慶応ボーイの植木屋修行

ランドスケープアーキテクト福川成一のエッセイとオーベルジュ・スミの庭の記録

台風に遭う

2011-10-31 14:36:32 | エッセイ
9月21日の日 台風15号が本州を縦断し、私達の御殿場にも大変な被害をもたらした。
東日本に上陸した戦後最大級の勢力だった。

母屋の庭では15mほどのヒノキを7本倒し、ハクレンの枝が折れてアプローチを塞ぎ、シンボルツリーのもみの木は芯のトップが折れて、母屋の屋根の棟の銅版を飛ばしてしまった。
強風はどうやら地上10mくらいをしかも南から北に吹いたらしく、高い木は被害を受けたが、コスモスやシオンなどは倒れかけたものの、草花達は今までの台風の被害と大した差はなかった。

 ヒノキはチェーンソーで薪を作った。チェーソーはヒノキや堅い木を切るとすぐ歯が止まって、やすりで目立てをしなければ
ならないのだがめんどくさいので新しい歯に変えてしまうといういい加減な方法で対処していた。これほど大量に切らねばならないとお金が掛かってたまらないので研ぐことにした。

チェーンソーのやすりを買って裏の説明を読んで、いままで目立てがうまく行かなかったのは一方方向に研がねばいけないと知り、やっとうまく研げるようになった。どれだけ切ったか分からないが今日まで同じ歯が使えている。いつも説明書も読まず闇雲に始めてしまう自分をいまさらながら恥じた。

 ついでに薪にならない枝や葉は軽トラをレンタルして民間の生木の処理場に持っていった。御殿場中から植木屋や請負のトラック、自衛隊のトラックが枝だけでなく、幹や巨大な根などを持ち込み、チップしてしまう。この台風でバーク堆肥は沢山出来るだろう。
受付のお姉さんは今回の台風でシロートも沢山来るのか実に手際よくわれわれにも対応してくれた。多分11月中には我が庭も再生するだろう。


 今回の震災と台風は我々日本が世界一の災害国であることを私に実感させてくれた。世界の震度6以上の地震の20%は日本で起こる。
それだけでなく台風の大きな被害もある。我々が生きていて一度も災害に遭わない事の方がまれなことなのだ。
この厳しく理不尽な自然と美しい自然が同じ我々の日本の自然なのだ。その両方が私達を育て、我々に固有な文化と人間関係をもたらしたのだろう。

 台風が来て、被害を受け、あくる日には自分で処理する。誰もうらむこともなく、明日、同じ被害を受けるかもしれないのに片付け始めるのは私も日本人なのだとつくづく思った。

それにしても原発によって非難させられた福島の人々の不条理は計り知れない。明日復興に立ち上がる意志が衝動が行動に移せないことは、どんなにかつらいものかと思い知った。


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