【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

2chの佐々木スレに投稿されたssの保管庫です

佐々木スレ10-212 無題(2)

2007-07-20 | 予備校ss

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:04:01 ID:S2tw+ild
久しぶりに入った佐々木の部屋は変わっていなかった。
変わったことと言えば教科書が中学のものから高校のものになり、辞書の数と参考書の数が
増えていることだろうか。相変わらず円卓と机とベッド、本棚しかない女の子らしからぬ
部屋に妙に安堵する。
「まずは数学からだ。さあ、教科書を出したまえ。キミにとっての最難関であり、
僕の最も得意とする教科だ。」
しばらくそうして佐々木に問題を出されては、悩み、教わりを繰り返していたところで
突然チャイムが鳴った、
「出てくるよ、そのあいだにこの問題を解いておきたまえ。」
時計を確認する、現在時刻は6:10。2分ほどして佐々木は、ピザとオレンジジュースを
もって現れた。
なんだそれは。
「ピザだよ。母が出張なので、頼んでおいたものだが、キミに会う直前に父から
飲み会の予定が入ったと連絡があってね。キャンセルしようかと思ったんだが、
そこでキミにあったというわけさ。どの道一人では食べきれない。夕食にしては
軽いかもしれないが、一緒に食べようじゃないか。」
ああ、ちょっとまて
そう言って、ケータイを取り出す。
「ああ、母さん。今日は友達と夕食食べることになったから。ああ、わかった。
大丈夫、金はあるから。」
「親御さんに連絡かい。賢明な判断だね。さすがにこれを食べたあとで普通の夕食は
厳しいだろうし。」
「そうだな、それはそうと、佐々木よ。ラジオをつけてくれないか。」
「いいよ。どこの番組だい?」
俺は、番組名を告げると
「ああ、僕も毎週聞いているんだ。ちょうど良かった。」
その番組は、投稿された詩を紹介したり歌を流したりしている、まあ、結構ありふれた
番組だ。
佐々木は、わざわざカセットに録音しているようだった。
「わざわざ録音しておくようなものか?」
「いや、キョン君と話をして聞き逃すこともあるだろうし、僕もふと書いてみたくなってね。
書いたのは良いんだが、送り先がわからないんだ。間違った先に送っても恥ずかしいし、
住所などの個人情報も記されている。間違いのないように録音しているだけさ。
いつもいつもしているわけじゃない。で、キョンはこの番組に投稿したことがあるのかな。」
ああ、2,3回な。
”さて、今週も多くの方からの投稿ありがとうございました。では早速いってみましょう。
まずは、ペンネームみちるさんからの投稿でタイトルは『時』だそうです。”


218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:05:59 ID:S2tw+ild
「それにしてもキョン。キミが、この番組を聞いていたとは思わなかったよ。」
そうかもな、俺だって自分が何で聞いてるのかわからない。ただ・・・・
なんとなく無性に聞きたくなってくるんだよ。たまにな。
「そうかい、なんとなくか、くっくっ、まったくキミらしいね。それとも僕が特殊なだけかな。
物事すべてに理由がなければいけないなんていう気はないけれど。娯楽を求めるのに、
面白いとか、何らかの情報を手に入れたいという理由すらなく聞いている。
ただ、何かを聞いていたいと思う。」
佐々木よ、そろそろわけがわからんぞ。
「そうかい。別に脈絡のない話をしているつもりもないんだが、まあいい、
せっかくだ。一緒に聞いていようじゃないか。」
そう言って佐々木は、ラジオのほうを指す。どうやら先ほどの詩がおわったようだ。
”さて、次は92,35s,00,さん。なんて読めばいいんでしょうねこれ?
何かの暗号のような気もしないでもないですが。からですね。タイトルは「SaKaSa」です。
どうやら、見紛う事なき恋の詩のようですね。

『あいつが俺に微笑む。その笑顔はただきれいだ。そこには俺への思いがあるのか。
ちがう、間違いだ。そんなはずがない。思い込みを即座に否定する。
あいつが俺の手を握る。思わず体が硬くなる。俺はあいつのことを思っているのか。
今のあいつに俺の手は届かない。容姿端麗、秀才、そんなあいつに・・・
この想いはあいつにとって迷惑なだけだろう。それでも想わずに入られない。
あいつの言葉に、しぐさに、表情に、心臓が高鳴る。
やめろ、勘違いするな。それは俺がそう思いたいだけ。
ただの、どこにでもいる凡人。ただ平凡なだけの俺はあいつと釣り合わない。
わかっていてもとまらない。あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。
俺の想いは止まらない。それは、あいつにとって邪魔だろう。
わかっている。この想いをうずめて、隠して、笑う。いつかはきっと・・・』

さて、聞いているこっちが恥ずかしくなりそうな、まっすぐな詩ですが
だからこそ、胸にしみてきますね。私も若い青春を思い出しました。
ですが、なぜ「サカサ」なんでしょうね?名前と同じく何かの暗号とか?
このまま推測を続けるのも楽しそうですが。まだ、たくさんのお便りが、待っていますので。
次に移りましょう。”
「なんというか、熱いね。まったく僕には到底かけそうにない。あんなことをかける人もいる
世の中は広いね。キョン、そうは思わないかい?」
そうだな、どうやら、こいつの想い人はお前と同じようなやつらしいな。
「おや、どうしてだい?」
「終わりのほうにあったろう。『あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。』って」
「そういえばそうだったね。何か引っかかりを覚えないでもないけれど。
まさか、キョンこれを書いたのがキミと言うことはないだろう?」


219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:06:57 ID:S2tw+ild
お前は俺がこんな恥ずかしいことかけると思ってるのか?
「そうだね。まさか、キョンほどの朴念仁がこんなことを書けるとは思ってないよ。
まあ、もしかしてとおもってカマをかけてみた。そんなところかな。
さて、キョンピザは食べ終えたようだね。そろそろ勉強に戻ろうか。」
「そうだな、でも、遅くなっても悪いし。そろそろ帰るさ。」
「そうかい、まあ、こんな時間だ。土曜日だし、いっそのこと泊り込みでもいいかとも
思ったんだけど、準備もなしにそれは無理だろうね。続きは明日にしようか。」
あ、明日もやるのか。
「何をいっているんだい。キョン。当然じゃないか。結局今日は数学と英語だけで
終わっているんだからね。少なくとも物理と科学だけはやっておかないと。」
そうか、明日・・・
「何か用事でも入っているのかい。それならば無理にとは言わないが、僕としては
やっておいたほうが良いと思うけどね。」
「いや、じゃあ、頼む。何時からだ?」
「14時ぐらいからかな。午前のうちに国語社会と今日の復習をしておくことをお勧めするよ。」
わかったよ。じゃあまたな。

