【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

2chの佐々木スレに投稿されたssの保管庫です

佐々木スレ10-212 無題(2)

2007-07-20 | 予備校ss

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:04:01 ID:S2tw+ild
久しぶりに入った佐々木の部屋は変わっていなかった。
変わったことと言えば教科書が中学のものから高校のものになり、辞書の数と参考書の数が
増えていることだろうか。相変わらず円卓と机とベッド、本棚しかない女の子らしからぬ
部屋に妙に安堵する。
「まずは数学からだ。さあ、教科書を出したまえ。キミにとっての最難関であり、
僕の最も得意とする教科だ。」
しばらくそうして佐々木に問題を出されては、悩み、教わりを繰り返していたところで
突然チャイムが鳴った、
「出てくるよ、そのあいだにこの問題を解いておきたまえ。」
時計を確認する、現在時刻は6:10。2分ほどして佐々木は、ピザとオレンジジュースを
もって現れた。
なんだそれは。
「ピザだよ。母が出張なので、頼んでおいたものだが、キミに会う直前に父から
飲み会の予定が入ったと連絡があってね。キャンセルしようかと思ったんだが、
そこでキミにあったというわけさ。どの道一人では食べきれない。夕食にしては
軽いかもしれないが、一緒に食べようじゃないか。」
ああ、ちょっとまて
そう言って、ケータイを取り出す。
「ああ、母さん。今日は友達と夕食食べることになったから。ああ、わかった。
大丈夫、金はあるから。」
「親御さんに連絡かい。賢明な判断だね。さすがにこれを食べたあとで普通の夕食は
厳しいだろうし。」
「そうだな、それはそうと、佐々木よ。ラジオをつけてくれないか。」
「いいよ。どこの番組だい?」
俺は、番組名を告げると
「ああ、僕も毎週聞いているんだ。ちょうど良かった。」
その番組は、投稿された詩を紹介したり歌を流したりしている、まあ、結構ありふれた
番組だ。
佐々木は、わざわざカセットに録音しているようだった。
「わざわざ録音しておくようなものか?」
「いや、キョン君と話をして聞き逃すこともあるだろうし、僕もふと書いてみたくなってね。
書いたのは良いんだが、送り先がわからないんだ。間違った先に送っても恥ずかしいし、
住所などの個人情報も記されている。間違いのないように録音しているだけさ。
いつもいつもしているわけじゃない。で、キョンはこの番組に投稿したことがあるのかな。」
ああ、2,3回な。
”さて、今週も多くの方からの投稿ありがとうございました。では早速いってみましょう。
まずは、ペンネームみちるさんからの投稿でタイトルは『時』だそうです。”


218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:05:59 ID:S2tw+ild
「それにしてもキョン。キミが、この番組を聞いていたとは思わなかったよ。」
そうかもな、俺だって自分が何で聞いてるのかわからない。ただ・・・・
なんとなく無性に聞きたくなってくるんだよ。たまにな。
「そうかい、なんとなくか、くっくっ、まったくキミらしいね。それとも僕が特殊なだけかな。
物事すべてに理由がなければいけないなんていう気はないけれど。娯楽を求めるのに、
面白いとか、何らかの情報を手に入れたいという理由すらなく聞いている。
ただ、何かを聞いていたいと思う。」
佐々木よ、そろそろわけがわからんぞ。
「そうかい。別に脈絡のない話をしているつもりもないんだが、まあいい、
せっかくだ。一緒に聞いていようじゃないか。」
そう言って佐々木は、ラジオのほうを指す。どうやら先ほどの詩がおわったようだ。
”さて、次は92,35s,00,さん。なんて読めばいいんでしょうねこれ?
何かの暗号のような気もしないでもないですが。からですね。タイトルは「SaKaSa」です。
どうやら、見紛う事なき恋の詩のようですね。

『あいつが俺に微笑む。その笑顔はただきれいだ。そこには俺への思いがあるのか。
ちがう、間違いだ。そんなはずがない。思い込みを即座に否定する。
あいつが俺の手を握る。思わず体が硬くなる。俺はあいつのことを思っているのか。
今のあいつに俺の手は届かない。容姿端麗、秀才、そんなあいつに・・・
この想いはあいつにとって迷惑なだけだろう。それでも想わずに入られない。
あいつの言葉に、しぐさに、表情に、心臓が高鳴る。
やめろ、勘違いするな。それは俺がそう思いたいだけ。
ただの、どこにでもいる凡人。ただ平凡なだけの俺はあいつと釣り合わない。
わかっていてもとまらない。あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。
俺の想いは止まらない。それは、あいつにとって邪魔だろう。
わかっている。この想いをうずめて、隠して、笑う。いつかはきっと・・・』

