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うどん
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茹であげた状態のうどん
手延べうどんの製造風景
ざるうどんと揚げ物
うどんは、小麦粉を練ったものを細長く切り、茹でて食べる料理。饂飩と表記する場合もある。
目次 [非表示]
1 概要
2 歴史
3 文化
4 麺
4.1 規格
4.2 麺の状態による名称
5 料理
5.1 ざるうどん
5.2 ぶっかけうどん
5.3 かけうどん・素うどん
5.4 釜揚げうどん
5.5 かやくうどん・五目うどん・おかめうどん
5.6 きつねうどん
5.7 きざみうどん
5.8 月見うどん
5.9 とじうどん
5.10 天ぷらうどん
5.11 たぬきうどん
5.12 カレーうどん
5.13 冷やしカレーうどん
5.14 肉うどん
5.15 力うどん (ちからうどん)
5.16 卓袱うどん (しっぽくうどん)
5.17 あんかけうどん
5.18 おだまきうどん
5.19 鍋焼きうどん
5.20 その他の食べ方
6 日本国内における地方のうどん
6.1 でんぷんうどん
6.2 稲庭(いなにわ)うどん
6.3 甘ったれうどん
6.4 ひっぱりうどん
6.5 おっきりこみ
6.6 上州うどん
6.6.1 桐生うどん
6.6.2 館林のうどん
6.6.3 水沢うどん
6.7 耳うどん
6.8 加須うどん
6.9 冷汁うどん
6.10 武蔵野うどん
6.11 ほうとう
6.12 吉田のうどん
6.13 おしぼりうどん
6.14 氷見うどん
6.15 小松うどん
6.16 ころ(香露)うどん
6.17 きしめん(棊子麺)
6.18 味噌煮込みうどん
6.19 伊勢うどん
6.20 関西のうどん
6.21 かすうどん
6.22 こぶうどん
6.23 うどんすき
6.24 備中うどん
6.25 倉敷のぶっかけうどん
6.26 しのうどん
6.27 鳴門うどん
6.28 たらいうどん
6.29 讃岐うどん・しっぽくうどん
6.30 博多うどん(福岡うどん)
6.30.1 丸天うどん
6.30.2 ごぼう天うどん(ごぼ天うどん)
6.31 かしわうどん
6.32 五島うどん
6.33 あごだしうどん
6.34 ごまだしうどん
6.35 やせうま
6.36 魚うどん(ぎょうどん)
7 日本以外でのうどん
8 代表的なうどんの写真
9 その他
10 脚注
11 関連項目
12 外部リンク
概要 [編集]
手軽な庶民食、米食の代用食として、また、祝い事に際して振る舞われる「ハレ」の食物として、古くから日本全国で食べられてきた。地域によって、調理法や具材が違っている。
麺を大きな鍋で茹で上げる場合には、鍋の周囲に引っ掛けた状態で茹でることができるよう、金属製あるいは竹製で深いザル状になっているうどんてぼ(うどん揚げ)が用いられることも多い。うどんを供する場合には皿(うどん鉢など)やざる(ざるうどん等)、鍋(うどんすき等)のほか、桶(うどん桶と呼ばれる)も用いられる。
専門のうどん屋があるほか外食チェーンなどのメニューともなっている。また、麺はスーパーマーケットなどで乾麺または茹で麺の状態で販売される。また、カップ麺としても販売されている。
歴史 [編集]
うどんの誕生には諸説があり、定かではない。
仁治2年(1241年)に中国から朝鮮半島を通って帰国した円爾(聖一国師)は製粉の技術を持ち帰り、「饂飩・蕎麦・饅頭」などの粉物食文化を広めたと云われている。また、その円爾が開いた福岡市の承天寺境内には「饂飩蕎麦発祥之地」と記された石碑が建っている。
奥村彪生によれば、うどんは中国から渡来した切り麦(今の冷や麦)が日本で独自に進化したものであるという。奥村によれば、麵を加熱して付け汁で食する(うどんの)食べ方は中国には無く、日本の平安時代の文献にあるコントンは肉のあんを小麦の皮で包んだもので、うどんとは別であり、うどんを表現する表記の文献初出は南北朝時代の「ウトム」であるという[1]。
「うどん」と呼ばれるようになったのは江戸時代に入ってからであり、切麦を温かくして食べる「温麦」と冷やして食べる「冷麦」は総じてうどんと呼ばれた[2]。
奈良時代に遣唐使によって中国から渡来した菓餅14種の中にある索餅(さくべい)が、平安時代に完成した『新撰字鏡』 では「牟義縄(むぎなわ)」と呼ばれて、「麦縄(むぎなわ)」が日本の麺類の起源とされる。ただし、麦縄は米と小麦粉を混ぜて作られていた。やがて鎌倉時代になると、円爾など入宋した禅僧らが小麦粉で作る素麺を博多経由で日本に持ち帰って「切麦(きりむぎ)」が誕生した。室町時代には一条兼良の著書『尺素往来』に、「索麺は熱蒸し、截麦は冷濯い」という記述があり、截麦(切麦)がうどんの前身と考える説もあるが、その太さがうどんより細く、冷やして食されていた事から、冷麦の原型とされている。
奈良時代に遣唐使によって中国から渡来した小麦粉の餡入りの団子菓子「混飩(こんとん)」に起源を求める説もある。
平安時代に空海が唐から饂飩を四国に伝えて讃岐うどんが誕生したという伝説もある。
青木正児の「饂飩の歴史」によれば、ワンタンに相当する中国語は「餛飩」(コントン)と書き、またこれを「餫飩」(ウントン、コントン)とも書き、これが同じ読み方の「温飩」(ウントン)という表記になり、これが「饂飩」(ウドン)となったという。
備考
現代の中華圏では、日本のうどんを「乌冬」あるいは「烏龍麵」と表記するが、いずれも日本語の発音に基づく当て字であり、うどんそのものの起源・由来とは関係がない。
文化 [編集]
歴史的には、うどんよりも蕎麦(蕎麦切り)の方が発祥が新しい。蕎麦の元祖は信州そばであり、これが信州から甲州街道や中山道を通して伝えられたものといわれている。また、江戸時代に京都など全国に伝わったと言われている。大坂では天正12年(1584年)に蕎麦屋「砂場」が開業し、西日本でも早い時期から蕎麦が食べられていた。現在、日本の大都市のうどんの専門店は従来の店とチェーン店がある。また日本全国には、うどんとそばの両方を供する「うどん屋」、「そば屋」と称する店が多いが、うどんを主としている店では「うどん屋」、そばを主としている店では「そば屋」と呼ぶことが多い。
江戸時代の江戸の市中において、うどんは一般に普及していた。特に江戸前期にはまだ麺類としてのそば(そば切り)が一般に普及しておらず、 そばがきとして食べられていたこと(記録としては蕎麦がきの様なものが麺状に切られたのが天正2年(1574年)初めの建物修復工事完成に際しての寄進物一覧の中に「振舞ソハキリ 金永」というくだりが確認できる)から、麺類としてはうどんに人気があったようである。しかし、後に麺類としてのそばが普及したこと、そばとそば屋が独自の文化を育む母体となっていったこと、脚気防止のためにそばが好まれたことなどの理由により、うどんは江戸における麺類の主流としての地位をそばに取って代わられた。
現在の関東地方は、武蔵野(武蔵野台地)を中心として、「武蔵野うどん」をはじめとするうどん専門店も多い。実際、2004年(平成16年)度のうどんの生産量でも1位は日本全国に向けて宣伝をしている讃岐うどんの香川県だが、2位は埼玉県であり、群馬県もベスト5に入っている[3]。これらの地域では二毛作による小麦栽培が盛んで、うどんは日常的な食事だったのである。うどんは、かけうどんや付け麺(もりうどん)にして食べられる事が多い。
大阪、京都を初めとする近畿圏内では、老若問わずうどんが麺類の主役となっている。近畿地方から採れる地下水は主に軟水で昆布との相性が良かったため、関西、とりわけ大阪では麺よりだしに重きを置き(後述)、うどん玉はだしを吸いやすいしなやかで柔らかい麺が好まれるようになった。伝統的な大阪のうどんには腰がないといわれる(とりわけ、讃岐うどんと比較して)のは、このような文化的な背景があるためである[4]。
20世紀後半から21世紀初頭にかけて4回の讃岐うどんブームがあり[5]。また、讃岐うどんを供するチェーン店が2002年(平成14年)頃より日本各地にオープンしている[6]。香川ではうどんの専門店が多く、そばとうどん両方を供している店は少ない。 現在でも大阪では「うどん屋」が多い。これは近世以前より近辺には播磨や河内など良質の小麦産地が多く、美味しいうどんを作るのに最適な条件だったことによる。京都では「うどん屋」も多い一方で、近隣の丹波地方でそば作りが盛んだったため蕎麦食文化も根付いており、専門の「そば屋」も多い(ニシンそばは京都の名物でもある)。出石そばをはじめとする丹波の蕎麦食文化は、江戸時代に信州から導入されたものだという。江戸時代には既に西と東の物資の交流は盛んで、「富士見酒」などは、その代表である。
「そば=東日本、うどん=西日本」と言う人がいるが、これらを見れば正しくない。
麺 [編集]
うどんの麺は、薄力粉・中力粉に若干の塩を加えた生地から作られる。生地に加えた塩分の大部分は、茹でる間に麺から失われる。
規格 [編集]
乾麺については、日本農林規格(JAS)の『乾めん類品質表示基準[7]』にて、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地を帯状に細く切って乾燥させる製法で機械にて製造しているものは機械麺に分類し、長径[8]が1.7mm以上に成形したものを「うどん」としている。また、長径[8]1.3mm以上 - 1.7mm未満に成形したものは「ひやむぎ」の基準でもあるが、それを満たしている場合「細うどん」とも表示可能である[7]。手延べうどんについては、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地に、でん粉や食用油または小麦粉を塗付して、よりをかけながら引き伸ばして乾燥、熟成させる製法で長径[8]1.7mm以上の丸棒状または帯状に成形し、『手延べ干しめんの日本農林規格』の詳細を満たしているものが該当する。
生麺・茹で麺等(半生・冷凍麺等も含む)については製麺法を問わず『生めん類の表示に関する公正競争規約[9]』にて、「この規約で「うどん」とはひらめん、ひやむぎ、そうめんその他名称のいかんを問わず小麦粉に水を加え練り上げた後製麺したもの、または製麺した後加工したものをいう」となっているので、この規約上「ひやむぎ」や「そうめん」はうどんに分類されており、狭義では「生麺・茹で麺タイプはうどんのみ存在する」とも解釈できる。しかし、別項にて「一般消費者に誤認されない名称に替えることができる」となっているため、それにより「ひやむぎ」や「そうめん」の名を使用することも認められている[10]。
