ほっとする お茶の惑星

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童謡の風景

2007-05-19 | 中日新聞より
おぼろ月夜          高野辰之助作詞   

Ⅰ,菜の花畠に   入日薄れ     Ⅱ,里わの火影も  森の色も
  見わたす山の端 霞深し        田中の小路を  たどる人も
  春風そよ吹く  空を見れば      蛙のなくねも  かねの音も
  夕月かかりて  におい淡し      さながら霞める おぼろ月よ

1914(大正3)年尋常小学校唱歌の6年生の教科書に初めて載った「朧月夜」は今も6年生が習う歌として健在。よく講演先で♪におい淡し・・・ってどんなにおいですか?と尋ねられる。ほかにも「入日(いりひ)」「霞(かすみ)」「火影(ほかげ)」「さながら」など、歌の意味を尋ねる傾向が強い歌でもある。
この匂いは、臭覚上で言う匂いではない。「いい匂い」などの匂いが淡いのではない。におうとは、視覚上の色合いや美しさを表す時に使われるのが本来の用法なのだ。
だから、♪夕月かかりて におい淡し・・・とは、月の光の色合いが薄く弱いことをさしている。お月様がかすんでいるということ。つまり、においの淡い月こそが、「おぼろ月夜」だったのである。 中日新聞 合田道人(作家、歌手)
昔の人の、日本語の表現のあいまいな、微妙な何かを感じさせるところ、想像かきたてる世界が理解できず説明をみて、すごく納得でき、感動を覚えることが多いです。童謡といえども奥の深いものですね。