そういうと彼は、帰っていった。もう少し遅くまで引き止めておくつもりだったのだが。
まあいい。また明日。約束はできたのだから。そのとき突然チャイムが鳴った。
父だろうか?それにしては早すぎる。キョンが何か忘れ物でもしていったのだろうか?
疑問に思いつつ玄関をあける。
「宅急便です。佐々木さんのお宅で間違いありませんね。」
「はい、そうですが。サインで良いですか?」
「はい、では、こちらにお願いします。」
誰からだろう。受取人は自分で、差出人の名前は書いてない。中に入っていたのは
「服・・・どうして?」
それは、今日買わなかったほうの服だった。あの服のことはキョンにしか見せてない。
それも今日のことだ。今日半日一緒に行動していたのだから、彼ではないはずだ。
とりあえずその服を広げて見る。間違いない。ほしかった服だ。
「あれ?」
服の中から一枚のカードが落ちてきた。そこには『少し早いけど誕生日おめでとう』
とだけ書いてあった。宅急便なのだから、誕生日に直接指定して贈ればいいものを。
だけど、差出人の名前はない。やはり、キョンなのだろうか?
裏を見ると。そこには『XY X:1→9=わ→か、Y:1↓5=あ↓お s=small』とかいてあった。
XYには2桁の数字が入るのだろう。でも、そんな数字は手元にない。
しばらく、考えながら、食事の後片付けを済ませる。服はハンガーにかけて近場にかける。
明日はこれを着よう。
5分ほど悩んでいるとメールがきた。どうやらパソコンのフリーメールから送っているようだ。
誰から送られてきたのかはわからない。ただし、タイトルは「挑戦状」
そして、中にはただ「逆」とだけ書かれていた。
ヒントのつもりだろう。確かにこれだけで十分だ。カセットを巻き戻して再生。
「次は92,35s,00,さん・・・・・・」この数字、Xは行をワ行から順に前に
Yはあからしたに順番と言うことなのだろう、この暗号は。
00はあ~をにふくまれない「ん」sは小さい文字だとすると。
「キョン?」
まさか、でも、服のことを考えるとやはり彼なのだろうか。
だとしたら一体どうして私にあんな詩を聞かせたのだろうか。決して私ではないだろう。
でもそれならなぜ私に聞かせたの。あぁキョン、一体何のつもりなの!!?
はぁ、明日どういう顔して会えばいいんだろう。

fin


220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:09:19 ID:S2tw+ild
わざわざこんな長駄文をよく書いたもんだ
今後の参考にもバシバシ叩いてくれ

番外

同時刻、佐々木が心の中であらざる奇声を上げていたころ
「閉鎖空間に『神人』とおもわれる人型存在を確認。周りの建築物を破壊しています。」
今までになかった報告を受けた橘はあせっていた。
「一体何が原因でこんなことに、彼は今自分の家にいる、電話しているわけでもないのに
でも、彼以外に佐々木さんをこんな不安定な状態にさせる人なんて・・・」
どうやら今夜は橘にとって眠れぬ夜になりそうなのだった。

佐々木スレ8-200 小ネタ

2007-05-16 | 予備校ss

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/16(水) 23:19:56 ID:GCLId8Gg
浪人生で勉強に励んでるのにお前はニートだと言われて俺の脳内佐々木シミュレーターが早速作動した。


「キミもNEETの意味を間違えているようだね。いいかい、そもそもNEETというものはイギリスから輸入された言葉でその由来は
『Not in Education,Employment or Training』…の頭文字からとってNEETと呼ばれている。
直訳すると就業、就学、職業訓練のいづれもしてない人となるわけだけど、残念ながら
僕はきちんとバイトもしているし勉学も怠ってはいない、つまりNEETではないということだ。

確かに最近の日本ではイギリスで用いられるよりもはるかに対象となる範囲、定義が広がっていて、
単に無職であったりヒマが多そうに見られるだけでニートと揶揄されるようになっているように見受けられる。
だけど僕は自分がニートだと言われること、いやそれ以上に
そんな本来の意味から大きく逸脱した用法を親友が使うのを黙って見過ごしてはおけない。

キミも大学で高等教育を受ける身で経済学部在籍なのだから、
この程度の現代用語はきちんと把握していてもらいたいものだよ。この機会に一度学び直してみるといい。」

佐々木スレ4-426 佐々木×キョン

2007-04-27 | 予備校ss

426 :小ネタ:2007/04/26(木) 21:35:55 ID:mzrvgsfJ
ある日自転車に乗りながら

「キョン、これから背中に漢字を書くから当ててみてくれ」
書き書き
「えーっと、スキ?」

「正解。じゃあ次。」
書き書き
「あー、これはコイ、だな?」

「正解、さすがだねえ、キョン。では、最後。」
書き書き
「うーん、これは・・・アイ、か?」
「正解!いや、全くキミのこの才能には感服するばかりだよ!」
「ははは、実は俺の隠れた特技なのだ!」

(にしても鍬、鯉、藍ってわかりにくい字を書くのが佐々木らしいな。)
(こんなしょうもない特技は持っているのに、肝心なところがわからないのがキョンらしいな…)

佐々木スレ3-826 「喫茶店」

2007-04-23 | 予備校ss

826 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 02:38:29 ID:YOqyZvJN

「喫茶店」

「そうだな、たまには僕に付き合いたまえよ」
 そう言って、俺が佐々木に連れられていったのは、洒落た雰囲気の喫茶店だった。
もとより、時間つぶしに喫茶店に入るという概念を持っていなかった俺にとって、
そこは異空間であり、多少居心地の悪い場所だった。
 まぁ慣れればどうということもないのだが。
「しかし、こういう時間はなんとも手持ちぶさたなものだね」
 慣れた調子で、ブレンドのカップを傾けながら、佐々木はそうつぶやいた。
 同意を込めて頷く。
 半ドンに終わった土曜日、いつもであれば帰宅して身支度して十分に間に合う塾の
始業時間であったが、今日はなにやら特別授業とやらで、いつもより早くなっていた。
 よって、俺たちは帰宅せずに、一緒に昼食を取ってから、塾に向かうという予定を
組んだのだった。昼食を取る場所について、特になんの当てもなかった俺は、佐々木に
誘われるままに駅近くの喫茶店に入ったというわけだ。
「なぁ、キョン。キミに夢はあるか」
 唐突に佐々木はそんなことを聞いてきた。こんな質問をする佐々木の意図を汲んで
みようかと、数瞬考えてみたが、こいつの思考を俺がトレースすることなど不可能であ
ると、俺の思考中枢は答えた。
 アイスコーヒーに入っていた氷をかみ砕きながら、ないと答える。
「寂しいことを言うね、キョン。キミもまた高校、大学をモラトリアムとして過ごしたいということかな」
 そうか? たった14で、将来の進路や計画までかっちりとしている方がおかしいだろ。
そして、プロ野球選手とかJリーガーなどと可愛く答えるにはお互い年を食いすぎた。
「違いない。まぁ、僕にだってはっきりとした将来のヴィジョンなんかない、確かにね。
僕らは高校の三年間で、それを見つけられるだろうか」
 佐々木の告白を前に、俺は将来に対する漠然とした不安をこいつも感じるのだな、
そんな風なことを考えていた。言い方が難しいが、佐々木は一種の超人だった。クラス内のあらゆる
関係の中に、佐々木は所属していなかった。だが、孤立していたり、いじめられているわけではない。
そういう世俗的なものは佐々木には関係なかったのだ。あらゆる科目で平均以上の結果を出し、
かつトップに立つこともなく、他人に分かる程度には努力もしていた。整った顔立ちと綺麗な体つきを
しているが、その一種奇矯な振る舞いによって男子生徒からは恋愛や性愛の対象とは捉えられてい
なかった。
「や、すまない。キミは予言者や占い師ではないのだから、そんなことを聞いても意味はなかったな」
 俺の沈黙を否定と捉えたのだろう。佐々木はそういって、俺の返答を打ち切った。
 慌てて、そんなのは自分次第だ、そんなどうとでも取れるような返答をした覚えがある。
「自分次第か……僕にとってもっとも難しい答えだな、それは」
 またしても意味深な返答だ。
 佐々木との会話はしばしば、このような禅問答もどきと化す。こいつとの会話には当たり障りのない
日常会話というものがない。俺は佐々木のそんなところも気に入っていた。
 佐々木がそんな俺を見上げ、片眉を上げてたしなめた。
「キョン、僕は真面目に言っているんだよ、そういう態度はよくないぞ」
 悪い悪い、でも、なんだ、お前みたいに個性的なヤツなら、ちゃんと見つけられるさ。
「個性的? 僕がかい? くつくつ、それは買いかぶりというものだ、キョン」
 佐々木はそういって咽奥から生まれる奇妙な笑い声を上げた。
 お前は何を個性だと思うんだ? お前がユニークでなかったら、俺なんかどうなってしまうんだ。
自慢じゃないが、俺は自分が平凡な存在であることには自信があるぞ。