かつては製法の違い(麺棒や機械で生地を伸ばしてから切るか、細く丸めた生地を引いて伸ばすか等)、社会通念上も、細い麺の「細うどん」と「ひやむぎ」は明確に区別されていたが、現在では「うどん(細うどん)」と「ひやむぎ」の名前の区別は基準・規約に沿った上で取り扱う業者に委ねられているため、乾麺・生麺等において曖昧となっている部分がある。
麺の状態による名称 [編集]
玉うどん
生うどんを製麺後、熱湯で茹でる事により麺の熟成を止め、1食分ずつに分けたもの。丸くまとめるので「玉」と言われている(この「玉」という言葉はうどんの量の目安となる単位にも「1玉、2玉」などという表現で使われる)。袋詰めにしたものは「ゆでうどん」としてスーパーやコンビニなどでも売られる。
カップ入りや袋入りのインスタントうどんには、茹でた後に、酢やエチルアルコールを保存料としてまぶし、真空包装にしたものもある。
生うどん
製麺後そのまま、もしくは表面に粉をまぶして包装されたもの。食味に優れるが、麺の熟成度が時間と共に変化するため長期保存には向かない。少しでも熟成や酸化を抑えるべく、脱酸素剤といっしょに包装している場合もある。
半生うどん
讃岐うどんの主流。讃岐うどんを名乗る場合は、ゆで時間を12分以上かけるように調整されており、コシが強く食味に優れる。脱酸素剤といっしょに包装している場合が多い。食べる直前に熱湯で茹で、湯切りの後に流水で締めて供するのが正統。小麦の専用品種の作付けが増加している。
干しうどん
一般的に「乾麺」と呼ばれる状態。細うどんに多い。製麺後に乾燥させて20cm内外の棒状に揃え、保存しやすくしたもの。
冷凍うどん
生うどんを熱湯で茹でた直後、急速冷凍したもの。一般的に麺類を凍らせると、凍結時に水分が膨張して分子構造が分断された状態となり食味に劣る。そこで茹で戻してからの弾力を得るため、冷凍うどんでは主にタピオカなどのデンプンがツナギとして使われる。
油揚げ麺(フライ麺)などインスタント麺
カップ入りや袋入りのインスタントうどんは、油で揚げたり、フリーズドライや茹でてから熱風乾燥したもの。
料理 [編集]
うどんの麺を使用して、多種多様な料理が作られている。
ざるうどん
かけうどん
ざるうどん [編集]
茹でた麺を冷水で締めて、笊(ざる)などの器に盛ったもの。つゆに付けて食べる。
ぶっかけうどん [編集]
茹でた麺を器に盛り、生醤油や少量のつゆをかけて食べる。
かけうどん・素うどん [編集]
「ぶっかけうどん」が略されて「かけうどん」となった(かけそば参照)。「かけうどん」は、つゆを入れた器に麺を入れて、刻み葱以外の具はほとんど入れないうどんの事で多くの場合は暖かいうどん。西日本(香川県を除く)では「素(す)うどん」と呼ばれることが多い。
詳細は「かけそば」を参照
釜揚げうどん [編集]
茹であげた麺を水で締めない状態で食べる。醤油や濃い目のつゆ、薬味の葱、生卵などを和える。
詳細は「釜揚げうどん」を参照
かやくうどん・五目うどん・おかめうどん [編集]
「たねもの」・「かやく」と呼ばれる具を数種類入れたうどん。具は、なると、ほうれん草、鶏肉など様々で、「五目うどん」と呼ばれる。特に具の種類の多いもの(8種類以上)については、東京や西日本の一部地域で「おかめうどん」(おかめ八目に由来)と呼ばれることもある。おかめうどんは元々東京の太田庵が発祥で本来そばのメニューであり、松茸や湯葉、かまぼこ等の具がおかめの顔に見立てて配置されている。現在ではかまぼこ以外の具は省略されるか別の食材に置き換えられることが多い。具の事を関西では「加薬(かやく)」と呼ぶことが多い。関東では具の入ったうどんを「種物(たねもの)」と呼ぶ。
きつねうどん [編集]
きつねうどん
味付けした油揚げを載せたうどん。地域により、「けつね」、「しのだうどん」とも呼ばれる。
詳細は「きつね (麺類)」を参照
きざみうどん [編集]
細かくきざんだ油揚げを載せたうどん。ただし、油揚げに味付けはされていないことがある。近畿地方では「きつね」とは別メニューとして供される。
月見うどん [編集]
生卵を割って出汁を入れた麺の上に落としたうどん。卵の卵白(白身)を雲、卵黄(黄身)を月に見立てたことから月見と呼ぶ。
とじうどん [編集]
「卵(玉子)とじうどん」ともいう。麺及び出汁の上に半熟の卵で閉じたもの。鶏肉も使用し親子丼の頭と同じものをのせたうどんは「親子うどん」とも呼ぶ。
天ぷらうどん [編集]
天ぷらうどん
天ぷら(エビやイカ)、かき揚げなどを載せたうどん。かけそばができて種物が入れられるようになったさいも、エビの天ぷら(かきあげ)が使用された。
たぬきうどん [編集]
「たぬきうどん」は天かす(揚げ玉)を散らしたうどんのことを指すが、地域によって意味合いが異なる。京都では細切りの油揚げを載せて、くずあんを掛け、おろし生姜を添えたうどんを指す。金沢でも「いなりあんかけうどん」が出てくる。大阪や香川では「たぬきうどん」がメニューに存在しない店が多い。天かすを散らしたうどんは大阪では「はいからうどん」と呼ばれることもあるが、葱や天かすが入った器が席に常備され、客が自由に入れることのできる店舗が多いので(北部九州地方も同様)、天かす入りのうどん・そばには特に名称がないのが普通である。大阪では「たぬき」の語は「たぬきそば」(油揚げを載せたそば)のみに使用する。
詳細は「たぬき (麺類)」を参照
カレーうどん [編集]
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カレーうどん
だし汁にカレー粉を加えてカレー風味にしたものや、だし汁で延ばした和風カレーをつゆとして用いたもの、あるいは茹でた麺にカレーライス用のルーを直接ないし温かい麺つゆと共に掛けたもので、カレー南蛮(蕎麦)と同様のうどん料理である。
昭和10年頃は、カレーライスよりカレー南蛮が盛んで、各社から「南蛮カレー粉」が発売されていた[11]。地域により具材、調理法が異なりバリエーションが多い。
北海道美瑛町の「美瑛カレーうどん」はつけめんスタイルのうどんで、冷やした麺をカレー風のつゆに浸して食べる。カレーに野菜などの具が多く入っていることに特徴がある。
関東では、斜めに切った長ネギを入れた標準的なカレーうどんが多く、だしは多くがカツオだし。カレー南蛮が古くから食べられてきており、同様の味付けと調理を行う。
愛知県豊橋市の「豊橋カレーうどん」は、自家製麺で、最下層に米飯、その上層にとろろ、その上層に麺を加え最後にカレーだしをかけたもので、同市の主要農産品であるうずらの卵を使う。
名古屋では鶏がらスープ(または鰹だし)にカレールーで味付けととろみをつけ、肉は豚肉。
京都では青葱(九条ネギ、薬味としての小口切りではなく、斜め切りをお出汁と一緒に煮く)、大阪では玉葱(泉南名産)を入れるのが主流。京都のうどん店の多くは肉カレーの他、きつねカレー、かしわカレーの三種類を揃えている。
関西では昆布だしと薄口醤油を基本としたつゆにカレー粉を入れ、片栗粉ないしは小麦粉でとろみをつける。炒りが強いため色は濃く、肉は牛肉が主。
ウィキメディア・コモンズには、カレーうどんに関連するカテゴリがあります。
冷やしカレーうどん [編集]
醤油メーカーやカレーメーカーからレトルト食品が多く発売されている。夏季、各地で食べられる事が多い。だし汁とカレー粉で作るカレー出汁のスープには、トロリとする片栗粉を入れない場合が多い。
肉うどん [編集]
肉うどん
醤油で味付けして煮た牛肉、鶏肉、豚肉、また地方によっては馬肉を具にしたうどん。肉はおおむね甘辛く煮付けている。吉田のうどんの基本形はこれである。
大阪では、うどんを抜いた肉吸を供する店もある。
力うどん (ちからうどん) [編集]
力うどん
餅が入ったうどん。他の具と組み合わされる場合も多い。近畿での呼び方の「かちん」とは、「餅」を指す女房言葉から。通常は焼き餅が乗せられることが多い。
卓袱うどん (しっぽくうどん) [編集]
香川・京都などに多く、地域によって具・出汁など内容が異なる。山形にも「しっぽく」が訛ったと推定される「すっぽこうどん」がある。京都の卓袱うどんは、しいたけの煮付け、かまぼこ、ゆば、板麩、三葉などを載せたもの。香川では、冬のメニューともなっている。元々は江戸時代に卓袱料理の影響を受けて京阪地区で考案されたうどん[12][13]。
あんかけうどん [編集]
つゆにくず粉や片栗粉などを入れ、とろみをつけた餡(あん)をかけたうどん。京都では細切りの油揚げを載せて、くずあんを掛け、おろし生姜を添えたうどんを「たぬきうどん」と呼ぶが、そこから油揚げを除いた物のことを「あんかけうどん」呼ぶ。
おだまきうどん [編集]
茶碗蒸しの材料にうどんを入れたもの。うどん入り茶碗蒸しを「おだまき蒸し」と言うのに対し、おだまきうどんはあくまでうどんが主体である。「おだまき」は「小田巻」と漢字で書かれることが多いが、うどん玉が麻糸を空洞の玉のように巻いた様に似ていることから「苧環」と名付けられたという説もある。高価な品だったが、大正期までは大阪で盛んに供された。しかし手間がかかることが嫌われ、現在では正規のメニューに載せている店は非常にまれである。
鍋焼きうどん [編集]
鍋焼きうどん
土鍋で煮込んだうどん。
詳細は「鍋焼きうどん」を参照
その他の食べ方 [編集]
焼きうどん
うどんを使用した焼きそば。
詳細は「焼きうどん」を参照
揚げうどん
生うどんを数センチの長さに切って、フライドポテトの様に揚げ、塩または砂糖などで味付けしたもの。ビールのつまみやスナック菓子として食べられる。
なお、皿うどんは、名前はうどんだが全く別の料理である。
日本国内における地方のうどん [編集]
各地域で食べられているうどんには小麦の生産される土壌、気候、醤油などの醸造業や漁業などの地場産業、流通を担う商人などの存在により、その地域独特の郷土料理となっているもの、また村おこしの一環として地域の名物となったものなど様々な種類がある。
でんぷんうどん [編集]
北海道の農村地域で古来より食される郷土料理。小麦の麺ではなく、ジャガイモより精製されたデンプンを用いたうどん。白く透き通った麺で、強い弾力が特徴である。
留寿都村では、でんぷんうどんの製麺が製造・販売され、うどんを提供する店舗もある。
倶知安町では、家庭で食されていたでんぷんうどんを地元名産の「男爵」を使用した豪雪うどんを開発し、提供する。
詳細は「豪雪うどん」を参照
稲庭(いなにわ)うどん [編集]
稲庭うどん
秋田県南部の手延べ製法の干しうどん[14]。日本三大うどんのひとつに数えられる。ひやむぎより若干太く、やや黄色味かかった色をしている乾麺。製造工程は、食用植物油を使用せず打ち粉としてでん粉を使う点や、乾燥前につぶす事による平べったい形状が特徴。麺は気泡により中空になっており、そのために食感は滑らか。稲庭うどんについて記述のある「稲庭古今事蹟誌」によると、寛文年間以前に秋田藩稲庭村小沢集落(現:秋田県湯沢市稲庭町字小沢)の佐藤市兵衛によって始まると伝えられている[15][16]。また、その製法技術は、日本海交易により福岡からもたらされたとする説や山伏から教えられたなどの諸説がある。
