また、食物などの面から見ても、アジアとの繋がりが見えてきます。
首都アンタナナリボの郊外には田園風景が広がり、人々の主食はお米で、
一人当たりの消費量は世界一位とも言われています。
他にも、マダガスカルの栽培植物のなかには、ヤムイモやタロイモ、バナナ、ココヤシ、
パンノキ、ヒョウタンなど、東南アジアが原産地と考えられる作物が少なくありません。
また、これらの呼称も東南アジアでの呼称と類似していて、有史時代以前に、
東南アジアからインド洋を渡ってもたらされたと考えられている要因の一つです。
中には、日本語と似ているものもあり、
田んぼは、マダガスカル語では「タンバ」と呼びます。
稲作の技術要素やイネの呼称を考えれば、最初の稲作がマダガスカルに
もたらされたのは、東南アジアのどこか、おそらくインドネシアあたりであったことは
ほぼ間違いないだろうと考えられています。
考古学的証拠は見つかっていませんが、のちにインドネシアにもたらされた
新しい稲作技術の痕跡がマダガスカルで見つからないことから、
かなり古い時代にアジアと同様の稲作がもたらされたことは確かであるという
研究成果が発表されています。
東部海岸地方で見出される高床式の米倉、吹き矢、竹の表皮を剥いで作られた竹琴など
東南アジアで用いられているものとそっくりそのままと言ってよいほどの道具の数々、
絣や絹・蚕といった織布の技術など、目で見られる繋がりだけでも、
マダガスカル人の祖先がアジアからインド洋を渡ってやって来たことを物語っています。
しかしながら、16世紀にヨーロッパ人たちがマダガスカルに進出してきた当時には、
この壮大な人の移動は終了していたために、移住の実態と細部については
多くの謎が現在でも残されたままです。
実際に、いつ頃マダガスカル人の祖先は何処から出発し、
どのような航海技術を用いてインド洋のどのルートを渡ってきたのか。
また、何人の人が一回の航海で海を渡り、そのような航海と移住が
どのくらい繰り返されたのか。
そして、なぜ遠く離れた無人島のマダガスカルにまで
やって来なければならなかったのかなど、謎はまだまだ残されています。
ぜひ皆さんも、「アフリカの中のアジア」マダガスカルを訪れて、
古の船乗りたちの残り香を感じてみてください。
(前田 貴俊)
お忙しい中、毎日のお願いで、恐縮ではございますが、
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一人当たりの消費量は世界一位とも言われています。
他にも、マダガスカルの栽培植物のなかには、ヤムイモやタロイモ、バナナ、ココヤシ、
パンノキ、ヒョウタンなど、東南アジアが原産地と考えられる作物が少なくありません。
また、これらの呼称も東南アジアでの呼称と類似していて、有史時代以前に、
東南アジアからインド洋を渡ってもたらされたと考えられている要因の一つです。
中には、日本語と似ているものもあり、
田んぼは、マダガスカル語では「タンバ」と呼びます。
稲作の技術要素やイネの呼称を考えれば、最初の稲作がマダガスカルに
もたらされたのは、東南アジアのどこか、おそらくインドネシアあたりであったことは
ほぼ間違いないだろうと考えられています。
考古学的証拠は見つかっていませんが、のちにインドネシアにもたらされた
新しい稲作技術の痕跡がマダガスカルで見つからないことから、
かなり古い時代にアジアと同様の稲作がもたらされたことは確かであるという
研究成果が発表されています。
東部海岸地方で見出される高床式の米倉、吹き矢、竹の表皮を剥いで作られた竹琴など
東南アジアで用いられているものとそっくりそのままと言ってよいほどの道具の数々、
絣や絹・蚕といった織布の技術など、目で見られる繋がりだけでも、
マダガスカル人の祖先がアジアからインド洋を渡ってやって来たことを物語っています。
しかしながら、16世紀にヨーロッパ人たちがマダガスカルに進出してきた当時には、
この壮大な人の移動は終了していたために、移住の実態と細部については
多くの謎が現在でも残されたままです。
実際に、いつ頃マダガスカル人の祖先は何処から出発し、
どのような航海技術を用いてインド洋のどのルートを渡ってきたのか。
また、何人の人が一回の航海で海を渡り、そのような航海と移住が
どのくらい繰り返されたのか。
そして、なぜ遠く離れた無人島のマダガスカルにまで
やって来なければならなかったのかなど、謎はまだまだ残されています。
ぜひ皆さんも、「アフリカの中のアジア」マダガスカルを訪れて、
古の船乗りたちの残り香を感じてみてください。
(前田 貴俊)
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