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みんなのジュノーム

2018年09月09日 | スタッフ独り言

月イチ美術部で制作した「ジュノーム」の作品を紹介したいと思います。

 

ジュノーム」は、1777年、モーツァルトが二十歳の時にザルツブルグで作曲されたピアノ協奏曲第9番。

フランスの女流ピアニスト「ジュノーム」嬢がザルツブルグを訪れた際に、献呈された曲。

彼女の名前からとって、「ジュノーム」という愛称で呼ばれています。

彼女に触発され、それまでのピアノ協奏曲から大きく飛躍をとげることになった曲と言われています。

 

9月8日の美術部では、この「ジュノーム」を聴きながら、

音を色や形にかえて、表現しました。

 

「音を描く」ことが、はじめて。

とまどいもあったかと思いますが、

わずかな時間で豊かな表現ができました。

同じ曲を聴きながらも、個々にアプローチが違う所が、おもしろい。

みなさんも、ぜひ鑑賞してみて下さい。

 

音の形。形にも違いがあり、色も違う。

曲全体のイメージを集中して聴いて、伝えようとする姿が浮かびます。

 

音に形があり、質量があったとすれば。。。

 

ときどき音に出会った時に、衝撃や感動を受けますが、その際、ないはずの質量や存在感なども、

リズムと混じりながら感じているような気になるのですが、

みなさんはどうでしょうか。

この作品をみていると、そのような質をともなった音が伝わってきます。

 

とても広い空間。わずかな波紋。

浮かんでいる形、色。

煙がすーっとでて。

すごい緊張感。

モーツァルトがはじめて耳で聴いた「ジュノーム」は、きっとこのような感じ。

 

水と絵の具が混ざりあって、ふわっときれいな色が広がっていく。

にじみや点をはずむようにうった形は、動作も感じさせ、演奏者をおもわせる。

 

表現には、「かた」があって、「美の要素」とよばれるものもあります。

リピテーション、グラデーション、リズム、アクセントなどなど。

音楽とも共通する部分があります。

余白を超えていく、形や色に、楽しさが広がります。

 

 

様々な表現が折り重なって、豊かな印象を受けます。

抽象的な形に具象的な形が、結びついて、

はなやかで繊細な「ジュノーム」を感じさせます。

 

 

抽象的な表現に、また種類の違う表現が重なっています。

描くパートがわかれていて、美しい音を写し取ったようです。

寒色、暖色の使い分けや、明暗の変化に、丁寧に音にむかっていく姿勢が浮かびます。

 

クレヨンなどの油分のある表現上に、水彩で描くとはじく表現ができます。

「バチック」といいます。

水彩による地塗りの上に、バチック?あるいは、逆?

クレヨンも縦と横の描きわけがあり、層をなしています。

表現として複雑で、これもまた、繊細な「ジュノーム」の表現のひとつ。

 

同じ旋律が繰り返されているように感じる。

ところが、細かく聞いていると、変化に気づき、驚きを感じる。

その巧みなやりとりが、色と形をなして表れている。

「このような形でしょ」とおもいきや、よくみると違う。

「音をみて感じる」楽しさが、表現されています。

 

水彩による地塗りの上に、パステル。それをぼかしている。

ぼかす表現は、指でこすってできる。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、

この指でこする「スフマート」という技法で、形を輪郭でとらえる表現に革命をもたらした。

ぼかすことで、輪郭をなくし、輪郭にあったわずかな空間の広がりを解放した。

 

音の形が、指でこすってぼやけると、なんだか深みのある表現としてみえる。

 

 

線は、筆圧をコントロールすることで、強弱を作り出し、見える印象をかえることができる。

ピアノもまた同じ。

形と、色、そして線の変化によって、「ジュノーム」を表現している。

 

 

 

音を視覚的にとらえるということは、いつもと違う感動を生んだかと思います。

 

これら美術部の作品をみていると、いかにそれぞれが豊かに「ジュノーム」の曲を聴いているかがわかります。

しかもそれは、個々によって感じ方が絶妙に違う。

では、演奏者にとっては、どうなのだろうか。

感じ方が違う、たくさんの演奏者が、ひとつの音楽を作り出すこととは。。。

 

 

 

想像するに、それはすごい。

また、それを聴く聴衆も。

 

 

 

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