ウィキメディア・コモンズには、稲庭うどんに関連するカテゴリがあります。
甘ったれうどん [編集]
宮城県蔵王町で作られているうどん。小麦は北海道産が使われている。麺に細かく刻んだ葱を散らし、上に卵黄を乗せ、甘みのあるタレを使ってかき混ぜて食べる。
ひっぱりうどん [編集]
山形県の郷土料理。茹で上がったうどんに納豆やサバ缶などを混ぜて作ったたれを使って食べる。「ひきずりうどん」とも呼ばれている。
詳細は「ひっぱりうどん」を参照
おっきりこみ [編集]
二毛作による粉食文化のある群馬県・埼玉県北部・秩父地方の野菜煮込みうどん[14]。
詳細は「おっきりこみ」を参照
上州うどん [編集]
桐生うどん [編集]
ひもかわうどん
群馬県桐生市を中心とした地域で食べられているやや太めのうどん。群馬県東部の東毛地方は小麦の産地であり[17]、桐生市周辺は製麺業が盛んである。「ひもかわ」と呼ばれる幅広なうどんもある。ざるうどんのほか、「きのこうどん」として食べられる。
詳細は「桐生うどん」を参照
館林のうどん [編集]
群馬県館林市は日清製粉グループ本社の前身の「館林製粉」発祥の地であり、東毛地方は小麦の産地であることから[17]、歴史的にうどん食文化があった(江戸時代中頃より館林藩の名物として将軍家に献上されたとの記録がある)[18][19]。1994年(平成6年)より町おこしの観光資源としてうどんが活用されている[18][19]。乾麺が中心となっており[19]、特徴としては変わりうどんが多数ある事[20]。個人店では、まゆ玉が入ったうどんがある。
水沢うどん [編集]
群馬県渋川市伊香保町水沢特産のうどん。生地を捏ねてから伸ばすまでの間に、14日程度の熟成期間があり、とてもこしが強いのが特徴。
詳細は「水沢うどん」を参照
耳うどん [編集]
耳うどん
栃木県佐野市(旧葛生町)仙波における郷土料理。
詳細は「耳うどん」を参照
加須うどん [編集]
埼玉県加須市で食べられているうどん。
詳細は「加須うどん」を参照
冷汁うどん [編集]
埼玉県秩父市とその周辺(県西部)、大宮市、川越市、加須市辺りで、主に夏に食されるざるうどん状の家庭料理[14][21]。
詳細は「冷や汁#埼玉県の冷や汁」を参照
武蔵野うどん [編集]
武蔵野うどん
かつての武蔵国地域を中心とした伝統のうどん。地粉を使ったゴワゴワしてコシが強く黒っぽい麺のうどんが多い。かつては小麦の生産が多かったために広く作られ食べられていた。この地域の旧家では冠婚葬祭には必ずうどんを出したという[22]。
詳細は「武蔵野うどん」を参照
ほうとう [編集]
山梨県全域で作られる郷土料理[14]かぼちゃや根菜類など季節野菜主体とした味噌汁に、生地に塩を練りこまずコシを作らない状態で幅広に切った麺を、打ち粉が付いたままの生状態から入れて煮込む。またこの調理法のために汁にとろみがある[23]。おやきやおねりと言った粉食料理の範疇と捉えられており、一般にはうどんの範疇とは認知されてはいない[23]。
詳細は「ほうとう」を参照
吉田のうどん [編集]
山梨県富士吉田市で作られる郷土料理[14]。非常に強いコシと太さを特徴としており、すすれないとか、うどんが噛み切れないほどである。煮干や鰹節を出汁とした味噌あるいは醤油味の汁で食べる。キャベツと馬肉が入れられ、各店特製のすりだね(調製唐辛子)が用意されている。富士北麓の当地は、冷涼な気候と溶岩台地の地理的条件から稲作が困難で、水掛麦による麦作が行われ伝統的に粉食料理が食べられていた。
詳細は「吉田のうどん」を参照
おしぼりうどん [編集]
長野県埴科郡坂城町周辺で作られる料理。ねずみ大根という辛い大根をすりおろした汁に信州味噌を溶かしたつゆにつけて食べる。
詳細は「おしぼりうどん」を参照
氷見うどん [編集]
富山県氷見市で作られる手延べ式の細いうどん。加賀藩献上御用うどんとして藩政期より250年以上の歴史があり[24]、秋田の稲庭のように、油を塗らずに延ばしていく。また、手打ちのように足踏みを行うのも特長の一つである。
詳細は「氷見うどん」を参照
小松うどん [編集]
石川県小松市で作られる細くのどごしが特徴のうどん。加賀藩が名物として大名へ献上品としている歴史がある。普通は足で踏んで練るところを特別に手で練り、炭火で乾燥した。実際には生うどんが食されており、明治以降昭和初期までは各店が自家製麺を作っており、生麺と自家製だしの相性が特徴であることが評判を呼んだ。
詳細は「小松うどん」を参照
ころ(香露)うどん [編集]
名古屋の冷やしうどん。
詳細は「香露」を参照
きしめん(棊子麺) [編集]
きしめん
名古屋名物の平らな麺で、「うどん」とは別物である。蕎麦・そうめん・冷麦等のように、麺の1ジャンルとして確立している。ちょうど山梨で「ほうとう」と「うどん」が別に扱われているように、名古屋には「うどん」と「きしめん」がある。
名古屋でのきしめん屋は、うどんではなく蕎麦等も提供する店が多く、うどん屋よりも圧倒的に少ない。きしめんの専門店はさらに少ないのだが、にも関わらず、名古屋ではきしめんと有名になったのは、古くからお宮さん(熱田神宮内)で食べられることから、名古屋以外の人には、名古屋ではうどんよりきしめんとして認知されたからと考えられる。また、二つが別物ととらえるところの一つに、それぞれから生まれたメニューの違いがある。名古屋独自の赤味噌を使ったメニューが両者にあるが、うどんは「味噌煮込みうどん」、きしめんは「豚汁きしめん」と、まったく別の種類のものが発祥であり、豚汁うどんや味噌煮込みきしめんは後世の創作である。また、蕎麦と共に提供する店が多いことから「海老おろし」もきしめんならではのメニューであるとされる。
詳細は「きしめん」を参照
味噌煮込みうどん [編集]
名古屋の郷土料理で名古屋めしの代表格の一つ。
詳細は「味噌煮込みうどん」を参照
伊勢うどん [編集]
伊勢うどん
三重県伊勢市周辺に伝わる、柔らかくゆでた極太の麺に黒く濃厚なタレを絡めて食べるうどん[14]。
詳細は「伊勢うどん」を参照
関西のうどん [編集]
女性層を中心に「おうどん」と呼ばれることがある。麺は柔らかな食感である。これは出汁(関西ではつゆのことを出汁と呼ぶが、根本的に関東のつゆとは異なるものである)がからみやすく、また出汁を吸いやすいようにとの工夫である[25]。出汁は、昆布と削り節(鰹節、鯖節など)をベースに、炒り子(うるめいわしなど)、椎茸、エビなどを合わせるなど、各店で工夫が凝らされる[26]。京都と比べると、魚介出汁は強めで、様々な隠し味を使い、複雑な味わいに仕上げるなど、同じ関西でも地域によって微妙に出汁の違いがあるが、吸い物のように飲み干せるように仕上げられている。また、ごはん(かやくごはんの場合もある)や寿司(巻き寿司、押し寿司、ちらしなど)と共に食することも多い。
かすうどん(こぶいり)
かすうどん [編集]
大阪の南河内地域で食べられてきたうどん。だしの中に、細切れにした脂の乗った牛の小腸(ホルモン)を油で揚げた「油かす」が入っており、独特の風味がする。大阪市内では2000年代に入ってから、このうどんを出す店が増えている[27]。
こぶうどん [編集]
京阪神のうどん店でよく見られるメニュー。「とろろ昆布」、あるいは「おぼろ昆布」をうどんに乗せて供する。関西では昆布を「こぶ」と呼ぶことが多く、このメニューも「こんぶうどん」とは呼ばず「こぶうどん」と呼ぶ。
うどんすき [編集]
うどん中心の寄せ鍋風のもの。大阪の料理店「美々卯」の主人・薩摩平太郎が1928年(昭和3年)頃に考案した。本来この「うどんすき」という呼称は美々卯の登録商標だが、やがて同様の調理法が多数の飲食店で供されるようになり、他店のメニューにも「うどんすき」と表示されるようになった。このため美々卯と他店との間で訴訟となったが、1997年(平成9年)に東京高等裁判所は「うどんすきという料理名は既に一般名詞化している」という判断を下し、実質的には商標権が喪失された状態となった。のち1999年(平成11年)に上告棄却で確定。
備中うどん [編集]
鴨方うどん、備中鴨方うどん、かも川うどんとも呼ばれる、岡山県浅口市鴨方町およびその周辺で作られるうどん。うどん料理の名称ではなく、うどん麺の名称である。この地域は、古くから手延麺の産地であり、手延そうめんや手延ひやむぎとともに手延うどんも製造されている。特に手延べうどん麺に関しては、生産量は日本一である。
詳細は「備中手延べ麺#備中うどん」を参照
倉敷のぶっかけうどん [編集]
江戸時代、天領だった倉敷に来た代官に差し出されたうどんが原型という説がある[28]。江戸の蕎麦を由来とする汁であるため、讃岐など他近辺地域のぶっかけうどんよりも濃く甘味が強い汁で、また具が多めである。古くから倉敷の地で食べられていた郷土料理だったが、地元のうどん店が倉敷名物として売り出し、定着した。
詳細は「ぶっかけうどん」を参照
しのうどん [編集]
岡山県倉敷市の玉島にある曹洞宗の名刹・円通寺の修行僧が、江戸時代に食していた「一筋一椀」と呼ばれるうどんの別称。
詳細は「しのうどん」を参照
鳴門うどん [編集]
徳島県鳴門市を中心に食べられているうどん。藩政時代から昭和後期まで鳴門市は塩田地帯として栄えたが、塩田での重労働を終えた人々向けにこなれの良い食物として提供されたものとされる[29]。腰がほとんどなく細い麺。だしは煮干しなどを用いあっさりしている。具は細かく刻んだ葱・竹輪・油揚げなど。
たらいうどん [編集]
徳島県北東部の土成地区の郷土料理[30]。うどんをゆで汁ごと大きなたらいにあける。そのたらいを数人で囲み、つけ汁に付けて食べる。つけ汁の出汁には川魚(じんぞく)が使われていたが、現在じんぞくを使っている店舗は少ない。
讃岐うどん・しっぽくうどん [編集]
香川県は、全国で県民一人あたり消費量トップである。町おこしの一環で、香川県を『うどん県』と呼ぶほど、食文化に根付いた地域である。讃岐うどんと呼ばれている。[14]、食感がツルリと滑らかな事が特徴である。トッピングや食べ方は多種多様な品目がある。しっぽくうどんもこの一部。
詳細は「讃岐うどん」を参照
博多うどん(福岡うどん) [編集]
福岡のごぼ天うどん
福岡・北九州方面で食べられているうどん[31]で、一般的に腰が弱めで柔らかいものが多い[32][33][34][35]。汁は昆布・鰹節・うるめ・鯖節・いりこ・あじこ・あご(トビウオ)等を使用し薄口醤油で仕上げる。具としては「丸天」や「ごぼ天」が一般的である。薬味として柚子胡椒が用意されている店も多い。