827 :喫茶店2/2:2007/04/23(月) 02:41:38 ID:YOqyZvJN
「キミが見ている僕なんて作られたペルソナに他ならない。この“僕”はキミとふれあうために
生まれた存在だ」
 このように、佐々木との暇つぶしの会話は訳の分からない展開を見せる。
今日は何の話をしてくれるんだ? ん? それはともかく、ペルソナって何だ? あれか、
スタンドみたいなヤツか?
「いいやそんなマンガ的超能力的ゲーム的なものじゃあない。心理学の用語だったと思うよ。
ペルソナとは、仮面という意味さ、人間は関係性に合わせて仮面を被ってコミュニケーション
をする。ほら、他人と家族の前では多少なりとも振る舞いが違う人間を見たことがあるだろう? 
内弁慶とかそういうヤツさ」
 軽く頷く。
「成長して他者との関係が複雑化すればするほど、ペルソナの数は増える。たとえば、学校
での僕らを考えてみよう。男子に対するペルソナ、女子に対するペルソナ、級友に対するペル
ソナ、親しい友人に対するペルソナ、他のクラスの人間に対するペルソナ、教師に対するペル
ソナ、部活動をやっているものなら後輩に対するペルソナなんてのも生まれるだろうな」
 関係の数=ペルソナの数ということだな。
 それじゃあ、お前はこれまで俺に本心を見せたことなどない、と?
「くつくつ、そういう意味じゃあない。嘘をついているわけじゃあないのだ。キミだって、妹さん
には話せないこと、見せたくない物があるだろう。それは嘘なのかな?」
 すべては関係性の中に生まれた演じ分けということか。
「そうだよ。僕らは望むと望まざるとに関わらず、仮面を被り続けているのだ」
 ふうむ、まったく人間同士の関係というのはかくも難しいものなのだ、といいたいわけだな。
 俺の感想に対して、佐々木は静かに頷き返すと、
「それは僕にとってもっとも重大な悩みであり続けているよ」
 俺から視線を外して、そうつぶやいた。なんだ、深刻な悩みでもあるのだろうか。
 まぁ、その気持ちはわからんでもない。
「だろうね、同じ年で、同じようなストレスに日々晒され続けている僕らはその気分を共有
できるはずさ。ところで、話は唐突にかわるのだけれど、キミは大学に進学するつもりかい」
 とりあえずは、そのつもりだ、そう返答する。本音を言うと大学のことなぞ考えてはいなかったが、
高卒で就職しようとも考えてもいるわけではなかった。
「そうか、なら僕と同じだね。ねぇ、キョン。高校を卒業して大学が近いようなら、ルームシェアをしないか?」
 佐々木は視線を外しながら、そんなことを言った。 は?
「なに、キミが東京、あるいは京都か大阪の大学に入学すると仮定しての話さ」
 まぁ行くならその辺りの大学だろうなぁ。
「僕もそんな風に漠然と進路を捉えている。おそらく、ひとり暮らしをすることになるだろう。
それに憧れがないでもないしね」
 ところで、どうして俺は同棲を申し込まれているんだ?
「ひとりよりふたりの方がよい部屋を探せるじゃないか。それから、僕が申し込んだのはルームシェア
なのであって、恋愛関係にある男女が一緒に暮らすのとは違うよ」
 そういうもんなのか?
「そういうもんなのさ。まぁ、キミがそっちの方がよいというのなら、キミとの関係を僕は一から考え直
さなければならない訳なのだが」
 ふぅむ、腕を組んでしばし思案する。悪くはない。素直にそう思えたので、そう答える。
「そう言って貰えると嬉しいよ。勉学を続ける励みになるというものだ」
 なんでだ? ルームシェアすることと勉強の励みになることの関連性が俺には見えないぞ。
「そりゃ、学力が高ければ、進学を希望できる大学が増えるじゃないか、キミ、あるいは僕が
どこにある大学を志望するかは今の段階では未知数だからね」
 そういうもんか。納得はできなかったが、佐々木との会話が意味不明で終わるのはそれなりに
多かったので、まったく気には止めなかった。
「ん、もうほどよい時間だね、塾へ向かおうじゃないか」
 立ち上がり、伝票に手を伸ばす。さっと、それは佐々木によって遮られる。
「ここは僕がおごるよ、身支度を調えてくるから、キミは先に向かってくれたまえ」
 おごってくれるというなら、否やはない。俺は鞄を手に喫茶店を出た。出がけに手洗いの
方面から嬌声が聞こえたような気もするが、それもまた、どうでもいいことだ。
 喫茶店の外は2月の寒風、俺はアイスコーヒーを頼んだことを少々後悔していた。

佐々木スレ3-698 佐々木×キョン

2007-04-22 | 予備校ss

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 00:21:34 ID:ZYHteXhn
「……おい、佐々木」
「おや? 今日はキミの方から話を振ってくれるのかい? 助かるよ。
キミの興味を引きつつ、それが離れないような話題を考えるのはそれはそれで楽しいのだがね。
キミが振ってきた話から新たな話題へと繋げていくという行程もなかなか」
「ゴミ。頭についてんぞ」
「ん?」
「ほれ」
「ん……ああ、ありがとう」
「視界に入ったから気になっただけだ。まああのまま放置して、
お前がいつ気付くかというのも興味深かったがな。塾につけば誰かしらが教えるだろうとも」
「……キョン。僕たちが向かう塾には、キミの頭頂部に枯葉が一枚乗っているという事を
これといった感慨も無くただただ事務的に教えてくれる人はいるだろうか。
僕は笑みを堪えながら教えてくれそうな人になら心当たりがある」
「あー、そうだな。ちっさいホコリならまだしも、枯葉なんかのっていったらやったねめでたく失笑の的だ。
奇遇だな佐々木。俺もお前と同じような心当たりしかないぜ」
「くっくっ。」
「っておい。なにも背伸びしてまで取るようなもんじゃないだろ」
「おや? 僕はてっきり感謝の言葉がキミの第一声になると考えていたんだが」
「……はぁ。ありがとうな」
「くっくっ、別に構わないさ。通常の歩く動作よりもほんの少しつま先に力を入れただけだからね」
「……」

こいつぁくせー眠気が(ry

佐々木スレ3-678 「雨宿り」

2007-04-22 | 予備校ss

678 :1:2007/04/21(土) 21:56:09 ID:o5uDWFDT
突然振り出した雨に、俺たちは追い立てられて、近くにあった本屋の軒先になだれ込む。
運悪くその日は、本屋は休みで中に入って暇つぶしというわけには行かなかったが、最低限雨はしのげるのでよしとしよう。

