慶応ボーイの植木屋修行

ランドスケープアーキテクト福川成一のエッセイとオーベルジュ・スミの庭の記録

フタリシズカ

2012-06-01 13:55:14 | エッセイ

山野の林下に生える多年草です。茎の先に数本の穂状花序を出し,小さな白い花をつけます。花弁はなく,3 個の雄しべが丸く子房を取り巻いています。

 花が二本のものが多いので、その二本を静御前とその亡霊の舞姿にたとえたものといいます。なかなか高尚な命名でこの野草が愛されていたことを感じます。

我が家のマザーツリー、元はクリスマスツリーだったモミの木が大木に生長した株元に、他の雑草を受け付けずに美しい群落を構成しています。

日本中に育つありふれた野草ですが、我が家のフタリシズカは本当に二人が多く、そうでないものは一本で、3本や5本などの浮気者が無く、倫理観のしっかりした群落となっています。

このフタリシズカをガラスの花瓶に生けると不思議なくらい清涼な気持ちになります。
ビストロ・コティディアンに毎週届ける花達にフタリシズカも加えますが、この楚々としたたたずまいは他のどの美しい花達とも一線を画して凛として存在します。

美の世界で大切なことはやはり個性です。全部よけいなものを取り去ったようなフタリシズカは私に毎年本当の美しさに立ち返る機会をくれるような気がします。


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