日刊マイルストーン

日々の足跡を残したいと思います。が・・・
きばらず入力するので更新は不定期です。

志賀直哉

2005-11-04 02:20:36 | Weblog
先日志賀直哉の小説について記事を書いたけど
志賀直哉の”和解”という短編にこんなことが
書いてある。
主人公が芝居を見に行くために銀行で
お金を下ろすシーンがある。
主人公は日本橋の三井銀行に行く。
ところが業務が立て込んでいるらしく
2時間立ってもお金が下ろせない。

以下抜粋
「とうとうがまんしきれずに自分は金を受け取らずに
そこをでてきた。
大きな建物でおおぜいの人間を使いながら
働きのないところだと思った。
急行に乗れば国府津の先までいける時間一つ
ベンチにじっとさせて、まだらちがあかないのは、
ひどすぎると思った。
ようすを知らず律儀に腰掛けて待っている人に
だいたいの時間をいって注意しないのはふしんせつ
なところだと思った。」

志賀直哉怒ってるなあ。
小説の主人公がしゃべってることだけど
志賀直哉の実体験から出ている言葉であることは
間違いない。
それにしても、和解が発表されたのは
1917年(大正6年)のことである。
実名で、銀行名までだしてしまって
よかったのだろうかと思う。
まあ、当時の銀行のサービスの平均時間が
そんなもので、あまり問題にならなかったのか
いまよりも時代がおおらかだったのかわからないが
興味深い一節なので紹介しました。


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