息子がいなくなった部屋

息子が家を出て二ヶ月が経とうとしている
ゴールデンウイークに息子恋しさに泣いて暮らすぞと
周りの友だちに散々脅されていたけれど
そういう風にはならなかった

私は彼の部屋をかなり大掃除して
自分が読んでみたいと思うもの以外の
参考書も教科書も捨てた
最新地図帳、世界史A、理解しやすい漢文、
新国語便覧など数冊がデスクのブックエンドに残ったのみ

古くなったマットレスを捨てて
ベッドには布団を敷き
学習机のサイドテーブルにプリンターを設置
私の書斎と寝室になった

息子が置いていった彼のコンポやCD,レコードなどはそのままなので
私はいつでも音楽が聴ける環境になった

私が寝室にしていた部屋はそのままで
衣類とバックの入ったタンスや本
ドレッサーらしき化粧用鏡と姿見がある
息子がいなくなって、つまり
二つの部屋を自由に使えることになった

日常的にいない人のために
きちんと空き部屋を用意することはないだろうと
さっさと片付けているうちにこんなになってしまった

学習机も小学校に上がったころに立派過ぎるなと思った大きなものを買ったのも
この日のためだったかも

まだまだ息子のものは押入れなどにいっぱいで
ちゃんと保管しているけれど
見た目には私の部屋である

こういう風に生活が移ろっていくものなんだと
自分で自分に見せている気もしないではないが
そう悪い気持ちではない