発祥としては、仁治2年(1241年)に宋より帰朝した円爾などの僧により、茶・饂飩・蕎麦・饅頭が日本にもたらされ、博多はこれらの発祥だという説がある[32]「腰が弱めで柔らかい」経緯にははっきりしないが諸説あり、伝来した頃のうどんは「単に粉をこねただけの柔らかな麺」といわれるが、その中で「柔らかな麺」という特徴をこの地方では後々まで引き継いでいった[32]、 商人町でせっかちな人が多く食事を早く済ませたい要望が多かった土地柄を反映して、調理時間を短縮するために茹で置きが広まった事や、素早く噛み切れて飲み込みやすい状態が望まれた事もあって柔らかく緩いうどん麺になった[32]、温かい汁でうどんを食べる場合、強い腰がある麺よりも腰が弱めで柔らかい麺の方が汁と絡み易くなることに気付き主流になっていった[33]、などがある。なお、この地方では汁を「すめ」と呼称する場合もある。
丸天うどん [編集]
福岡県を中心とした地域のうどん。薩摩揚げに類似する、魚のすり身を円形にして油で揚げた練り物(揚げ蒲鉾)[36]が載っている。当地では揚げ蒲鉾一般のことも「天ぷら」と称することに由来する。九州地方では、「天ぷらうどん」と称する場合、この丸天うどんのことを指すことがある。
ごぼう天うどん(ごぼ天うどん) [編集]
福岡県を中心にした地域のうどん。うどんの上に笹がきごぼうをかき揚げにした(もしくはバラバラに揚がった)天ぷら[36]が乗っているもので、九州北部地方の大方の店舗で扱っている。ごぼ天うどんと呼ぶこともある。
かしわうどん [編集]
鳥栖駅のかしわうどん
福岡県を中心とした九州北部定番のうどん。鶏肉のだしを使い、鶏肉のそぼろ(この地方の方言で鶏肉をかしわと呼ぶ)をうどんの上に散らしたものである。特に駅弁のかしわめしで有名なJR九州小倉駅から折尾駅、博多駅を経て鳥栖駅にかけての駅立ち食いうどん店では「かしわ無しで」と注文しないと、ほぼ全てのうどんに、このかしわがトッピングされている(つまり「かしわうどん」が、かけうどんのような立場である)。大分県などでは鶏肉を煮付けたブロック状のものが載せられたものを指す。
五島うどん [編集]
長崎県五島列島で産するうどん。厚めに丸く伸ばした生地を鎌で渦巻き状に切り出した後(この工程から「鎌切りうどん」とも言われる)、少し力を加えながら横に並べた二本の棒に8の字にかけてから、棒の間隔を少しずつ引き伸ばした後、一旦、生地を外してからまた力をかけながら生地を棒に8の字にかけていく、というそうめんや稲庭うどんのような手延べ製法で作られる。このため普通のうどんより細く、断面が丸いのが特徴。手延べの際に粉をふらず五島産の椿油を使用しており、かすかにその香りがする。たっぷりのお湯で茹で上げたあつあつの釜揚げうどんを醤油やアゴ(トビウオ)出汁のたれで食べる「地獄炊き」が代表的な食べ方である。弘法大師伝来を称する讃岐うどんに対し、五島うどんは地理的に大陸から独自ルートで直接伝来したと言われる[37]。
あごだしうどん [編集]
長崎県のうどん。出汁は当地で獲れるトビウオ(五島と同じく当地の言葉でアゴという)で出汁をとる。かつおだしよりあっさりした味。長崎地方は古く中国大陸との貿易の歴史があり、五島手延うどんや島原手延そうめんに見られるように手延製法が受け継がれている。奈良時代の文献には「麦縄」としてうどんが書かれており、これは長崎の五島うどんや島原そうめんに見られる「手延製法」と一致すると考えられる[38]。
ごまだしうどん [編集]
ごまだしうどん
大分県の佐伯市発祥のうどん[14]。焼いたエソ類などの魚の身、ごま、醤油等を混ぜ、擂り潰して作られる「ごまだし」と呼ぶ物を湯に溶き、つゆとして用いる。
詳細は「ごまだし」を参照
やせうま [編集]
大分県のうどん。うどんの弾力ある食感を生かし、きなこ餅のように黄粉をかけたものである。
詳細は「やせうま」を参照
魚うどん(ぎょうどん) [編集]
宮崎県日南市周辺の郷土料理である。太平洋戦争中の1940年代、主食不足の頃に代用食として食されていた。トビウオのすり身に小麦粉などを加えて麺状にしたうどんで、出汁もトビウオの骨からとっている。宮崎県のうどんの麺は柔らかくてコシがないのが一般的だが、魚うどんの麺はコシが強い。終戦後、永らく食されることはなかったが、1980年に魚料理の普及に努めていた日南漁協婦人部が、土地の老人から魚うどんの話を聞いて再現し、復活させた[39]。
詳細は「魚うどん」を参照
日本以外でのうどん [編集]
欧米などの日本食ブームによって、日本食レストランのみならず、レトルトや冷凍麺がスーパーマーケット等で販売されはじめており家庭料理としても一般的になりつつある。
香港では「烏冬麵」と書いて、広東語読みで「ウードンミン」と発音する。香港の日本料理店で使われ始めた表記だが、現在では中国大陸でもみかける表記となっている。他に「烏龍麵」という表記が使われる場合もあるが、これでは読みが「ウーロンミン」と訛る。
台湾では烏龍麵、もしくは烏龍湯麵という名称で親しまれている。スープはやや現地化されているが、基本的には日本のうどんと大差はない。
大韓民国では20世紀前半の日本統治の経緯から、現在でも日本式のうどんが우동(ウドン・udong)の呼び名で知られ、韓国人の好きな日本料理の三番目に位置している[40]。しかし、だし汁にコショウが入っているのが普通で、味は似て非なるものが多い。一方、釜山周辺では日本のうどんと同様のだし汁に、キムチを盛ったウドンがある。
ベトナムのホイアンには「カオラウ」(cao lầu)という小麦を原料とする太麺の料理があり、17世紀前半の朱印船貿易時代の伊勢商人が持ち込んだ伊勢うどんをルーツとする説がある。
ハワイは、明治から昭和初期にかけて多くの日本人の移民先となっており、サイミンと呼ばれる麺料理が存在する。現在では中華麺が用いられるが、だしの味は明らかに和風であり、日本人を中心とした各国の移民たちの交流の中で形成されていった料理であると考えられている。
パラオは、戦前に日本の委任統治を受けていた事により、UDONと称する麺料理がある。日本のうどんと同様の醤油味だが、沖縄そばの影響(過去、沖縄からの移民が多かったため)か汁は少なめで、また現地で入手しやすいスパゲッティの麺が使われている点に大きな特徴がある。
2009年に日本を訪れた外国人旅行者を対象に日本政府観光局が行った調査では、日本を訪れた外国人観光客が特に満足した食事のアンケートで寿司、ラーメン、刺し身、天ぷらに次いで5位であり、蕎麦は7位であった[41]。
代表的なうどんの写真 [編集]
海老の天ぷらうどん
力うどん
釜揚げうどん
丸天うどん
ざるきしめん
月見うどん
葛うどん
けんちんうどん
その他 [編集]
うどんとともに蕎麦も提供している店では、麺の加工や茹での工程でそば粉が付着するおそれがあり、そばのアレルギー物質を摂取する可能性があるため、その旨の注意表示を掲げる店舗もある(そばアレルギー参照)。
脚注 [編集]
[ヘルプ]
^ うどんのルーツに新説-四国新聞社 2009年(平成21年)3月25日閲覧
^ 後に、日本農林規格等により、うどんが区別されるようになった。
詳細は「#五島うどん」、「讃岐うどん」、「博多#日宋貿易」、「ひやむぎ#由来」、および「素麺#素麺の伝来」を参照
^ 香川県庁のサイトより[1]
^ 柔肌の大阪うどんより
^ 香川県農政水産部の見解。讃岐うどん#讃岐うどんブームより。
^ 讃岐うどん#現代より。
^ a b 乾めん類品質表示基準 (PDF)
^ a b c 丸麺では断面の直径、角麺では幅を指す。
^ 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF)
^ 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF)では一部特産品を除き「太さに関する具体的な数値による基準」や「形状に関する具体的な規定」を設けていないため、「うどん」「細うどん」「ひやむぎ」「素麺」等は見た目の形状や製造・販売業者の意向等により、一般消費者に誤認されない範囲で自由に選択して名付けられる。
^ カレー産業
^ 日本麺類業団体連合会ホームページ・そばの散歩道 - しっぽく
^ 日本辞典・卓袱うどん
^ a b c d e f g h 。各地に伝わるふるさとの味として、2007年(平成19年)、農林水産省により「農山漁村の郷土料理百選」として選ばれた。
^ 秋田県稲庭うどん協同組合より。
^ 秋田ひとくち知識「稲庭うどん」(秋田物産館)より。
^ a b 東洋大学 研究プロジェクト「うどん文化の活性化」
^ a b 麺のまち「うどんの里館林」振興会
^ a b c 八王子市公式サイト 「食」によるまちおこし事例研究 (PDF)より。
^ うどん辞典:全国ご当地うどん<前編>(金トビ志賀)
^ All Aboutグルメ うどん「冷汁うどん」
^ 武蔵村山のうどん解説
^ a b 参考文献:影山正美「ホウトウ」『山梨県史民俗編』
^ 氷見うどん高岡屋本舗より。
^ COMZINE ニッポン・ロングセラー考 Vol.49「鍋焼うどん」より。
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うどんについて-うどん出汁を中心に-(2006年11月21日 第39回MKCRセミナー)より。
^ くいだおれ大阪 食のライブラリより
^ 上原善広『被差別の食卓』(新潮社、2005年6月) ISBN 4-10-610123-8
こちら文芸&学芸書籍編集部(SOFTBANK Creative)メールマガジン「週刊ビジスタニュース」 2005年7月27日より。
^ ぶっかけうどん物語
^ よしのがわ(国営吉野川下流域農地防災事業) > 地域の紹介 >ひといきコラム「鳴門うどん」より。
^ よしのがわ(国営吉野川下流域農地防災事業) > 地域の紹介 >ひといきコラム「たらいうどん」より。
^ 一部の博多の人は濁音を嫌う傾向があり、うどんを「うろん」と発音する高齢者などもいる。
^ a b c d 日本コナモン協会:コナモザイク(コナモン図鑑)「博多うどん」より。
^ a b 長谷川法世(「博多っ子純情」作者、博多町家ふるさと館館長)・福岡市麺類協同組合理事長 対談より。
^ 毎日jp 2008年(平成20年)1月28日掲載 グルメ都市福岡:「うどんも、まんじゅうも発祥」ミス福岡がイベントPRより。
^ 福岡うどんDB「福岡うどん」より。
^ a b 日清製粉東京営業部副部長「讃岐に待ったをかける博多うどんの逆襲」 JMAマーケティングeニュースレター167号(2005年(平成17年)6月13日)・マーケティングホライズン(日本マーケティング協会)平成17年(2005年)5月号
^ 長崎県五島手延うどん振興協議会「五島手延うどんの歴史」より。
^ 長崎手延うどん「長崎とうどんの歴史」より。
^ 宮崎県公式サイト: みやざきの味と花101: 61 魚うどん
^ NHK放送文化研究所「日韓市民意識調査」『放送研究と調査』2010年11月号
^ ITmedia 外国人観光客に聞く、満足した日本食はナニ?