「くそっ、いきなりこんな大雨になるなんて聞いてねえぞ。」

まともに天気予報なんて聞いた覚えはないが、一応天気予報に文句を言っておく。
ぼやきつつも自転車を軒先のテントの下に入れた。
このあたりには、びしょぬれにならない距離に傘が買えるコンビニのような場所はない。
必然的にここに閉じ込められることになってしまった。

「夕立か、高温多湿の日本ならではの風物詩だね。」

一足先に雨宿りをしていた同乗者が呑気な声を出した。
このあたりで消防が抜き打ちの放水訓練でも行っているのかというほどの大雨だ。
風物詩としては小粋の欠片もないな。
それはそうと、いつもこいつはいつも飄々としている。
この大雨にも全く動じることなく、まるで、雨で水泳の授業が中止になったことを喜ぶカナヅチの小学生のような笑顔で俺を見ている。

「どうする、佐々木?このままじゃ、塾に遅刻だが、かと言ってこの雨じゃなぁ…」

隣で白い無地のハンカチでショートカットの髪を拭いている同級生に俺は尋ねた。

「そうだね、今回の雨による損害は授業一回分の総額数千円といったところだろうか。」

くっくっと独特の笑い声をあげる。
相変わらず回りくどい話の好きな奴だ。
要は、もう今日は塾へ行くのはやめようということだな。

「そうなるね。
 仮にこの雨の中、強行軍を敢行したとしても、周りに迷惑をかけるだけだし、
 なにより、エアコンの効いた部屋で水の気化熱の体験学習は全力でごめんこうむりたい。」

そうやって、ハンカチでシャツの袖を拭きながら佐々木は答えた。


679 :2:2007/04/21(土) 21:56:55 ID:o5uDWFDT
ここで、佐々木のシャツが濡れて下着が透けていることに気づいた。
思わず、目のやり場に困ってしまう。
普段は女ということをほとんど認識していないだけに、余計に変な気分だ。

「どうしたんだい?キョン?」

まったく、こいつの観察力はたいしたものだ。
しかし、できることなら俺の心のうちまで察してほしかったが。

「これを着ろよ。」

思わず、俺は上着を脱いで佐々木に渡してやった。
佐々木の下着が透けているのを見て特に何か感情を揺さぶられる、みたいなことはないが、目のやり場に困る。
夕立にも驚かない黒い瞳が少し驚愕の色に染まって俺を見ている。

「いや、まぁ、なんだ、その。
 体が冷えて風邪を引いたりしたらいかんからな。」

少し挙動不審なのには突っ込まないでくれ、佐々木。

「いや、でもキョン。キミだってTシャツ一枚では風邪を引くだろう?」

「まぁ何とかなるさ、たぶん。」

佐々木は一瞬何かを考えるような仕草をした後、おもむろに俺の肩に上着を掛けた。
そして―

「こうするのがこの状況では最良の方法だね。」

そう言って上着のもう片方の肩を自分に掛けた。
つまり、今の状況を説明すると、ひとつのジャケットを二人で着ているというわけだ。
密着した佐々木の腕から体温が伝わってくる。


680 :3:2007/04/21(土) 21:57:43 ID:o5uDWFDT
「こうやると身長差がよくわかるね。」

風が吹けば髪が俺の唇に当たりそうな距離で、佐々木はそう言った。
その髪からそことなくいい香りがする。
少し朱に染まった透き通るような白い頬に、俺はなんとも言えない気恥ずかしさを感じて、思わず目をそらした。

「しかし、ほんとはた迷惑な雨だな。」

とりあえず、何か話題を振ってみる。

「そうかい?」

とだけ、佐々木は応えた。
心なしか、佐々木の笑顔が普段の少し皮肉の色がこもったものとは違う気がした。
静かに光るような暖かさがある。

「なんか、嬉しそうだな?」

「そうかい?まぁ、否定はしないが。」

佐々木の目が俺を覗き込む。

「―あぁ、そうか。今日は堂々と塾をさぼれるもんな。」

佐々木は目を細めてふふっ、と少し吹き出した。
そして―

「そうか、まぁ、それもあるね―」

と、曇天模様の空を目を細めて眺めながらつぶやくように言った。
少し、佐々木の腕が俺に密着する力が強くなった気がする。

「ねえ、キョン。」

「なんだ。」

「雨が上がったら虹が見えるといいね―」

『雨宿り』

佐々木スレ3-396 「自転車」

2007-04-19 | 予備校ss

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 03:47:05 ID:XRVRbRP5
自転車


 夏場の自転車というものはこれはコレで結構な全身運動である。
特に推定50kg前後の荷物を荷台に載せている場合には。
「なるほど、身体が鍛えられて結構なことじゃあないか、くつくつ」
 荷物が日向の猫のような音を立てて笑った。
「もちろん、キミが僕を乗せるのがイヤだというのなら、話は別だ。
そうなら、そのように告げてくれたまえ。キミとの会話の機会が減るのはまったく残念なことだが、
友人を過剰に苦しめてまで、自分の快楽を優先するほど、僕は歪んだ感性を持ち合わせては
いないつもりさ」
 なに別に、この程度どうってことはない。
「そうかい」
 背中ごしにも、皮肉を混ぜた微笑を浮かべているのが、目に浮かぶ。
 たしかに、そんな風に本気で言えるなら、もう少し、ましな人間になっているだろうさ。
だが、お前を乗せて走ることが自堕落な夏休み生活に於いて、いいアクセントになっている
のは否めない事実だ。
 この夏期講習だって、お前がこなけりゃ2~3回はサボったに違いないからな。
「確かに、サボタージュはいただけないな。キミのために決して安くはない講習の代金を
払っている親御さんに失礼というものだ。キミの勉強に僕が些少でも役に立っているの
だとしたら、嬉しい限りだ」
 佐々木はそう言って、咽奥を鳴らした。
 そのセリフにはリアクションを取らずに、気合いを入れて、ペダルを踏み込む。駅前から
塾まではなだらかではある物の坂道だ。ここで、立ち漕ぎせずに登り切れるかどうか、
それが俺がこの夏にかけた勝負のひとつだった。今日は、どうだ?

