地球浪漫紀行☆世界紀行スタッフの旅のお話し

(株)世界紀行・スタッフのブログです。ブログ・タイトル『地球浪漫紀行』は弊社ダイレクトメール名です。

インドの青空美術館・シェカワティ地方の田舎町

2010年01月14日 22時07分34秒 | インド
2009年は、台湾、パタゴニア、イラン、承徳、ポーランド、ハンガリー、九寨溝・黄龍、
東カナダ、ヒマラヤ・トレッキング、クイーン・ヴィクトリア号クルーズ、
そしてインドと、11本の添乗を務めさせていただきました。
ツアーでご一緒させていただきました皆様を始め、
多くのお客様のお陰で無事に一年を終え、新たな年を迎えることができました。
心から感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
そして今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。


2010年お正月は「インドの旅」

このたび訪れた、「シェカワティ地方」は、インド28州のうち、
インド北西部ラジャスタン州にある、デリー、ジャイプール、ビカネールを結ぶ
小さな三角形の地域です。
首都デリーからは、約280kmと比較的近距離に位置していますが、
27ある世界遺産、その他の多くのインドの観光地に比べ、
ほとんど外国人旅行客には知られていません。

現在4本目の地下鉄を建設中の近代化が進むデリーからハリヤナ州をバスで走れば、
あっという間にビル群は姿を消し、一面菜の花畑の景色へと様変わりします。
さらに走り、砂漠州・ラジャスタンに入ると、カラフルなサリーの女性が増え、
ラクダが小麦や荷物を運びます。
車窓からの景色の変化が、驚きと嬉しさを感じさせてくれます。



「インドの青空美術館」と呼ばれるシェカワティの地には、
美しく色鮮やかなフレスコ画が描かれた
「ハヴェーリー」という伝統的邸宅が数多く点在しています。
マンダワ、ナワルガル、ファテープル、ラームガル、マハンサールなどの街を散策すると、
絢爛豪華に装飾されたハヴェーリー群が次々と現れ、右に左に目を奪われます。
青空美術館と呼ばれるその名の通り、屋外にいながら
まるで美術館や博物館を見学しているような錯覚に陥るほどです。
ほとんどが地元の裕福な豪商たちによって
18世紀から20世紀初頭に建てられたもので、
現在も個人の邸宅として使用されるもの、
レストランや、ホテル、大学の一部となっているもの、
そして管理人を置き、私たち観光客に内部を解放してくれているところも
たくさんあります。



また街には、当時の要塞や城、バオリ(階段井戸)、
傘のようなドームを持つチャットリー(傘という意味)、
亡くなった富豪の記念碑などもとても興味深く、
チャットリーもその内部に綺麗なフレスコ画が描かれています。


(チャットリー内部)

フレスコ画のモチーフは、ヒンドゥーの神々(ヴィシュヌ神の化身ひとつ、
8番目クリシュナが人気です)、神話、叙事詩ラーマヤナ物語など
伝統的なものだけでなく、自転車、馬車に乗るイギリス人、
兵士などマンガのようなものも多く、
ひとつひとつ見て回ると、時間がいくらあっても足りません。



◆ハヴェーリー内部
一般的なハヴェーリーの大きな特徴は、中庭を持っていることです。
当時女性が外出することはほとんどありませんでしたので、
中庭で夏の暑さを凌いでいました。
中庭を囲むように立派な広間があり、主人がお客を迎え、もてなしていました。
中庭の小窓からは女性たちが、どんなお客様が来たのか覗いていたそうです。
食事中、中庭の中に入ることが許可されなかった召使いたちは、
この小窓からお茶や食事を受け取っていました。
中庭が多いほどお金持ちで立派な建物とされています。
台所は複数あり、親戚同士が中庭を囲むように、
部分ごとに住まいを分けて暮らしていました。
階段を上ると屋上からは街の全景を見渡すことができます。
内部のフレスコ画は、神々に加え、草花のアラベスク模様や、
幾何学模様が印象的です。



シェカワティはジャイプール藩国の属国の一つで、
シルクロード上の貿易拠点として栄えました。
イギリス植民地時代に入り鉄道が発達してくると、
ラクダによる通商は衰退の一途をたどりますが、
商人たちはムンバイ(ボンベイ)やコルカタ(カルカッタ)に拠点を移し、
海運業などでさらに富を築いていきました。
富と成功を知らしめるため、彼らは故郷のシェカワティに
絢爛豪華なハヴェーリーを建て、美しいフレスコ画を描きました。
ハヴェーリーのオーナーの多くは、現在もムンバイやコルカタに住んでいます。
たまたまお邪魔したお宅にいらした若いご夫婦は、
お父様の持ち家であるハヴェーリーに、つい最近戻ったとの事。
一昨年のムンバイのテロにより、ご主人が大怪我を負ってしまい、
地元に帰ってきたそうです。
若い人たちが住むには、見た目の美しさとは裏腹に、
設備面や寒さの点などで、不便なことも多いそうです。



ラジャスタン州北西部には、タール砂漠が国境を超えパキスタンまで広がります。
半分が砂漠の州、ラジャスタン州・シェカワティを彩るカラフルなハヴェーリー。
その美しいハヴェーリーを飾る額縁は、
人々の活気、市場、牛、ラクダ、ロバ、自転車、タクシー、
はたまた高級車、青空、雨、匂い、埃・・・・・、そういった地元の人々の生活です。
雑踏と密集といった、雑多な雰囲気であるにも関わらず、
なぜかのんびりと流れていくシェカワティの時間。
車窓からでは決して窺い知ることはできません。
三輪タクシーや徒歩で時間の許す限り、ゆっくりと回りましょう。
インドの大都市では失われてしまった、かつてあったインドの姿が
ここシェカワティに感じ見ることができるかもしれません。
いつの間にかインドの田舎町に溶け込んでいる自分にも気づくことでしょう。
(西川 太陽)




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