資会社 (SCA) では取締役会 (CA) を設置せず、株主(フランス語: Commanditaires)の中から選定される無限責任社員(フランス語: Commandités)が商人資格すなわち商行為を為し得る地位を有し、無限責任社員による指名と株主の同意により選任される取締役 (Gérant) が業務を執行し、5人以上の株主で構成される監査役会 (Conseil de surveillance) が業務を監査する。
合名会社 (SNC)、合資会社 (SCS)、有限会社 (Sarl) の役員 [編集]
フランスの合名会社 (SNC)、合資会社 (SCS)、有限会社 (Sarl) では、社員による意思決定と監督の下で取締役 (Gérant) が業務を執行する。
簡易株式会社 (SAS) の役員 [編集]
フランスの簡易株式会社 (SAS) は機関設計の自由度が高く、必置の機関は株主総会と代表者(会長、Président)だけである。定款の定めにより株式会社 (SA) と同様の機関を任意で設置することが出来る。 代表者(会長)を補佐する執行役(社長、DG)や執行役代理(副社長、DGD)を置くことが出来る。また、執行役 (DG) や執行役代理 (DGD) には代表者が有する権能の包括的な委任 (délégation générale) により代表者と同等の代表権を付与することも出来る。
簡易株式会社 (SAS) が株式会社 (SA) の子会社である場合、親会社は簡易株式会社 (SAS) の代表者(会長)として自然人を指定することもできるが、法人である親会社を代表者に選任することもできる。 簡易株式会社 (SAS) の代表者が親会社である場合、代表者の職務は親会社の取締役会 (CA) 等の機関が親会社の名において遂行することになるので、親会社と子会社が一体の経営を行うことができる。また、簡易株式会社 (SAS) に取締役会 (CA) 等の機関を設置しなくても、親会社の取締役会 (CA) 等がその役割を果たすことにより、簡易株式会社 (SAS) の業務の適正を確保するための体制を維持しながら組織構成を簡素化することができる。
フランスの法令に規定のある役員 [編集]
ジェラン [編集]
ジェラン(フランス語: Gérant:男性型)、ジェラント(フランス語: Gérante:女性型)。取締役会を設置しない会社の取締役に相当する。フランスの合名会社 (SNC)、合資会社 (SCS)、株式合資会社 (SCA)、有限会社 (SARL) で、社員の決定や株主総会の決議にしたがって会社の業務を執行する。また、有限会社 (SARL) の取締役は第三者に対して会社を代表する。社員・株主でなくともよい。員数は1人以上で自然人でなければならない。社員の議決権の過半数または株主総会での過半数の決議により選任・解任される。ただし、正当事由がなく取締役を解任した場合には、会社は損害賠償を支払う。取締役が社員ではない場合や持分が少数の社員の場合は、一定の要件(会社役員としての職務とは別個の職務内容、従属関係)を満たす場合には雇用契約による職務も兼任できる。 なお、ジェラン (Gérant) は支配人の意味で使用されることもある。
アドミニストラトゥー [編集]
アドミニストラトゥー(フランス語: Administrateur:男性型)、アドミニストラトゥリス(フランス語: Administratrice:女性型)。取締役会設置会社の取締役に相当する。 フランスの株式会社 (SA) の取締役は、取締役会(Conseil d'administration (CA))の構成員であり、員数は3人以上18人以内である。ただし、吸収ないし新設合併の場合は、取締役の数は合併から3年以内であれば最大24人に増加することができる。取締役は法人でもよいが、法人の場合はその常任代表者として自然人を指定しなければならない。2009年1月1日以降、取締役が会社の株式を一定数保有しなければならないのは、定款に定めがある場合に限られる。取締役の任期は最長6年(非公開会社については、設立時の定款において選任される場合は3年)で、株主総会において選任・解任される。株主総会は理由を示さずに取締役を解任することができ、損害賠償の対象にはならない。 取締役は、その職務を遂行するために必要な一切の情報を受取るものとし、また有益と考える文書を入手することができる。通常は業務を執行しない。 なお、定款に定めがある場合は株主総会で選任される取締役とは別に、従業員代表の取締役を従業員の直接選挙で選任することができる。従業員代表の取締役の員数は取締役の定員には含まれない。 使用人を兼務する取締役は三分の一を超えず最大5人までである。
コミッセール・オ・コント [編集]
コミッセール・オ・コント(フランス語: Commissaire aux comptes、略語:CAC)。会計監査役と和訳され、日本の会社の監査役と会計監査人の両方を合わせたような役員である。 監査役会構成員 (Membre du Conseil de surveillance) とは別の役員である。 1966年のフランス商法改正以前の法文上の名称は監査役(コミッセール、フランス語: Commissaire)であったが、出資検査役(フランス語: Commissaire aux apports)と区別するため、実務上の名称に合わせて現在の名称に改められた。
