スイス・ヴァレー州でツェルメットからローヌ川を挟んで反対側(北側)に、写真のレッチェンタールの谷があります。ユングフラウなどベルナーオーバーラントの裏側にあたる所です。
「アルプス」と聞くと思い浮かべるような風景が広がる長閑な谷です。ナマハゲのようなヨーロッパの古い習俗を残す谷でもあり、観光地としてとても魅力的でありながら、日本であまり紹介されることはありません。残念なようでもあり、観光客が増えないで静かでいてくれるというのは、うれしいようでもあります。
日本の海外旅行の悪循環で、旅行会社が組み込んだ場所を、ガイドブックが取り上げる。ガイドブックが取り上げたところを、旅行会社がコースに組み込む。政府観光局が売り込みたい場所に、メディアや旅行会社を連れて行き、テレビや雑誌で取り上げられて、旅行会社がコースをつくる。ガイドブックがまた取り上げて、また旅行会社がコースをつくる。
結果、ガイドブックは内容が偏り、旅行会社のコースは似たりよったり。
この日本のガイドブックがくせもの(全部とは言いませんが)で、グリーン・ミシュランやロンリー・プラネットのように網羅的では無いうえに、日本人旅行者に信頼されています。
内容自体、単なる間違い、勘違いから捏造に近いものまで、いろいろ悪いところが目につきますが、私が気になるのは、そのガイドブックを持った旅行者の方です。
特に近年、ガイドブックの確認作業に忙しい旅行者が増えている気がします。ガイドブックの掲載されている写真と同じ構図の写真を撮る(「あっ、ここから撮った写真だ」)、素敵なお店を紹介したくても、ガイドブックに載っている所に行きたがる。結果、ガイドブックどおりの内容がこなせれば満足。団体ツアーに限らず、この傾向は個人の自由旅行の人たちも同じでしょう。深夜特急を読んで旅にでて、「ここが沢木耕太郎が泊まった宿だ」みたいな人までいるそうで・・・
お客様の満足が第一ですから、所詮、旅行の話ですので、商売的にはこれでもいいのですが、これが日本社会の今の一般的傾向かと考えると、看過できないところもあります。新聞の記事を信じてしまう人はまだまだ多いし、テレビの影響は計り知れません。悪者たたきのときのように、どっと流されてしまう人々の様子は見ていて、決して気持ちは晴れません。
忙しい世の中です。あちらこちらに羅針盤を張るのはむずかしいでしょう。
ならば、旅の時くらいは(本当は怪しい)情報に縛られず、精神の解放と冒険を楽しみませんか。
とはいえ、労作であるロンリー・プラネット日本語版はお薦めです。
(照沼 一人。)
写真提供:田川静子様(3枚とも。2006年6月スイス・ヴァレー州の旅にて)
↑レッチェンタールのファフラーラング氷河です。
↓ナマハゲのようなケルトの文化が残っています。
「アルプス」と聞くと思い浮かべるような風景が広がる長閑な谷です。ナマハゲのようなヨーロッパの古い習俗を残す谷でもあり、観光地としてとても魅力的でありながら、日本であまり紹介されることはありません。残念なようでもあり、観光客が増えないで静かでいてくれるというのは、うれしいようでもあります。
日本の海外旅行の悪循環で、旅行会社が組み込んだ場所を、ガイドブックが取り上げる。ガイドブックが取り上げたところを、旅行会社がコースに組み込む。政府観光局が売り込みたい場所に、メディアや旅行会社を連れて行き、テレビや雑誌で取り上げられて、旅行会社がコースをつくる。ガイドブックがまた取り上げて、また旅行会社がコースをつくる。
結果、ガイドブックは内容が偏り、旅行会社のコースは似たりよったり。
この日本のガイドブックがくせもの(全部とは言いませんが)で、グリーン・ミシュランやロンリー・プラネットのように網羅的では無いうえに、日本人旅行者に信頼されています。
内容自体、単なる間違い、勘違いから捏造に近いものまで、いろいろ悪いところが目につきますが、私が気になるのは、そのガイドブックを持った旅行者の方です。
特に近年、ガイドブックの確認作業に忙しい旅行者が増えている気がします。ガイドブックの掲載されている写真と同じ構図の写真を撮る(「あっ、ここから撮った写真だ」)、素敵なお店を紹介したくても、ガイドブックに載っている所に行きたがる。結果、ガイドブックどおりの内容がこなせれば満足。団体ツアーに限らず、この傾向は個人の自由旅行の人たちも同じでしょう。深夜特急を読んで旅にでて、「ここが沢木耕太郎が泊まった宿だ」みたいな人までいるそうで・・・
お客様の満足が第一ですから、所詮、旅行の話ですので、商売的にはこれでもいいのですが、これが日本社会の今の一般的傾向かと考えると、看過できないところもあります。新聞の記事を信じてしまう人はまだまだ多いし、テレビの影響は計り知れません。悪者たたきのときのように、どっと流されてしまう人々の様子は見ていて、決して気持ちは晴れません。
忙しい世の中です。あちらこちらに羅針盤を張るのはむずかしいでしょう。
ならば、旅の時くらいは(本当は怪しい)情報に縛られず、精神の解放と冒険を楽しみませんか。
とはいえ、労作であるロンリー・プラネット日本語版はお薦めです。
(照沼 一人。)
写真提供:田川静子様(3枚とも。2006年6月スイス・ヴァレー州の旅にて)
↑レッチェンタールのファフラーラング氷河です。
↓ナマハゲのようなケルトの文化が残っています。
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