慶応ボーイの植木屋修行

ランドスケープアーキテクト福川成一のエッセイとオーベルジュ・スミの庭の記録

ビストロ・コティディアンの風景

2012-07-20 13:42:12 | エッセイ
ビストロ・コティディアンのサービスの北野さんがお母様の体調もあり、退職され
るそうで実に残念である。

オープンから良く若い二人の店を盛り立て、年齢から来るある種の落ち着きと信頼を与える独特の語り口がこの店の格を上げ、成功をもたらしたと感謝している。
「漂流する身体。」のブログは本当に名文である。北野さんをよく捕らえている。これだけの文章と見識は他を圧して気持ちが良い。もし彼にたたかれても納得せざるを得ないだろう。
 
 サービスは難しい、とかくオーナーシェフの店は押し付けがましい説明過多な感じのサービスか余りに淡白なサービスになり勝ちだが、北野さんのサービスは適度の距離感がとても味を感じさせていた。フレンチレストランから見るととんでもない振る舞いと思うこともあるものの、ビストロとしての雰囲気にはぴったりとはまっていたように思う。多分三分の二のお客様が彼のファンであり、三分の一のお客様が彼を苦手にしていただろう。

 完全な人間などいない、魅力は大切な要素である。きっと彼がいなくなると彼のファンはもちろん、彼を気に入らなかったお客様も何か足らなくなったような寂しさを感じるだろう。ビストロ・コティディアンの風景は北野さん込みの風景であったからだろう。

 北野さん、本当にありがとう、貴方のお陰でビストロ・コティディアンはこんなに早く皆さんに愛されるビストロになりました。
好きなワインでは意見が違いっていましたが、そのお陰で仲良くなりましたね。
またお母様の件が落ち着かれたらどこかでお目にかかりましょう。よかったらまたコティディアンに来て下さいね。

 北野さんを失ってこれから大変だろう。いつもレストランは人の問題がつきまとう。良い人間は引き抜かれ、独立してしまう。
どうか亮祐君の味を愛して下さるお客様は、北野さんがいないと残念と思われるかもしれないが、若い二人の奮闘ぶりを長い目で見ていていただきたい。彼らの理想のビストロ作りはまだ緒についただけだ。ビストロ・コティディアンが北野さんは退職してしまったけれども、彼の雰囲気とは別の新しい魅力が生まれ、彼らの目指している品のある、清潔で落ち着いた、暖かい風景が持続されるであろうことを信じている。

 7月になったが中々北野さんの後任が決まらない。アルバイトからでも良いから、勉強したいやる気のある良い人を探している。彼らの未来は如何に早く、料理とサービスの片腕を見つけるかにかかっている。

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