関連項目 [編集]
かけうどん
製麺
うどん
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茹であげた状態のうどん
手延べうどんの製造風景
ざるうどんと揚げ物
うどんは、小麦粉を練ったものを細長く切り、茹でて食べる料理。饂飩と表記する場合もある。
目次 [非表示]
1 概要
2 歴史
3 文化
4 麺
4.1 規格
4.2 麺の状態による名称
5 料理
5.1 ざるうどん
5.2 ぶっかけうどん
5.3 かけうどん・素うどん
5.4 釜揚げうどん
5.5 かやくうどん・五目うどん・おかめうどん
5.6 きつねうどん
5.7 きざみうどん
5.8 月見うどん
5.9 とじうどん
5.10 天ぷらうどん
5.11 たぬきうどん
5.12 カレーうどん
5.13 冷やしカレーうどん
5.14 肉うどん
5.15 力うどん (ちからうどん)
5.16 卓袱うどん (しっぽくうどん)
5.17 あんかけうどん
5.18 おだまきうどん
5.19 鍋焼きうどん
5.20 その他の食べ方
6 日本国内における地方のうどん
6.1 でんぷんうどん
6.2 稲庭(いなにわ)うどん
6.3 甘ったれうどん
6.4 ひっぱりうどん
6.5 おっきりこみ
6.6 上州うどん
6.6.1 桐生うどん
6.6.2 館林のうどん
6.6.3 水沢うどん
6.7 耳うどん
6.8 加須うどん
6.9 冷汁うどん
6.10 武蔵野うどん
6.11 ほうとう
6.12 吉田のうどん
6.13 おしぼりうどん
6.14 氷見うどん
6.15 小松うどん
6.16 ころ(香露)うどん
6.17 きしめん(棊子麺)
6.18 味噌煮込みうどん
6.19 伊勢うどん
6.20 関西のうどん
6.21 かすうどん
6.22 こぶうどん
6.23 うどんすき
6.24 備中うどん
6.25 倉敷のぶっかけうどん
6.26 しのうどん
6.27 鳴門うどん
6.28 たらいうどん
6.29 讃岐うどん・しっぽくうどん
6.30 博多うどん(福岡うどん)
6.30.1 丸天うどん
6.30.2 ごぼう天うどん(ごぼ天うどん)
6.31 かしわうどん
6.32 五島うどん
6.33 あごだしうどん
6.34 ごまだしうどん
6.35 やせうま
6.36 魚うどん(ぎょうどん)
7 日本以外でのうどん
8 代表的なうどんの写真
9 その他
10 脚注
11 関連項目
12 外部リンク
概要 [編集]
手軽な庶民食、米食の代用食として、また、祝い事に際して振る舞われる「ハレ」の食物として、古くから日本全国で食べられてきた。地域によって、調理法や具材が違っている。
麺を大きな鍋で茹で上げる場合には、鍋の周囲に引っ掛けた状態で茹でることができるよう、金属製あるいは竹製で深いザル状になっているうどんてぼ(うどん揚げ)が用いられることも多い。うどんを供する場合には皿(うどん鉢など)やざる(ざるうどん等)、鍋(うどんすき等)のほか、桶(うどん桶と呼ばれる)も用いられる。
専門のうどん屋があるほか外食チェーンなどのメニューともなっている。また、麺はスーパーマーケットなどで乾麺または茹で麺の状態で販売される。また、カップ麺としても販売されている。
歴史 [編集]
うどんの誕生には諸説があり、定かではない。
仁治2年(1241年)に中国から朝鮮半島を通って帰国した円爾(聖一国師)は製粉の技術を持ち帰り、「饂飩・蕎麦・饅頭」などの粉物食文化を広めたと云われている。また、その円爾が開いた福岡市の承天寺境内には「饂飩蕎麦発祥之地」と記された石碑が建っている。
奥村彪生によれば、うどんは中国から渡来した切り麦(今の冷や麦)が日本で独自に進化したものであるという。奥村によれば、麵を加熱して付け汁で食する(うどんの)食べ方は中国には無く、日本の平安時代の文献にあるコントンは肉のあんを小麦の皮で包んだもので、うどんとは別であり、うどんを表現する表記の文献初出は南北朝時代の「ウトム」であるという[1]。
「うどん」と呼ばれるようになったのは江戸時代に入ってからであり、切麦を温かくして食べる「温麦」と冷やして食べる「冷麦」は総じてうどんと呼ばれた[2]。
奈良時代に遣唐使によって中国から渡来した菓餅14種の中にある索餅(さくべい)が、平安時代に完成した『新撰字鏡』 では「牟義縄(むぎなわ)」と呼ばれて、「麦縄(むぎなわ)」が日本の麺類の起源とされる。ただし、麦縄は米と小麦粉を混ぜて作られていた。やがて鎌倉時代になると、円爾など入宋した禅僧らが小麦粉で作る素麺を博多経由で日本に持ち帰って「切麦(きりむぎ)」が誕生した。室町時代には一条兼良の著書『尺素往来』に、「索麺は熱蒸し、截麦は冷濯い」という記述があり、截麦(切麦)がうどんの前身と考える説もあるが、その太さがうどんより細く、冷やして食されていた事から、冷麦の原型とされている。
奈良時代に遣唐使によって中国から渡来した小麦粉の餡入りの団子菓子「混飩(こんとん)」に起源を求める説もある。
平安時代に空海が唐から饂飩を四国に伝えて讃岐うどんが誕生したという伝説もある。
青木正児の「饂飩の歴史」によれば、ワンタンに相当する中国語は「餛飩」(コントン)と書き、またこれを「餫飩」(ウントン、コントン)とも書き、これが同じ読み方の「温飩」(ウントン)という表記になり、これが「饂飩」(ウドン)となったという。
備考
現代の中華圏では、日本のうどんを「乌冬」あるいは「烏龍麵」と表記するが、いずれも日本語の発音に基づく当て字であり、うどんそのものの起源・由来とは関係がない。
文化 [編集]
歴史的には、うどんよりも蕎麦(蕎麦切り)の方が発祥が新しい。蕎麦の元祖は信州そばであり、これが信州から甲州街道や中山道を通して伝えられたものといわれている。また、江戸時代に京都など全国に伝わったと言われている。大坂では天正12年(1584年)に蕎麦屋「砂場」が開業し、西日本でも早い時期から蕎麦が食べられていた。現在、日本の大都市のうどんの専門店は従来の店とチェーン店がある。また日本全国には、うどんとそばの両方を供する「うどん屋」、「そば屋」と称する店が多いが、うどんを主としている店では「うどん屋」、そばを主としている店では「そば屋」と呼ぶことが多い。
江戸時代の江戸の市中において、うどんは一般に普及していた。特に江戸前期にはまだ麺類としてのそば(そば切り)が一般に普及しておらず、 そばがきとして食べられていたこと(記録としては蕎麦がきの様なものが麺状に切られたのが天正2年(1574年)初めの建物修復工事完成に際しての寄進物一覧の中に「振舞ソハキリ 金永」というくだりが確認できる)から、麺類としてはうどんに人気があったようである。しかし、後に麺類としてのそばが普及したこと、そばとそば屋が独自の文化を育む母体となっていったこと、脚気防止のためにそばが好まれたことなどの理由により、うどんは江戸における麺類の主流としての地位をそばに取って代わられた。
現在の関東地方は、武蔵野(武蔵野台地)を中心として、「武蔵野うどん」をはじめとするうどん専門店も多い。実際、2004年(平成16年)度のうどんの生産量でも1位は日本全国に向けて宣伝をしている讃岐うどんの香川県だが、2位は埼玉県であり、群馬県もベスト5に入っている[3]。これらの地域では二毛作による小麦栽培が盛んで、うどんは日常的な食事だったのである。うどんは、かけうどんや付け麺(もりうどん)にして食べられる事が多い。
大阪、京都を初めとする近畿圏内では、老若問わずうどんが麺類の主役となっている。近畿地方から採れる地下水は主に軟水で昆布との相性が良かったため、関西、とりわけ大阪では麺よりだしに重きを置き(後述)、うどん玉はだしを吸いやすいしなやかで柔らかい麺が好まれるようになった。伝統的な大阪のうどんには腰がないといわれる(とりわけ、讃岐うどんと比較して)のは、このような文化的な背景があるためである[4]。
20世紀後半から21世紀初頭にかけて4回の讃岐うどんブームがあり[5]。また、讃岐うどんを供するチェーン店が2002年(平成14年)頃より日本各地にオープンしている[6]。香川ではうどんの専門店が多く、そばとうどん両方を供している店は少ない。 現在でも大阪では「うどん屋」が多い。これは近世以前より近辺には播磨や河内など良質の小麦産地が多く、美味しいうどんを作るのに最適な条件だったことによる。京都では「うどん屋」も多い一方で、近隣の丹波地方でそば作りが盛んだったため蕎麦食文化も根付いており、専門の「そば屋」も多い(ニシンそばは京都の名物でもある)。出石そばをはじめとする丹波の蕎麦食文化は、江戸時代に信州から導入されたものだという。江戸時代には既に西と東の物資の交流は盛んで、「富士見酒」などは、その代表である。
「そば=東日本、うどん=西日本」と言う人がいるが、これらを見れば正しくない。
麺 [編集]
うどんの麺は、薄力粉・中力粉に若干の塩を加えた生地から作られる。生地に加えた塩分の大部分は、茹でる間に麺から失われる。
規格 [編集]
乾麺については、日本農林規格(JAS)の『乾めん類品質表示基準[7]』にて、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地を帯状に細く切って乾燥させる製法で機械にて製造しているものは機械麺に分類し、長径[8]が1.7mm以上に成形したものを「うどん」としている。また、長径[8]1.3mm以上 - 1.7mm未満に成形したものは「ひやむぎ」の基準でもあるが、それを満たしている場合「細うどん」とも表示可能である[7]。手延べうどんについては、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地に、でん粉や食用油または小麦粉を塗付して、よりをかけながら引き伸ばして乾燥、熟成させる製法で長径[8]1.7mm以上の丸棒状または帯状に成形し、『手延べ干しめんの日本農林規格』の詳細を満たしているものが該当する。
生麺・茹で麺等(半生・冷凍麺等も含む)については製麺法を問わず『生めん類の表示に関する公正競争規約[9]』にて、「この規約で「うどん」とはひらめん、ひやむぎ、そうめんその他名称のいかんを問わず小麦粉に水を加え練り上げた後製麺したもの、または製麺した後加工したものをいう」となっているので、この規約上「ひやむぎ」や「そうめん」はうどんに分類されており、狭義では「生麺・茹で麺タイプはうどんのみ存在する」とも解釈できる。しかし、別項にて「一般消費者に誤認されない名称に替えることができる」となっているため、それにより「ひやむぎ」や「そうめん」の名を使用することも認められている[10]。
