korou's Column

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松浦亜弥ディスコグラフィー 87 「YOKOHAMA SING A SONG」

2016-10-30 | 松浦亜弥

8枚目のシングル「草原の人」のカップリング曲。

2002年12月11日リリース。

作詞・作曲:つんく、編曲:鈴木俊介。

 

あまり聴き込んでいない曲だったのに

今回この記事を書くにあたって何度か聴いているうちに

これは素晴らしい名曲だと思うようになった。

つんくの書いた曲でもベスト5に入る傑作なのではないだろうか。

これほどジャズテイストが

自然に醸し出される曲はなかなか無いと思う。

残念ながら、個人的感想を書けば

亜弥さんはこの曲に関してはうまく歌えていないと思っている。

 

オリジナルは意外なほど心地良く聴ける。

https://www.youtube.com/watch?v=zWj_Klbs3rI

ただし、16歳のあややが普通に歌ってジャズテイストが感じられるわけもなく

これは、明らかにつんく♂の歌唱指導による成果だろう。

あまりしつこくない程度に年齢相応にギリギリのラインで

ジャズっぽく歌わせているのが、なかなかいい感じである。

(もっとも、見ようによっては

「操り人形が見事に踊っている」歌唱ともいえるが)

 

ミュージカル「草原の人」からの映像も見ることができる。

https://www.youtube.com/watch?v=JShI_V1qne0

いかにもライブらしい映像で、懸命に歌うあややの姿もカワイイ限りだが

これを音声だけ抜き出してヘッドフォンで聴いてみた場合

あまりに即興的に過ぎて、聴くに堪えない感じになる。

まさにライブはライブであり

それ以上の分析をするのは野暮な話なのだろう。

まだ自分なりの解釈ができていない歌唱で

ミュージカル内の一曲として、ただ単に消化されただけである。

 

そこから3,4年経ち、

「進化ノ季節」ツアーでこの曲が歌われることになる。

https://www.youtube.com/watch?v=3_KEXbwUwz4

出だしはまあまあの感じだが

歌い込むにつれて

どんどんマズい方向にズレていっているような

ある種の居心地の悪さを覚えてしまう。

こんなにしつこく粘って歌っても

感動できるものは何も出てこなくて

技巧を凝らした分だけ不自然な印象を受ける。

この曲は、歌い込めば歌い込むほど

その魅力が逃げてしまうような曲なのではないだろうか。

だから、なるべく「歌わない」ことで

適当に曲との距離感を保っていくことで

じわじわとその良さが伝わってくるのではないだろうか。

でも、歌手松浦亜弥にそれを求めてはいけないはずだ。

全然個性が違いすぎる。

だから、この曲は名曲だけど

亜弥さんには歌えない曲なのだろうと思う。

 

つんく♂が歌っている映像もある。

https://www.youtube.com/watch?v=urZnaqGCCAo

抜群に上手いというわけでもないが

さすがに後半あたりにジャズテイストが

巧まずして醸し出されている。

つんく♂にしても、部分的には積極的に歌おうとしているので

その分だけ曲の魅力を損なっているのだが

こういう曲の歌い方として「引き出し」をいっぱい持っているので

そのテクニックで、さすがの歌唱に仕立てている。

やはり、これはつんく♂のオリジナル曲と思ったほうが良い。

 

2012年、マニアックライブ4でこの曲が歌われた。

この時の歌唱は

「進化ノ季節」のときのようなひたむきな感じではない。

普通に楽しげに歌っていて

6年足らずの間に随分とアプローチが変化している。

まるで”つんく♂のオリジナル曲のカバー”のように聴けて面白い。

一生懸命歌わないほうがしっくりくるというのも妙だが

この曲に関していえば

歌手松浦亜弥として一番ピッタリくる

アプローチではないだろうか。
 

YOKOHAMA SING A SONG Aya Matsuura Maniac Live Vol 4 1 02

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2 コメント

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感じ方の違い (mago_emon)
2016-10-31 23:10:23
ここ何本か、地味な曲ながら私としては割と話題に乗りやすい楽曲が続いていますので再びお邪魔します。

進化の季節バージョンの感じ方はちょっと違ったところがあります。私は別途アップしている位で、感情のこもった、そして歌いっぷりに(20歳としては)ある種の色っぽさも感じられて時々見ています。考えてみると単に肌の露出の多めな衣装のせいでしょうかね(笑)

ある曲の感じ方が違うのもまた新鮮に思えるのですが、korouさんより私の方が寛容な評価そして感じ方なのが常です。
やっぱり音楽に素養のある方は敏感かつ客観的な見方ができるからでしょうか。

マニアックライブ4では、一言で言うと本当にリラックスしてますね。このときはこの時で、力が抜けた分研ぎ澄まされたような本当に綺麗な歌声なのですが、そんな歌いっぷりから、この頃には歌うことそのものに対する情熱も失われてきていたのではと、少々寂しい思いを抱きながら聴いてしまいますね。
返信する
感じ方の違い、というより・・ (korou)
2016-11-01 20:36:44
>mago_emonさん

コメントを頂いたので
ちょっと考えてみたのですが
おそらく、感じ方の違いというのは
それほど大きくないのでは、と思います。

「進化ノ季節」の歌唱から
私も
「情のこもった」感じとか
「歌いっぷりに(20歳としては)ある種の色っぽさ」などを
感じます。
また、マニアックライブ4の歌唱から
「歌うことそのものに対する情熱も失われてきていたのでは」という印象が
拭いきれないのも一緒です。

ただ、私の感覚のなかに
曲についてのこだわりが強すぎるのかもしれません。
いくら「情がこもっていて」「色っぽくても」
”YOKOHAMA SING A SONG”という曲には合っていないと
思ってしまうのです。
逆に、いくらか「情熱不足」であっても
結果としてこの曲のスタイルに合っていれば
マニアックライブ4のほうが聴きやすい
と思ってしまうのです。
(ただし、どこかで「情熱不足」も感じているので
 そのあたりは、オリジナル曲というより
 カバー曲を聴いているような感覚に聴こえたりするわけです)

それはともかく
自分とは感じ方が違うと思われたのに
ヘンな奴だなとスルーされずに
こうしてコメントまで頂けるのは
嬉しい限りです。
いろいろと考えるきっかけになって
得るものが多いです。
返信する

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