「キョン、今日もありがとう」
 そう言って、佐々木は荷台から降りた。俺はと言えば、ちょっと息が切れていた。まったく情けない。
機械のように自動的に、自転車を駐輪場に回して、カギをかける。学習塾の入り口に戻ると、佐々木
がまだ立っていた。
 どうした、誰か待ってるのか。
 佐々木は返事の代わりに、口をアヒルのように曲げて右手を俺の頬に当てた。

「キミのささやかな勝利に」

 佐々木の手に握られたスポーツドリンクの缶が俺の頬を冷やしていた。

佐々木スレ3-361 「Real-Roman-Relation」

2007-04-19 | 予備校ss

361 :1/2:2007/04/18(水) 22:57:04 ID:LGf3KOt3

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――関係
   
   
    道路の上でヤキソバが焼けるんじゃねぇかってくらいに暑い日だった。
    朝から鳴きっぱなしの蝉たちの継続力には心底から敬意を表したい。昨日友人に
   叱咤を受けて、今日から学校の授業をマジメに聞くことにした俺だが、昼を前にし
   てギブアップ。午後の授業は睡眠欲の充足にあてた次第である。「継続は力なり」
   を鵜呑みにするなら、おそらく俺は妹よりも弱いのではなかろうか。
   「期待はしてなかったけどね。せめて三日は持つと思った」
    背中のやや後ろから聞こえる不満げな声は佐々木のものだ。こいつが俺を叱咤し
   た張本人なのだが、毎日継続して勉強することに関して佐々木の右に出るのは車胤
   か孫康くらいだろう。いや、佐々木なら蛍雪の功も地で行きかねない。
   「キミの評価は過大だよ、キョン。僕はいつも必要最低限の勉強しかしていない」
   「こうして週3で塾に通っててもか?」
   「キミは毎日通ってもいいくらいだと思うけどね」
    そう言って、佐々木はいつものように虚飾のない顔で笑った。
    いや、俺の自転車の後ろに二人乗りしてるわけだから実際には表情は見えないん
   だが、最近見慣れてきたせいか、その顔はいつでも脳裏に浮かぶ。
    新手のサブリミナル効果か。
    俺が視覚と脳の関係についてややなげやり気味に思索していると、
   「そういえばキョン、今朝キミの机に何か落書きがなかったか?」
    などと、妙なことを聞かれた。
   「なんだ?お前が何か書いたのか?」
   「いや、僕の机には落書きがあったからね。もしかしたらと思っただけだよ」
    はてさて。フリーセルの#11982のように難解なことを言う。
   「別に難解じゃないさ。ただ僕の机にあった落書きってのが、キミと僕の名を連ね
    た相合傘だったんだ」
    ……ははぁ、なるほど。そういうことか。
    クラスの連中も毎度毎度飽きないな。
   「ちなみにキョン、フリーセルの#11982は解けないよ」
    はいはい、そう言うと思ったぜ。見たまんま、佐々木はこういうヤツなのだ。こ
   の佐々木が誰かと『つきあう』って?馬鹿馬鹿しい。そんな話を信じるくらいなら、
   某国のUFO研究施設の存在のほうがまだ信じられるね。
   「失礼だなぁ。キミは今、僕の乙女心を大いに侮辱したよ」
    言って、それから、佐々木は自分でくつくつと笑いだす。
   「いや、悪いね。今のは少々無理のあるジョークだった」
    馬鹿野郎。今一瞬、本気で謝ろうかと思った俺に賠償金をよこせ。
   「なんだ、本気にしたのかい?君も随分とロマンチストなんだな」
    悪いがお前ほどリアリストにはなれねぇよ。
   「違いない」
    肩に乗っている佐々木の右手に、やや力が入った気がしたが、多分気のせいだ。
   「だが、クラスの女の子たちのロマンぶりに比べれば、キミは随分と現実を見てい
   ると思うよ。いや、現実にヒネていると言うべきかな」
    背中越しに佐々木の笑い声が響く。
   「キミはロマンチシズムに憧れながら、でも確かなリアルに立脚してるのさ。UFOを
   見たとか、幽霊にあったとか、その手の話を聞くとワクワクするだろ?でもキミ
   は同時に、それらをとても冷めた目で見ている。ありえない、とね」
    佐々木はそこでいったん言葉を切って、続けた。
  「僕らはね、少し似ている」


362 :2/2:2007/04/18(水) 22:57:56 ID:LGf3KOt3
    いつのまにか蝉の声はやんでいた。
   「今日もね、クラスの子たちに聞かれたんだ。キョン、キミとキスしたことがある
   か、ってね。彼女たちは本気で信じてるのさ。唇を重ねるだけで、人間関係が劇
   的に変わるってね」
   「……着いたぞ、佐々木」
    降りろ、と言おうとして、
   「僕はね、彼女たちに憧れるよ」
    ぽつん、と。
   「お前――」
    その声に、なぜか取り返しのつかないものを感じて、振り返った俺の口に、
    ちょん
    と、何かカサついたものが触れた。
   「どうかな?キョン。僕らの関係は、5秒前と比べて何か劇的に変わったかな?」
    すっと離れながら、いたずらな笑みを浮かべる謎人間。
    あっけに取られる俺をよそに、佐々木はさっさと歩いていく。
   「どうした?キョン。遅刻するぞ」
  「佐々木、お前、今の……」
   「なに、ほんの実験だ」
    佐々木の頬が赤く見えるのは、俺のロマンチシズムのせいかもしれん。
   「さしあたって結果判定は……そうだな、今日の帰り、キミがアイスを奢ってくれ
   るかどうか、ってとこか」
    かもしれん、が。
    どうしようもなく上がってる俺の心拍数は、まぎれもなくリアルで。
   「ちなみに僕はハーゲンダッツ党だ」
    初めて見る佐々木の満面の笑顔も、やっぱりリアルなのだった。


   
<"Real-Roman-Relation".>

佐々木スレ3-215 佐々木×キョン

2007-04-18 | 予備校ss

215 :1/2:2007/04/17(火) 23:34:12 ID:eAe44kH8
>>184

梅雨と言うのは日本の農業になくてはならないものだ。
これがあるからこそ、秋に新米が食べられるわけであるのだが、今の俺は秋の新米の心配をしているどころではなく、この雨の中どうやって自転車で帰るべきか必死に思案をめぐらせていた。
「くっくっ、どうしたんだいキョン、雨をじっと眺めて。キミも雨を眺めることに風情を感じるようになったのかな。」
あいにくだが、俺はそんなもの持ち合わせていない。今の俺は、どうして雨が降ることを予測できなかったのか、そしてどうやって帰るのかを必死で考えてるところさ。
朝は晴れていても夜になると雨が降る、そんなことはごまんとあるわけで、もし雨が降るのを予測できる宇宙人や未来人がいたら、ぜひとも友達になりたいものだ。
「キミが雨を予測できないのは、ただ単に天気予報を見ていないだけさ。現に僕はこの通り。」
すると、佐々木はカバンの中から綺麗にたたんだピンク色の小さな折り畳み傘を出してきた。当然、二人も入る余裕がない。
それに、いくら佐々木といえども相合傘で公道を歩くのはごめんだ。クラスの誰かに見られたら、間違いなく明日の学校の人気者だ。
「こりゃ、もう濡れるの覚悟で全力疾走だな・・・」
なかばあきらめ、自転車の鍵を探していると
「くっくっく、それもいいかもしれないが、キョン、こういう選択肢はどうだい?」
佐々木の提案は二人乗りで佐々木が傘をさし、俺が自転車をこぐというものであった。
すまない、佐々木。土砂降りの中、差し出される傘はアメリカの核の傘以上に頼もしいものだ。
「では、決まりだな。自転車を持ってきてくれ。」


216 :2/2:2007/04/17(火) 23:35:17 ID:eAe44kH8
帰り道、降りしきる雨の中、俺は全身に雨を浴びていた。あんな小さな傘では至極あたりまえのことであった。
「なあ、佐々木。結局おなじじゃないのか?」
「くっくっ、そんな事は無いと思うよ。こんなことができるのはきっと今だけなのさ。僕もキョンもね。」
雨に濡れるなんてその気になれば、いくらでもできるだろ。もっとも、俺はごめんだがね。
「僕もさ。でもね、キョン・・・。」
「なんだ。」
「いいや、なんでもないさ。」


