かけがえのない“今”という時間

中学二年となった息子。
その友だちＫ君の母さんにスーパーで会った

ちらっと挨拶だけのつもりが
しっかり掴まって
Ｋ君の“今”について
聞くことになった

小さい頃から
水泳とピアノ、そろばんなど
お稽古ごとを続けてきたＫ君
小学６年までは頑張ってたけど
運動部での部活を始めた中学からは全て辞めたらしい

最近は友だちと池での釣りに熱中していて
風呂場に釣り竿を持ち込んで
イメージトレーニングまでして
いったい何を考えているのやらと
お母さんは呆れている

塾には行ってなくて
小学校の時から毎月継続して
通信教育の教材を買ってやってたんだけど
最近は全くやらなくなった

そろそろ塾に行かさないと
来年の今頃こんなだったら
高校進学が心配で堪らない
ってお母さんのぼやきを
マイタケ売り場の前で長々と聞いたんだ

素敵だよね
風呂場で釣り竿！
私ならかなりおもしろがってしまうな

少なくとも彼は
特に自分の意志からではない習い事を
延々と８年位続けたんだよ

それでようやく開放されてほっとしているんだよね
通信教育の教材なんてやりたくないんだよね
学習のための学習なんて
誰がやりたいって思う？
私ならやりたくないね

嫌なことでも母の期待に応えて継続した彼
継続できる力はある
釣りに夢中で釣り竿を持って自転車で遠出する彼
好きなことを見つけて熱中できる集中力もある
部活の仲間と一緒に休まず運動している彼
団体競技でチームにとけ込むコミュニケーション力もある

それで何を心配しなければならないんだろう

ただ、今、勉強をしないってことなんだろうけど
それは彼にとって、“今”勉強が強く必要だと感じていないせいだし
勉強が楽しくないから

楽しい勉強などあるのかって言われそうだけど
知りたいことを知るのは楽しいことに違いない

そのお母さんは
子どもの教育は投資に正比例だと思っているようだけど
そうすると、
せっかくチャレンジを買ってるのに無駄になるって発想が生まれる
やらなくても良いかと思えないんだろうから
この際、教育をお金で買おうなんて思わずに
子どものために
通信教材はやめてあげたらいいのに
手をつけなくなった今となれば
チャレンジは親の自己満足、安心感を買うための投資でしょ

彼が学ぶ姿勢になれないのは
そんな教材が目の前にあったり
親の投資に対しての見かえり意識が重くのしかかってて
不快なんじゃないかな

今の彼の態度はとってもマトモ
嫌なことを無理にしちゃ変になる自分をちゃんと自己防衛してる

もっと認めてあげたいね、人間として

現実逃避しなきゃいけない中学生じゃ、かわいそう

中学時代を振り返ったら
友だちとの思い出がたくさんあって
本当に楽しく遊んだなって
そんな風に思えることは人生の宝じゃないかと思うんだけど

ウチの子も含めて普通の中学生なら勉強など眼中にない
それが当たり前のような気がして
基本的には好きなことをしている息子を
ほったらかしの私
（彼は最近ずっと、ケーブルテレビで再放送している
　「らんま１／２」に夢中で
　原作が読みたいってことで古い漫画本をアマゾンで全巻一挙購入）

ひたすら好きなことに没頭できるってのは
かなり充実してて良いなあと思うんです

そんな時間
人生で実は稀かもしれないって
みんなホントは知ってるくせに

とても貴重で宝のような
彼らの“今の時間”を積み重ねたら
きっと“次ぎに続く時間”を
それぞれか切り拓いていくって

親だから
子どもを信じてあげましょうよ

人生、やり直しは何度でもきくし
やり直しを迫られたときに
必要なのは
その人の総合力なんだから

って、
その半分もお母さんには言ってあげられませんでしたが
今息子と同じクラスで席が隣のＫ君の“今”について
その夜、息子と少し話ができました