さて、聞いているこっちが恥ずかしくなりそうな、まっすぐな詩ですが
だからこそ、胸にしみてきますね。私も若い青春を思い出しました。
ですが、なぜ「サカサ」なんでしょうね?名前と同じく何かの暗号とか?
このまま推測を続けるのも楽しそうですが。まだ、たくさんのお便りが、待っていますので。
次に移りましょう。”
「なんというか、熱いね。まったく僕には到底かけそうにない。あんなことをかける人もいる
世の中は広いね。キョン、そうは思わないかい?」
そうだな、どうやら、こいつの想い人はお前と同じようなやつらしいな。
「おや、どうしてだい?」
「終わりのほうにあったろう。『あいつの言うとおりだ。恋はただの病気でしかない。』って」
「そういえばそうだったね。何か引っかかりを覚えないでもないけれど。
まさか、キョンこれを書いたのがキミと言うことはないだろう?」


219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:06:57 ID:S2tw+ild
お前は俺がこんな恥ずかしいことかけると思ってるのか?
「そうだね。まさか、キョンほどの朴念仁がこんなことを書けるとは思ってないよ。
まあ、もしかしてとおもってカマをかけてみた。そんなところかな。
さて、キョンピザは食べ終えたようだね。そろそろ勉強に戻ろうか。」
「そうだな、でも、遅くなっても悪いし。そろそろ帰るさ。」
「そうかい、まあ、こんな時間だ。土曜日だし、いっそのこと泊り込みでもいいかとも
思ったんだけど、準備もなしにそれは無理だろうね。続きは明日にしようか。」
あ、明日もやるのか。
「何をいっているんだい。キョン。当然じゃないか。結局今日は数学と英語だけで
終わっているんだからね。少なくとも物理と科学だけはやっておかないと。」
そうか、明日・・・
「何か用事でも入っているのかい。それならば無理にとは言わないが、僕としては
やっておいたほうが良いと思うけどね。」
「いや、じゃあ、頼む。何時からだ?」
「14時ぐらいからかな。午前のうちに国語社会と今日の復習をしておくことをお勧めするよ。」
わかったよ。じゃあまたな。

そういうと彼は、帰っていった。もう少し遅くまで引き止めておくつもりだったのだが。
まあいい。また明日。約束はできたのだから。そのとき突然チャイムが鳴った。
父だろうか?それにしては早すぎる。キョンが何か忘れ物でもしていったのだろうか?
疑問に思いつつ玄関をあける。
「宅急便です。佐々木さんのお宅で間違いありませんね。」
「はい、そうですが。サインで良いですか?」
「はい、では、こちらにお願いします。」
誰からだろう。受取人は自分で、差出人の名前は書いてない。中に入っていたのは
「服・・・どうして?」
それは、今日買わなかったほうの服だった。あの服のことはキョンにしか見せてない。
それも今日のことだ。今日半日一緒に行動していたのだから、彼ではないはずだ。
とりあえずその服を広げて見る。間違いない。ほしかった服だ。
「あれ?」
服の中から一枚のカードが落ちてきた。そこには『少し早いけど誕生日おめでとう』
とだけ書いてあった。宅急便なのだから、誕生日に直接指定して贈ればいいものを。
だけど、差出人の名前はない。やはり、キョンなのだろうか?
裏を見ると。そこには『XY X:1→9=わ→か、Y:1↓5=あ↓お s=small』とかいてあった。
XYには2桁の数字が入るのだろう。でも、そんな数字は手元にない。
しばらく、考えながら、食事の後片付けを済ませる。服はハンガーにかけて近場にかける。
明日はこれを着よう。
5分ほど悩んでいるとメールがきた。どうやらパソコンのフリーメールから送っているようだ。
誰から送られてきたのかはわからない。ただし、タイトルは「挑戦状」
そして、中にはただ「逆」とだけ書かれていた。
ヒントのつもりだろう。確かにこれだけで十分だ。カセットを巻き戻して再生。
「次は92,35s,00,さん・・・・・・」この数字、Xは行をワ行から順に前に
Yはあからしたに順番と言うことなのだろう、この暗号は。
00はあ~をにふくまれない「ん」sは小さい文字だとすると。
「キョン?」
まさか、でも、服のことを考えるとやはり彼なのだろうか。
だとしたら一体どうして私にあんな詩を聞かせたのだろうか。決して私ではないだろう。
でもそれならなぜ私に聞かせたの。あぁキョン、一体何のつもりなの!!?
はぁ、明日どういう顔して会えばいいんだろう。

fin


220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/31(木) 20:09:19 ID:S2tw+ild
わざわざこんな長駄文をよく書いたもんだ
今後の参考にもバシバシ叩いてくれ

番外

同時刻、佐々木が心の中であらざる奇声を上げていたころ
「閉鎖空間に『神人』とおもわれる人型存在を確認。周りの建築物を破壊しています。」
今までになかった報告を受けた橘はあせっていた。
「一体何が原因でこんなことに、彼は今自分の家にいる、電話しているわけでもないのに
でも、彼以外に佐々木さんをこんな不安定な状態にさせる人なんて・・・」
どうやら今夜は橘にとって眠れぬ夜になりそうなのだった。