キョン、ずっと「友達」でいようね・・・・。




むしゃくしゃしてやった。いまは反省している。
佐々木視点で書こうと思ったが、低学歴の俺には無理だわorz

佐々木スレ2-473 佐々木×キョン

2007-04-13 | 予備校ss

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 02:09:14 ID:g1hSA8ye
佐々木「キョン、適当な条件下で、大きさが通常の6倍になる体の器官は? そしてその時の条件も」

キョン「さ、佐々木いきなり何を言うんだ。そ、それはだなゴニョゴニョ」

佐々木「正解は目の中の瞳だよキョン。暗いと大きくなるんだ。ところでキョン、君には言いたいことが3つある。」

「1つ、せっかく高いお金を払って塾に来ているのだから、授業は真面目に聞くべきだ。さっきの授業でやったばかりじゃないか。」
「2つ、君の心は汚れている。いったい何を想像したのかな?」
「3つ、6倍になるなんて思っていたら、いつの日か本当にがっかりする日が来るよ」


474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 02:15:36 ID:9NMeN3z5
>>473
これは精神的に来るなw
佐々木はハルヒと逆で、こんな感じで追い込みを掛けてきそうだね


475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 03:11:24 ID:aee8XXSw
>>473
そこでキョンが
「まだ何も答えてないのに心が汚れているとは失礼な。
 いったい俺が何と答えると思ったのか聞かせてくれないか。ニヤニヤ」

ですよ。


476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 03:21:40 ID:QxUJahxg
「き、キョン。君が脳裏に浮かべた6倍になる物を見せてはもらえないだろうか」
「さ、佐々木?」
「いや、何てことはない。生物学的見地から観察、検証を行ってみたいだけなんだ。」
「…」
「決して思春期特有の劣情で君のを見てみたいという訳ではないんだ。その点は勘違いしないでもらいたいのだが…」
「…わかった。だが6倍になった物を見せるにはある素材が必要なんだ」
「?」
「佐々木、おまえだ」
「!」
「俺は助手としてサポートするからじっくり観察してくれ」
「わ、わかった」
「だが、お前を観察するときは助手を頼むな」
「…わ、わかった」


477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 03:28:01 ID:dbLFdCF6
「ではキョン。僕が助手として何をすればよいのか、具体的かつ詳細に説明して貰いたい」
「ぐっ……」
「何しろ、僕にはキミが何を見せようとしてくれているのかすら、判別できないんだ。曖昧な指示では作業の精度に問題が出るだろう」
「あ~、その、なんだなぁ……」
「不必要な代名詞はできるだけ少なくしてくれると助かる」


491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 16:21:28 ID:n/5hWkKx
●「失礼ですが『キカン』とはどういった字を書くのでしょう?」
佐「僕の記憶違いでなければ体のと設問に前提していたと思ったけどね」
●「あなたのおっしゃる通りです。失礼しました」


ハ「それって人によっては凄い黒かったり回りに血管が浮き出てたりするアレよね」
佐「ええ、その通りよ」


492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 17:17:46 ID:6c6umADn
>>491
一瞬ハルヒが空気読めずにダイレクトにチンポのこと指してると思っちまった俺は汚れているようだ。。。


493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 18:18:11 ID:jn96ePXP
佐々木「……けだもの」


494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 18:21:15 ID:4qKHVuFs
ああ佐々木様にけだものと言われたい・・・


500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 19:00:38 ID:0+1LZkoD
   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   |  適当な条件下において、
   |  大きさが通常の数倍になる体の箇所は?
   |  その時の条件も含めて答えよ
   |  ただし 女性の身体にあるものとする
   |  それから 1箇所じゃなく 2箇所な
   \__________  _____
                   \|
         , -‐- 、      ,. ‐-ー- 、
        ,'. /  ト、 ヽ.    ノ /    ヽ
    .    i. ((从ソ u从〉   .ノハハハハハ !
        l (|┳ ┳i!l     !|─ ─ ,iリ)!
    .   ハNヘ  ヮ ノハ!    ’ 、 - ,ノル´
         ⊂)"ー'゛iつ  .   {!とス)
          /ュュュュゝ       i´゛T`i
          〈__八_,〉 .     〈_.八_,>

佐々木スレ2-333 初めて2人で塾に行った日

2007-04-12 | 予備校ss

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:56:27 ID:KAyt0RA7
初めて2人で塾に行った日を幻視したので投下


「ちょっとそこで待っててくれ」
 俺はそう言い残して玄関の扉を開けた。
「キョンくんおかえりー。あれ?うしろのおんなのひとはだれー?」
 まるで待ち構えていたかのような妹の突進を受ける。ん?後ろ?しかし、妹よ、その直接的な文言はなんとかんらんのか。
と、質問の意味と妹の将来とに悩む間に、背後から俺の代わりに答えが返ってきた。

「やあ、初めまして。僕は佐々木。キミのお兄さんの、そう、友達さ。」
って、お前いつの間に玄関に入ってきやがった?
「いいじゃないか。外で待つのもここで待つのも僕にとってその時間は変わらないのだから。
それに、ふふ、キミの家族にもいささか興味があったしね。そうか、彼女が件の妹さんか。
なかなかかわいらしいじゃないか」


 俺は2つのにんまり顔に嘆息し、妹に変なことを吹き込まないよう特大の五寸釘を刺して自分の部屋に向かった。
また佐々木に俺を揶揄するネタを献上してしまったことに頭痛を覚えつつ、いつもより1.5倍速で支度をすまし、
早くにこの窮地から逃れるべく玄関に戻ると、3つのにんまり顔が俺を迎えた。
大海原に放り出された漂流者のような顔をしている俺に、くっくっと喉をならしながら待たせ人が目を細める。

「ああ、早かったじゃないか。ちょうど今御母堂に自己紹介をしていたところさ。
上がって待つよう進められたのだが、その必要もないようだね。
それと別にキミの過去を根掘り葉掘り聞いてたわけじゃないからそんな顔をしなくても大丈夫さ」
 先ほどの頭痛が致命傷になってゆくのを感じる。くそ、なんてこった。一刻も早くこの場を離れねば。
「あら、もう行くの?それじゃあ佐々木さん、この子をよろしくね。
あんたもしっかり勉強しないと佐々木さんと一緒の大学に進めないわよ」
 傷口をカスピ海の水で洗うような追い討ちに佐々木が会釈を返している。ああ、この場に隕石でも落ちてくればいいのに。
無論、俺の空しい願いは天に届かず、無言を貫きつつ速やかに出立という次善策を実行する他なかった。


334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:57:34 ID:KAyt0RA7

 妹のやたらと元気な声を後ろに玄関の扉を閉め、愛用の自転車を引っ張り出すとようやく一心地つくことができた。
近年最大級の危機を脱した安堵のため息をつく。が、
「いやあ、予想通りといっては何だが、楽しいご家族じゃないか。
御母堂も妹さんもキミを大切にしているのが良く分かったよ」
 俺に安らぎの間はないのか?できればこの15分ほどの記憶に関するシナプスの接続を切っていただきたいのだが。
「別に揶揄してるつもりはないのだがね。僕は本気で羨望の念を抱いているんだ。特に妹さんのあの天真爛漫さは希少だよ」
 そんなに希少なら佐々木が保護してやってくれ。
「そうだね。でも妹さんはキョンの元にいるのが一番良いと言うと思うがね」

 そんな戯言を交わしつつ、自転車の籠に2人分の鞄を押し込み、佐々木を荷台に乗せる。
ペダルを踏み込むと思ってたより楽に発進することができた。どうやら横向きに座っているにもかかわらず、
上手く重心を合わせてくれてるらしい。器用だな。


 しばらく無心にペダルを漕ぐ。佐々木も普段見ない景色でも眺めているのか何もしゃべらない。
幾つ目かの信号で赤に当たり、ブレーキをかける。止まっている間も俺たちは沈黙を守っていた。
再び信号が青に変わり、ペダルにかけた足に力を入れる。佐々木はそれに合わせ、
俺の肩に置いた右手の位置をずらしてバランスをとる。
するとなぜかこれまで何も感じていなかった佐々木の手が、服の上からだというのにやけに熱く感じた。
冷えたか。それとも熱でもあるのか?