詳細は監査役#フランスの会計監査役を参照。
プレジダン [編集]
プレジダン(フランス語: Président:男性型)、プレジダント(フランス語: Présidente:女性型)。和訳は会長。 フランスでは、単にル・プレジダン(フランス語: le président)と言うと共和国大統領を意味するので、会社の役員の意味で使用するときは機関名と組み合わせた名称が使用される。 取締役会 (CA) の会長は Président du conseil d'administration (PCA) である。同様に、監査役会の会長は Président du conseil de surveillance、執行役会の会長は Président du directoire である。フランスの簡易株式会社 (SAS) の代表者(Président)場合は、会社の代表なので会社名と組み合わせて表記する。
取締役会 (CA) のプレジダン [編集]
フランスの会社の取締役会長(フランス語: Président du conseil d'administration、略語:PCA)は、取締役会 (CA) で互選により選定される1人の自然人である。任期は取締役 (Administrateur) としての任期を超えない。また、取締役会 (CA) で過半数の決議で解職される。取締役会長 (PCA) は、取締役会 (CA) の議長を務め、取締役会 (CA) の職務をとりまとめ、これを指揮することにつき責任を負う。また会社組織の適正な運営を確保し、取締役が確実にその任務を遂行できるようにする。取締役会 (CA) の決議において、可否同数の場合は定款に別段の定めがない限り取締役会長 (PCA) が決定権を有する。取締役会長 (PCA) は、一定の要件(会社役員としての職務とは別個の職務内容、従属関係)を満たしている場合には雇用契約による職務も兼任できる。
2001年のNRE法(新経済規制法)により、伝統的な取締役会 (CA) を設置する会社でも監督と執行の分離を可能にするため、原則として取締役会長 (PCA) は執行役(社長、DG)を兼任せず、会社の代表権が執行役 (DG) に付与されることになった。ただし、代表権を取締役会長 (PCA) または執行役 (DG) のいずれに付与するかは、取締役会 (CA) が決定する。また、定款の定めた条件下で取締役会 (CA) が取締役会長 (PCA) と執行役 (DG) の兼任(プレジダン・ディレクトゥー・ジェネラル (PDG))を決議することもできる。 取締役会 (CA) が従来と同様に会社の代表権を取締役会長 (PCA) に付与すると決定した場合、取締役会長 (PCA) は会社を経営する全権限を有し、会社の目的ならびに法律上株主総会および取締役会 (CA) に付与された権限によってのみ制約を受ける。また、第三者との関係で会社を代表し、経営について責任を負う。定款または取締役会 (CA) が取締役会長 (PCA) の代表権に加えた制限は、会社内部では拘束力を有するが、第三者に対抗することができない。取締役会長 (PCA) の代表権の有無については会社の登記簿に明記する必要がある。 会社が任意に設置する会議体である経営委員会(Conseil de direction、 Comité de direction、または Comité executif)等の構成員であることが多い。 原則どおりに、代表権が執行役 (DG) に付与された場合、取締役会長 (PCA) は日本の代表権のない取締役会長に相当する。 一方、代表権が取締役会長 (PCA) に付与された場合、取締役会長 (PCA) は日本の代表取締役会長に相当する。この場合、英語では Chairman of the board of directors and CEO と表記されることが多い。
監査役会のプレジダン [編集]
監査役会 (Conseil de surveillance) と執行役会 (Directoire) を設置するフランスの会社では、監査役会長(フランス語: Président du conseil de surveillance)に関係する規定の大部分は、取締役会長 (PCA) に適用されるものと同様であるが、監査役会長には代表権が付与されず執行役会構成員 (Membre du Directoire) を兼任することができない点で取締役会長 (PCA) とは異なる。
執行役会のプレジダン [編集]
