自然への誘い

自然の中に飛び出し、思い切り背伸びしてみませんか。

親孝行な娘さん

2006-07-18 17:47:22 | 雑感

心温まる親娘に出会ったのは7月始めの事だった。
それは、釣り友のIさんと荒川に釣行したときだった。
当日は曇り空、時々薄日が射す梅雨の中休みの穏やかな陽気であった。
お昼少し前、立ちこんで釣っていた私の下手の水辺に、足元おぼつかない初老の紳士が奥さんと娘さんと一緒にやってきた。
奥さんと娘さんは水辺にシートを引き荷物を置き、お父さんの釣りの支度の世話を始めた。(後で聞いて分かったのだが、お父さんは昨年の夏に脳梗塞を患い、左半身が不自由になったとの事である)。
釣り支度がやっと出来た。
足首ほどの深さの所に立ちこみ鮎を釣り始めたお父さん、釣り姿はなかなか様になっている。
しかし、転びはしないか、鮎が掛かったらどうするだろうか、と気にしながら釣っていた私、生憎当日は追いが悪く午前中に2匹しか掛からないような渋い状況であった。
私の上で釣っていたIさんはまだゼロだ。
母娘はお菓子を食べたり、お茶を飲んだりしながらお父さんの釣りを横目で見ながら話が弾む、
そのとき、お父さんに鮎がヒット、娘さん等は話しに夢中で気が付かない。
   「ホラ、お父さん釣れたよ!!」と私
その呼びかけに気が付いた娘さん等は、
   「お父さん凄い!釣れたね!」 パチ、パチ、パチ 、
お父さんは、右手で竿を突き上げ、左手に持ったタモに落とし込もうと、鮎はバウンドしている。
娘さんが駆け寄ろうと立ち上がった時、掛鮎がタモ枠に当たり、ポチャン、残念!!
そしてお昼ごはん、親娘は楽しそうに食事、私たちも昼ごはんとなった。
心地よい川風に吹かれながら至福のひと時を過ごした。
お父さんの釣りの再開、私たち二人も川に入る。しかし、お父さんの様子が気になる。一度川に上がり話す機会があった。
前にも書いたが、昨夏に倒れ、現在リハビリ中、鮎つり暦50年、鮎つりのために静岡県の狩野川畔に家を買ったほどの釣り好き、
   「今日は娘が休みなんで連れてきてもらったんですよ」  
   「倒れてから今日が始めての鮎釣りなんです」 とお母さん                         埼玉のKから車で90分とか、
   「左手が不自由でタモが上手く使えないんですよ」 とお父さん
 倒れる前はちょくちょく荒川上流の秩父にも釣行した等々、楽しそうに話してくれた。
体の自由が利かなくてもやはり釣り暦50年、私達の大先輩、どうりで様になっていると思った。
その後、竿の節し落ちを直してやったり、帰りの支度を少しばかり手伝いをさせて頂いたり、
タイツの着脱は母娘で手伝い、ベルトをはめてやったり、タモを腰に差してやったり、そんな姿を見ていて、中々出来る事ではない、私もほのぼのとした気分になっていた。
3時ごろだったであろうか、余り何時までもやっていると体に良くないからと帰る準備に、
帰り際に、3人が
    「有難う御座いました」と丁重に、  
    「また来て下さい、早く良くなって下さいよ」と私
昨今の新聞報道等で子の親の虐待等痛ましい事件が良く報道されるが、このような心温まる光景に接した事は久振りである。
親思いのこの娘さん、32~3歳?独身ならきっと良い伴侶に恵まれ幸せになるだろうと思った。
体の具合の悪い親の面倒などなかなか、まして外に連れ出したりなどしたがらない子供も多いだろう。
車に乗る時も、
      「有難う御座いました」と、言い車中の人となった。
帰りの車の中でそして、夕ご飯の食卓で
     「今日の鮎釣りは楽しかっね!」
      「お父さん鮎逃がして残念だったね!!」と、こんな会話がなされただろうと想像すると、私もなんだか嬉しくなった。
   <また荒川に来てくださいよ。一日も早い回復を願っていますから>



 


 


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