335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:58:16 ID:KAyt0RA7

「僕は別に健康を害してはない。むしろ爽快さ。キミの後ろは、なかなか乗り心地がいい」
 そう佐々木は手に力を込め直しながら言った。俺はそうかとだけ答えたが、佐々木は話のきっかけでも掴んだらしい。
「しかし、キミの御母堂もなかなか面白いことを言ってくれる」
 ここでその話を蒸し返すのか!なんとか荷台の上の口を黙らせる算段を考えていると、
「一緒の大学に、か。そんな先のことは考えもしなかったが、言われてみればその可能性も無くはないね。
ここまでちょっと想像力を働かせてみたのだが、それは愉快なものになるだろうね」
 今までのだんまりはそんなことを考えてたからなのか。しかしそれには俺の学力というジェリコよりも強固な壁を崩さねばなるまい。
すなわち物理的に無理だな。
「そんなことはない。来年僕らが受けるのは高校受験。大学はさらにその先、3年も後だ。3年もあれば学力なんてどうとでもなるさ」
 お前とは頭の出来が決定的に違うという、天地がひっくり返っても動かし難い事実を突きつけてやろうかと口を開きかけたとき
目的地である塾が見えてきた。
「おや、もう着いてしまったようだね。僕としてはもう少し乗り心地を味わいたかったのだが。ふふ、なかなか新鮮な景色だったよ」

 微笑を浮かべる佐々木を降ろし、自転車を駐輪所に止め、入り口で待っててくれた佐々木と連れ立って塾の階段を上がる。
やれやれ、お袋と妹のせいで大変な道中になっちまったな。
「今日は実に楽しかったよ。うん、良ければ次回も乗せていただきたいものだ」
 肩で笑いながらしばらくこちらの顔を眺め、それからこちらの答えを待たずに階段を駆け上がり、先に教室の中へと消えた。
残された俺は嘆息しつつ、家の外で待っててくれるならなと、消えた後姿に頭の中で答えてやった。




佐々木スレ1-770 佐々木×キョン

2007-04-11 | 予備校ss

770 :1:2007/04/08(日) 10:11:29 ID:eJV/N9Hs
SS投下します.

「ふぅー.」
俺は思わずため息をついた.
学校から俺の家まで,これで全行程の半分だ.
「それじゃあ佐々木,チャリを取ってくるから少し待っててくれ.」
「ああ.」
佐々木がいつもの返事をする.
まったく,めんどくさいものだ.
学校が終わったていうのに,また授業なんか聞かなくちゃならないなんてな.

中学三年のころの話だ.
あのころ,俺は今にも胴体着陸を決めんばばかりの成績を心配した母親に塾に通わされていた.

「君の場合本当に学校で授業を聞いていたのかな?」
佐々木がくくっといたずらっぽく笑う.
うるさい,そういう突っ込みはなしだ.

同じ塾の同じ教室にクラスメートの佐々木がいた.
どちらともなく話しかけて,気がつけば一緒に学校帰りにあいつを自転車の荷台に乗せて塾に通うようになっていた.


771 :2:2007/04/08(日) 10:12:26 ID:eJV/N9Hs
「ほら,鞄貸せよ.」
そういって佐々木から渡された鞄を前かごに入れる.
俺は少しかったるい気分で自転車にまたがった.
「いいぞ,乗れよ,佐々木.」
「あぁ,いつもいつもすまないね.」
そう言って佐々木は静かに荷台に座った.
片腕だけを俺の腰に回す.
こういったところがいかにも佐々木らしい.
どういう風に佐々木らしいかと言われると返答に困るのだが.
「いくぞ.」
そう言って俺は自転車をこぎ始めた.
腰にまわした佐々木の腕の力が少し強くなる.
佐々木のショートカットの髪が俺の背中に触れた気がした.


772 :3:2007/04/08(日) 10:14:14 ID:eJV/N9Hs
「キョン.僕が君の自転車の荷台になることによって,君の負荷はどれくらい増しているのかな?」
佐々木が後ろから話しかけてくる.
小難しいことを言っているが,要はお前を乗せてどれくらいしんどくなったかってことだろ.
佐々木が喉の奥で息をするように笑った.
「そうやって物事の言質を単純に表現できるのはすばらしいね.」
ほめてるのか,けなしてるのかどっちだ.
「物体の運動エネルギーはニュートンによれば,質量と速度の二乗に比例するらしいね.つまり,僕が乗ることによって質量が-そう,1.6倍くらいかな-になれば,君の必要とするエネルギーも1.6倍になるというわけだ.」
ってことは,お前の体重は俺の0.6倍なのか.
「そういう無粋な詮索はやめてもらいたいものだね.」
くっくっと佐々木が喉の奥で声を鳴らす.
そうやって俺は佐々木先生のありがたい物理の講釈を聞きながら,塾へと自転車を走らせた.
まったく,これから授業を聞くって言うのにたまったもんじゃないな.


773 :4:2007/04/08(日) 10:16:05 ID:eJV/N9Hs
塾の前で佐々木を降ろす.
俺はそこから塾の脇にある駐輪場に自転車を停める.
いつもの光景だ.
「待たせたな,佐々木.」
そう言って塾の入り口で待っていてくれた佐々木に声をかける.
「何,学校から徒歩で移動する時間を考えれば,この程度の待ち時間など誤差の範囲内だよ.」
なんの誤差かよくわからんが,まぁ,あのうんざりする距離を歩くことを思えばな.
「ところでキョン.」
「なんだ?」
佐々木がいたずらっぽい笑顔で俺を見た.
「今日の予習はやってきたのかい?」
やってくるわけがない.俺はたぶんきっと忙しかったような気がするのだ.
佐々木がくっくっと笑う.
「だろうね.実に君らしい.」
そう言って佐々木と俺は教室に入った.

なんで佐々木と俺が同じ教室にいるのか不思議で仕方がない.
あいつと俺の学力なんて比較にならないくらい離れていると思うのだが.
毎回毎回の小テストでもあいつは上位の常連だ.
俺は-まぁ,言うまでもないと思うので聞かないでくれ.

ただ,どういったわけかその日のテストだけは出来がよかった.
どっかの誰かが自転車の後ろで授業をしてくれたおかげで.