監査役会 (Conseil de surveillance) と執行役会 (Directoire) を設置するフランスの会社では、執行役会長(フランス語: Président du directoire)は、監査役会により執行役会構成員 (Membre du Directoire) の中から選定・解職される。ただし、執行役会長を解職された場合でも執行役会構成員の地位は失われない。執行役会長は第三者に対して会社を代表するが、会社の経営権は合議体としての執行役会が有し、執行役会長が単独で経営権を有するわけではない点が、取締役会 (CA) を設置する会社の取締役会長 (PCA) や執行役 (DG) との違いである。執行役会長は、監査役会によって指定される執行役(Directeurs Généraux:複数形)により補佐される。執行役会長は日本の代表執行役社長に相当する。英語では CEO と表記することが多い。
簡易株式会社 (SAS) のプレジダン [編集]
フランスの簡易株式会社 (SAS) では、代表者(会長、Président)は株主総会の他に設置が義務づけられた唯一の機関であり会社の代表権を有する。株主でなくともよく法人であってもよいとされる。 会社は代表者を議長とする合議体を設置することもできる。 代表者が有する権能を第三者に委任することも出来るが、代表者が有する権能の包括的な委任 (délégation générale) により代表者(会長)と同等の代表権を持てるのは、執行役(社長、DG)または執行役代理(副社長、DGD)に限られる。 簡易株式会社 (SAS) が株式会社 (SA) の子会社で、簡易株式会社 (SAS) の代表者として親会社を選任した場合、代表者の職務は親会社の取締役会 (CA) 等の機関が親会社の名において遂行することになる。この場合、親会社の取締役会 (CA) が簡易株式会社 (SAS) の代表者として執行役 (DG) や執行役代理 (DGD) を選任してこれに会社の代表権を付与し、その業務執行を監督することができる。
ヴィス・プレジダン [編集]
ヴィス・プレジダン(フランス語: Vice-président:男性型)、ヴィス・プレジダント(フランス語: Vice-présidente:女性型)。和訳は副会長。フランスの会社で取締役会 (CA) の副会長は Vice-président du conseil d'administration、監査役会の副会長は Vice-président du conseil de surveillance、執行役会の副会長は Vice-président du directoire である。
取締役会 (CA) のヴィス・プレジダン [編集]
フランスの会社の取締役会 (CA) は、希望すれば、1人または2人以上の副会長 (Vice-président) を置くことができる。取締役会 (CA) は副会長を取締役 (Administrateur) から選定し、取締役としての任期を超えない任期を定める。副会長または最も上席の副会長は、取締役会長 (PCA) に支障があるときその職務を遂行する。
なお、2人以上の副会長を置く場合の最も上席の副会長の名称は、プルミエ・ヴィス・プレジダン(フランス語: Premier vice-président、または1er vice-président:男性型)、プルミエール・ヴィス・プレジダント(フランス語: Première vice-présidente、1ère vice-présidente、または1re vice-présidente:女性型)で、第一副会長と和訳される。
ディレクトゥー・ジェネラル [編集]
ディレクトゥー・ジェネラル(フランス語: Directeur général:男性型)、ディレクトゥリス・ジェネラル(フランス語: Directrice générale:女性型)、略語:DG。執行役または代表執行役に相当する。
取締役会 (CA) を設置する会社のディレクトゥー・ジェネラル [編集]
フランスの取締役会 (CA) を設置する会社で、取締役会 (CA) が会社の代表権を取締役会長 (PCA) に付与しないときは、執行役(社長、Directeur général (DG))を選任し、その任期を定める。取締役 (Administrateur) が兼任する場合は執行役 (DG) の任期は取締役としての任期を超えない。執行役 (DG) は自然人でなければならないが、株主でなくともよく、取締役会 (CA) の構成員でなくともよい。 執行役 (DG) は、会社を経営する全権限を有し、会社の目的ならびに法律上株主総会および取締役会 (CA) に付与された権限によってのみ制約を受ける。執行役 (DG) は、第三者との関係において会社を代表し、また裁判所において会社を代表する。定款または取締役会 (CA) が執行役 (DG) の権限に加えた制限は、会社内部では拘束力を有するが、第三者に対抗することができない。執行役 (DG) の代表権の有無については会社の登記簿に明記する必要がある。 会社が任意に設置する会議体である経営委員会(Conseil de direction、 Comité de direction、または Comité executif)等の構成員であることが多い。 取締役会 (CA) から代表権を付与された執行役 (DG) は、日本の代表執行役社長に相当する。英語では CEO と表記されることが多い。
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