かつては製法の違い(麺棒や機械で生地を伸ばしてから切るか、細く丸めた生地を引いて伸ばすか等)、社会通念上も、細い麺の「細うどん」と「ひやむぎ」は明確に区別されていたが、現在では「うどん(細うどん)」と「ひやむぎ」の名前の区別は基準・規約に沿った上で取り扱う業者に委ねられているため、乾麺・生麺等において曖昧となっている部分がある。
麺の状態による名称 [編集]
玉うどん
生うどんを製麺後、熱湯で茹でる事により麺の熟成を止め、1食分ずつに分けたもの。丸くまとめるので「玉」と言われている(この「玉」という言葉はうどんの量の目安となる単位にも「1玉、2玉」などという表現で使われる)。袋詰めにしたものは「ゆでうどん」としてスーパーやコンビニなどでも売られる。
カップ入りや袋入りのインスタントうどんには、茹でた後に、酢やエチルアルコールを保存料としてまぶし、真空包装にしたものもある。
生うどん
製麺後そのまま、もしくは表面に粉をまぶして包装されたもの。食味に優れるが、麺の熟成度が時間と共に変化するため長期保存には向かない。少しでも熟成や酸化を抑えるべく、脱酸素剤といっしょに包装している場合もある。
半生うどん
讃岐うどんの主流。讃岐うどんを名乗る場合は、ゆで時間を12分以上かけるように調整されており、コシが強く食味に優れる。脱酸素剤といっしょに包装している場合が多い。食べる直前に熱湯で茹で、湯切りの後に流水で締めて供するのが正統。小麦の専用品種の作付けが増加している。
干しうどん
一般的に「乾麺」と呼ばれる状態。細うどんに多い。製麺後に乾燥させて20cm内外の棒状に揃え、保存しやすくしたもの。
冷凍うどん
生うどんを熱湯で茹でた直後、急速冷凍したもの。一般的に麺類を凍らせると、凍結時に水分が膨張して分子構造が分断された状態となり食味に劣る。そこで茹で戻してからの弾力を得るため、冷凍うどんでは主にタピオカなどのデンプンがツナギとして使われる。
油揚げ麺(フライ麺)などインスタント麺
カップ入りや袋入りのインスタントうどんは、油で揚げたり、フリーズドライや茹でてから熱風乾燥したもの。
料理 [編集]
うどんの麺を使用して、多種多様な料理が作られている。
ざるうどん
かけうどん
ざるうどん [編集]
茹でた麺を冷水で締めて、笊(ざる)などの器に盛ったもの。つゆに付けて食べる。
ぶっかけうどん [編集]
茹でた麺を器に盛り、生醤油や少量のつゆをかけて食べる。
かけうどん・素うどん [編集]
「ぶっかけうどん」が略されて「かけうどん」となった(かけそば参照)。「かけうどん」は、つゆを入れた器に麺を入れて、刻み葱以外の具はほとんど入れないうどんの事で多くの場合は暖かいうどん。西日本(香川県を除く)では「素(す)うどん」と呼ばれることが多い。
詳細は「かけそば」を参照
釜揚げうどん [編集]
茹であげた麺を水で締めない状態で食べる。醤油や濃い目のつゆ、薬味の葱、生卵などを和える。
詳細は「釜揚げうどん」を参照
かやくうどん・五目うどん・おかめうどん [編集]
「たねもの」・「かやく」と呼ばれる具を数種類入れたうどん。具は、なると、ほうれん草、鶏肉など様々で、「五目うどん」と呼ばれる。特に具の種類の多いもの(8種類以上)については、東京や西日本の一部地域で「おかめうどん」(おかめ八目に由来)と呼ばれることもある。おかめうどんは元々東京の太田庵が発祥で本来そばのメニューであり、松茸や湯葉、かまぼこ等の具がおかめの顔に見立てて配置されている。現在ではかまぼこ以外の具は省略されるか別の食材に置き換えられることが多い。具の事を関西では「加薬(かやく)」と呼ぶことが多い。関東では具の入ったうどんを「種物(たねもの)」と呼ぶ。
きつねうどん [編集]
きつねうどん
味付けした油揚げを載せたうどん。地域により、「けつね」、「しのだうどん」とも呼ばれる。
詳細は「きつね (麺類)」を参照
きざみうどん [編集]
細かくきざんだ油揚げを載せたうどん。ただし、油揚げに味付けはされていないことがある。近畿地方では「きつね」とは別メニューとして供される。
月見うどん [編集]
生卵を割って出汁を入れた麺の上に落としたうどん。卵の卵白(白身)を雲、卵黄(黄身)を月に見立てたことから月見と呼ぶ。
とじうどん [編集]
「卵(玉子)とじうどん」ともいう。麺及び出汁の上に半熟の卵で閉じたもの。鶏肉も使用し親子丼の頭と同じものをのせたうどんは「親子うどん」とも呼ぶ。
天ぷらうどん [編集]
天ぷらうどん
天ぷら(エビやイカ)、かき揚げなどを載せたうどん。かけそばができて種物が入れられるようになったさいも、エビの天ぷら(かきあげ)が使用された。
たぬきうどん [編集]
「たぬきうどん」は天かす(揚げ玉)を散らしたうどんのことを指すが、地域によって意味合いが異なる。京都では細切りの油揚げを載せて、くずあんを掛け、おろし生姜を添えたうどんを指す。金沢でも「いなりあんかけうどん」が出てくる。大阪や香川では「たぬきうどん」がメニューに存在しない店が多い。天かすを散らしたうどんは大阪では「はいからうどん」と呼ばれることもあるが、葱や天かすが入った器が席に常備され、客が自由に入れることのできる店舗が多いので(北部九州地方も同様)、天かす入りのうどん・そばには特に名称がないのが普通である。大阪では「たぬき」の語は「たぬきそば」(油揚げを載せたそば)のみに使用する。
詳細は「たぬき (麺類)」を参照
カレーうどん [編集]
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カレーうどん
だし汁にカレー粉を加えてカレー風味にしたものや、だし汁で延ばした和風カレーをつゆとして用いたもの、あるいは茹でた麺にカレーライス用のルーを直接ないし温かい麺つゆと共に掛けたもので、カレー南蛮(蕎麦)と同様のうどん料理である。
昭和10年頃は、カレーライスよりカレー南蛮が盛んで、各社から「南蛮カレー粉」が発売されていた[11]。地域により具材、調理法が異なりバリエーションが多い。
北海道美瑛町の「美瑛カレーうどん」はつけめんスタイルのうどんで、冷やした麺をカレー風のつゆに浸して食べる。カレーに野菜などの具が多く入っていることに特徴がある。
関東では、斜めに切った長ネギを入れた標準的なカレーうどんが多く、だしは多くがカツオだし。カレー南蛮が古くから食べられてきており、同様の味付けと調理を行う。
愛知県豊橋市の「豊橋カレーうどん」は、自家製麺で、最下層に米飯、その上層にとろろ、その上層に麺を加え最後にカレーだしをかけたもので、同市の主要農産品であるうずらの卵を使う。
名古屋では鶏がらスープ(または鰹だし)にカレールーで味付けととろみをつけ、肉は豚肉。
京都では青葱(九条ネギ、薬味としての小口切りではなく、斜め切りをお出汁と一緒に煮く)、大阪では玉葱(泉南名産)を入れるのが主流。京都のうどん店の多くは肉カレーの他、きつねカレー、かしわカレーの三種類を揃えている。
関西では昆布だしと薄口醤油を基本としたつゆにカレー粉を入れ、片栗粉ないしは小麦粉でとろみをつける。炒りが強いため色は濃く、肉は牛肉が主。
ウィキメディア・コモンズには、カレーうどんに関連するカテゴリがあります。
冷やしカレーうどん [編集]
醤油メーカーやカレーメーカーからレトルト食品が多く発売されている。夏季、各地で食べられる事が多い。だし汁とカレー粉で作るカレー出汁のスープには、トロリとする片栗粉を入れない場合が多い。
肉うどん [編集]
肉うどん
醤油で味付けして煮た牛肉、鶏肉、豚肉、また地方によっては馬肉を具にしたうどん。肉はおおむね甘辛く煮付けている。吉田のうどんの基本形はこれである。
大阪では、うどんを抜いた肉吸を供する店もある。
力うどん (ちからうどん) [編集]
力うどん
餅が入ったうどん。他の具と組み合わされる場合も多い。近畿での呼び方の「かちん」とは、「餅」を指す女房言葉から。通常は焼き餅が乗せられることが多い。
卓袱うどん (しっぽくうどん) [編集]
香川・京都などに多く、地域によって具・出汁など内容が異なる。山形にも「しっぽく」が訛ったと推定される「すっぽこうどん」がある。京都の卓袱うどんは、しいたけの煮付け、かまぼこ、ゆば、板麩、三葉などを載せたもの。香川では、冬のメニューともなっている。元々は江戸時代に卓袱料理の影響を受けて京阪地区で考案されたうどん[12][13]。
あんかけうどん [編集]
つゆにくず粉や片栗粉などを入れ、とろみをつけた餡(あん)をかけたうどん。京都では細切りの油揚げを載せて、くずあんを掛け、おろし生姜を添えたうどんを「たぬきうどん」と呼ぶが、そこから油揚げを除いた物のことを「あんかけうどん」呼ぶ。
おだまきうどん [編集]
茶碗蒸しの材料にうどんを入れたもの。うどん入り茶碗蒸しを「おだまき蒸し」と言うのに対し、おだまきうどんはあくまでうどんが主体である。「おだまき」は「小田巻」と漢字で書かれることが多いが、うどん玉が麻糸を空洞の玉のように巻いた様に似ていることから「苧環」と名付けられたという説もある。高価な品だったが、大正期までは大阪で盛んに供された。しかし手間がかかることが嫌われ、現在では正規のメニューに載せている店は非常にまれである。
鍋焼きうどん [編集]
鍋焼きうどん
土鍋で煮込んだうどん。
詳細は「鍋焼きうどん」を参照
その他の食べ方 [編集]
焼きうどん
うどんを使用した焼きそば。
詳細は「焼きうどん」を参照
揚げうどん
生うどんを数センチの長さに切って、フライドポテトの様に揚げ、塩または砂糖などで味付けしたもの。ビールのつまみやスナック菓子として食べられる。
なお、皿うどんは、名前はうどんだが全く別の料理である。
日本国内における地方のうどん [編集]
各地域で食べられているうどんには小麦の生産される土壌、気候、醤油などの醸造業や漁業などの地場産業、流通を担う商人などの存在により、その地域独特の郷土料理となっているもの、また村おこしの一環として地域の名物となったものなど様々な種類がある。
でんぷんうどん [編集]
北海道の農村地域で古来より食される郷土料理。小麦の麺ではなく、ジャガイモより精製されたデンプンを用いたうどん。白く透き通った麺で、強い弾力が特徴である。
留寿都村では、でんぷんうどんの製麺が製造・販売され、うどんを提供する店舗もある。
倶知安町では、家庭で食されていたでんぷんうどんを地元名産の「男爵」を使用した豪雪うどんを開発し、提供する。
詳細は「豪雪うどん」を参照
稲庭(いなにわ)うどん [編集]
稲庭うどん
秋田県南部の手延べ製法の干しうどん[14]。日本三大うどんのひとつに数えられる。ひやむぎより若干太く、やや黄色味かかった色をしている乾麺。製造工程は、食用植物油を使用せず打ち粉としてでん粉を使う点や、乾燥前につぶす事による平べったい形状が特徴。麺は気泡により中空になっており、そのために食感は滑らか。稲庭うどんについて記述のある「稲庭古今事蹟誌」によると、寛文年間以前に秋田藩稲庭村小沢集落(現:秋田県湯沢市稲庭町字小沢)の佐藤市兵衛によって始まると伝えられている[15][16]。また、その製法技術は、日本海交易により福岡からもたらされたとする説や山伏から教えられたなどの諸説がある。