佐々木スレ1-733 佐々木×キョン

2007-04-11 | 予備校ss

784 :733:2007/04/08(日) 11:13:07 ID:BH18gm3J
 遡るも遡らないも中学三年生の頃の話になる。
本当ならこんな思い出話なんぞしたくないしきっと皆様も聞きたくないだろうがまぁそこはご容赦願いたい。
ここで話を聞く羽目になった貴方とも何かのご縁。古泉に頼めばその辺胡散臭く納得させてもらえるぞ。
 さて、本題に入ろう。えーと、中三の頃とまで話したのか。
その頃佐々木という奴と仲良くしていたことはおそらくご存じだろう。ご存じない?
それなら今すぐ本屋で「涼宮ハルヒの分裂」をご購入いただくよう強くお勧めする。
売り切れていようが何だろうが三日三晩走り回ればきっと買えると団長様が仰ってたぞ。ホントに買えるかは知らんがな。
 おっと、また脱線か。申し訳ない。
その頃は中三なので当然塾とやらに通っていて、その行きは佐々木を自転車の後ろに乗せ、帰りは話しながら並んで帰ったものだったが、その絡みのお話だ。


785 :733:2007/04/08(日) 11:14:31 ID:BH18gm3J
 ある雨の木曜のことである。雨とは言っても天気予報は無責任にお天気マークを輝かせていて、事実朝も昼も太陽はさんさんと照っていた。
そんな日だから俺は傘を持たずに自転車を家から出し、窓から覗くお袋の楽しそうな視線をカッタウェイして後ろに佐々木を乗せて塾へと行った。
最初のうちは他人を後ろに乗せて自転車をこぐのが怖かったがもうすっかり慣れていた。周りの視線にも。
すれ違う人にいちいち俺と佐々木の間柄について説明していては塾に間に合わないことを悟ったお陰でもあるがな。
とにかく俺は自転車の前かごでカラカラぶつかったり絡んだりする二つのカバンのストラップを見ながら信号に悪態をつき、塾の始業時間の10分前には見事到着した。
少し時間があるなと言ったのはどちらともなく、じゃあ、と自習室の空席二つに並んで陣取ったのもどちらともない。
椅子に座るといつものようにちょっとした疲労を感じて伸びをする。やっぱり二人乗りは一人より重たい分結構疲れるからな、座れるありがたみを感じるよ。
「ずいぶんな言いようだね。そんなに重いつもりじゃないんだけれど」
 言い方が悪かった。別におまえが重いとか軽いとかいう次元じゃなくて人間一般論だ。
「それは変だね。キョンが疲れた原因として問題になるのは一般論として二人乗りが重いかどうかではなくキョンの後ろに座った僕が重かったかどうかであって、
たとえばその理由は僕が護身用に持ち歩いている鉄アレイなのかもしれないわけだ。
その鉄アレイは一般論の二人乗りが包含しない要素であっても君にとっては疲労の大きなファクターだろう」
 ポロッと物騒なことを言うな。そんなもん持ってる奴を後ろに乗せたくないぞ。佐々木は喉で笑って返した。
「例えばの話だよ。
ともあれ、要するに君の発言を総合すると君はいつも僕を後ろに乗せることで重い思いをしていて体中に乳酸が貯まっていくことに不平を言いたいのではないのかい?」
 相変わらずまどろっこしい言い方をする。そのくらいの疲労、おまえの無駄に頭を使う話が俺の脳内に乳酸をまき散らす分に比べたら些細なものだ。
だいいち……と抗議の続きをしようとしたところで佐々木は不意に立ち上がった。
「そろそろ時間だよ」
 タイミングの悪い。教室に動き出す人に紛れてせっかく展開しようとしていた俺の反論はすっかり霧散してしまった。まったく。
それにしてもその理屈ばった喋り方、女子の前ではそう話さないんだろう?どういうわけでだ。歩きながら訊く。
「これかい?一応僕なりに訳があるんだけれど、出来ることなら言わずに済ませておいてもらえないかな」
 どんな訳だ。気にはなったが無理言って聞き出すには時間がなさ過ぎた。それはまた今度だな。
とにかくそのインテリ優男みたいな話し方な固執すると変人に見られるぞ。
「ごあいにく様。既に変人の称号は十二分に頂いたよ」
 俺は何か言うべきだったのかもしれないが、妙な誤解をし続けてる隣の席の奴の冷やかしにうるさいと叫んで気がつくと授業は始まっていた。


786 :733:2007/04/08(日) 11:15:53 ID:BH18gm3J
 塾が終わると外はザーザー言う雨音が完全に支配していた。
横で佐々木はごく普通に紺色の折り畳み傘を取り出していたが俺はそんなに用意周到な人間ではないしその上自転車のことを思うと完全にメランコリーに覆われていた。
とりあえず佐々木、傘二本持ってないか。持ってないだろうな。俺は佐々木の方を向いた。

 佐々木は何かイタズラを思いついたような顔をしていた。

 大方相合い傘しようとでも言い出すんじゃないか。そう先読みしようとしたが残念なことに佐々木の思考回路は俺の斜め上を行っていた。
「ごめん、今日私一本しか持ってないの。キョン君、一緒に入っていかない?」
 俺は開いた口がふさがらなかった!どうした、何か悪いものでも食ったか?
「ひどい言い方ね」
 口では言いながらも顔は笑っている。始業前の話を気にしてたのかこいつは。
確かに事情を知らない人が見れば平均以上には可愛らしい少女がごく普通に少女的言葉使いで話しているだけに見えるだろう。
だが俺は違和感でどうにかなってしまいそうだった。皆さんにもこの違和感をもっと実感を伴ってお伝えしたいものだが文章というのは不便だ。
誰かにマンガかアニメあたりでこの状況を表してもらいたいものだね。
「どうしたの、キョン君?」
 佐々木は俺の顔を覗き込んだ。彼女の顔には愉快さを堪えられない笑みが貼り付いている。
何やってるんだとでも言いながら睨みつけてやりたかったところだが、
佐々木のその笑みはいつも俺の前で見せるクククではなく女子の前で見せるウフフの微笑なんだから目を合わせにくいこと著しい。
もっとも佐々木にそのことは筒抜けにお見通されていて、今度は声に出さずに顔だけでクスクスと笑った。さっきからいろいろ笑ってばっかりで楽しそうだな、おい。
「キョン君の反応が面白くて。あ、いつもみたいにキョン、って呼んだ方がいい?」
 わざわざそんな女の子らしいイントネーションをつけんでもいい!その口調で呼ばれるとむずかゆい!
「理屈っぽくない口調っていうとこんな感じじゃない?たまになら面白いね」
 佐々木は微笑んだまま余裕綽々に言う。完全にイニシアチブは佐々木だ。わかったよ、俺の負けだ。俺は白旗を鮮やかに揚げた。
 それにしても雨足はさっぱり止まない。どうしたもんかと佐々木を見ると佐々木は傘を掲げてどうすると首を傾げた。
既に授業が終わって結構経ってしまったのであまり人影は少なかった。別にやましい訳じゃないが無用な噂が増えるのはごめんだしな。うん、大丈夫だろう。
まぁいいだろう。背に腹は変えられん。自転車は明日回収しよう。俺は正当な事実確認をすると佐々木に頷いた。佐々木がそう大きくはない傘を広げる。


787 :733:2007/04/08(日) 11:17:21 ID:BH18gm3J
キリが悪いけどここでおしまいです。ホントはこの後に「悪いな、じゃまするぜ」ってセリフを入れてたんだけどもうズバっと切りました。

…でもやっぱりキリが悪いな。

↑↑の方で佐々木女口調について訊ねたのはこんな理由っす。ただ、今回は意図的なギャップが狙いなのであんまり堅くない感じにしましたっよー。

佐々木可愛いよ佐々木