認知症がある脳梗塞後遺症の父のためのリハビリ

父には脳梗塞後遺症があり
月を追う毎に歩くことが難しくなってきた

歩こうとする気持ちがなくなってはいないが
一歩踏み出すとふらついて
朝の第一歩で転ぶことが増えてきた

なにしろ歩けないことをすっかり忘れているのだから

何百段もの階段がある寺に駆け上れると思っていて
初詣にその寺に行こうと言うのだから

デイサービスで二本の平行棒の間を
平行棒を持って数メートル歩くというリハビリがある
で、ようやく向こう側まで行ったと思ったら
さあもう来たほうに戻りましょうと言われる
今、ようやくがんばってこちら側までたどりついたのに
目的地はここじゃなかったのかと戸惑い
また、人によっては腹立たしさを覚えたり
何のために戻るんだと納得いかないだろう

だって、リハビリのための運動だなんて
歩き始めて直ぐに忘れるんだから

先週今週と土曜日に海岸に父と行った
父は海の町に生まれて
松原があって広い砂浜だったその時代の海に近い風景を求めて
違った海岸に行ってみた

潮の香りと海風を感じると
父は歩行器を押して自分で歩き出す
海が見える海岸線の堤防のある道をひとりでどんどん歩いていく

そして今日は300mくらい歩いた
座れる場所を探してすわりそこが目的地となって
しばらく海を眺めた

車をそこまで寄せてきて父の散歩はおしまい

自然の風景の中
人は見たいものを見つけて歩こうとする
そういうのが
体のリハビリであり
同時に心の栄養になるんじゃないかと思うんだけどね