ウィキメディア・コモンズには、稲庭うどんに関連するカテゴリがあります。
甘ったれうどん [編集]
宮城県蔵王町で作られているうどん。小麦は北海道産が使われている。麺に細かく刻んだ葱を散らし、上に卵黄を乗せ、甘みのあるタレを使ってかき混ぜて食べる。
ひっぱりうどん [編集]
山形県の郷土料理。茹で上がったうどんに納豆やサバ缶などを混ぜて作ったたれを使って食べる。「ひきずりうどん」とも呼ばれている。
詳細は「ひっぱりうどん」を参照
おっきりこみ [編集]
二毛作による粉食文化のある群馬県・埼玉県北部・秩父地方の野菜煮込みうどん[14]。
詳細は「おっきりこみ」を参照
上州うどん [編集]
桐生うどん [編集]
ひもかわうどん
群馬県桐生市を中心とした地域で食べられているやや太めのうどん。群馬県東部の東毛地方は小麦の産地であり[17]、桐生市周辺は製麺業が盛んである。「ひもかわ」と呼ばれる幅広なうどんもある。ざるうどんのほか、「きのこうどん」として食べられる。
詳細は「桐生うどん」を参照
館林のうどん [編集]
群馬県館林市は日清製粉グループ本社の前身の「館林製粉」発祥の地であり、東毛地方は小麦の産地であることから[17]、歴史的にうどん食文化があった(江戸時代中頃より館林藩の名物として将軍家に献上されたとの記録がある)[18][19]。1994年(平成6年)より町おこしの観光資源としてうどんが活用されている[18][19]。乾麺が中心となっており[19]、特徴としては変わりうどんが多数ある事[20]。個人店では、まゆ玉が入ったうどんがある。
水沢うどん [編集]
群馬県渋川市伊香保町水沢特産のうどん。生地を捏ねてから伸ばすまでの間に、14日程度の熟成期間があり、とてもこしが強いのが特徴。
詳細は「水沢うどん」を参照
耳うどん [編集]
耳うどん
栃木県佐野市(旧葛生町)仙波における郷土料理。
詳細は「耳うどん」を参照
加須うどん [編集]
埼玉県加須市で食べられているうどん。
詳細は「加須うどん」を参照
冷汁うどん [編集]
埼玉県秩父市とその周辺(県西部)、大宮市、川越市、加須市辺りで、主に夏に食されるざるうどん状の家庭料理[14][21]。
詳細は「冷や汁#埼玉県の冷や汁」を参照
武蔵野うどん [編集]
武蔵野うどん
かつての武蔵国地域を中心とした伝統のうどん。地粉を使ったゴワゴワしてコシが強く黒っぽい麺のうどんが多い。かつては小麦の生産が多かったために広く作られ食べられていた。この地域の旧家では冠婚葬祭には必ずうどんを出したという[22]。
詳細は「武蔵野うどん」を参照
ほうとう [編集]
山梨県全域で作られる郷土料理[14]かぼちゃや根菜類など季節野菜主体とした味噌汁に、生地に塩を練りこまずコシを作らない状態で幅広に切った麺を、打ち粉が付いたままの生状態から入れて煮込む。またこの調理法のために汁にとろみがある[23]。おやきやおねりと言った粉食料理の範疇と捉えられており、一般にはうどんの範疇とは認知されてはいない[23]。
詳細は「ほうとう」を参照
吉田のうどん [編集]
山梨県富士吉田市で作られる郷土料理[14]。非常に強いコシと太さを特徴としており、すすれないとか、うどんが噛み切れないほどである。煮干や鰹節を出汁とした味噌あるいは醤油味の汁で食べる。キャベツと馬肉が入れられ、各店特製のすりだね(調製唐辛子)が用意されている。富士北麓の当地は、冷涼な気候と溶岩台地の地理的条件から稲作が困難で、水掛麦による麦作が行われ伝統的に粉食料理が食べられていた。
詳細は「吉田のうどん」を参照
おしぼりうどん [編集]
長野県埴科郡坂城町周辺で作られる料理。ねずみ大根という辛い大根をすりおろした汁に信州味噌を溶かしたつゆにつけて食べる。
詳細は「おしぼりうどん」を参照
氷見うどん [編集]
富山県氷見市で作られる手延べ式の細いうどん。加賀藩献上御用うどんとして藩政期より250年以上の歴史があり[24]、秋田の稲庭のように、油を塗らずに延ばしていく。また、手打ちのように足踏みを行うのも特長の一つである。
詳細は「氷見うどん」を参照
小松うどん [編集]
石川県小松市で作られる細くのどごしが特徴のうどん。加賀藩が名物として大名へ献上品としている歴史がある。普通は足で踏んで練るところを特別に手で練り、炭火で乾燥した。実際には生うどんが食されており、明治以降昭和初期までは各店が自家製麺を作っており、生麺と自家製だしの相性が特徴であることが評判を呼んだ。
詳細は「小松うどん」を参照
ころ(香露)うどん [編集]
名古屋の冷やしうどん。
詳細は「香露」を参照
きしめん(棊子麺) [編集]
きしめん
名古屋名物の平らな麺で、「うどん」とは別物である。蕎麦・そうめん・冷麦等のように、麺の1ジャンルとして確立している。ちょうど山梨で「ほうとう」と「うどん」が別に扱われているように、名古屋には「うどん」と「きしめん」がある。
名古屋でのきしめん屋は、うどんではなく蕎麦等も提供する店が多く、うどん屋よりも圧倒的に少ない。きしめんの専門店はさらに少ないのだが、にも関わらず、名古屋ではきしめんと有名になったのは、古くからお宮さん(熱田神宮内)で食べられることから、名古屋以外の人には、名古屋ではうどんよりきしめんとして認知されたからと考えられる。また、二つが別物ととらえるところの一つに、それぞれから生まれたメニューの違いがある。名古屋独自の赤味噌を使ったメニューが両者にあるが、うどんは「味噌煮込みうどん」、きしめんは「豚汁きしめん」と、まったく別の種類のものが発祥であり、豚汁うどんや味噌煮込みきしめんは後世の創作である。また、蕎麦と共に提供する店が多いことから「海老おろし」もきしめんならではのメニューであるとされる。
詳細は「きしめん」を参照
味噌煮込みうどん [編集]
名古屋の郷土料理で名古屋めしの代表格の一つ。
詳細は「味噌煮込みうどん」を参照
伊勢うどん [編集]
伊勢うどん
三重県伊勢市周辺に伝わる、柔らかくゆでた極太の麺に黒く濃厚なタレを絡めて食べるうどん[14]。
詳細は「伊勢うどん」を参照
関西のうどん [編集]
女性層を中心に「おうどん」と呼ばれることがある。麺は柔らかな食感である。これは出汁(関西ではつゆのことを出汁と呼ぶが、根本的に関東のつゆとは異なるものである)がからみやすく、また出汁を吸いやすいようにとの工夫である[25]。出汁は、昆布と削り節(鰹節、鯖節など)をベースに、炒り子(うるめいわしなど)、椎茸、エビなどを合わせるなど、各店で工夫が凝らされる[26]。京都と比べると、魚介出汁は強めで、様々な隠し味を使い、複雑な味わいに仕上げるなど、同じ関西でも地域によって微妙に出汁の違いがあるが、吸い物のように飲み干せるように仕上げられている。また、ごはん(かやくごはんの場合もある)や寿司(巻き寿司、押し寿司、ちらしなど)と共に食することも多い。
かすうどん(こぶいり)
かすうどん [編集]
大阪の南河内地域で食べられてきたうどん。だしの中に、細切れにした脂の乗った牛の小腸(ホルモン)を油で揚げた「油かす」が入っており、独特の風味がする。大阪市内では2000年代に入ってから、このうどんを出す店が増えている[27]。
こぶうどん [編集]
京阪神のうどん店でよく見られるメニュー。「とろろ昆布」、あるいは「おぼろ昆布」をうどんに乗せて供する。関西では昆布を「こぶ」と呼ぶことが多く、このメニューも「こんぶうどん」とは呼ばず「こぶうどん」と呼ぶ。
うどんすき [編集]
うどん中心の寄せ鍋風のもの。大阪の料理店「美々卯」の主人・薩摩平太郎が1928年(昭和3年)頃に考案した。本来この「うどんすき」という呼称は美々卯の登録商標だが、やがて同様の調理法が多数の飲食店で供されるようになり、他店のメニューにも「うどんすき」と表示されるようになった。このため美々卯と他店との間で訴訟となったが、1997年(平成9年)に東京高等裁判所は「うどんすきという料理名は既に一般名詞化している」という判断を下し、実質的には商標権が喪失された状態となった。のち1999年(平成11年)に上告棄却で確定。
備中うどん [編集]
鴨方うどん、備中鴨方うどん、かも川うどんとも呼ばれる、岡山県浅口市鴨方町およびその周辺で作られるうどん。うどん料理の名称ではなく、うどん麺の名称である。この地域は、古くから手延麺の産地であり、手延そうめんや手延ひやむぎとともに手延うどんも製造されている。特に手延べうどん麺に関しては、生産量は日本一である。
詳細は「備中手延べ麺#備中うどん」を参照
倉敷のぶっかけうどん [編集]
江戸時代、天領だった倉敷に来た代官に差し出されたうどんが原型という説がある[28]。江戸の蕎麦を由来とする汁であるため、讃岐など他近辺地域のぶっかけうどんよりも濃く甘味が強い汁で、また具が多めである。古くから倉敷の地で食べられていた郷土料理だったが、地元のうどん店が倉敷名物として売り出し、定着した。
詳細は「ぶっかけうどん」を参照
しのうどん [編集]
岡山県倉敷市の玉島にある曹洞宗の名刹・円通寺の修行僧が、江戸時代に食していた「一筋一椀」と呼ばれるうどんの別称。
詳細は「しのうどん」を参照
鳴門うどん [編集]
徳島県鳴門市を中心に食べられているうどん。藩政時代から昭和後期まで鳴門市は塩田地帯として栄えたが、塩田での重労働を終えた人々向けにこなれの良い食物として提供されたものとされる[29]。腰がほとんどなく細い麺。だしは煮干しなどを用いあっさりしている。具は細かく刻んだ葱・竹輪・油揚げなど。
たらいうどん [編集]
徳島県北東部の土成地区の郷土料理[30]。うどんをゆで汁ごと大きなたらいにあける。そのたらいを数人で囲み、つけ汁に付けて食べる。つけ汁の出汁には川魚(じんぞく)が使われていたが、現在じんぞくを使っている店舗は少ない。
讃岐うどん・しっぽくうどん [編集]
香川県は、全国で県民一人あたり消費量トップである。町おこしの一環で、香川県を『うどん県』と呼ぶほど、食文化に根付いた地域である。讃岐うどんと呼ばれている。[14]、食感がツルリと滑らかな事が特徴である。トッピングや食べ方は多種多様な品目がある。しっぽくうどんもこの一部。
詳細は「讃岐うどん」を参照
博多うどん(福岡うどん) [編集]
福岡のごぼ天うどん
福岡・北九州方面で食べられているうどん[31]で、一般的に腰が弱めで柔らかいものが多い[32][33][34][35]。汁は昆布・鰹節・うるめ・鯖節・いりこ・あじこ・あご(トビウオ)等を使用し薄口醤油で仕上げる。具としては「丸天」や「ごぼ天」が一般的である。薬味として柚子胡椒が用意されている店も多い。
発祥としては、仁治2年(1241年)に宋より帰朝した円爾などの僧により、茶・饂飩・蕎麦・饅頭が日本にもたらされ、博多はこれらの発祥だという説がある[32]「腰が弱めで柔らかい」経緯にははっきりしないが諸説あり、伝来した頃のうどんは「単に粉をこねただけの柔らかな麺」といわれるが、その中で「柔らかな麺」という特徴をこの地方では後々まで引き継いでいった[32]、 商人町でせっかちな人が多く食事を早く済ませたい要望が多かった土地柄を反映して、調理時間を短縮するために茹で置きが広まった事や、素早く噛み切れて飲み込みやすい状態が望まれた事もあって柔らかく緩いうどん麺になった[32]、温かい汁でうどんを食べる場合、強い腰がある麺よりも腰が弱めで柔らかい麺の方が汁と絡み易くなることに気付き主流になっていった[33]、などがある。なお、この地方では汁を「すめ」と呼称する場合もある。
丸天うどん [編集]
福岡県を中心とした地域のうどん。薩摩揚げに類似する、魚のすり身を円形にして油で揚げた練り物(揚げ蒲鉾)[36]が載っている。当地では揚げ蒲鉾一般のことも「天ぷら」と称することに由来する。九州地方では、「天ぷらうどん」と称する場合、この丸天うどんのことを指すことがある。
ごぼう天うどん(ごぼ天うどん) [編集]
福岡県を中心にした地域のうどん。うどんの上に笹がきごぼうをかき揚げにした(もしくはバラバラに揚がった)天ぷら[36]が乗っているもので、九州北部地方の大方の店舗で扱っている。ごぼ天うどんと呼ぶこともある。
かしわうどん [編集]
鳥栖駅のかしわうどん
福岡県を中心とした九州北部定番のうどん。鶏肉のだしを使い、鶏肉のそぼろ(この地方の方言で鶏肉をかしわと呼ぶ)をうどんの上に散らしたものである。特に駅弁のかしわめしで有名なJR九州小倉駅から折尾駅、博多駅を経て鳥栖駅にかけての駅立ち食いうどん店では「かしわ無しで」と注文しないと、ほぼ全てのうどんに、このかしわがトッピングされている(つまり「かしわうどん」が、かけうどんのような立場である)。大分県などでは鶏肉を煮付けたブロック状のものが載せられたものを指す。
五島うどん [編集]
長崎県五島列島で産するうどん。厚めに丸く伸ばした生地を鎌で渦巻き状に切り出した後(この工程から「鎌切りうどん」とも言われる)、少し力を加えながら横に並べた二本の棒に8の字にかけてから、棒の間隔を少しずつ引き伸ばした後、一旦、生地を外してからまた力をかけながら生地を棒に8の字にかけていく、というそうめんや稲庭うどんのような手延べ製法で作られる。このため普通のうどんより細く、断面が丸いのが特徴。手延べの際に粉をふらず五島産の椿油を使用しており、かすかにその香りがする。たっぷりのお湯で茹で上げたあつあつの釜揚げうどんを醤油やアゴ(トビウオ)出汁のたれで食べる「地獄炊き」が代表的な食べ方である。弘法大師伝来を称する讃岐うどんに対し、五島うどんは地理的に大陸から独自ルートで直接伝来したと言われる[37]。
あごだしうどん [編集]
長崎県のうどん。出汁は当地で獲れるトビウオ(五島と同じく当地の言葉でアゴという)で出汁をとる。かつおだしよりあっさりした味。長崎地方は古く中国大陸との貿易の歴史があり、五島手延うどんや島原手延そうめんに見られるように手延製法が受け継がれている。奈良時代の文献には「麦縄」としてうどんが書かれており、これは長崎の五島うどんや島原そうめんに見られる「手延製法」と一致すると考えられる[38]。
ごまだしうどん [編集]
ごまだしうどん
大分県の佐伯市発祥のうどん[14]。焼いたエソ類などの魚の身、ごま、醤油等を混ぜ、擂り潰して作られる「ごまだし」と呼ぶ物を湯に溶き、つゆとして用いる。
詳細は「ごまだし」を参照
やせうま [編集]
大分県のうどん。うどんの弾力ある食感を生かし、きなこ餅のように黄粉をかけたものである。
詳細は「やせうま」を参照
魚うどん(ぎょうどん) [編集]
宮崎県日南市周辺の郷土料理である。太平洋戦争中の1940年代、主食不足の頃に代用食として食されていた。トビウオのすり身に小麦粉などを加えて麺状にしたうどんで、出汁もトビウオの骨からとっている。宮崎県のうどんの麺は柔らかくてコシがないのが一般的だが、魚うどんの麺はコシが強い。終戦後、永らく食されることはなかったが、1980年に魚料理の普及に努めていた日南漁協婦人部が、土地の老人から魚うどんの話を聞いて再現し、復活させた[39]。
詳細は「魚うどん」を参照
日本以外でのうどん [編集]
欧米などの日本食ブームによって、日本食レストランのみならず、レトルトや冷凍麺がスーパーマーケット等で販売されはじめており家庭料理としても一般的になりつつある。
香港では「烏冬麵」と書いて、広東語読みで「ウードンミン」と発音する。香港の日本料理店で使われ始めた表記だが、現在では中国大陸でもみかける表記となっている。他に「烏龍麵」という表記が使われる場合もあるが、これでは読みが「ウーロンミン」と訛る。
台湾では烏龍麵、もしくは烏龍湯麵という名称で親しまれている。スープはやや現地化されているが、基本的には日本のうどんと大差はない。
大韓民国では20世紀前半の日本統治の経緯から、現在でも日本式のうどんが우동(ウドン・udong)の呼び名で知られ、韓国人の好きな日本料理の三番目に位置している[40]。しかし、だし汁にコショウが入っているのが普通で、味は似て非なるものが多い。一方、釜山周辺では日本のうどんと同様のだし汁に、キムチを盛ったウドンがある。
ベトナムのホイアンには「カオラウ」(cao lầu)という小麦を原料とする太麺の料理があり、17世紀前半の朱印船貿易時代の伊勢商人が持ち込んだ伊勢うどんをルーツとする説がある。
ハワイは、明治から昭和初期にかけて多くの日本人の移民先となっており、サイミンと呼ばれる麺料理が存在する。現在では中華麺が用いられるが、だしの味は明らかに和風であり、日本人を中心とした各国の移民たちの交流の中で形成されていった料理であると考えられている。
パラオは、戦前に日本の委任統治を受けていた事により、UDONと称する麺料理がある。日本のうどんと同様の醤油味だが、沖縄そばの影響(過去、沖縄からの移民が多かったため)か汁は少なめで、また現地で入手しやすいスパゲッティの麺が使われている点に大きな特徴がある。
2009年に日本を訪れた外国人旅行者を対象に日本政府観光局が行った調査では、日本を訪れた外国人観光客が特に満足した食事のアンケートで寿司、ラーメン、刺し身、天ぷらに次いで5位であり、蕎麦は7位であった[41]。
代表的なうどんの写真 [編集]
海老の天ぷらうどん
力うどん
釜揚げうどん
丸天うどん
ざるきしめん
月見うどん
葛うどん
けんちんうどん
その他 [編集]
うどんとともに蕎麦も提供している店では、麺の加工や茹での工程でそば粉が付着するおそれがあり、そばのアレルギー物質を摂取する可能性があるため、その旨の注意表示を掲げる店舗もある(そばアレルギー参照)。
脚注 [編集]
[ヘルプ]
^ うどんのルーツに新説-四国新聞社 2009年(平成21年)3月25日閲覧
^ 後に、日本農林規格等により、うどんが区別されるようになった。
詳細は「#五島うどん」、「讃岐うどん」、「博多#日宋貿易」、「ひやむぎ#由来」、および「素麺#素麺の伝来」を参照
^ 香川県庁のサイトより[1]
^ 柔肌の大阪うどんより
^ 香川県農政水産部の見解。讃岐うどん#讃岐うどんブームより。
^ 讃岐うどん#現代より。
^ a b 乾めん類品質表示基準 (PDF)
^ a b c 丸麺では断面の直径、角麺では幅を指す。
^ 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF)
^ 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF)では一部特産品を除き「太さに関する具体的な数値による基準」や「形状に関する具体的な規定」を設けていないため、「うどん」「細うどん」「ひやむぎ」「素麺」等は見た目の形状や製造・販売業者の意向等により、一般消費者に誤認されない範囲で自由に選択して名付けられる。
^ カレー産業
^ 日本麺類業団体連合会ホームページ・そばの散歩道 - しっぽく
^ 日本辞典・卓袱うどん
^ a b c d e f g h 。各地に伝わるふるさとの味として、2007年(平成19年)、農林水産省により「農山漁村の郷土料理百選」として選ばれた。
^ 秋田県稲庭うどん協同組合より。
^ 秋田ひとくち知識「稲庭うどん」(秋田物産館)より。
^ a b 東洋大学 研究プロジェクト「うどん文化の活性化」
^ a b 麺のまち「うどんの里館林」振興会
^ a b c 八王子市公式サイト 「食」によるまちおこし事例研究 (PDF)より。
^ うどん辞典:全国ご当地うどん<前編>(金トビ志賀)
^ All Aboutグルメ うどん「冷汁うどん」
^ 武蔵村山のうどん解説
^ a b 参考文献:影山正美「ホウトウ」『山梨県史民俗編』
^ 氷見うどん高岡屋本舗より。
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こちら文芸&学芸書籍編集部(SOFTBANK Creative)メールマガジン「週刊ビジスタニュース」 2005年7月27日より。
^ ぶっかけうどん物語
^ よしのがわ(国営吉野川下流域農地防災事業) > 地域の紹介 >ひといきコラム「鳴門うどん」より。
^ よしのがわ(国営吉野川下流域農地防災事業) > 地域の紹介 >ひといきコラム「たらいうどん」より。
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^ a b c d 日本コナモン協会:コナモザイク(コナモン図鑑)「博多うどん」より。
^ a b 長谷川法世(「博多っ子純情」作者、博多町家ふるさと館館長)・福岡市麺類協同組合理事長 対談より。
^ 毎日jp 2008年(平成20年)1月28日掲載 グルメ都市福岡:「うどんも、まんじゅうも発祥」ミス福岡がイベントPRより。
^ 福岡うどんDB「福岡うどん」より。
^ a b 日清製粉東京営業部副部長「讃岐に待ったをかける博多うどんの逆襲」 JMAマーケティングeニュースレター167号(2005年(平成17年)6月13日)・マーケティングホライズン(日本マーケティング協会)平成17年(2005年)5月号
^ 長崎県五島手延うどん振興協議会「五島手延うどんの歴史」より。
^ 長崎手延うどん「長崎とうどんの歴史」より。
^ 宮崎県公式サイト: みやざきの味と花101: 61 魚うどん
^ NHK放送文化研究所「日韓市民意識調査」『放送研究と調査』2010年11月号
^ ITmedia 外国人観光客に聞く、満足した日本食はナニ?
関連項目 [編集]
かけうどん
製麺